在スリランカ日本大使館は、モルディブ共和国を兼轄しています。

 

スリランカの情勢

 

 

 

スリランカ内政・外交(2011年9月29日-10月30日)

1 内政

(1)地方議会選挙
8日,都市部を中心に23の地方議会で選挙実施。与党が21議会で勝利したが,注目されたコロンボ市議会(伝統的には野党UNPが強い選挙区)では政府のスラム対策のあり方が批判を呼び,UNPが勝利(得票率:UNP43%(24議席),UPFA32%(16議席),DPF(タミル政党)11%,SLMC(ムスリム政党)4%(2議席),JVP1%(1議席))。選挙プロセス・投票状況は概ね平穏との評価。ただし,選挙当日に,与党の政治家グループ同士がコロンボ近郊でコロンナワ地区で銃撃戦を行い,4名が死亡。バーラタ・ラクシュマン・プレマチャンドラ元国会議員(SLFP)が死亡した他,現職国会議員のドゥミンダ・シルバ氏(UPFA)も意識不明の重体に。

(2)野党内の分裂
●最大野党UNP:  党幹部と改革派とのいざこざ継続。25日,R.セナナーヤケUNP元総裁補佐・元会長は,党の新総裁選出に向け臨時の綱領を策定するよう,カル・ジャヤスーリヤ副総裁及びサジット・プレマダーサ副総裁に要請。また,27日のUNP党作業部会では,党員が記者会見や政治集会を実施する場合の党総裁の許可の必要性如何を巡り議論が対立。
●野党JVP:  JVP党内でも主流派と分離派との間でのいざこざが継続。25日には党本部施設の占有権を巡り揉め事が発生。

(3)民族問題の解決・和解
●「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」:  29日,LLRC事務局は,「LLRCは最終報告書を11月の第2週に「ラ」大統領に提出予定である。ただし,本報告書の公表如何は,大統領の判断に委ねられる」と述べ,同報告書が公表されないかもしれない可能性を示唆。
●国会選定委員会(PSC): 8月に国民和解に向けた方途を検討するためにPSCの設置を提案する動議をチャマル・ラージャパクサ国会議長に提出した閣僚らが,6日,再び,国民和解に向けた政治的・憲法上の措置を検討するためとしてPSC設置を提案する動議を同議長に提出。また13日,「ラ」大統領は,「(PSCの設置時期について,)国会が決めるべきこと」と発言。28日,ウィクラマシンハ最大野党UNP総裁は,「政府が今年中に納得のいく民族問題の解決案を提示してくれるのなら,我々UNPは政府を支持する用意がある。
●TNAとの直接協議: 2日,プレマチャンドランTNA幹事長によれば,3日に予定されていたTNAと政府との協議は政府側が地方議会選挙準備で多忙なため,延期に。

(4)人権
●6日,政府は,人権保護・促進国家行動計画を発出。サマラシンハ人権担当大統領特使・プランテーション相は「本件には明確な目的,優先事項,期限付き目標が記されており,人権保護・促進に向けて実現可能な,実際的な計画である」と説明。
●16日,最高裁は「代替政策センター(CPA,注:政府に批判的な政策提言型NGO)」が提訴しているテロ防止法(PTA)に関する基本的人権訴訟の審議を拒否。

(5)北東部情勢
元LTTE要員の社会更正: 9月30日,大統領公邸にて,更生された1,800人以上の元LTTE兵士の社会復帰式典が催され,大統領や閣僚,各国大使他が出席。
●土地の再分配・再登録問題 17日,TULFをはじめ北部を拠点とするタミル政党らが,ワウニヤ町議会前で断食抗議活動(fast)を実施。問題となっているのは,政府が今般北・東部の土地再登録を決定したこと,ムライティブ県における行政長官の管轄区域の新設,政府軍の軍事プレゼンス,民族問題の解決の停滞。これを受けて,21日,政府は国会で本件に関する説明を行ったものの,翌22日,TNAは最高裁に基本的人権訴訟の提訴を決意。
●東部開発: 19日,東部州トリンコマリー県及びバティカロア県を結ぶ5つの橋が完成(仏支援)。

(6)国防省の名称改正
16日,大統領府は国防省の機能・名称を改め,「国防・都市開発省(the Ministry of Defense and Urban Development)」としたと発表。

(7)住民と治安当局の摩擦
9月29日夜,ガンパハ県ドンペ(Dompe:コロンボから東に約30キロ)にて事件容疑者が警察による拘留中に死亡したことを受けて2,000人以上の住民がドンペ警察署を包囲。翌30日朝から住民が警察署及び車両に投石。その数時間後,警察署から出火。30日昼までに状況は沈静化。

 

