平成28年度メディアツアー

平成29年4月19日
「スリランカ北部州でメディアツアーを実施」
 
 11月28日から12月1日,現地メディア向けプレスツアーを実施し,新聞・テレビ11社14名のジャーナリストとカメラマンが参加しました。このプレスツアーは,日本の開発協力が現地メディアで取り上げられる機会を増やすとともに,スリランカの政府関係者,知識層およびスリランカ国民への情報発信を強化するためのものです。
 
 メディア一行は、2009年まで長きにわたって続いた紛争の影響を最も受けたジャフナ,キリノッチを訪れ、紛争影響地域の再建支援の現場,草の根無償「スリランカ北部州における地雷除去計画」,無償資金協力「キリノッチ上水道復旧計画」,無償資金協力「ジャフナ教育病院中央機能改善計画,及び国際機関連携無償「北部州及び東部州における地域社会インフラ施設再建,生計向上及び女性の能力強化支援」)の視察を行いました。
 
1日目は、大使館へ集合し,各視察案件についてブリーフィングを実施。翌日からの視察に備えます。
 
2日目は、バスで北部へ移動。8時間を越える移動の中,皆さん和気藹々と会話が弾みます。
 
3日目は,朝から視察。まずは,ジャフナの地雷除去作業の視察。最初に地雷除去作業の概要について説明を受けます。とても危険な場所なので,足を踏み入れてはいけない場所など,視察中の注意点についても説明を受けます。記者の皆さんも初めて現場を見る方が多く,非常に熱心な取材。予定を大幅に超過しても,まだまだ時間がほしい!との声もありました。
 
地雷除去作業に関する説明



地雷除去作業に関する収録の模様



地雷除去作業員に対するインタビューの模様
 
 
午後はキリノッチへ移動し,上水道復旧計画の視察。紛争で破壊されてしまった上水道施設の再建設が今年10月に終了したばかり。2017年1月の開所予定なので,一足先にお披露目。


破壊された上水タンク視察の模様



キリノッチ上水施設(タンク)の視察



キリノッチ上水施設(浄水施設)の視察

 
その後ジャフナへ戻り,集中治療センター(ICU)への機材提供などの協力を行っている教育病院を視察。日本の機材のおかげで高度な医療を施すことができ,北部の人々の福祉の向上に役立っている一方,看護師不足が深刻とのこと。北部は紛争の影響で産業が乏しいことから所得水準が依然として低く,看護師になれる人が限られることが要因とのこと。未だに残る紛争の深い爪痕を感じます。
 

ジャフナ教育病院の視察(機材を提供したICU担当医師へインタビュー)

 
4日目は再びキリノッチへ。早朝からホテルを出発し,コロンボを目指す途中,キリノッチで女性の能力強化支援事業,地域社会インフラ施設再建の現場を視察しました。
 
女性の能力強化支援事業では,女性同士がお金を出し合ってファンドを作り,お互いの事業のためにローンを提供する「セイビング・グループ」の活動を視察。北部では女性が自分の所得を得る術が限られ,女性の自立を阻害しているとのことでしたが,この活動を通じて商売を始めた女性が,自分は自分で稼ぐことができるんだと自立のアイデンティティを持つことができたとおっしゃっていたのが印象的でした。
 
セイビング・グループ(女性の自立支援)インタビューの模様



セイビング・グループの支援により開店した店舗の視察
 

その後,地域社会インフラ施設再建の現場として,幼稚園を訪問。子ども達がフラワーシャワーでお出迎え。先生へのインタビューで,幼児教育の重要性,そのために日本が幼稚園を再建し,将来のスリランカの人材を担う子供達に希望を与えてくれたことに非常に感謝している旨を述べられていたのが印象的でした。
 

プレスクール視察(園児の活動)の模様



プレスクール視察(先生へのインタビュー)の模様

 
 メディアツアー終了後に実施したアンケートでは,紛争影響地域に対する日本の支援の状況がよく分かったというコメントが多く寄せられました。特に,未だに埋設されている地雷は,北部の人々にとって生活を脅かすものであり,日本だけが7年間もの間除去作業の支援をしてきたことに感銘を受けたようでした。
各紙・テレビでは次々と我が国の取り組みが報道され、ツアー終了翌日には,知識層含め幅広く視聴されるテレビニュースで地雷除去作業に関する日本の支援が紹介され,当館田中書記官も出演し,日本の支援について説明する機会を得ました。
 

当地主要メディアにて日本の支援について解説する田中書記官

 
 新聞報道については,紛争影響地域で特に読まれるタミル語紙では,「イラク以上に残存する地雷」と題し,特集ページ1面を使って,紛争影響地域に残存する地雷の人々に与える影響を論じつつ日本の支援の取り組みが詳細に紹介されました。また多くの知識層が購読する英字紙の日曜版ではキリノッチ上水道再建計画が大々的に紹介されるなど,我が国開発協力事業が取り上げられました。
多くの庶民が目にする新聞各紙やテレビで早々かつ大々的に我が国の開発協力事業が取り上げられることで、スリランカ国民の我が国開発協力事業への理解もより一層深まったのではないかと思います。