当国情勢
平成28年6月1日
2016年5月1日 - 5月31日
1 内政
(1)与野党によるメーデー集会の開催
1日,各党はメーデー集会を開催。
ア 統一国民党(UNP)(コロンボ市内)
ウィクラマシンハ首相・UNP党首は,国営企業を民営化することなく,利益を上げられるように変革していく,2023年までにGDPを二倍にする,コロンボ郊外のペリヤゴダから市内まで高架道路を建設するなどと述べた。また,前政権が政府を借金づけにしたと批判した。プレマダーサ住宅相,フェルナンド通信・デジタルインフラ相,カリヤワサム教育省,カルナナヤケ財務相らも演説した。同集会では,2020年までに公務員の給料を月額1万ルピー引き上げるといった内容の決議が採択された。
イ スリランカ自由党(SLFP)シリセーナ大統領派(南部州ゴール)
シリセーナ大統領・SLFP党首は,年内に公務員の定年を55歳から60歳に引き上げる,民間の最低賃金を13500ルピーに設定する,公務員の給与を月額1万ルピー引き上げる,などと述べた。また,自身の政権が人権問題に取り組んでいるため,各国との関係も改善され,自分は,今月,日本で開催されるG7サミットにも招待されたと述べた。さらに,北部州議会が連邦制の導入を主張していることについて,我々は彼らを批判するのではなく,彼らが連邦制を要求する理由について見なければならないと述べた。
ウ 統一野党(JO)(コロンボ市内)
ラージャパクサ前大統領は,自身の息子や兄弟が逮捕されそうになっているが,自身は逃げることなく人々の権利のために戦う旨述べた。また,現下の連立政権で,SLFPがUNPに支配されているのを見るのは残念であるとも述べた。さらに,現政権は付加価値税(VAT)を増額しようとしていると批判した。なお,SLFP中央委員会の警告にも関わらず,同党のラージャパクサ派の議員のほとんどが統一野党の集会に出席した。
エ 人民解放戦線(JVP)(コロンボ市内)
ディサナヤケJVP党首は,連立政権は政治・経済問題を解決できていない,資本主義自体が破綻しつつあり,我々は社会主義の導入を目指すべきであると述べた。また,JVPは,ラージャパクサ前大統領の政治復帰を決して許さないとも述べた。
オ タミル国民連合(TNA)(ジャフナ)
TNAは,基本的な食料品と教育サービスへのVAT課税に反対する決議を可決した。また,紛争影響地域の復興及び地方への権限委譲を求める決議も可決した。
(2)憲法改正に向けた動き
ア 憲法制定議会による6つの小委員会及び専門家パネルの任命
5日に開催された第2回憲法制定議会は,次の6つの小委員会を任命した。
(ア) 基本的人権に関する小委員会(委員長:サマラシンハ技術開発・職業訓練相)
言語権,市民権,国家政策の原則などに関わる問題を扱う。
(イ) 司法に関する小委員会(委員長:ハキーム都市計画・上水相)
(ウ) 財政に関する小委員会(委員長:バンダラ・グナワルダナ元教育相)
中央と地方の財政,国営企業,中央銀行などに関わる問題を扱う。
(エ) 治安に関する小委員会(委員長:ラトナヤケ南部開発・治安相)
(オ) 行政サービスに関する小委員会(委員長:プレマジャヤンタ科学・技術・研究相)
(カ) 中央・地方関係に関する小委員会(委員長:シタドゥタン・タミル国家連合(TNA)議員)
このほか法律の専門家からなる専門家パネルも任命された。
イ 憲法制定議会運営委員会の開催
19日,本件運営委員会(委員長:ウィクラマシンハ首相)は,新憲法案にかかる意見受付を5月31日まで延長することにした。国民代表委員会(委員長:ウィジェナヤケ弁護士)に意見を提出できなかった政党や専門機関は,同日まで,運営委員会に直接意見を提出できる。また,分野ごとに設置された6つの小委員会は7月31までに報告書を運営委員会に提出することとされた。
(3)VATの引き上げ
政府は2日から, VATを11%から15%に引き上げるとともに,課税対象を拡大し,通信サービスや民間保健サービスなどへの課税も開始した。加えて,電気,通信サービスへの国家建設税(NBT)の課税も開始された。
(4)中国による大規模融資事業促進委員会の活動
先月のウィクラマシンハ首相の訪中後に設置された,中国による大規模融資事業促進委員会は,最近,来訪した中国側関係者と実りのある協議を行った。同委員会メンバーのサマラウィクラマ開発戦略・国際貿易相がサンデーオブザーバー紙に語った。同委員会は,サマラウィクラマ大臣に加え,アムヌガマ特別事業相及びパスカラリンガム首相顧問がメンバーとなっている。
(5)5千5百万ルピーの小規模補正予算案の可決
5日の小規模補正予算案の投票結果について野党から異論が出たことを受けて設置された調査委員会は,17日,ジャヤスーリヤ議長に対し,同投票時の集計に誤りがあった旨報告した。これを受けて,20日,国会本会議で,同予算案の投票がやり直されたところ,結局,野党不在のまま,全会一致で可決された。
(6)ラージャパクサ前大統領の警備体制の変更
