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皆さま、こんにちは。
令和6年10月末に、駐スリランカ大使として着任いたしました。長い歴史の中で豊かな文化を育んできたスリランカ、宗教が人々の生活に息づくスリランカ、多彩でダイナミックな自然を擁するスリランカ、そして日本と伝統的に深い友好協力関係を有するスリランカ、そのような魅力尽きない美しい国スリランカに赴任することができ、大変光栄に思っております。
スリランカは古くからインド洋における海上交易で大きな役割を果たしてきましたが、現在日本が推し進める「自由で開かれたインド太平洋」の戦略的なパートナーとしても、その重要性を増しています。近年両国間では、スリランカの沿岸警備当局に対する能力向上支援、巡視艇供与の協力等が進められており、海洋国家同士としての協力関係も一層深まっています。また、日本は長年にわたるスリランカの開発パートナーとして、これまで道路、空港、電力等のインフラ建設、農業振興、保健衛生等の生計・生活基盤整備、持続的な発展に向けた人材育成など、様々な分野で協力を進めてきました。
国の開発を支えるのは、人材です。日本ではよく「教育は国家百年の計」と言い、古くから一貫して人材育成に力を注いできました。戦後日本が急速な経済復興を遂げ、その後の繁栄の基礎を作ることができた背景に、インフラの整備に劣らぬ教育への投資があったことは、世界銀行の1993年の報告書「東アジアの奇跡」にも記されています。本年7月には、16周年を迎えるスリランカの若手行政官の能力向上のための協力事業の更なる実施が両政府間で合意されており、日本はスリランカの経済社会開発やガバナンス改革に向けて、人材育成協力も続けていきます。
国と国との関係をつなぐのは人であり、人と人との心触れ合う交流こそが、友好の絆を真に強固にすると私は信じています。戦後1951年のサンフランシスコ講和会議で、スリランカのジャヤワルダナ代表(後の大統領)は「憎悪は憎悪によって止むことなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用し、自国の賠償請求を放棄し、日本を国際社会の一員として受け入れるよう各国に促す演説を行いました。日スリランカ関係がこうした深い絆で結ばれていることを常に想起しつつ、両国が真のパートナーとして未来に向かい共に歩んでいくことができればと思っております。
大使館としましては、引き続き在留邦人の皆さまの安全確保や日スリランカ関係の一層の促進に努めていく所存です。皆さまのご意見を伺いつつ、微力ながら全力を尽くして参りたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
スリランカ駐箚日本国特命全権大使 磯俣秋男
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