当国情勢
平成28年3月1日
2016年2月1日 - 2月28日
1 内政
(1)独立記念日式典・大統領の演説・タミル語での国歌斉唱
4日,コロンボで独立記念日式典が実施され,シリセーナ大統領が演説した後,軍事パレードが実施された。大統領は演説の中で,全国民は,多大な犠牲を払って母国の統一を守った軍に最大限の敬意を払うべきであると述べるとともに,紛争後のスリランカで,真の統一を実現すべく,昨年1月の大統領選挙で得たマンデートに従い,全ての民族間の和解・調和・共存に向けた措置を取ると表明した。また,こうした措置が紛争終了直後から取られていれば,人権決議に直面することもなかった,政府は,国及び軍のプライドと尊厳を守るべく人権決議に対処する決意であり,こうした政府の政策を誤解すべきではないとも述べた。さらに,多くの国が国民和解を実現し,国の発展を達成しているところ,我々の最大の課題は,民族調和を実現し,国を発展させることであるとした。また、独立記念日式典後の最終プログラムとして,軍事パレード後に,史上初めて,児童がタミル語で国歌を斉唱した。
(2)民主党(DP)による統一国民戦線(UNF)参加及び国会議員に就任
3日,サラット・フォンセカDP党首は,統一国民党(UNP)率いる政党連合UNFに参加するため,ウィクラマシンハ首相・UNP党首とともに覚書に署名した。フォンセカ党首は,DPは,正しい政治文化を導入するとともに良い統治を確立するために良い統治のための統一国民戦線(UNFGG)に参加することにした旨述べた。そして、UNP執行部会は8日、全会一致で、先月死亡したグナワルダナ土地大臣に代わり,フォンセカ党首がUNP比例代表者名簿の枠を使って国会議員として就任すべきとの見解を示した。9日、フォンセカDP党首は、グナワルダナ土地大臣死去によりできた空席を埋めるため、国会議員として就任宣誓を行った。
(3)西部州大臣の任命
8日、メンディス西部州議会議員が西部州保健・伝統医療・社会福祉・児童保護・女性大臣に就任し、大統領府で就任宣誓を行った。
(4)検事総長の就任
ジャヤンタ・ジャヤスーリヤ上級副検事総長補が11日に検事総長に就任し、大統領府で就任宣誓を行った。
(5)憲法改革に関する公聴委員会(PRCCR)の活動状況
ラール・ウィジェナヤケPRCCR委員長によれば,これまでに,書簡やEメール,FAX,ソーシャル・メディア及び12日間に及ぶ国内4県での公聴会を通じて1500以上の改革提案が提出された由。また,これまでのところ,若者からの提案が少ないところ,全国での公聴会が今月中に終了した後,3月に若者を対象とした公聴会を開催する予定の由。PRCCRは,20人いる委員を3グループに分けて,8日から2日間,ゴール県,ケゴール県,及びキリノッチで公聴会を開催する。
(6)サンプール石炭火力発電所に係る環境影響評価報告書の承認
ダルマシリ中央環境庁(CEA)長官によれば,今般,CEAは,昨年1月に提出された,本件発電所建設に係る環境影響評価報告書を条件付で承認した由。スワラージ・インド外相は,今月初旬のインド・スリランカ合同委員会でも,同国支援による本件事業に係る手続きの迅速化を求めていた。発電会社側は,同報告書において,トリンコマリー湾付近での発電所建設を求めていたが,湾の環境への影響を考慮し,CEAはこれを拒否。そのほか,CEAは,発電所から出る排水や廃棄物の管理などについて事細かに条件を付した。
(7)国会における行政監督委員会制度導入に係る研修
15日、国会で,近く導入される予定の行政監督委員会(oversight committees)制度に係る3日間の研修会が開始された。ウィクラマシンハ首相は開会挨拶の中で,各行政監督委員会が,政府機関による政策・予算執行を監督することは国会の権限強化に繋がるなどと述べた。また,英国議員団を代表して挨拶したマクタガート労働党議員は,本件制度は英下院で導入されており,成果を上げていると述べた。一方,本件研修会の開会セッションには,全225議員中,62議員しか参加しなかった。
(8)公務員の給与増加
閣議は23日、今年1月から公務員の新給与システムを導入することを了承した。本年度予算にはすでに、公務員への給与の10,000ルピー増加が含まれている。
(9)全国的停電
25日、スリランカ全土で約2時間の停電がおこり、シヤンバラーピティヤ電力・再生可能エネルギー大臣が原因解明に向けた調査を指示した。スリランカ全土規模の停電はこの5ヶ月で2度目。
(10)スリランカ自由党(SLFP)の内紛
ア スリランカ自由党(SLFP)中央委員会の決定
12日,シリセーナ大統領・SLFP党首が主催した党中央委員会は,国会において,野党連合を独立した政党として認めないことを決定した。
イ ラージャパクサ派SLFP議員への処罰