2日,ラージャパクサ前大統領の事務所は,同前大統領の警護にあたっていた50名の軍出身護衛官が解任され,代わりに50名の警察出身護衛官が配備されたが,警察出身の護衛官らの練度は低く,また,同前大統領はLTTEの残党から命をねらわれているため,政府に軍出身警護官を復帰させるように求める内容の声明を発出。3日,同件を巡り,国会において与野党議員の衝突事案が発生。テワラッペルマ内務副大臣及びラナウィーラ・スリランカ自由党(SLFP)議員とサンディート・サマラシンハ統一国民党(UNP)議員が殴り合いを始め,サマラシンハ議員が負傷し,病院に搬送された。こうした事態を受け,ジャヤスーリヤ国会議長は議場内での暴力を非難するとともに,本件衝突事案の事実関係を調査するため,スマティパーラ副議長ほかからなる委員会を設置。6日,同委員会の調査結果を受けて,国会は,テワラッペルマ内務副大臣及びラナウィーラSLFP議員を1週間の出席停止とする旨の動議を全会一致で可決した。
(7)違法に所持されている武器の買い取り
9日,軍広報担当官は,4月25日から5月6日の間に違法に所持している武器の返却奨励期間が設けられた結果,400丁以上の武器が返却されたと発表した。一番多くの武器が返却された地域は西部州ガンパハ県であった由。同期間内に違法に所持している武器を返却した者は罪に問われないだけでなく,銃一丁に対し5千ルピー,ピストルや回転式拳銃一丁に対し1万ルピー,また,T-56ライフル一丁に対し2万5千ルピーが支給されていた。
(8)各地での大雨被害
東部州沿岸に発達した低気圧の影響で,15日,全国で大雨となり,各地で浸水被害が発生。21日夜までに,死亡者73名,行方不明者127名,被災者37万5604人,全壊家屋474軒,半壊家屋3674件の被害が出た。最も被害の大きかった西部州では,コロンボ北部のケラニ川の氾濫などにより32万1350人が被災。
2 ラージャパクサ前大統領一族の汚職追及
(1)PRECIFACがゴタバヤ前国防次官を召喚
ゴタバヤ前国防次官が,9日,大統領汚職捜査委員会(PRECIFAC)に召喚され,バシル元経済開発相の息子の使用人として2名の海軍関係者を米国に外交旅券を与えて渡米させた件,及びラージャパクサ前大統領の護衛として179名の軍関係者を配置した件で供述を行った。
(2)ナマル・ラージャパクサ議員の汚職追及
ア PRECIFACがナマル・ラージャパクサ議員を召喚
10日,PRECIFACはラージャパクサ前大統領の長男であるナマル・ラージャパクサ議員が,スリランカ空軍の飛行機を私的に使用したとして同議員を召喚し,調書を取った。同日,警察財務犯罪捜査局(FCID)が,次男のヨシータ・ラージャパクサ海軍大尉をTVチャンネルのカールトン・スポーツ・ネットワーク(CSN)の汚職に関与していた容疑で召喚し,調書を取った。
イ FCIDがナマル・ラージャパクサ議員を召喚
ナマル・ラージャパクサ議員が23日,インド企業へのコロンボ市内の土地売却に関連した汚職嫌疑につき,警察財務犯罪捜査局(FCID)により召喚され,聴取を受けた。
(3)バシル元経済開発相の汚職追求
ア バシル元経済開発相の逮捕
12日,バシル元経済開発相が南部州マータラ県で土地を購入した際の資金の出どころを説明できなかったため,FCIDに逮捕されたが,同日,5万ルピーの保釈金を支払い,保釈された。
イ バシル・ラージャパクサ前経済開発相に対する訴追
ジャヤスーリヤ検事総長は,検察庁は,FCIDの捜査結果に基づき,バシル前経済開発相を起訴した旨述べた。同前経済開発相には,ディヴィネグマ農村開発事業の予算から29億9千2百万ルピーを不正に流用した容疑がかけられている。
(4)ローヒタ・アベイグナワルダナ元ハイウェー・港湾・船舶閣外大臣の保釈
前政権下の2年2ヶ月の間に4千120万ルピーもの資金をどう貯蓄したのかを説明できなかった件で起訴,拘留されていたローヒタ・アベイグナワルダナ元ハイウェー・港湾・船舶閣外大臣が24日に保釈された。次回公判が6月29日に予定されている。
(5)ラグビー選手殺害事件を巡る動き
2012年に交通事故で死亡したとされたが,再検死の結果殺害されていたことが判明したラグビー選手・タジュディーン氏の事件に関し,同選手の殺害に関する証拠を隠匿したとして,アヌラ・セナナヤケ元西部州方面担当上級副長官が23日,逮捕され,26日まで拘留されることが決定した。
3 国民和解
(1)失踪者局の設置
閣議は25日,失踪者局の設置を承認した。失踪者局は政府が取り組んでいる和解への4層メカニズムの一つであり,同局設置に向けた法案が近々国会に提出される予定。同局委員及び職員は憲法委員会の助言に基づき大統領により任命される。また,同局内には被害者・証人保護ユニットも設置されるほか,被害者への行政的,法的及び社会心理的支援へのアクセスも提供する。これに関し,政府は大統領失踪者調査委員会(通称パラナガマ委員会)に対し,これまで同委員会が集めた失踪者家族の申し立てを7月15日までに失踪者局に提出することを指示。これらの申し立てが失踪者局に提出された暁には大統領失踪者調査委員会は解散される。
(2)内戦終結記念日における戦勝パレードの取りやめ
ア 16日,ヘッティアーラッチ国防次官は,記者会見で,18日の内戦終結記念日には,戦勝パレードは実施しない,この決定は,全民族による和解を達成するという長期的な観点からなされた旨述べた。同次官は,18日には,国会議事堂に隣接する戦没兵士記念碑前での記念行事及び独立記念広場での「和解に向けた歩み」と題する文化行事のみが開催される旨述べた。また同次官は,なぜ政府は戦勝パレードを実施しないのかとの問いに対し,そのようなパレードは特定の民族の感情を傷つけ,政府が達成しようとしている民族和解の障害となるからであると答えた。翌17日,スマンティラン・タミル国民連合(TNA)議員は,戦勝パレードの取りやめは,和解プロセスに資する,内戦終結記念日には,兵士のみならず全ての戦没者を弔うべきではないかと述べた。また,ウィッティング加高等弁務官は,戦勝パレードを取りやめ,和解に焦点をあてる政府の方針を賞賛する声明を発出した。
