当国情勢
平成28年7月1日
2016年6月1日 - 6月30日
1 内政
(1)新憲法起草に向けた動き
ア 1日,ウィクラマシンハ首相は,憲法制定議会内に設置されている小委員会は今後,全政党及び憲法改正に向けた市民代表委員会(PRC)と協議を行い,協議結果をまとめた報告書を7月までに提出する予定であると述べた。
イ 憲法制定議会の運営委員会が22日から24日にかけて,憲法策定に関する協議を行った。また,共産党やランカ・サマ・サマージャ党等の議席を持たない政党を招き,新憲法に関する見解を求めた。
(2)西部州コロンボ県コスガマのサラワ陸軍基地での大規模な爆発
5日,西部州コロンボ県コスガマのサラワ陸軍基地で,武器庫に引火したことにより大規模な爆発が発生し,兵士1名が死亡,8名が怪我を負った。これにより,同基地の半径6km以内に居住する住人が避難する騒ぎとなった。
6日朝,ウィクラマシンハ首相はコスガマを訪れ,被害の状況を視察。その後,特別会議を開いて,避難住民のニーズの特定や,被害住民への補償について,協議した。同会議にはプリヤダルシャナ・ヤーパ災害管理大臣,カルナティラカ国会改革・マスメディア大臣,プレマジャヤンタ科学・技術・研究大臣,ラトナヤケ治安・南部開発大臣が出席した。
同日,プリヤダルシャナ・ヤーパ災害管理大臣は記者会見で,今回の爆発で生じた家屋の損害に対する修復及び再建は軍が行う,また,被害に見合った補償を行うと述べた。ヘッティアーラッチ国防次官は,国家安全保障会議でシリセーナ大統領が,武器庫の警備強化,被害者への支援物資の迅速な供給及び被害家屋の修繕を指示した,国家安全保障会議としては,何者かによるサボタージュが今回の爆発を引き起こした可能性も除外していないが,いずれにしろ,原因は調査中であると述べた。
(3)ラヴィ・カルナナヤケ財務大臣に対する不信任決議案の否決
統一野党が国会に提出していたラヴィ・カルナナヤケ財務大臣に対する不信任決議案が,9日,賛成51票,反対145票,棄権28票で否決された。統一野党と人民解放戦線(JVP)が賛成票を投じ,タミル国民連合(TNA)は投票を棄権した。
(4)中央銀行総裁の去就にかかる市民社会の見解
昨年8月の総選挙で,良い統治政策を支持し,現政権の当選を後押しした市民社会団体の内,2団体が,17日にシリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相に対し,マヘンドラン中央銀行総裁を再任しないように申し立てた。同総裁については,国債の入札を操作し,親類が経営する証券会社に高い利率で売り払った疑惑などが指摘されており,スリランカ自由党(SLFP)中央委員会もシリセーナ大統領に対し,再任に反対する意向を伝えている。
(5) コロンボ・ポートシティー建設計画
25日,ウィクラマシンハ首相はサンデータイムズ紙に対し,コロンボ・ポートシティー内に設置予定の金融・ビジネス地区にはオフショア銀行を設ける予定である,成功すれば,同地区はタックス・ヘイヴンとなると述べ,国外からの投資を呼び込むべく法の整備を進めていく考えを示した。
(6) 情報公開法の可決
情報公開法が,第二回読会を経て,24日に可決された。同法は,全国民は行政の保持する情報にアクセスする権利を有すると記しており,また,5名の委員で構成された情報公開委員会の設立,情報事務官(information officer)の任命及び情報へのアクセス手続きの設定の必要性を記している。同法に関しては,3月24日に草案が第一回読会で提示されたが,5月に最高裁が同法案の一部が憲法違反に当たると指摘したため,修正案が作成されていた。
(7)フォンセカ州開発大臣(元帥)の統一国民党(UNP)への参加
30日,フォンセカ州開発大臣はUNP党員資格(membership)を認められ,西部州ケラニヤ地区のUNP地区責任者に任命された。同時に,州開発大臣が党首を務めていた民主党(DP)所属のメンバーもUNPの党員資格を認められた。フォンセカ州開発大臣は,昨年8月の総選挙で落選した後,今年2月に,UNP比例代表者名簿の枠を使って国会議員に就任した経緯がある。
(8)ラージャパクサ前大統領及び親族を巡る動き
ア ラージャパクサ前大統領の軍出身警護官の完全撤退
3日,政府は,国家安全保障会議の決定に基づき,前大統領の残りの50名の軍出身警護官を警察出身警護官と交代させた。
ウ バシル・ラージャパクサ前経済開発相の逮捕・保釈
バシル・ラージャパクサ前経済開発相が,6日朝,西部州ガンパハ県に所有している土地及び建物に関し,支払われた巨額な資金の出所が不明であるとして,警察財務犯罪捜査局(FCID)により逮捕されたものの,プゴダ治安裁判所の命令により保釈された。同前経済開発相が逮捕されたのは今回で4度目。
(9)チャンピカ・ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣の車両事故にかかる裁判
2月28日にラナワカ大臣の車とオートバイが接触事故を起こし,オートバイの運転手が重傷を負った件に関し,16日,西部州コロンボ県ウェリカダ警察はコロンボ治安裁判所に対し,モラトゥワ大学が事故現場のCCTVの記録を分析したものの,誰が車を運転していたかの特定には至らなかった,ラナワカ大臣が事故に関与した確かな証拠はないと述べた。一方,被害者側の弁護人は,運転手ではなく,大臣本人が車を運転していたと主張した。これを受けて,コロンボ治安裁判所は,6月29日に同大臣を本件裁判の被告人に含めるかどうかについて裁判所の判断を示すとした。