12日,党中央委員会は,党及び党幹部を批判する党員を処罰する方針を確認し,地方議会選挙に,ラージャパクサ前大統領率いる新党から出馬するなどと表明していた7名の地方議会議長を含む10名のSLFP所属地方議会議員の党員資格を停止することを決定した。また,SLFP中央委員会は、同党内のラージャパクサ前大統領派の独立の動きを阻止するため、党員に対し,新党設立に関連した協議やイベントへの参加を禁止する旨を通達することを決定した。
ウ SLFP地区責任者の任命
シリセーナ大統領は29日、SLFPの各地区責任者の任命を行った。これにより、現政権に批判的であったり、新党を設立しようとしていたラージャパクサ前大統領派の地区責任者がシリセーナ大統領派に交代させられた。
(11)ラージャパクサ前大統領を巡る動き
ア ラージャパクサ前大統領派の動き
南部州ゴール県の地方議会議員が1日、次期地方選挙ではシリセーナ大統領が率いるSLFPからでは無く、ラージャパクサ前大統領派閥から出馬する意向を示した。
イ ラージャパクサ前大統領による広報事務所立上げ
12日,ラージャパクサ前大統領は,コロンボ郊外のバッタラムッラでの広報事務所立ち上げに際して挨拶し,連立政権に所属しているSLFP議員らが,シリセーナ大統領につくか,自身につくか近く決断することを望んでいると述べた。また,前大統領は,同広報事務所は,人々や労働組合が声を上げる場となる,自身は常に人々とともにあり,彼らの問題を解決する用意があると述べた。
(12)前政権関係者に対する汚職捜査
ア シランティ・ラージャパクサのPRECIFACへの召喚
ラージャパクサ前大統領夫人であるシランティ・ラージャパクサが1日、大統領捜査委員会(PRECIFAC)に召喚された。同夫人は住宅開発局(National Housing Development Authority: NHDA)が、自身のメディア担当秘書官に対し、市場価格以下で家を提供したことについて説明を求められた。
イ ヨシータ・ラージャパクサの再拘留
ラージャパクサ前大統領の次男であるヨシータ・ラージャパクサ海軍大尉が11日、25日まで再拘留されることが決定した。同海軍大尉にはTVチャンネルのカールトン・スポーツ・ネットワーク(CSN)の汚職への関与が疑われている。
ウ 風刺画家エクネリゴダ氏の失踪事案捜査
2010年の大統領選挙直前に発生したエクネリゴダ氏失踪事案の捜査において、7日、軍諜報部員が逮捕され、2月9日まで拘留されることになった。同失踪事案に関しては、すでに上級曹長と伍長を含む数名の軍人が逮捕・拘留されている。
(13)その他事件・事案
ア BBS幹事長の再拘留
2010年の大統領選挙直前に発生したエクネリゴダ氏失踪事案の捜査において,ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)幹事長であるガラゴダ・アッテ・グナナサラ師が捜査・司法プロセスを妨害したとして逮捕されていた件で、9日、グナナサラ師はいったん保釈されたものの、エクネリゴダ氏夫人を脅迫したとして10日まで再度拘留された。10日、同師の25日までの再々拘留が決定された。
イ バンダラナヤケ国際空港での発煙筒の爆発
11日夜、バンダラナヤケ国際空港でドーハに向かう途中であったトランジット客の手荷物に入っていた発煙筒が荷物検査中に爆発した。怪我人は出ていない。トランジット客であったため、法的措置を執ることが出来ず、同乗客はすでにスリランカを出国した
ウ 豪州からの強制送還者、逮捕される
24日、豪州から強制送還された16名がバンダラナヤケ国際空港でCIDにより逮捕された。同16名は2012年に豪州までボートで渡った由。16名の出身地は東部州、北西部州、西部州など。
2 国民和解
(1)ウィクラマシンハ首相の英連邦議会連盟セミナーでの発言
ウィクラマシンハ首相は1日、英連邦議会連盟のセミナーで、スリランカ政府は人権理決議の内容にコミットしていると表明。同首相は、和解と説明責任問題の双方に取り組む考えであり,そのために,特別検察局,失踪者局,真実和解委員会,慈悲的委員会など様々なメカニズムを検討しているが,ほとんどのケースは真実和解委員会から慈悲的委員会に送られるだろうと述べた。また,司法メカニズムへの外国人の参加について,憲法には外国人判事について記述はないが,英連邦判事が審理に参加することは問題ない,そして誰が検察官を務めるかは,最高裁が決めることであると述べた。同首相はまた、日本政府が次の数ヶ月の内に、ドナーや投資家を集め、北部州・東部州開発に向けた開発フォーラムを日本で行う,ドナーや投資家が参加する同フォーラム無しには同地域の開発は不可能であると述べた。
(2)戦争犯罪疑惑追及への外国の関与:ウィクラマシンハ首相の発言