イ 18日,シリセーナ大統領は,戦没兵士記念式典で演説し,戦争の功労者であるフォンセーカ元陸軍参謀長を逮捕・拘留した前政権関係者らが,現政権は戦争の英雄達を逮捕・拘留しようとしているなどと申し立てているが,これは誤りである,政府は,国のために犠牲を払った戦没兵士らを追悼し,遺族の福祉にコミットしている,その一方で,現政権は,紛争の再発を防止するため,和解に取組む使命がある旨述べた。
(3)再定住支援
スリランカ政府は,北部州・東部州での国内避難民(IDP)などの再定住に向け,計140億ルピーの予算を割り当てた。同予算を用いて,再定住省はIDPに計9,000軒の家屋を,インドからの帰還難民に計630軒の家屋を,また,内戦影響地域の住民に計400軒の家屋の建設を予定している。
(4)テロ防止法に基づく逮捕にかかる指令
スリランカ人権委員会は28日,テロ防止法(PTA)の下でテロ容疑者を逮捕する際の新たな指令(directive)を発表した。同指令は,PTAに基づき容疑者が逮捕される場合,同容
4 外交
(1)シリセーナ大統領の英国訪問
シリセーナ大統領は11日~13日,英国で開催される反汚職サミットに出席するために英国を訪問。12日,キャメロン英首相と二国間関係強化に向けて協議を行い,キャメロン首相はスリランカの汚職に対処し,グッドガバナンスを追求する現政権の取り組みを評価した。同日,シリセーナ大統領は反汚職サミットで演説し,現政権は,民主主義,良い統治及び法による統治という政策が支持されて当選したのであるから,汚職撲滅は最優先事項と捉えている,自身は就任後,汚職対策事務局や汚職調査委員会を設置した,情報公開法は国会に提出され,国家監査法案も近く国会に提出される,財務犯罪捜査部(FCID)も設置された,などと述べた。
(2)シリセーナ大統領によるインド訪問
13日,シリセーナ大統領はロンドンからニューデリーに到着し,シン国防担当国務相ほかの出迎えを受けた。同日,シリセーナ大統領はモディ首相と会談した。同会談においてモディ首相は,スリランカの和解に向けた取組への支援を確約した。また双方は,インド政府の支援でスリランカに製薬投資ゾーンを設置することについて協議した。そのほか経済,商業,文化交流強化にも焦点があてられた。両国共有の経済特区を設置することにも話が及んだ。両首脳による会談は,これが6回目となる。また会談後にはモディ首相がシリセーナ大統領を主賓とした夕食会を開催した。14日,シリセーナ大統領は,モディ首相やサンパンタンTNA議員団長とともにマッデャ・プラデシュ州ウジャインでのヒンドゥー教の祭典に出席したほか,ジャヤスーリヤ国会議長とともに同州のサーンチでの,インドでの仏教復興に尽くしたスリランカ仏教徒ダルマパーラ師の胸像除幕式に出席したのち,同日夜,帰国した。
(3)クマーラトゥンガ元大統領とパワー米国連大使との会談
国連総会の平和と安全保障に関するハイレベル討論会に出席するため,NYを訪問したクマーラトゥンガ元大統領・国民和解局(ONUR)局長及びティッタウェッラ和解メカニズム調整事務局長は,11日,パワー大使と会談した。米国連代表部によれば,双方は,ONURの活動計画や国民和解について協議した由。また,パワー大使は,紛争中の人権侵害に関する裁判を可能な限り早期に実施するよう,またそのためのメカニズム設置に際しては人々の意見を取り込むように促した。さらに双方は,平和の配当を国民に行き渡らせることが喫緊の課題であり,両国がスリランカ経済の発展に向けて努力することで一致した。
(4)ジャヤスーリヤ国会議長のミャンマー訪問
ミャンマーを公式訪問したジャヤスーリヤ国会議長は12日,アウンサン・スーチー・ミャンマー国家最高顧問兼外相と2国間関係強化に向けた協議を行った。
(5)アムヌガマ特別事業大臣の独訪問
シリセーナ大統領の代理として,アムヌガマ特別事業大臣が署名な会計監査会社であるKPMG主催のセミナーに参加するため,独を訪問した。同セミナーは第49回アジア開発銀行年次総会のサイド・イベントとして行われる。
(6)独外交団の来訪
ウウェ・ベックメイヤー独経済・エネルギー省国務次官が率いる代表団が15日~17日にスリランカを訪問。同一行には,独ビジネス関係者が同行。ベックメイヤー国務次官は,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相及びサマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣,ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣及びデシルバ外務副大臣と協議を行った。
(7)シリセーナ大統領の訪日
シリセーナ大統領がG7サミット出席のために,26日~28日,日本を訪問。石毛JETRO理事長や中部隆・尾道造船代表取締役社長と協議を行った。また,安倍総理大臣ともバイ協議を行い,安倍総理は,500億ルピー相当の支援を約束した。