(10)ガンマンピラ統一野党議員の逮捕・拘留
18日,ウダヤ・ガンマンピラ統一野党議員が,偽装した文書を用いて,豪富豪のブライアン・ジョン・シャディック氏の資産の一部を売却し,そこから得た利益を着服した疑いで逮捕され,7月1日まで拘留されることが決定した。
(11)ソマワンサ・アマラシンハ前JVP党首の死去
15日,アマラシンハ前JVP党首が死去した。享年73歳であった。
2 国民和解
(1)旅券発行拒否措置の撤廃
前政権下では,政治亡命して海外に居住するスリランカ人国民に対し,旅券発行を拒否する措置が取られていたが,1日,同措置の撤廃が発表された。
(2)元LTTE兵士の釈放
1日,コロンボ治安裁判所は,テロ防止法(PTA)に基づく長期拘留の後,昨年11月に保釈されていた8人の元LTTE兵士に対する罪状を取り消し,釈放した。昨年11月には彼らのほかに31人の元LTTE兵士が保釈されている。
(3)失踪者問題
ア 失踪証明書発効の承認
7日,閣議で,死亡証明書に代わり失踪証明書の発行を可能とする法案が承認された。同法案は死亡登録法(Registration of Deaths Act)を修正するためのもの。
イ 大統領失踪者調査委員会の解散
先月,閣議で失踪者局の設置が承認されたことにより,大統領失踪者調査委員会(通称:パラナガマ委員会)は,7月15日に解散される。
(4)再定住問題
ア タミル難民の帰国
14日,印タミルナドゥ州に長年避難していた35名のタミル難民がUNHCRの帰還支援プログラムを利用し,帰還。そして,28日,新たに36名のタミル人難民がUNHCRの支援を受け,スリランカに帰還。シヴァナナソティー再定住省次官によると,2011年からすでに4,799名のタミル人難民が印から帰還したものの,まだ10万人以上の難民が印での生活を続けている。
イ 土地の解放
ヘッティアーラッチ国防次官が26日,北部州ジャフナ県ワリカム北で201.3エーカーの高度警戒地域(HSZ)を再定住のために解放した。
ウ 再定住支援
29日,スワミナダン刑務所改革・復興・再定住・ヒンドゥー教大臣は,再定住を促進するために,140億ルピーの予算を付けたと述べた。内,80億2400万ルピーは再定住家屋計1万軒の建設にあてがわれ,9000軒は国内避難民に,630軒は印から帰還した難民に,400軒が北部州・東部州との境界地域に宛てがえられる予定。また,半壊家屋計2,400軒に対し,各20万ルピーの支給及び,インフラ開発や学校や病院の改築等の再定住住民の生活環境を整備する支援が行われる。
エ 時効法特別条項案の可決
3月にラージャパクサ司法相が国会に提出していた時効法特別条項案が,今般,国会で可決された。同特別条項は,1983年5月1日から2009年5月18日までの間に紛争で自身の土地を離れざるを得なかった人々が,2016年5月17日から2年間に限り,たとえ時効が過ぎていても,法廷で同土地の所有権を主張できるようにするためのもの。北部州や東部州の国内避難民が土地を取り戻すために役立つことが期待されている。
(5)シリセーナ大統領の発言
シリセーナ大統領は,サンデータイムズ紙のインタビューに対し,紛争中の戦争犯罪疑惑を裁く特別法廷への国際社会による技術的支援は受け入れるが,外国人判事の参加は必要ない,我々は自前でいかなる問題も解決できると述べた。
(6)テロ防止法に基づく逮捕にかかる大統領の指令
シリセーナ大統領は,スリランカ人権委員会が5月28日に発出した,テロ防止法(PTA)に基づく逮捕時の適切な手順にかかる指令(directive)について,三軍の長及び国防大臣として,三軍及び警察の長に対し,実行に移すように指示した。同指令は,PTAに基づいて容疑者を逮捕する者は,自身の氏名・身分を容疑者及び容疑者家族に明かす,また逮捕される者は,その理由を開示される,逮捕の時間,場所,理由は記録にとどめられる,容疑者は逮捕された旨を家族に連絡できる,などと規定している。
3 外交
(1)ノルウェー国務次官の来訪
5月31日,ハットレム・ノルウェー国務次官がスリランカに到着。6月1日,同次官はコロンボでサンパンタン野党代表と協議した後に,北部州ジャフナ県を訪問し,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣と協議した。ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,国務次官に対し,北部州議会が可決した連邦制を求める決議は,国を分断することを目的としているわけではないが,一部の政治家らは誤解していると述べ,また,いまだ多くの人々が再定住できずに,仮設住宅で暮らしている旨指摘した。同日,国務次官はジャフナ県軍司令官を表敬し,北部州の治安情勢についても協議した。ハットレム国務次官は2日,訪問を終え,出国した。
(2)サマラウィーラ外相の仏訪問
サマラウィーラ外相が1日~3日の間,仏を訪問し,スリランカでの仏語教育の向上,文化遺産の分野での協力,及び西部州ガンパハ県ネゴンボの公衆衛生改善事業にかかる3つの合意文書に署名した。