12日,ウィクラマシンハ首相は,インド南部ケララ州グルヴァユルのヒンドゥー寺院を参拝した際,記者団に対し,政府は,戦争犯罪疑惑捜査への国際社会の関与に反対しているわけではないが,最後の判決は,自国の司法制度に基づき行われるべきであると述べた。同首相は,民間人死者数など事実関係の調査に国際社会が関与することは歓迎するが,誰が責任者でどのような処罰が必要かについての最終判断は,自国の司法制度に基づき,行われるべきであると考える,スリランカの司法制度は,以前は問題があったが,改善しつつあると述べた。
(3) タミル人民評議会(TPC)の動き
新憲法の起草を見据えて、TPCは2日、スリランカが連邦国家になること、また、北部州と東部州を統合することを提言した。
(4) アリ・スリランカ・ムスリム会議(SLMC)幹事長の見解
新憲法の起草を見据えて、アリSLMC幹事長が22日、デイリーニュース紙に対し、ムスリムの地位を確立するためにもムスリムにも州が与えられるべきであるとの見解を示し、同提案を提出する考えを示した。
(5)内戦中の事案に対する捜査
ア カンタン元LTTE幹部の出頭
カンタン元LTTE幹部はコロンボ特別高裁に対し、自身に嫌疑が掛けられているダグラス・デヴァナンダ元大臣暗殺未遂疑惑に関し、スリランカに帰国して2週間以内に出頭する旨を伝えた。
イ 元LTTE幹部に対する捜査の開始
LTTEの武器調達役であり,プラバカランLTTE司令官が死亡直前に後継者に指名したクマラン・パトマナータン(通称:KP)の逮捕・刑事訴追を求めて,野党人民解放戦線(JVP)のヘーラト議員が検事総長・警察長官を相手取り控訴裁判所に訴えを起こしている件に関し,3日の裁判審理で検察庁は,警察テロ捜査部(TID)がテロ防止法,刑法及び反マネーロンダリング法の下でKPを有罪に問えるか否か,包括的な捜査を行っていると報告した。これを受けて裁判官団は,5月9日に捜査の進展を裁判所に改めて報告するように指示するとともに,KPに対する出国禁止措置を5月10日まで延長した。
ウ ウィクラマトゥンガ元サンデーリーダー紙編集者暗殺事件を巡る動き
2009年1月8日に発生したウィクラマトゥンガ元サンデーリーダー紙編集者暗殺事件に関し、警察犯罪捜査局(CID)はここ数週間で、何らかの関与があるとされる40名以上の軍諜報員を召喚し、事情を聴取した由。
(6)和解メカニズムにかかる国民協議の開始
12日,サマラウィーラ外相は,ジャフナにおいて,和解メカニズムの制度設計に向けて国民の意見をとりまとめるため、11名の著名人からなるタスクフォース(TF)が国民協議プロセスを開始する旨発表。そのためのウェブサイト(www.scrm.gov.lk)が立ち上げられ,国民は,同サイトを通じて設問に答える形で意見を表明することができるほか,TFは,紛争被害者や紛争未亡人,軍関係者,失踪者の家族など全ての関係者とのグループ協議も実施する由。TF議長はムッテトウェガマ元失踪者調査委員会委員長,事務局長はサラワナムットゥ代替政策センター(CPA)代表が務める。なお,本件発表には,スマンティランTNA議員,フェルナンド東部州知事,ヘッティアーラッチ国防次官,現地軍幹部及び国民和解局関係者も同席した。
(7)失踪者問題
ア 国際赤十字(ICRC)による失踪者の家族のニーズ調査結果に係る会議
12日,外務省とICRCは,関係省庁・機関の参加を得て,ICRC作成の報告書「失踪者の家族のニーズ:不確実性を抱えた暮らし」に係る会議を開催した。同会議で議長を務めたデシルバ外務副大臣は,政府は,失踪者を捜索するための失踪者局を設置する方針である,また,これまでに,死亡証明書に代わる失踪証明書の発行に係る閣議承認と法案準備,国連強制失踪作業部会の16年ぶりの受入れ,強制失踪条約への署名といった措置を取ってきたと説明した。メイトラウドICRC代表は,ICRCの報告書には,失踪者家族のニーズ,同家族が現時点で保有しているリソース及び問題への対処ぶりが記載されており,政府が失踪者家族の問題に取組む上で参考になる,ICRCは政府による同取組へのあらゆる支援を惜しまないと述べた。会議出席者らは,失踪者家族のニーズに応じた措置を取る必要があるとの点で一致した。同会議には,大統領府,首相府,国家統合・和解省,国民共存・公用語省,保健省,司法省,社会進出促進・福祉省,刑務所改革・復興・再定住省,内務省,国防省,国民和解局,スリランカ人権委員会の関係者も出席した。
イ 大統領失踪者調査委員会の任期延長
15日で任期が切れる本件委員会(パラナガマ委員会)は,3か月間,任期が延長されることになった。パラナガマ議長は,いまだ調査が終了していない失踪申立てについて調査するため,大統領に任期延長を要請した,5月には調査を完了し,最終報告書を提出する予定であると述べた。