(8)パラナヴィタナ国会改革・メディア副大臣の韓国訪問
22日,パラナヴィタナ国会改革・メディア副大臣が韓国インチョンで開催される世界情報・コミュニケーション・報道に関する閣僚会議(World Information, Communication and Broadcasting ministerial meeting)に出席するため,韓国を訪問した。
(9)世界銀行一行の来訪
世界銀行の理事9名が5日間,スリランカを訪れ,アヌラーダプラ県,ジャフナ県,及びキャンディー県を訪問した。一行はまた,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,カルナナヤケ財務大臣を表敬した。
(10)自衛隊艦船による寄港
11日,2隻の自衛隊艦船がコロンボ港に親善寄港し,14日に出港した。
(11)国連特別報告者による記者会見
7日,当地を訪問したメンディス「拷問問題」特別報告者及びピント「裁判官・弁護士の独立」特別報告者が記者会見を行った。メンディス報告者は,拷問の件数は紛争中よりも減ってきているものの,引き続き,警察の取調べの手段として頻繁に行われているほか,テロ対策法(PTA)の存在などにより,拷問を行った警察官が処罰されない傾向が続いている旨指摘。また同報告者は,逮捕された時に容疑者は弁護士と接見する権利を有していることを周知されるべきであり,警察の調書作成後に弁護士との接見が許されても,適切な手続きとは言えない旨述べた。さらに,PTAは廃止されるべきであり,またその代替法案については透明性を持って議論されるべき旨指摘した。
ピント報告者は,新憲法起草プロセスを通じて司法改革を実施し,裁判手続きを簡素化し,判決が迅速に出るようにすべき旨述べた。また両報告者とも,拷問,証人保護,逮捕,刑事訴訟手続きに関する法律を抜本的に見直すべき旨強調した。
ウ 両報告者は,サマラウィーラ外相,ラージャパクサ司法相,ラトナヤケ治安相,バンダーラ女性・児童相,スリパヴァン最高裁長官,ジャヤスーリヤ検事総長,人権委員会メンバーなどと面会したほか,警察テロ捜査部(TID)のブーサ留置所,ポーントタム元LTTE兵士リハビリセンター,トリンコマリー海軍基地,コロンボの警察犯罪捜査部(CID)及びTID本部などを訪問した。
(12)アジア開発銀行の支援決定
アジア開発銀行は,スリランカのインフラ開発のために,30億ドル相当の融資を行う旨決定した。また,別途,中小企業の開発に向けた計2億ドルの融資も行われる。
(13)アジア・インフラ・投資銀行(AIIB)加盟にかかる国会批准
19日,国会は,AIIBの資本金の2.3%を負担することも含めてスリランカによるAIIB加盟を承認した。政府はAIIB加盟批准法案を国会に提出していた。同法案の審議においてカルナナヤケ財務相は,政府は6月以降,AIIBから,10億ドルの融資を受けることができるようになる,一方で,日本も財政支援を約束してくれている旨述べた。
(14)世界銀行の支援
31日,世界銀行は,スリランカに対し,ジャフナ県の都市居住環境整備のために,5500万ドルの融資を行う旨決定した。世銀は,2014年から,戦略的都市開発計画の下,南部州ゴール県と中央州キャンディー県の都市開発を支援していたが,今回,同計画にジャフナ県も含まれることになった。
(15)国連によるヴェサックの公式休日としての承認
本年のヴェサック(釈迦が誕生・開悟・入滅した日)は,国連が同日を公式な休日(opitional holiday)と認定してから最初のヴェサックとなり,20日,国連本部でスリランカとタイが共同議長を努める中,特別会合が開催された。同会合には日本やミャンマー,ラオス,カンボジア,ベトナム,インド,バングラデシュ,ロシア,インドネシア,ブータン,ネパールの代表が参加した。同会合でペレーラ・スリランカ国連代大使は,16年前,カディルガマル外相(当時)がヴェサックを国連の公式な休日とするようイニシアティブを取ったのが始まりであった,国際社会が直面するテロや過激主義の問題への解決の鍵は,「憎しみは憎しみによって止まず,ただ愛によって止む」という仏陀の言葉にあると考える旨挨拶した。
(16)同性愛者などへの差別に反対する日にちなんだEUの声明
16日,当地EU代表部は,新憲法起草という歴史的な機会を捉えて,同性愛などを罪と規定する現行刑法第365条及び第365条Aを撤廃するよう促す声明を発出した。EU代表部は,同性愛者などへの差別に反対する日にちなんで,当地EU加盟国及びノルウェー,スイス,カナダ,豪州大使館の賛同を得つつ,同声明を発出した。
(17)旅券発行拒否措置の撤廃
前政権下では,政治亡命して海外に居住するスリランカ人国民に対し,旅券発行を拒否する措置が取られていたが,1日,同措置の撤廃が発表された。
(18)ラージャパクサ前大統領の外遊
ア ラージャパクサ前大統領のウガンダ訪問
ラージャパクサ前大統領は10日,ヨウエリ・ムセベニ・ウガンダ大統領の大統領再選式典に参加するために,ウガンダに向けて出発した。約一週間の滞在が予定されている。
イ ラージャパクサ前大統領の訪日予定
ウィーラワンサ統一野党議員によると,ラージャパクサ前大統領が6月9日に東京に向けて出発する予定。同前大統領の2015年大統領選挙以降の外遊はこれで3度目。