ジャン=マルク・エロー仏外務・国際開発大臣と会談したサマラウィーラ外相は,スリランカにおける2015年の大統領選挙以降の成果を説明するとともに,政府の開発目標を示し,仏政府と経済開発の分野で関係を強化したい旨伝えた。これに対し,エロー大臣は,仏はEUによるスリランカへのGSPプラスの付与及び魚介類輸入禁止措置の解除に向けた動きを支援している,また,仏投資家もスリランカに興味を示していると述べた。さらに,貿易,観光,テロ対策及び気候変動の分野で,協力関係を強化することを提案した。
サマラウィーラ外相はまた,ローラン・ファビウス仏憲法委員会委員長と新憲法起草プロセスにつき協議を行い,マティウス・フェクル仏国際貿易・観光促進担当国務大臣とは,二国間の経済関係を強化させることで一致した。また,アンドレ・ヴァリーニ仏開発・フランス語圏担当国務大臣と,スリランカでのフランス開発局(AFD)事業の拡大について話し合った。
サマラウィーラ外相は,イリナ・ボコヴァ国際連合教育科学文化機関(UNESCO)事務局長とも会談し,スリランカの教育向上に向けた支援を求めた。
(3)ヘッティアーラッチ国防次官のシャングリラ・ダイアローグ出席
ヘッティアーラッチ国防次官が3日から5日かけて,シンガポールで開催された第15回シャングリラ・ダイアローグに出席した。国防次官はまた,ハルジット・シン・サッジャン加国防大臣,マイケル・ファロン英国防大臣,アナトリー・アントノフ露国防副大臣,Chan Yang Kit星国防省筆頭次官,及びジョン・リチャードソン米海軍作戦部長とバイ会談を行い,防衛協力の強化について話しあった。また,スリランカでは2015年1月以来,安全規制の緩和や,北部州及び東部州で,軍用地の返還を行っている旨説明した。
(4)マクドナルド英外務・英連邦省次官補他の来訪
当地を訪問中のサイモン・マクドナルド英外務・英連邦省次官補及びマーク・ロウコック英国際開発省次官は7日,ウィクラマシンハ首相と面会し,政府による民主主義の強化に向けたコミット及びこれまでの和解における進展を歓迎するとともに,英政府は和解に向けた支援を継続する旨伝達した。また,サンパンタン野党代表TNA議員団長との会談では,タミル人が直面している問題や,同問題の,政治を通じた解決について話し合った。ラトナヤケ治安・南部開発大臣とは,英国によるコミュニティー・ポリシング(community policing)支援について協議した。ロウコック次官は別途,スワミナダン再定住大臣と,軍用地の返還・避難民による再定住について協議した。一行は,収賄・汚職調査委員会(CIABOC)関係者とも面会し,英国による支援について話し合った。
(5)国会議員団の中国訪問
中国・スリランカ友好協会の招待で,アマラウィーラ漁業・水産資源開発大臣,アベイシンハ交通副大臣を含む計13名の国会議員が,視察のため,10日から中国を訪問した。
(6)デシルバ副外相及びセナナヤケ首相府副官房長ほかの英国訪問
デシルバ副外相及びセナナヤケ首相報道官が訪英し,15日,ロンドンで在英スリランカ人と会合した。同2名の政府要人の訪英目的は,今月23日の英国によるEU離脱の是非を問う国民投票に関し,在英スリランカ人にEU残留を支持するように働きかけることではないかとの噂が流れている。この時期に,フェルナンド通信・デジタルインフラ大臣,プレマジャヤンタ科学・技術・研究大臣,ジャヤセカラ・スポーツ大臣も訪英を予定しているが,その目的も明らかになっていない。さらに,スマティパーラ国会副議長及びラナトゥンガ港湾・海運大臣が,クリケット試合観戦のために,すでに英国を訪問した。
(7)サマラウィーラ外相のチェコ共和国訪問
サマラウィーラ外相は9日~11日,チェコを公式訪問し,ザオラーレク・チェコ外相と会談した。両外相は二国間関係強化に向けたコミットを再確認し,電力や廃棄物管理,車両生産を含む新たな協力分野を特定した。また,サマラウィーラ外相からは,現政権は民主主義の強化,国民和解の促進,社会経済開発の確保及び恒久平和の達成に向けて尽力している旨説明した。これに対し,ザオラーレク外相は,2015年の大統領選挙以降のスリランカにおける変化を歓迎している,現政権の取組を支持すると述べた。
(8)チャヴシュオール・トルコ外相の来訪
チャヴシュオール・トルコ外相が14日~16日,スリランカを訪問し,15日にシリセーナ大統領を表敬した。大統領は,チャヴシュオール外相に対し,スリランカへの投資拡大を求め,チャヴシュオール外相は,貿易,投資及び二国間関係のさらなる強化に向けてトルコ政府が取ることのできる措置を説明した。同日,チャヴシュオール外相はサマラウィーラ外相とも会談し,双方は,両国外務省間の外交研修・情報交換にかかる協力覚書に署名した。会談後の記者会見で,サマラウィーラ外相は,北部州マナーで進行中の国内避難民のための住宅建設支援や,近く実現予定のトルコ輸銀による3.5億ドルのクレジットライン供与に謝意を表した。一方,チャヴシュオール外相は,年内のエルドガン・トルコ大統領による訪問の可能性を示唆した。
16日,チャヴシュオール外相はウィクラマシンハ首相にも表敬した。
(9)サマラウィーラ外相によるノルウェー訪問
