海外安全対策情報
【平成31年4月~令和元年6月】
1 社会・治安情勢
本年4月21日朝,コロンボの教会及び主要ホテル計5か所及びバティカロアの教会で同時間帯に爆破テロ事件が発生した。これは,過激化した国内スリランカ人ムスリムの実行犯が,感謝祭の同日朝,他の宗教や外国人を標的として,教会等を手製爆弾により爆破させ,自爆したもの。
この他,コロンボ郊外の民宿でも爆破が発生し,コロンボ市内デマタゴダの集合住宅では,治安当局の捜索に追い詰められた自爆犯の妻がその場で自爆した。
本事件の死者は258人,負傷者は約500人に上った。
事件後,警察は夜間帯の外出禁止令を全国的又は局所的に発出し,事態の沈静化に努めたほか,4月22日夜から,シリセーナ大統領は非常事態令を宣言し,現在も非常事態令は継続している。
5月12日及び翌13日には,北西部州を中心にシンハラ人及びムスリムのコミュナルな衝突が発生し,警察は,再び外出禁止令を関係地域に局所的に発出し,事態は数日で収束した。
それ以降,テロ事件,コミュナルな衝突は発生していない。被疑者の逮捕や関係箇所の捜索が順調に進む一方,政府機関,ホテル,宗教施設の警備は厳重ながらも,コロンボ市内の生活は日常に戻っている。
国会では,国会特別委員会が本事件発生要因や背景についての調査を開始し,関係者が召喚されている。
2 一般犯罪の傾向
(1)一般犯罪
5月中旬,逃亡先のドバイで逮捕されていたスリランカ人大物ギャング,通称マドゥーシュがスリランカに移送され,スリランカ警察によって逮捕された。同人は,海外からスリランカ内のギャングを指揮し,薬物売買を始め各種犯罪に関与していた疑いがある。
(2)邦人被害事案
今期の一般犯罪による被害は無し。テロ事件被害については,下記3のとおり。
(3)邦人以外の外国人被害事案
4月中旬,中部州マータレで,旅行中のオランダ人男性が交通事故により死亡した。
3 テロ・爆弾事件発生状況
上記1の4月21日発生の爆破テロ事件で,コロンボのホテルに居合わせた邦人女性1名が死亡し,複数の邦人が負傷した。
スリランカ外務省の発表(5月6日付)によれば,4月21日発生の爆破テロ事件における邦人以外の外国人死者数は,43名であり,その内訳は以下のとおり。
インド11名,中国,イギリス各6名,デンマーク3名,サウジアラビア,スペイン,トルコ各2名,バングラデシュ,オランダ,ポルトガル,スイス,アメリカ各1名,アメリカ・イギリス重国籍者2名,スイス・オランダ重国籍者1名,オランダ・スリランカ重国籍者1名,オーストラリア・スリランカ重国籍者2名。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
今期における発生はなし。
5 日本企業の安全に関わる諸問題
前記1及び3のとおり,進出日本企業の安全に関わる事件が発生した。