(1)与野党によるメーデー集会の開催
1日,各党はメーデー集会を開催。
ア 統一国民党(UNP)(コロンボ市内)
ウィクラマシンハ首相・UNP党首は,国営企業を民営化することなく,利益を上げられるように変革していく,2023年までにGDPを二倍にする,コロンボ郊外のペリヤゴダから市内まで高架道路を建設するなどと述べた。また,前政権が政府を借金づけにしたと批判した。プレマダーサ住宅相,フェルナンド通信・デジタルインフラ相,カリヤワサム教育省,カルナナヤケ財務相らも演説した。同集会では,2020年までに公務員の給料を月額1万ルピー引き上げるといった内容の決議が採択された。
イ スリランカ自由党(SLFP)シリセーナ大統領派(南部州ゴール)
シリセーナ大統領・SLFP党首は,年内に公務員の定年を55歳から60歳に引き上げる,民間の最低賃金を13500ルピーに設定する,公務員の給与を月額1万ルピー引き上げる,などと述べた。また,自身の政権が人権問題に取り組んでいるため,各国との関係も改善され,自分は,今月,日本で開催されるG7サミットにも招待されたと述べた。さらに,北部州議会が連邦制の導入を主張していることについて,我々は彼らを批判するのではなく,彼らが連邦制を要求する理由について見なければならないと述べた。
ウ 統一野党(JO)(コロンボ市内)
ラージャパクサ前大統領は,自身の息子や兄弟が逮捕されそうになっているが,自身は逃げることなく人々の権利のために戦う旨述べた。また,現下の連立政権で,SLFPがUNPに支配されているのを見るのは残念であるとも述べた。さらに,現政権は付加価値税(VAT)を増額しようとしていると批判した。なお,SLFP中央委員会の警告にも関わらず,同党のラージャパクサ派の議員のほとんどが統一野党の集会に出席した。
エ 人民解放戦線(JVP)(コロンボ市内)
ディサナヤケJVP党首は,連立政権は政治・経済問題を解決できていない,資本主義自体が破綻しつつあり,我々は社会主義の導入を目指すべきであると述べた。また,JVPは,ラージャパクサ前大統領の政治復帰を決して許さないとも述べた。
オ タミル国民連合(TNA)(ジャフナ)
TNAは,基本的な食料品と教育サービスへのVAT課税に反対する決議を可決した。また,紛争影響地域の復興及び地方への権限委譲を求める決議も可決した。
(2)憲法改正に向けた動き
ア 憲法制定議会による6つの小委員会及び専門家パネルの任命
5日に開催された第2回憲法制定議会は,次の6つの小委員会を任命した。
(ア) 基本的人権に関する小委員会(委員長:サマラシンハ技術開発・職業訓練相)
言語権,市民権,国家政策の原則などに関わる問題を扱う。
(イ) 司法に関する小委員会(委員長:ハキーム都市計画・上水相)
(ウ) 財政に関する小委員会(委員長:バンダラ・グナワルダナ元教育相)
中央と地方の財政,国営企業,中央銀行などに関わる問題を扱う。
(エ) 治安に関する小委員会(委員長:ラトナヤケ南部開発・治安相)
(オ) 行政サービスに関する小委員会(委員長:プレマジャヤンタ科学・技術・研究相)
(カ) 中央・地方関係に関する小委員会(委員長:シタドゥタン・タミル国家連合(TNA)議員)
このほか法律の専門家からなる専門家パネルも任命された。
イ 憲法制定議会運営委員会の開催
19日,本件運営委員会(委員長:ウィクラマシンハ首相)は,新憲法案にかかる意見受付を5月31日まで延長することにした。国民代表委員会(委員長:ウィジェナヤケ弁護士)に意見を提出できなかった政党や専門機関は,同日まで,運営委員会に直接意見を提出できる。また,分野ごとに設置された6つの小委員会は7月31までに報告書を運営委員会に提出することとされた。
(3)VATの引き上げ
政府は2日から, VATを11%から15%に引き上げるとともに,課税対象を拡大し,通信サービスや民間保健サービスなどへの課税も開始した。加えて,電気,通信サービスへの国家建設税(NBT)の課税も開始された。
(4)中国による大規模融資事業促進委員会の活動
先月のウィクラマシンハ首相の訪中後に設置された,中国による大規模融資事業促進委員会は,最近,来訪した中国側関係者と実りのある協議を行った。同委員会メンバーのサマラウィクラマ開発戦略・国際貿易相がサンデーオブザーバー紙に語った。同委員会は,サマラウィクラマ大臣に加え,アムヌガマ特別事業相及びパスカラリンガム首相顧問がメンバーとなっている。
(5)5千5百万ルピーの小規模補正予算案の可決
5日の小規模補正予算案の投票結果について野党から異論が出たことを受けて設置された調査委員会は,17日,ジャヤスーリヤ議長に対し,同投票時の集計に誤りがあった旨報告した。これを受けて,20日,国会本会議で,同予算案の投票がやり直されたところ,結局,野党不在のまま,全会一致で可決された。
(6)ラージャパクサ前大統領の警備体制の変更