21日,オスロを訪問中のサマラウィーラ外相は,ソールベルグ首相を表敬。ソールベルグ首相は,スリランカ政府の和解,民主主義,良い統治の促進,及び経済開発政策,そして現政権がディアスポラとの関係を構築しようとしている試みを歓迎した。
サマラウィーラ外相は翌22日,第6回死刑廃止世界会議の開会式で演説し,スリランカとして死刑モラトリアムを継続し,また,死刑モラトリアムに関する国連決議を支持する方針を表明した。
同日,サマラウィーラ外相は,ブレンデ外相,サンベルグ漁業大臣,ハットレム国務次官と漁業セクターでの協力を含む二国間関係について協議し,ノルウェーの水産資源及び海洋調査を行うとの申し出を歓迎し,漁業セクターに関する国家政策枠組策定に向けた支援を要請した。
また,サマラウィーラ外相は,ビジネス・フォーラム「イノベーション・ノルウェー」に出席し,ノルウェー企業によるスリランカへの投資を呼びかけた。
(10)サマラウィーラ外相のウクライナ訪問
25日,サマラウィーラ外相はウクライナを訪問。パブロ・クリムキン・ウクライナ外務大臣と協議を行い,政権交代後の現政権の取組を説明。また,二国間の関係強化を促進したい旨を伝えた。そして,犯罪事案に対する相互的司法援助(mutual legal assistance in criminal cases),逃亡犯罪人引渡及び犯罪人引渡の3つの分野で二国間合意を締結させた。
(11)ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣の韓国訪問
ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣が韓国を訪問。カン・ホイン(Kang Ho-in)韓国国土交通大臣と経済協力につき協議を行い,韓国がスリランカの西部州メガポリス開発計画のパートナーになるとの内容の覚書を締結した。
(12)サマラウィーラ外相とラージャパクサ司法相の人権理事会出席
サマラウィーラ外相とラージャパクサ司法相が,人権理事会に出席するためにジュネーブを訪問。
(13)シリセーナ大統領の訪中予定
サマラシンハ技術開発・職業訓練大臣によると,シリセーナ大統領は,習近平国家主席の招待により,近く中国への二度目の公式訪問を予定している由。
(14)モーリシャス沿岸警備艇の親善寄港
2日,モーリシャス沿岸警備艇「CGS バッラクダ号」が印コルカタからモーリシャスに向かう途中に,ハンバントタ港に親善寄港した。同沿岸警備艇は3日にハンバントタ港を出港した。
(15)豪海軍艦船の寄港
19日,豪海軍艦船「HMASパース号」がコロンボ港に親善寄港した。同艦船は23日に出港した。
(16)シンガポールとの覚書締結
東部州トリンコマリー都市計画の策定に向け,国家政策・経済省とシンガポールのSurbana Jurong社との間で,覚書が署名された。同署名式には,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びイシュワラン・シンガポール貿易・産業大臣が立ち会った。
(17)第8回官民合同フォーラムの開催
9日,投資庁(BOI)は,第8回官民合同フォーラムを開催した。BOIは,同フォーラムを通じて在スリランカ日本企業の要請に対処し,彼らを支援する。今回のフォーラムでは,現地職員への給与,税制度の現状,日本企業関係者への査証,電力・道路・インターネット・港湾事情などについて話し合われた。
(18)中国大使による講演
6日,易先良(Yi Xianliang)中国大使は,戦略研究地域センターにて講演し,国連人権理事会により提案された和解メカニズムが新たな対立を引き起こさないよう,スリランカ政府は注意すべき,和解よりも,格差の解消・平等な発展を先行させることで対立を防止できる旨述べた。また同大使は,中国の事業は,中国の戦略的利益を増進するためのものと言われがちだが,我々に他意はない,我々は,自身の事業をスリランカや他国の企業との合弁とすることを望んでいると述べた。その一方で,スリランカが外国からの投資を呼び込みたいなら,政策の一貫性の確保,手続の簡素化,省庁間の権限の重複の解消などに取り組む必要があると述べた。さらに易大使は,開発が優先されれば,対立や紛争は緩和される,仮に中国,インド,パキスタン,スリランカなどの国々で経済同盟を組めば,地域における対立は緩和されるとも述べた。
(19)EUによるスリランカ産魚介類禁輸措置の解除
16日,政府は,EUが課していたスリランカ産魚介類の禁輸措置が解除されたと発表した。EUは, スリランカの違法漁業対策に不備があるとして,2014年10月から本件措置を導入しており,政府が措置の解除に向けてEUと交渉していた。
(20)トルコ・イスタンブール空港爆破事件を受けた弔辞の発表
29日にトルコ・イスタンブールの主要空港,アタチュルク空港で自爆テロが起こったことを受け,シリセーナ大統領が弔辞を発表。テロ防止に向け,国際社会は協力しなければならないとの旨が記されている。
(21)ラージャパクサ前大統領の日本訪問
ラージャパクサ前大統領が7日から21日の間(ママ),22名の同行者とともに日本を訪問した。前大統領の訪日は,ジャガンタ・ヘッティアーラッチ日本友好財団代表兼蘭華寺住職の招待を受けたもの。前大統領は蘭華寺,神戸寺及び大雄院にて宗教行事に参加し,成田ヒルトンホテル及び筑波国際会議場でビジネス会議に出席した。さらに,前大統領は,国会を訪問し,国会議員とも面会した。