(8)拘留者問題
ア タミル人長期被拘留者の問題
スワミナタン刑務所改革・復興・再定住相によれば,政府は,PTAの下で起訴されないまま拘留されている108人(内37名は保釈中・2名は不起訴が確定)の内,60名以上に対し,罪を認める代わりに刑期を1か月に短縮し,さらに1年間の社会復帰研修を経て釈放されることを,また19名に対し,罪を認める代わりに刑期を1年に短縮し,さらに1年間の社会復帰研修を経て釈放されることを提案したが,ほとんどの容疑者がこれを拒絶し,罪を認めずに大統領の恩赦を得ることを希望したため,タミル人長期被勾留者の早期釈放が行き詰っている由。また,既に起訴されている被拘留者21名にも同様の提案を行ったが,ほとんどの者が受け入れなかった由。
イ 元LTTE兵の釈放
テロ防止法の下で逮捕・拘留されていた5名の元LTTE兵が24日、釈放された。
(9)北部州を巡る動き
ア レジナルド・クーレー新北部州知事の就任宣誓式
14日,クーレー新知事が大統領に対して就任宣誓を行った。同新知事は,西部州カルタラ県を地盤とする, SLFP所属のベテラン政治家で,前政権下で輸出作物促進大臣,またそれ以前に西部州首席大臣を二期務めた。
サンパンタン野党代表・タミル国民連合(TNA)議員団長は,クーレー新知事は進歩的な政治家で,自身もウィグネーシュワラン北部州首席大臣も知事就任に賛成していると述べた。また,スマンティランTNA議員も,同新知事は,地方への権限委譲推進派であると述べた。なお,タワラサ北部州議会野党代表は,新知事はベテラン政治家であるとともに三言語に堪能で,同役職にふさわしい人物であると思うが,北部州議会の与党には強硬派議員もおり,彼らと上手くやっていくのはなかなか難しいだろうとコメントした。
イ 第1回北部州開発計画会議の開催
15日,ウィクラマシンハ首相が主催し,関係閣僚,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣及び関係大臣,政府関係者の出席の下,本件会議が開催された。同会議では,スワミナタン再定住相が推進している6万5千軒のプレハブ住宅建設事業や,パラリ空軍基地を国内空港として拡充する案などについて話し合われた。また,今後,月一回,同様の会議を開催していくことが決まった。なお,首相は同様の会議を他の州についても開催する予定。
ウ 北部州議会の内紛
北部州議会で北部州農業大臣に対する11の汚職事案を指摘した決議案が採択されたことを受け、ウィグネシューワラン北部州首席大臣が、同農業大臣には誤った嫌疑が掛けられているとして同決議案の撤回を求める決議案を提出した。
(10)スリランカ難民の帰還
26日、UNHCRの支援により12名のスリランカ人難民が印タミルナドゥ州から帰還する予定。
(11)再定住家屋の引き渡し記念式典
25日、ムライティブ県ケッパピラン村で、軍が建設した19の家屋の再定住者への引き渡し記念式典が開かれた。同19軒をもって、ムライテイィブ県コッパピラウ地区で2012年9月25日より軍が再定住省との協力のもと行ってきた285家屋建設の目標が達成された。同記念式典では同時に新たに設置された医療センターのオープン及び小学校への電気供給スキーム開始記念式典も行われた。
3 外交
(1)スリランカ・中国関係
ア 中国政府のスリランカ軍傷兵支援
5日、中国政府は200万ルピー相当の理学療法用具を傷兵への福祉支援として軍に寄贈した
イ 王毅中国外相とサマラウィーラ外相の協議
トランジットのためにバンダラナヤケ国際空港に来ていた王毅中国外相とサマラウィーラ外相が6日、同空港で2国間関係につき協議を行った。デシルバ外務副大臣、Yi Xianliang中国大使及びアジワード外務省東アジア・太平洋局長が同席。
ウ 中国による南部州ハンバントタでの投資ゾーン設置構想
20日,ハンバントタ港やマッタラ空港などを視察したウィクラマシンハ首相は,中国政府がハンバントタに投資ゾーンを設置するため,1000エーカーの土地の確保を申請してきており,政府部内で検討している旨述べた。同時に首相は,インドとの経済・技術協力協定(ETCA)締結をも推進する意向を表明した。
エ 中国海軍艦船の親善寄港
26日、中国海軍艦船(潜水艦救難艦865号)がコロンボ港に親善寄港し、スリランカ海軍の歓迎を受けた。同艦船は28日に当地を出港予定。
ウ サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びラトナヤケ南部開発・治安大臣の中国訪問
サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びラトナヤケ南部開発・治安大臣が29日、コロンボ・ポートシティー等の中国資金プロジェクトに関する協議を行うために中国に向けて出発した。情報筋によると、同訪問は、4月のウィクラマシンハ首相の中国訪問の準備も兼ねている由。
(2)バティュディーン産業・商業大臣のバーレーン訪問
2月初旬にバーレーンを訪れたバティュディーン産業・商業大臣は2日、サルマン・バーレーン皇太子を表敬し、北部・東部州の再定住促進に向け、バーレーンが200軒の家屋建設を支援したことへの感謝を述べ、また、バーレーンがスリランカ人労働者に適切な労働環境を提供していることへの謝意を表明した。これに対し、皇太子は、バーレーンはスリランカ人労働者の貢献に感謝している旨を述べ、また、スリランカは南アジアのハブになる可能性を秘めていると述べた。バディュディーン大臣はその後、アルザヤニ・バーレーン産業・商業・観光大臣と、商業・経済的分野における2国間関係の強化につき協議を行った。
(3)スワラージ・インド外相の来訪
ア 5~6日,スワラージ・インド外相が来訪し,5日にサマラウィーラ外相とともに,第9回インド・スリランカ合同委員会で共同議長を務めた。両国間の合同委員会が開かれたのは2013年1月以来3年ぶり。今次委員会では,両国間で交渉中の経済・技術協力協定の準備状況を確認した。また,これに関連して,インド政府が3月にコロンボで非関税障壁規制制度に関するワークショップを開催することになった。さらに,パラリ空港改善,カンケサントゥライ港整備,サンプール発電所建設及びトリンコマリー経済特区整備といった計画中の協力事業についても話し合われた。そのほか,同委員会では,観光,航空,石油,エネルギー,鉄道,開発支援,文化,教育,科学技術,農業,防衛,テロ対策,保健,議員交流など多岐にわたる分野について話し合われた。また,懸案となっているインド漁師による越境操業問題については,3月にアマラウィーラ漁業・水産資源相がインドを訪問して解決策を探ることになった。さらに,合同委員会終了後,両国間で,北部州の学校改修及び東部州のバティカロア病院での外科施設増設に係る覚書に署名された。
イ スワラージ外相は,この機会に,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,クマーラトゥンガ元大統領,サンパンタン国会野党代表, SLMC及びインド系タミル政党幹部と会談した。シンハ駐コロンボ・インド高等弁務官によれば,スワラージ外相との会談において,サンパンタンTNA議員団長は民族問題の解決に向けて政府と協力していく旨表明した由。
(4)ゼイド国連人権高等弁務官の来訪
ゼイド国連人権高等弁務官が6~10日の日程でスリランカを訪問。6日に当地に到着した後,ゼイド弁務官は,サマラウィーラ外相と昼食を兼ねた会合を持った。昨年10月の人権決議の実施状況,即ち和解メカニズムの設置状況について話し合われた模様だが,国連側も外務省も詳細は明らかにしなかった。その後,ゼイド弁務官は国連事務所を訪問し,マッカウリー国連常駐代表ほかと会談した。一方で,シンハラ至上主義政党の国民自由戦線(NFF)は同事務所前で抗議デモを実施し,弁務官の写真を燃やすなどした。
国連事務所によれば,ゼイド弁務官は,7日から北部州と東部州を訪問して,州知事,州首席大臣のほか,紛争被害者,国内避難民,市民社会団体関係者などと面会する予定の由。また,10日の出発までにシリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相を表敬するほかキャンディも訪問した。
(5)EU議員団のスリランカ来訪
EU議員団がスリランカを訪問し、9日にヘッティアラッチ国防省次官と政権交代後のスリランカ内政について協議を行った。同国防省次官は政権交代後、軍は土地の解放を行いつつあり、また、平時における国防政策の立案に取り組んでいると説明。また、地雷除去、元LTTE兵の社会復帰支援促進及び北部州・東部州への旅行規制の解除も行ったとして現政権の成果を説明した。
(6)シリセーナ大統領によるドイツ・オーストリア訪問
ア 15日,大統領は,ドイツ・オーストリア歴訪に向けてコロンボを出発。大統領にはサマラウィーラ外相,カルナナヤケ財務相,サマラシンハ技術開発・職業訓練相,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易相ほかが同行した。スリランカ大統領によるドイツ訪問は43年ぶり。