2日,ラージャパクサ前大統領の事務所は,同前大統領の警護にあたっていた50名の軍出身護衛官が解任され,代わりに50名の警察出身護衛官が配備されたが,警察出身の護衛官らの練度は低く,また,同前大統領はLTTEの残党から命をねらわれているため,政府に軍出身警護官を復帰させるように求める内容の声明を発出。3日,同件を巡り,国会において与野党議員の衝突事案が発生。テワラッペルマ内務副大臣及びラナウィーラ・スリランカ自由党(SLFP)議員とサンディート・サマラシンハ統一国民党(UNP)議員が殴り合いを始め,サマラシンハ議員が負傷し,病院に搬送された。こうした事態を受け,ジャヤスーリヤ国会議長は議場内での暴力を非難するとともに,本件衝突事案の事実関係を調査するため,スマティパーラ副議長ほかからなる委員会を設置。6日,同委員会の調査結果を受けて,国会は,テワラッペルマ内務副大臣及びラナウィーラSLFP議員を1週間の出席停止とする旨の動議を全会一致で可決した。
(7)違法に所持されている武器の買い取り
9日,軍広報担当官は,4月25日から5月6日の間に違法に所持している武器の返却奨励期間が設けられた結果,400丁以上の武器が返却されたと発表した。一番多くの武器が返却された地域は西部州ガンパハ県であった由。同期間内に違法に所持している武器を返却した者は罪に問われないだけでなく,銃一丁に対し5千ルピー,ピストルや回転式拳銃一丁に対し1万ルピー,また,T-56ライフル一丁に対し2万5千ルピーが支給されていた。
(8)各地での大雨被害
東部州沿岸に発達した低気圧の影響で,15日,全国で大雨となり,各地で浸水被害が発生。21日夜までに,死亡者73名,行方不明者127名,被災者37万5604人,全壊家屋474軒,半壊家屋3674件の被害が出た。最も被害の大きかった西部州では,コロンボ北部のケラニ川の氾濫などにより32万1350人が被災。
2 ラージャパクサ前大統領一族の汚職追及
(1)PRECIFACがゴタバヤ前国防次官を召喚
ゴタバヤ前国防次官が,9日,大統領汚職捜査委員会(PRECIFAC)に召喚され,バシル元経済開発相の息子の使用人として2名の海軍関係者を米国に外交旅券を与えて渡米させた件,及びラージャパクサ前大統領の護衛として179名の軍関係者を配置した件で供述を行った。
(2)ナマル・ラージャパクサ議員の汚職追及
ア PRECIFACがナマル・ラージャパクサ議員を召喚
10日,PRECIFACはラージャパクサ前大統領の長男であるナマル・ラージャパクサ議員が,スリランカ空軍の飛行機を私的に使用したとして同議員を召喚し,調書を取った。同日,警察財務犯罪捜査局(FCID)が,次男のヨシータ・ラージャパクサ海軍大尉をTVチャンネルのカールトン・スポーツ・ネットワーク(CSN)の汚職に関与していた容疑で召喚し,調書を取った。
イ FCIDがナマル・ラージャパクサ議員を召喚
ナマル・ラージャパクサ議員が23日,インド企業へのコロンボ市内の土地売却に関連した汚職嫌疑につき,警察財務犯罪捜査局(FCID)により召喚され,聴取を受けた。
(3)バシル元経済開発相の汚職追求
ア バシル元経済開発相の逮捕
12日,バシル元経済開発相が南部州マータラ県で土地を購入した際の資金の出どころを説明できなかったため,FCIDに逮捕されたが,同日,5万ルピーの保釈金を支払い,保釈された。
イ バシル・ラージャパクサ前経済開発相に対する訴追
ジャヤスーリヤ検事総長は,検察庁は,FCIDの捜査結果に基づき,バシル前経済開発相を起訴した旨述べた。同前経済開発相には,ディヴィネグマ農村開発事業の予算から29億9千2百万ルピーを不正に流用した容疑がかけられている。
(4)ローヒタ・アベイグナワルダナ元ハイウェー・港湾・船舶閣外大臣の保釈
前政権下の2年2ヶ月の間に4千120万ルピーもの資金をどう貯蓄したのかを説明できなかった件で起訴,拘留されていたローヒタ・アベイグナワルダナ元ハイウェー・港湾・船舶閣外大臣が24日に保釈された。次回公判が6月29日に予定されている。
(5)ラグビー選手殺害事件を巡る動き
2012年に交通事故で死亡したとされたが,再検死の結果殺害されていたことが判明したラグビー選手・タジュディーン氏の事件に関し,同選手の殺害に関する証拠を隠匿したとして,アヌラ・セナナヤケ元西部州方面担当上級副長官が23日,逮捕され,26日まで拘留されることが決定した。
3 国民和解
(1)失踪者局の設置
閣議は25日,失踪者局の設置を承認した。失踪者局は政府が取り組んでいる和解への4層メカニズムの一つであり,同局設置に向けた法案が近々国会に提出される予定。同局委員及び職員は憲法委員会の助言に基づき大統領により任命される。また,同局内には被害者・証人保護ユニットも設置されるほか,被害者への行政的,法的及び社会心理的支援へのアクセスも提供する。これに関し,政府は大統領失踪者調査委員会(通称パラナガマ委員会)に対し,これまで同委員会が集めた失踪者家族の申し立てを7月15日までに失踪者局に提出することを指示。これらの申し立てが失踪者局に提出された暁には大統領失踪者調査委員会は解散される。
(2)内戦終結記念日における戦勝パレードの取りやめ
ア 16日,ヘッティアーラッチ国防次官は,記者会見で,18日の内戦終結記念日には,戦勝パレードは実施しない,この決定は,全民族による和解を達成するという長期的な観点からなされた旨述べた。同次官は,18日には,国会議事堂に隣接する戦没兵士記念碑前での記念行事及び独立記念広場での「和解に向けた歩み」と題する文化行事のみが開催される旨述べた。また同次官は,なぜ政府は戦勝パレードを実施しないのかとの問いに対し,そのようなパレードは特定の民族の感情を傷つけ,政府が達成しようとしている民族和解の障害となるからであると答えた。翌17日,スマンティラン・タミル国民連合(TNA)議員は,戦勝パレードの取りやめは,和解プロセスに資する,内戦終結記念日には,兵士のみならず全ての戦没者を弔うべきではないかと述べた。また,ウィッティング加高等弁務官は,戦勝パレードを取りやめ,和解に焦点をあてる政府の方針を賞賛する声明を発出した。