(1)新憲法起草に向けた動き
ア 1日,ウィクラマシンハ首相は,憲法制定議会内に設置されている小委員会は今後,全政党及び憲法改正に向けた市民代表委員会(PRC)と協議を行い,協議結果をまとめた報告書を7月までに提出する予定であると述べた。
イ 憲法制定議会の運営委員会が22日から24日にかけて,憲法策定に関する協議を行った。また,共産党やランカ・サマ・サマージャ党等の議席を持たない政党を招き,新憲法に関する見解を求めた。
(2)西部州コロンボ県コスガマのサラワ陸軍基地での大規模な爆発
5日,西部州コロンボ県コスガマのサラワ陸軍基地で,武器庫に引火したことにより大規模な爆発が発生し,兵士1名が死亡,8名が怪我を負った。これにより,同基地の半径6km以内に居住する住人が避難する騒ぎとなった。
6日朝,ウィクラマシンハ首相はコスガマを訪れ,被害の状況を視察。その後,特別会議を開いて,避難住民のニーズの特定や,被害住民への補償について,協議した。同会議にはプリヤダルシャナ・ヤーパ災害管理大臣,カルナティラカ国会改革・マスメディア大臣,プレマジャヤンタ科学・技術・研究大臣,ラトナヤケ治安・南部開発大臣が出席した。
同日,プリヤダルシャナ・ヤーパ災害管理大臣は記者会見で,今回の爆発で生じた家屋の損害に対する修復及び再建は軍が行う,また,被害に見合った補償を行うと述べた。ヘッティアーラッチ国防次官は,国家安全保障会議でシリセーナ大統領が,武器庫の警備強化,被害者への支援物資の迅速な供給及び被害家屋の修繕を指示した,国家安全保障会議としては,何者かによるサボタージュが今回の爆発を引き起こした可能性も除外していないが,いずれにしろ,原因は調査中であると述べた。
(3)ラヴィ・カルナナヤケ財務大臣に対する不信任決議案の否決
統一野党が国会に提出していたラヴィ・カルナナヤケ財務大臣に対する不信任決議案が,9日,賛成51票,反対145票,棄権28票で否決された。統一野党と人民解放戦線(JVP)が賛成票を投じ,タミル国民連合(TNA)は投票を棄権した。
(4)中央銀行総裁の去就にかかる市民社会の見解
昨年8月の総選挙で,良い統治政策を支持し,現政権の当選を後押しした市民社会団体の内,2団体が,17日にシリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相に対し,マヘンドラン中央銀行総裁を再任しないように申し立てた。同総裁については,国債の入札を操作し,親類が経営する証券会社に高い利率で売り払った疑惑などが指摘されており,スリランカ自由党(SLFP)中央委員会もシリセーナ大統領に対し,再任に反対する意向を伝えている。
(5) コロンボ・ポートシティー建設計画
25日,ウィクラマシンハ首相はサンデータイムズ紙に対し,コロンボ・ポートシティー内に設置予定の金融・ビジネス地区にはオフショア銀行を設ける予定である,成功すれば,同地区はタックス・ヘイヴンとなると述べ,国外からの投資を呼び込むべく法の整備を進めていく考えを示した。
(6) 情報公開法の可決
情報公開法が,第二回読会を経て,24日に可決された。同法は,全国民は行政の保持する情報にアクセスする権利を有すると記しており,また,5名の委員で構成された情報公開委員会の設立,情報事務官(information officer)の任命及び情報へのアクセス手続きの設定の必要性を記している。同法に関しては,3月24日に草案が第一回読会で提示されたが,5月に最高裁が同法案の一部が憲法違反に当たると指摘したため,修正案が作成されていた。
(7)フォンセカ州開発大臣(元帥)の統一国民党(UNP)への参加
30日,フォンセカ州開発大臣はUNP党員資格(membership)を認められ,西部州ケラニヤ地区のUNP地区責任者に任命された。同時に,州開発大臣が党首を務めていた民主党(DP)所属のメンバーもUNPの党員資格を認められた。フォンセカ州開発大臣は,昨年8月の総選挙で落選した後,今年2月に,UNP比例代表者名簿の枠を使って国会議員に就任した経緯がある。
(8)ラージャパクサ前大統領及び親族を巡る動き
ア ラージャパクサ前大統領の軍出身警護官の完全撤退
3日,政府は,国家安全保障会議の決定に基づき,前大統領の残りの50名の軍出身警護官を警察出身警護官と交代させた。
ウ バシル・ラージャパクサ前経済開発相の逮捕・保釈
バシル・ラージャパクサ前経済開発相が,6日朝,西部州ガンパハ県に所有している土地及び建物に関し,支払われた巨額な資金の出所が不明であるとして,警察財務犯罪捜査局(FCID)により逮捕されたものの,プゴダ治安裁判所の命令により保釈された。同前経済開発相が逮捕されたのは今回で4度目。
(9)チャンピカ・ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣の車両事故にかかる裁判
2月28日にラナワカ大臣の車とオートバイが接触事故を起こし,オートバイの運転手が重傷を負った件に関し,16日,西部州コロンボ県ウェリカダ警察はコロンボ治安裁判所に対し,モラトゥワ大学が事故現場のCCTVの記録を分析したものの,誰が車を運転していたかの特定には至らなかった,ラナワカ大臣が事故に関与した確かな証拠はないと述べた。一方,被害者側の弁護人は,運転手ではなく,大臣本人が車を運転していたと主張した。これを受けて,コロンボ治安裁判所は,6月29日に同大臣を本件裁判の被告人に含めるかどうかについて裁判所の判断を示すとした。