イ 16日,ベルリンに到着した大統領一行は,ホロコースト記念館を視察。翌17日,大統領はメルケル独首相と会談した。メルケル首相は,投資・貿易の機会を探るため,5月に経済大臣を含むハイレベル・ビジネス代表団を派遣するとした。また,スリランカの腎臓病問題への支援に同意した。さらに同首相は,スリランカ政府による和解への取組に満足の意を表するとともに,北部州住民への支援を約束した。スリランカ産魚介類の対EU禁輸措置の解除及び一般特恵関税(GSP)プラスの復活についてもフォローしていくとした。大統領はメルケル首相によるスリランカ訪問を招請し,同首相もこれに応じた。同日,大統領はガウク大統領及びシュタインマイヤー外相とも会談した。18日,大統領は,ムラー経済相と会談したほか,これに先立ち,両国間で,1800万ユーロの国立公園保全,北部州での生計支援及び和解促進事業,並びに中小企業のための技術支援に係る2つの覚書が署名された。同日,大統領は投資セミナーにも出席した。
ウ 19日,シリセーナ大統領はオーストリアに入り,フィシャー大統領と会談した。フィッシャー大統領は,スリランカ産魚介類の対EU禁輸措置の解除に協力する旨述べた。会談後,シリセーナ大統領は,経済交流強化などについて協議したとする声明を発出した。20日,大統領は在留スリランカ人と懇談し,自身の政権はあらゆる国々と友好関係を構築しており,敵対国はいなくなった,また,国内で民族調和を推進しており,在外スリランカ人が帰国し,新たな国づくりに協力することを希望していると述べた。
(7)サマラウィーラ外相の訪米
サマラウィーラ外相が21日~24日、ニューヨークの国連本部を訪れた。同外相はパワー米国国連常駐代表、フェルトマン国連平和構築長と協議を行い、また、スウェーデン国連常駐代表主催の昼食会で米国、豪州、日本及び韓国といったドナー各国と平和構築メカニズム及びスリランカの開発について協議した。23日にはクラークUNDP総裁と国連のスリランカ支援強化に向けた協議を行った。また、UNDPの閣僚級協議では、主要パネリストを務め、スリランカが1948年に独立した際、タイムズ・オブ・ロンドン紙がスリランカは東のスイスになると予測したにもかかわらず、国内の多民族への対処を誤り、コミュニティー間不信を助長したため内戦が勃発した、この教訓を踏まえ、スリランカではすでに真実追究、正義、補償、再発防止の4の分野での和解メカニズム設置に向けた国民協議が開始されているとして新政権の成果を説明した。
サマラウィーラ外相は26日、アメリカ平和研究所(US Institute of Peace)で講演し、スリランカ政府は和解プロセスに向けた国民協議終了から6~8ヶ月後に責任追及を行う特別法廷を設置すると述べた。そして質問に対し、法廷の形についてはタミル国民連合(TNA)や他の政党と協議を行うが、同法廷の信頼性を高めるためには何らかの国際的関与が必要であるとの見解は国会内で広く共有されている、外国人の判事・科学捜査官・捜査官・検事の参加に関し政府は決定を下しておらず、国民協議を通し、外国人をどのレベルまで参加させるのかを決定すると述べた。また、政府は1年以内に和解メカニズムを設置するつもりであり、3月の第一週には専門家チームが南アフリカに向けて出発するとも述べた。さらに、国民協議は3ヶ月かけて行うこととしており、その後、1ヶ月で和解メカニズム設置に必要な法律を国会で成立させるといったタイムラインを説明。なお、大統領は前政権中に起こったメディア関係者への攻撃についての捜査を行う大統領委員会の設置を考えていると説明した。
(8)ジョン・キー・ニュージーランド首相の来訪
キー・ニュージーランド首相が23日からスリランカを公式訪問中。24日、同首相はシリセーナ大統領を表敬し、スリランカは「アジアの輝く光」(Shining Light of Asian Region)であると述べ、スリランカはニュージーランドの投資家にとって、多大なる可能性を秘めていると述べた。また、2013年に訪れた際に比べ、大きな変化が見られるとして、特に現政府による民主主義の強化及び汚職の追求を評価しつつ、農業の分野での二国間関係強化に向けての期待を述べた。同日、ニュージーランドが当地地方経済省を通し、スリランカの酪農強化の支援を行う旨のパートナーシップ合意を締結した。
(9)中尾アジア開発銀行総裁の訪問
中尾アジア開発銀行総裁がスリランカを23日に2日間の予定で訪問。23日、シリセーナ大統領を表敬し、スリランカで行われているアジア開発銀行のプロジェクトについて協議を行った。26日、アジア開発銀行とスリランカ港湾局はコロンボ港の東コンテナ・ターミナル開発支援、中小企業支援などについての覚書を締結した。
(10)モルディブ沿岸警備船の親善寄港
25日、モルディブ沿岸警備船「フラヴェー」がコロンボ港に親善寄港し、スリランカ海軍の歓迎を受けた。同船は28日に当地を出港予定。
(11)シリセーナ大統領のシンガポール訪問
27日、シリセーナ大統領はシンガポールで2月26日から手術・治療を受けているセナラトナ保健大臣の見舞いのために、スリランカを出発した。なお、同大統領は28日朝、シンガポールから帰国した。