イ 18日,シリセーナ大統領は,戦没兵士記念式典で演説し,戦争の功労者であるフォンセーカ元陸軍参謀長を逮捕・拘留した前政権関係者らが,現政権は戦争の英雄達を逮捕・拘留しようとしているなどと申し立てているが,これは誤りである,政府は,国のために犠牲を払った戦没兵士らを追悼し,遺族の福祉にコミットしている,その一方で,現政権は,紛争の再発を防止するため,和解に取組む使命がある旨述べた。
(3)再定住支援
スリランカ政府は,北部州・東部州での国内避難民(IDP)などの再定住に向け,計140億ルピーの予算を割り当てた。同予算を用いて,再定住省はIDPに計9,000軒の家屋を,インドからの帰還難民に計630軒の家屋を,また,内戦影響地域の住民に計400軒の家屋の建設を予定している。
(4)テロ防止法に基づく逮捕にかかる指令
スリランカ人権委員会は28日,テロ防止法(PTA)の下でテロ容疑者を逮捕する際の新たな指令(directive)を発表した。同指令は,PTAに基づき容疑者が逮捕される場合,同容
4 外交
(1)シリセーナ大統領の英国訪問
シリセーナ大統領は11日~13日,英国で開催される反汚職サミットに出席するために英国を訪問。12日,キャメロン英首相と二国間関係強化に向けて協議を行い,キャメロン首相はスリランカの汚職に対処し,グッドガバナンスを追求する現政権の取り組みを評価した。同日,シリセーナ大統領は反汚職サミットで演説し,現政権は,民主主義,良い統治及び法による統治という政策が支持されて当選したのであるから,汚職撲滅は最優先事項と捉えている,自身は就任後,汚職対策事務局や汚職調査委員会を設置した,情報公開法は国会に提出され,国家監査法案も近く国会に提出される,財務犯罪捜査部(FCID)も設置された,などと述べた。
(2)シリセーナ大統領によるインド訪問
13日,シリセーナ大統領はロンドンからニューデリーに到着し,シン国防担当国務相ほかの出迎えを受けた。同日,シリセーナ大統領はモディ首相と会談した。同会談においてモディ首相は,スリランカの和解に向けた取組への支援を確約した。また双方は,インド政府の支援でスリランカに製薬投資ゾーンを設置することについて協議した。そのほか経済,商業,文化交流強化にも焦点があてられた。両国共有の経済特区を設置することにも話が及んだ。両首脳による会談は,これが6回目となる。また会談後にはモディ首相がシリセーナ大統領を主賓とした夕食会を開催した。14日,シリセーナ大統領は,モディ首相やサンパンタンTNA議員団長とともにマッデャ・プラデシュ州ウジャインでのヒンドゥー教の祭典に出席したほか,ジャヤスーリヤ国会議長とともに同州のサーンチでの,インドでの仏教復興に尽くしたスリランカ仏教徒ダルマパーラ師の胸像除幕式に出席したのち,同日夜,帰国した。
(3)クマーラトゥンガ元大統領とパワー米国連大使との会談
国連総会の平和と安全保障に関するハイレベル討論会に出席するため,NYを訪問したクマーラトゥンガ元大統領・国民和解局(ONUR)局長及びティッタウェッラ和解メカニズム調整事務局長は,11日,パワー大使と会談した。米国連代表部によれば,双方は,ONURの活動計画や国民和解について協議した由。また,パワー大使は,紛争中の人権侵害に関する裁判を可能な限り早期に実施するよう,またそのためのメカニズム設置に際しては人々の意見を取り込むように促した。さらに双方は,平和の配当を国民に行き渡らせることが喫緊の課題であり,両国がスリランカ経済の発展に向けて努力することで一致した。
(4)ジャヤスーリヤ国会議長のミャンマー訪問
ミャンマーを公式訪問したジャヤスーリヤ国会議長は12日,アウンサン・スーチー・ミャンマー国家最高顧問兼外相と2国間関係強化に向けた協議を行った。
(5)アムヌガマ特別事業大臣の独訪問
シリセーナ大統領の代理として,アムヌガマ特別事業大臣が署名な会計監査会社であるKPMG主催のセミナーに参加するため,独を訪問した。同セミナーは第49回アジア開発銀行年次総会のサイド・イベントとして行われる。
(6)独外交団の来訪
ウウェ・ベックメイヤー独経済・エネルギー省国務次官が率いる代表団が15日~17日にスリランカを訪問。同一行には,独ビジネス関係者が同行。ベックメイヤー国務次官は,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相及びサマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣,ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣及びデシルバ外務副大臣と協議を行った。
(7)シリセーナ大統領の訪日
シリセーナ大統領がG7サミット出席のために,26日~28日,日本を訪問。石毛JETRO理事長や中部隆・尾道造船代表取締役社長と協議を行った。また,安倍総理大臣ともバイ協議を行い,安倍総理は,500億ルピー相当の支援を約束した。