(10)ガンマンピラ統一野党議員の逮捕・拘留
18日,ウダヤ・ガンマンピラ統一野党議員が,偽装した文書を用いて,豪富豪のブライアン・ジョン・シャディック氏の資産の一部を売却し,そこから得た利益を着服した疑いで逮捕され,7月1日まで拘留されることが決定した。
(11)ソマワンサ・アマラシンハ前JVP党首の死去
15日,アマラシンハ前JVP党首が死去した。享年73歳であった。
2 国民和解
(1)旅券発行拒否措置の撤廃
前政権下では,政治亡命して海外に居住するスリランカ人国民に対し,旅券発行を拒否する措置が取られていたが,1日,同措置の撤廃が発表された。
(2)元LTTE兵士の釈放
1日,コロンボ治安裁判所は,テロ防止法(PTA)に基づく長期拘留の後,昨年11月に保釈されていた8人の元LTTE兵士に対する罪状を取り消し,釈放した。昨年11月には彼らのほかに31人の元LTTE兵士が保釈されている。
(3)失踪者問題
ア 失踪証明書発効の承認
7日,閣議で,死亡証明書に代わり失踪証明書の発行を可能とする法案が承認された。同法案は死亡登録法(Registration of Deaths Act)を修正するためのもの。
イ 大統領失踪者調査委員会の解散
先月,閣議で失踪者局の設置が承認されたことにより,大統領失踪者調査委員会(通称:パラナガマ委員会)は,7月15日に解散される。
(4)再定住問題
ア タミル難民の帰国
14日,印タミルナドゥ州に長年避難していた35名のタミル難民がUNHCRの帰還支援プログラムを利用し,帰還。そして,28日,新たに36名のタミル人難民がUNHCRの支援を受け,スリランカに帰還。シヴァナナソティー再定住省次官によると,2011年からすでに4,799名のタミル人難民が印から帰還したものの,まだ10万人以上の難民が印での生活を続けている。
イ 土地の解放
ヘッティアーラッチ国防次官が26日,北部州ジャフナ県ワリカム北で201.3エーカーの高度警戒地域(HSZ)を再定住のために解放した。
ウ 再定住支援
29日,スワミナダン刑務所改革・復興・再定住・ヒンドゥー教大臣は,再定住を促進するために,140億ルピーの予算を付けたと述べた。内,80億2400万ルピーは再定住家屋計1万軒の建設にあてがわれ,9000軒は国内避難民に,630軒は印から帰還した難民に,400軒が北部州・東部州との境界地域に宛てがえられる予定。また,半壊家屋計2,400軒に対し,各20万ルピーの支給及び,インフラ開発や学校や病院の改築等の再定住住民の生活環境を整備する支援が行われる。
エ 時効法特別条項案の可決
3月にラージャパクサ司法相が国会に提出していた時効法特別条項案が,今般,国会で可決された。同特別条項は,1983年5月1日から2009年5月18日までの間に紛争で自身の土地を離れざるを得なかった人々が,2016年5月17日から2年間に限り,たとえ時効が過ぎていても,法廷で同土地の所有権を主張できるようにするためのもの。北部州や東部州の国内避難民が土地を取り戻すために役立つことが期待されている。
(5)シリセーナ大統領の発言
シリセーナ大統領は,サンデータイムズ紙のインタビューに対し,紛争中の戦争犯罪疑惑を裁く特別法廷への国際社会による技術的支援は受け入れるが,外国人判事の参加は必要ない,我々は自前でいかなる問題も解決できると述べた。
(6)テロ防止法に基づく逮捕にかかる大統領の指令
シリセーナ大統領は,スリランカ人権委員会が5月28日に発出した,テロ防止法(PTA)に基づく逮捕時の適切な手順にかかる指令(directive)について,三軍の長及び国防大臣として,三軍及び警察の長に対し,実行に移すように指示した。同指令は,PTAに基づいて容疑者を逮捕する者は,自身の氏名・身分を容疑者及び容疑者家族に明かす,また逮捕される者は,その理由を開示される,逮捕の時間,場所,理由は記録にとどめられる,容疑者は逮捕された旨を家族に連絡できる,などと規定している。
3 外交
(1)ノルウェー国務次官の来訪
5月31日,ハットレム・ノルウェー国務次官がスリランカに到着。6月1日,同次官はコロンボでサンパンタン野党代表と協議した後に,北部州ジャフナ県を訪問し,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣と協議した。ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,国務次官に対し,北部州議会が可決した連邦制を求める決議は,国を分断することを目的としているわけではないが,一部の政治家らは誤解していると述べ,また,いまだ多くの人々が再定住できずに,仮設住宅で暮らしている旨指摘した。同日,国務次官はジャフナ県軍司令官を表敬し,北部州の治安情勢についても協議した。ハットレム国務次官は2日,訪問を終え,出国した。
(2)サマラウィーラ外相の仏訪問
サマラウィーラ外相が1日~3日の間,仏を訪問し,スリランカでの仏語教育の向上,文化遺産の分野での協力,及び西部州ガンパハ県ネゴンボの公衆衛生改善事業にかかる3つの合意文書に署名した。