(12)米国による記者の能力向上支援
米国務省は,スリランカの記者の能力向上研修を実施する機関を支援するため,計50万ドルを贈与することを決定し,事業提案の受け付けを開始した。米国務省は,同研修事業を通じて,記者のみならず編集者も含めて調査に基づく記事執筆に精通すること,和解や移行期の正義の問題がメディアでより多く取り上げられるようになることが望ましいとしている。
(13)ウーワ州と韓国政府の覚書の締結
ウーワ州と韓国政府がゴミのリサイクル及び発電に関するプロジェクトの覚書を結んだ。同プロジェクトにより約1000の雇用も創出される。
(1)独立記念日式典・大統領の演説・タミル語での国歌斉唱
4日,コロンボで独立記念日式典が実施され,シリセーナ大統領が演説した後,軍事パレードが実施された。大統領は演説の中で,全国民は,多大な犠牲を払って母国の統一を守った軍に最大限の敬意を払うべきであると述べるとともに,紛争後のスリランカで,真の統一を実現すべく,昨年1月の大統領選挙で得たマンデートに従い,全ての民族間の和解・調和・共存に向けた措置を取ると表明した。また,こうした措置が紛争終了直後から取られていれば,人権決議に直面することもなかった,政府は,国及び軍のプライドと尊厳を守るべく人権決議に対処する決意であり,こうした政府の政策を誤解すべきではないとも述べた。さらに,多くの国が国民和解を実現し,国の発展を達成しているところ,我々の最大の課題は,民族調和を実現し,国を発展させることであるとした。また、独立記念日式典後の最終プログラムとして,軍事パレード後に,史上初めて,児童がタミル語で国歌を斉唱した。
(2)民主党(DP)による統一国民戦線(UNF)参加及び国会議員に就任
3日,サラット・フォンセカDP党首は,統一国民党(UNP)率いる政党連合UNFに参加するため,ウィクラマシンハ首相・UNP党首とともに覚書に署名した。フォンセカ党首は,DPは,正しい政治文化を導入するとともに良い統治を確立するために良い統治のための統一国民戦線(UNFGG)に参加することにした旨述べた。そして、UNP執行部会は8日、全会一致で、先月死亡したグナワルダナ土地大臣に代わり,フォンセカ党首がUNP比例代表者名簿の枠を使って国会議員として就任すべきとの見解を示した。9日、フォンセカDP党首は、グナワルダナ土地大臣死去によりできた空席を埋めるため、国会議員として就任宣誓を行った。
(3)西部州大臣の任命
8日、メンディス西部州議会議員が西部州保健・伝統医療・社会福祉・児童保護・女性大臣に就任し、大統領府で就任宣誓を行った。
(4)検事総長の就任
ジャヤンタ・ジャヤスーリヤ上級副検事総長補が11日に検事総長に就任し、大統領府で就任宣誓を行った。
(5)憲法改革に関する公聴委員会(PRCCR)の活動状況
ラール・ウィジェナヤケPRCCR委員長によれば,これまでに,書簡やEメール,FAX,ソーシャル・メディア及び12日間に及ぶ国内4県での公聴会を通じて1500以上の改革提案が提出された由。また,これまでのところ,若者からの提案が少ないところ,全国での公聴会が今月中に終了した後,3月に若者を対象とした公聴会を開催する予定の由。PRCCRは,20人いる委員を3グループに分けて,8日から2日間,ゴール県,ケゴール県,及びキリノッチで公聴会を開催する。
(6)サンプール石炭火力発電所に係る環境影響評価報告書の承認
ダルマシリ中央環境庁(CEA)長官によれば,今般,CEAは,昨年1月に提出された,本件発電所建設に係る環境影響評価報告書を条件付で承認した由。スワラージ・インド外相は,今月初旬のインド・スリランカ合同委員会でも,同国支援による本件事業に係る手続きの迅速化を求めていた。発電会社側は,同報告書において,トリンコマリー湾付近での発電所建設を求めていたが,湾の環境への影響を考慮し,CEAはこれを拒否。そのほか,CEAは,発電所から出る排水や廃棄物の管理などについて事細かに条件を付した。
(7)国会における行政監督委員会制度導入に係る研修
15日、国会で,近く導入される予定の行政監督委員会(oversight committees)制度に係る3日間の研修会が開始された。ウィクラマシンハ首相は開会挨拶の中で,各行政監督委員会が,政府機関による政策・予算執行を監督することは国会の権限強化に繋がるなどと述べた。また,英国議員団を代表して挨拶したマクタガート労働党議員は,本件制度は英下院で導入されており,成果を上げていると述べた。一方,本件研修会の開会セッションには,全225議員中,62議員しか参加しなかった。
(8)公務員の給与増加