  1. 外交
  1. 国連 

9月30日,訪米から帰国したサマラシンハ人権問題担当相は「『ス』は今次人権理事会で,2つの重要な勝利を収めた。即ち,国連人権担当高等弁務官がダルスマン報告書を理事会に提出しようとしたのを阻止し,また来年3月の理事会で『ス』問題を取り上げる旨の加提案による決議案を阻止した」と発言。なお,「サ」人権担当省は10月に再度訪米し,26日にはバン国連事務総長,ナンビアール国連官房長,フォックス前英国防大臣らとそれぞれ会談した他,国連第三委員会に参加。

(2)西側諸国
●豪・英連邦:  28日から3日間に亘り,豪パースでの英国連邦首脳会議(CHOGM)が開催され,「ス」から「ラ」大統領及びピーリス外相が出席。並行してラッド豪外相(25日)及びギラード豪首相(翌26日)と会談した他,28日にはエリザベス女王主催の夕食会に出席。30日,ピーリス外相は記者会見を行い,「一部の英連邦加盟国やLTTE勢力が,内戦末期の次期CHOGM開催地を巡り,反「ス」活動をしかけてきたが,人権侵害問題,CHOGM開催地問題のいずれにおいても乗り切ることが出来た」と発言。なお,「ラ」大統領の訪豪に対する風向きは強く,タミルダイアスポラとその賛同者による様々な活動に直面(例: 豪緑の党が「「ス」政府要人を国際刑事裁判所(ICC)で裁き,豪政府は英連邦会議から「ス」を締め出すべきであると要請(17日)/豪ABCテレビ局が「ス」内戦末期の状況に関するドキュメンタリー番組を製作・放映/メルボルン地方裁で「ス」系豪人のジャガティースワラン氏が「ラ」大統領を相手取り「ス」一般市民殺害容疑で提訴/LTTEシンパのタミル団体「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」や豪タミル議会(ATC)が「「ス」の説明責任問題:英連邦における共通の正義」と題する会議開催)。
●米国: 22日,当地米国大使館はプレスリリースを発し,米国は2010年12月以降一時停止していた「ス」に対する特恵関税措置(GSP)を復活させる意向を明らかに。今後のGSPの具体的な対象期間は2011年11月5日~2013年7月13日となるが,同措置は2011年1月に遡って施行。9月27日,スティーヴン・チャボット米下院議員・中東/南アジア小委員会議長が来訪(~29日)。また10月30日,米下院議員のヘス・シューラー氏,ベン・チャンドラー氏,ジャック・キングストン氏らが訪「ス」し,記者会見では「「ス」はテロを打倒し,戦後は和解と再発展に向け,経済面・安全面で大きく進歩している」と称賛。
●英国: 9月29日,英国で難民申請するも国外退去となった50名の「ス」人がコロンボに到着。英国からの難民申請者の帰国は6月の44名に続いて2度目。14日,ライアム・フォックス英国防相は,自身が関与していた「スリランカ開発トラスト」の成果を疑問視されていたことを発端に,同職を辞任。
●EU:  12日,EU議会において「ス」内戦末期に関するドキュメンタリー番組「Sri Lanka's Killing Field(注:英テレビ局チャンネル4が本年6月に製作・放映し,「ス」政府から強い非難を受けていたもの)」の上映会実施。「ス」政府は反発。
●フランス:  14日,訪仏したG.L.ピーリス外相は,ジュペ仏外相と会談し,戦後の復興状況についてブリーフィング。「ジュ」仏外相は,「ス」の経済発展と和解における進展状況に対し好意的な見方。
●ドイツ: 12日,独裁判所は,独国内においてLTTE資金調達活動を行っていたアギラン氏ら3名の「ス」出身のタミル人(独国籍保持者)に対し,懲役4年9ヶ月の有罪判決。
●オランダ: 21日,蘭法廷は蘭国内で逮捕されたLTTE活動家5名に懲役2~6年の有罪判決。
●ノルウェー: 16日,訪諾したデシルバ灌漑・水資源管理大臣は,オスロでストーレ諾外相と会談。会談後「デ」大臣は声明を発し,「EU諸国の中で諾だけがLTTEを非合法していない。諾政府はもはや和平のファシリテータとしての役割は終えた。今こそ,LTTEをテロ団体に指定すべき,と発言。

(3)その他の国々
●インド:  8日から当地を訪問したマタイ印外務次官は,10日,ラージャパクサ大統領と会談。LTTEシンパの在外タミル人団体「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」の指導者であるS.J.エマニュエル牧師が,印タミル・ナドゥ州チェンナイの空港で入国しようとしたところ,印当局がこれを拒否。
●ベトナム:  13日,チュオン・タン・サン越国家主席が越大統領として初めて「ス」を公式訪問。14日に在スリランカ越大使館の開館式に出席。また「ラ」大統領と会談し,地域の安全とテロ撲滅に向け「ス」を支援する意向を表明。

     (了)