ジャン=マルク・エロー仏外務・国際開発大臣と会談したサマラウィーラ外相は,スリランカにおける2015年の大統領選挙以降の成果を説明するとともに,政府の開発目標を示し,仏政府と経済開発の分野で関係を強化したい旨伝えた。これに対し,エロー大臣は,仏はEUによるスリランカへのGSPプラスの付与及び魚介類輸入禁止措置の解除に向けた動きを支援している,また,仏投資家もスリランカに興味を示していると述べた。さらに,貿易,観光,テロ対策及び気候変動の分野で,協力関係を強化することを提案した。
サマラウィーラ外相はまた,ローラン・ファビウス仏憲法委員会委員長と新憲法起草プロセスにつき協議を行い,マティウス・フェクル仏国際貿易・観光促進担当国務大臣とは,二国間の経済関係を強化させることで一致した。また,アンドレ・ヴァリーニ仏開発・フランス語圏担当国務大臣と,スリランカでのフランス開発局(AFD)事業の拡大について話し合った。
サマラウィーラ外相は,イリナ・ボコヴァ国際連合教育科学文化機関(UNESCO)事務局長とも会談し,スリランカの教育向上に向けた支援を求めた。
(3)ヘッティアーラッチ国防次官のシャングリラ・ダイアローグ出席
ヘッティアーラッチ国防次官が3日から5日かけて,シンガポールで開催された第15回シャングリラ・ダイアローグに出席した。国防次官はまた,ハルジット・シン・サッジャン加国防大臣,マイケル・ファロン英国防大臣,アナトリー・アントノフ露国防副大臣,Chan Yang Kit星国防省筆頭次官,及びジョン・リチャードソン米海軍作戦部長とバイ会談を行い,防衛協力の強化について話しあった。また,スリランカでは2015年1月以来,安全規制の緩和や,北部州及び東部州で,軍用地の返還を行っている旨説明した。
(4)マクドナルド英外務・英連邦省次官補他の来訪
当地を訪問中のサイモン・マクドナルド英外務・英連邦省次官補及びマーク・ロウコック英国際開発省次官は7日,ウィクラマシンハ首相と面会し,政府による民主主義の強化に向けたコミット及びこれまでの和解における進展を歓迎するとともに,英政府は和解に向けた支援を継続する旨伝達した。また,サンパンタン野党代表TNA議員団長との会談では,タミル人が直面している問題や,同問題の,政治を通じた解決について話し合った。ラトナヤケ治安・南部開発大臣とは,英国によるコミュニティー・ポリシング(community policing)支援について協議した。ロウコック次官は別途,スワミナダン再定住大臣と,軍用地の返還・避難民による再定住について協議した。一行は,収賄・汚職調査委員会(CIABOC)関係者とも面会し,英国による支援について話し合った。
(5)国会議員団の中国訪問
中国・スリランカ友好協会の招待で,アマラウィーラ漁業・水産資源開発大臣,アベイシンハ交通副大臣を含む計13名の国会議員が,視察のため,10日から中国を訪問した。
(6)デシルバ副外相及びセナナヤケ首相府副官房長ほかの英国訪問
デシルバ副外相及びセナナヤケ首相報道官が訪英し,15日,ロンドンで在英スリランカ人と会合した。同2名の政府要人の訪英目的は,今月23日の英国によるEU離脱の是非を問う国民投票に関し,在英スリランカ人にEU残留を支持するように働きかけることではないかとの噂が流れている。この時期に,フェルナンド通信・デジタルインフラ大臣,プレマジャヤンタ科学・技術・研究大臣,ジャヤセカラ・スポーツ大臣も訪英を予定しているが,その目的も明らかになっていない。さらに,スマティパーラ国会副議長及びラナトゥンガ港湾・海運大臣が,クリケット試合観戦のために,すでに英国を訪問した。
(7)サマラウィーラ外相のチェコ共和国訪問
サマラウィーラ外相は9日~11日,チェコを公式訪問し,ザオラーレク・チェコ外相と会談した。両外相は二国間関係強化に向けたコミットを再確認し,電力や廃棄物管理,車両生産を含む新たな協力分野を特定した。また,サマラウィーラ外相からは,現政権は民主主義の強化,国民和解の促進,社会経済開発の確保及び恒久平和の達成に向けて尽力している旨説明した。これに対し,ザオラーレク外相は,2015年の大統領選挙以降のスリランカにおける変化を歓迎している,現政権の取組を支持すると述べた。
(8)チャヴシュオール・トルコ外相の来訪
チャヴシュオール・トルコ外相が14日~16日,スリランカを訪問し,15日にシリセーナ大統領を表敬した。大統領は,チャヴシュオール外相に対し,スリランカへの投資拡大を求め,チャヴシュオール外相は,貿易,投資及び二国間関係のさらなる強化に向けてトルコ政府が取ることのできる措置を説明した。同日,チャヴシュオール外相はサマラウィーラ外相とも会談し,双方は,両国外務省間の外交研修・情報交換にかかる協力覚書に署名した。会談後の記者会見で,サマラウィーラ外相は,北部州マナーで進行中の国内避難民のための住宅建設支援や,近く実現予定のトルコ輸銀による3.5億ドルのクレジットライン供与に謝意を表した。一方,チャヴシュオール外相は,年内のエルドガン・トルコ大統領による訪問の可能性を示唆した。
16日,チャヴシュオール外相はウィクラマシンハ首相にも表敬した。
(9)サマラウィーラ外相によるノルウェー訪問
21日,オスロを訪問中のサマラウィーラ外相は,ソールベルグ首相を表敬。ソールベルグ首相は,スリランカ政府の和解,民主主義,良い統治の促進,及び経済開発政策,そして現政権がディアスポラとの関係を構築しようとしている試みを歓迎した。