(8)パラナヴィタナ国会改革・メディア副大臣の韓国訪問
22日,パラナヴィタナ国会改革・メディア副大臣が韓国インチョンで開催される世界情報・コミュニケーション・報道に関する閣僚会議(World Information, Communication and Broadcasting ministerial meeting)に出席するため,韓国を訪問した。
(9)世界銀行一行の来訪
世界銀行の理事9名が5日間,スリランカを訪れ,アヌラーダプラ県,ジャフナ県,及びキャンディー県を訪問した。一行はまた,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,カルナナヤケ財務大臣を表敬した。
(10)自衛隊艦船による寄港
11日,2隻の自衛隊艦船がコロンボ港に親善寄港し,14日に出港した。
(11)国連特別報告者による記者会見
7日,当地を訪問したメンディス「拷問問題」特別報告者及びピント「裁判官・弁護士の独立」特別報告者が記者会見を行った。メンディス報告者は,拷問の件数は紛争中よりも減ってきているものの,引き続き,警察の取調べの手段として頻繁に行われているほか,テロ対策法(PTA)の存在などにより,拷問を行った警察官が処罰されない傾向が続いている旨指摘。また同報告者は,逮捕された時に容疑者は弁護士と接見する権利を有していることを周知されるべきであり,警察の調書作成後に弁護士との接見が許されても,適切な手続きとは言えない旨述べた。さらに,PTAは廃止されるべきであり,またその代替法案については透明性を持って議論されるべき旨指摘した。
ピント報告者は,新憲法起草プロセスを通じて司法改革を実施し,裁判手続きを簡素化し,判決が迅速に出るようにすべき旨述べた。また両報告者とも,拷問,証人保護,逮捕,刑事訴訟手続きに関する法律を抜本的に見直すべき旨強調した。
ウ 両報告者は,サマラウィーラ外相,ラージャパクサ司法相,ラトナヤケ治安相,バンダーラ女性・児童相,スリパヴァン最高裁長官,ジャヤスーリヤ検事総長,人権委員会メンバーなどと面会したほか,警察テロ捜査部(TID)のブーサ留置所,ポーントタム元LTTE兵士リハビリセンター,トリンコマリー海軍基地,コロンボの警察犯罪捜査部(CID)及びTID本部などを訪問した。
(12)アジア開発銀行の支援決定
アジア開発銀行は,スリランカのインフラ開発のために,30億ドル相当の融資を行う旨決定した。また,別途,中小企業の開発に向けた計2億ドルの融資も行われる。
(13)アジア・インフラ・投資銀行(AIIB)加盟にかかる国会批准
19日,国会は,AIIBの資本金の2.3%を負担することも含めてスリランカによるAIIB加盟を承認した。政府はAIIB加盟批准法案を国会に提出していた。同法案の審議においてカルナナヤケ財務相は,政府は6月以降,AIIBから,10億ドルの融資を受けることができるようになる,一方で,日本も財政支援を約束してくれている旨述べた。
(14)世界銀行の支援
31日,世界銀行は,スリランカに対し,ジャフナ県の都市居住環境整備のために,5500万ドルの融資を行う旨決定した。世銀は,2014年から,戦略的都市開発計画の下,南部州ゴール県と中央州キャンディー県の都市開発を支援していたが,今回,同計画にジャフナ県も含まれることになった。
(15)国連によるヴェサックの公式休日としての承認
本年のヴェサック(釈迦が誕生・開悟・入滅した日)は,国連が同日を公式な休日(opitional holiday)と認定してから最初のヴェサックとなり,20日,国連本部でスリランカとタイが共同議長を努める中,特別会合が開催された。同会合には日本やミャンマー,ラオス,カンボジア,ベトナム,インド,バングラデシュ,ロシア,インドネシア,ブータン,ネパールの代表が参加した。同会合でペレーラ・スリランカ国連代大使は,16年前,カディルガマル外相(当時)がヴェサックを国連の公式な休日とするようイニシアティブを取ったのが始まりであった,国際社会が直面するテロや過激主義の問題への解決の鍵は,「憎しみは憎しみによって止まず,ただ愛によって止む」という仏陀の言葉にあると考える旨挨拶した。
(16)同性愛者などへの差別に反対する日にちなんだEUの声明
16日,当地EU代表部は,新憲法起草という歴史的な機会を捉えて,同性愛などを罪と規定する現行刑法第365条及び第365条Aを撤廃するよう促す声明を発出した。EU代表部は,同性愛者などへの差別に反対する日にちなんで,当地EU加盟国及びノルウェー,スイス,カナダ,豪州大使館の賛同を得つつ,同声明を発出した。
(17)旅券発行拒否措置の撤廃
前政権下では,政治亡命して海外に居住するスリランカ人国民に対し,旅券発行を拒否する措置が取られていたが,1日,同措置の撤廃が発表された。
(18)ラージャパクサ前大統領の外遊
ア ラージャパクサ前大統領のウガンダ訪問
ラージャパクサ前大統領は10日,ヨウエリ・ムセベニ・ウガンダ大統領の大統領再選式典に参加するために,ウガンダに向けて出発した。約一週間の滞在が予定されている。
イ ラージャパクサ前大統領の訪日予定
ウィーラワンサ統一野党議員によると,ラージャパクサ前大統領が6月9日に東京に向けて出発する予定。同前大統領の2015年大統領選挙以降の外遊はこれで3度目。