サマラウィーラ外相は翌22日,第6回死刑廃止世界会議の開会式で演説し,スリランカとして死刑モラトリアムを継続し,また,死刑モラトリアムに関する国連決議を支持する方針を表明した。
同日,サマラウィーラ外相は,ブレンデ外相,サンベルグ漁業大臣,ハットレム国務次官と漁業セクターでの協力を含む二国間関係について協議し,ノルウェーの水産資源及び海洋調査を行うとの申し出を歓迎し,漁業セクターに関する国家政策枠組策定に向けた支援を要請した。
また,サマラウィーラ外相は,ビジネス・フォーラム「イノベーション・ノルウェー」に出席し,ノルウェー企業によるスリランカへの投資を呼びかけた。
(10)サマラウィーラ外相のウクライナ訪問
25日,サマラウィーラ外相はウクライナを訪問。パブロ・クリムキン・ウクライナ外務大臣と協議を行い,政権交代後の現政権の取組を説明。また,二国間の関係強化を促進したい旨を伝えた。そして,犯罪事案に対する相互的司法援助(mutual legal assistance in criminal cases),逃亡犯罪人引渡及び犯罪人引渡の3つの分野で二国間合意を締結させた。
(11)ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣の韓国訪問
ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣が韓国を訪問。カン・ホイン(Kang Ho-in)韓国国土交通大臣と経済協力につき協議を行い,韓国がスリランカの西部州メガポリス開発計画のパートナーになるとの内容の覚書を締結した。
(12)サマラウィーラ外相とラージャパクサ司法相の人権理事会出席
サマラウィーラ外相とラージャパクサ司法相が,人権理事会に出席するためにジュネーブを訪問。
(13)シリセーナ大統領の訪中予定
サマラシンハ技術開発・職業訓練大臣によると,シリセーナ大統領は,習近平国家主席の招待により,近く中国への二度目の公式訪問を予定している由。
(14)モーリシャス沿岸警備艇の親善寄港
2日,モーリシャス沿岸警備艇「CGS バッラクダ号」が印コルカタからモーリシャスに向かう途中に,ハンバントタ港に親善寄港した。同沿岸警備艇は3日にハンバントタ港を出港した。
(15)豪海軍艦船の寄港
19日,豪海軍艦船「HMASパース号」がコロンボ港に親善寄港した。同艦船は23日に出港した。
(16)シンガポールとの覚書締結
東部州トリンコマリー都市計画の策定に向け,国家政策・経済省とシンガポールのSurbana Jurong社との間で,覚書が署名された。同署名式には,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びイシュワラン・シンガポール貿易・産業大臣が立ち会った。
(17)第8回官民合同フォーラムの開催
9日,投資庁(BOI)は,第8回官民合同フォーラムを開催した。BOIは,同フォーラムを通じて在スリランカ日本企業の要請に対処し,彼らを支援する。今回のフォーラムでは,現地職員への給与,税制度の現状,日本企業関係者への査証,電力・道路・インターネット・港湾事情などについて話し合われた。
(18)中国大使による講演
6日,易先良(Yi Xianliang)中国大使は,戦略研究地域センターにて講演し,国連人権理事会により提案された和解メカニズムが新たな対立を引き起こさないよう,スリランカ政府は注意すべき,和解よりも,格差の解消・平等な発展を先行させることで対立を防止できる旨述べた。また同大使は,中国の事業は,中国の戦略的利益を増進するためのものと言われがちだが,我々に他意はない,我々は,自身の事業をスリランカや他国の企業との合弁とすることを望んでいると述べた。その一方で,スリランカが外国からの投資を呼び込みたいなら,政策の一貫性の確保,手続の簡素化,省庁間の権限の重複の解消などに取り組む必要があると述べた。さらに易大使は,開発が優先されれば,対立や紛争は緩和される,仮に中国,インド,パキスタン,スリランカなどの国々で経済同盟を組めば,地域における対立は緩和されるとも述べた。
(19)EUによるスリランカ産魚介類禁輸措置の解除
16日,政府は,EUが課していたスリランカ産魚介類の禁輸措置が解除されたと発表した。EUは, スリランカの違法漁業対策に不備があるとして,2014年10月から本件措置を導入しており,政府が措置の解除に向けてEUと交渉していた。
(20)トルコ・イスタンブール空港爆破事件を受けた弔辞の発表
29日にトルコ・イスタンブールの主要空港,アタチュルク空港で自爆テロが起こったことを受け,シリセーナ大統領が弔辞を発表。テロ防止に向け,国際社会は協力しなければならないとの旨が記されている。
(21)ラージャパクサ前大統領の日本訪問
ラージャパクサ前大統領が7日から21日の間(ママ),22名の同行者とともに日本を訪問した。前大統領の訪日は,ジャガンタ・ヘッティアーラッチ日本友好財団代表兼蘭華寺住職の招待を受けたもの。前大統領は蘭華寺,神戸寺及び大雄院にて宗教行事に参加し,成田ヒルトンホテル及び筑波国際会議場でビジネス会議に出席した。さらに,前大統領は,国会を訪問し,国会議員とも面会した。