閣議は23日、今年1月から公務員の新給与システムを導入することを了承した。本年度予算にはすでに、公務員への給与の10,000ルピー増加が含まれている。
(9)全国的停電
25日、スリランカ全土で約2時間の停電がおこり、シヤンバラーピティヤ電力・再生可能エネルギー大臣が原因解明に向けた調査を指示した。スリランカ全土規模の停電はこの5ヶ月で2度目。
(10)スリランカ自由党(SLFP)の内紛
ア スリランカ自由党(SLFP)中央委員会の決定
12日,シリセーナ大統領・SLFP党首が主催した党中央委員会は,国会において,野党連合を独立した政党として認めないことを決定した。
イ ラージャパクサ派SLFP議員への処罰
12日,党中央委員会は,党及び党幹部を批判する党員を処罰する方針を確認し,地方議会選挙に,ラージャパクサ前大統領率いる新党から出馬するなどと表明していた7名の地方議会議長を含む10名のSLFP所属地方議会議員の党員資格を停止することを決定した。また,SLFP中央委員会は、同党内のラージャパクサ前大統領派の独立の動きを阻止するため、党員に対し,新党設立に関連した協議やイベントへの参加を禁止する旨を通達することを決定した。
ウ SLFP地区責任者の任命
シリセーナ大統領は29日、SLFPの各地区責任者の任命を行った。これにより、現政権に批判的であったり、新党を設立しようとしていたラージャパクサ前大統領派の地区責任者がシリセーナ大統領派に交代させられた。
(11)ラージャパクサ前大統領を巡る動き
ア ラージャパクサ前大統領派の動き
南部州ゴール県の地方議会議員が1日、次期地方選挙ではシリセーナ大統領が率いるSLFPからでは無く、ラージャパクサ前大統領派閥から出馬する意向を示した。
イ ラージャパクサ前大統領による広報事務所立上げ
12日,ラージャパクサ前大統領は,コロンボ郊外のバッタラムッラでの広報事務所立ち上げに際して挨拶し,連立政権に所属しているSLFP議員らが,シリセーナ大統領につくか,自身につくか近く決断することを望んでいると述べた。また,前大統領は,同広報事務所は,人々や労働組合が声を上げる場となる,自身は常に人々とともにあり,彼らの問題を解決する用意があると述べた。
(12)前政権関係者に対する汚職捜査
ア シランティ・ラージャパクサのPRECIFACへの召喚
ラージャパクサ前大統領夫人であるシランティ・ラージャパクサが1日、大統領捜査委員会(PRECIFAC)に召喚された。同夫人は住宅開発局(National Housing Development Authority: NHDA)が、自身のメディア担当秘書官に対し、市場価格以下で家を提供したことについて説明を求められた。
イ ヨシータ・ラージャパクサの再拘留
ラージャパクサ前大統領の次男であるヨシータ・ラージャパクサ海軍大尉が11日、25日まで再拘留されることが決定した。同海軍大尉にはTVチャンネルのカールトン・スポーツ・ネットワーク(CSN)の汚職への関与が疑われている。
ウ 風刺画家エクネリゴダ氏の失踪事案捜査
2010年の大統領選挙直前に発生したエクネリゴダ氏失踪事案の捜査において、7日、軍諜報部員が逮捕され、2月9日まで拘留されることになった。同失踪事案に関しては、すでに上級曹長と伍長を含む数名の軍人が逮捕・拘留されている。
(13)その他事件・事案
ア BBS幹事長の再拘留
2010年の大統領選挙直前に発生したエクネリゴダ氏失踪事案の捜査において,ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)幹事長であるガラゴダ・アッテ・グナナサラ師が捜査・司法プロセスを妨害したとして逮捕されていた件で、9日、グナナサラ師はいったん保釈されたものの、エクネリゴダ氏夫人を脅迫したとして10日まで再度拘留された。10日、同師の25日までの再々拘留が決定された。
イ バンダラナヤケ国際空港での発煙筒の爆発
11日夜、バンダラナヤケ国際空港でドーハに向かう途中であったトランジット客の手荷物に入っていた発煙筒が荷物検査中に爆発した。怪我人は出ていない。トランジット客であったため、法的措置を執ることが出来ず、同乗客はすでにスリランカを出国した
ウ 豪州からの強制送還者、逮捕される
24日、豪州から強制送還された16名がバンダラナヤケ国際空港でCIDにより逮捕された。同16名は2012年に豪州までボートで渡った由。16名の出身地は東部州、北西部州、西部州など。
2 国民和解
(1)ウィクラマシンハ首相の英連邦議会連盟セミナーでの発言
ウィクラマシンハ首相は1日、英連邦議会連盟のセミナーで、スリランカ政府は人権理決議の内容にコミットしていると表明。同首相は、和解と説明責任問題の双方に取り組む考えであり,そのために,特別検察局,失踪者局,真実和解委員会,慈悲的委員会など様々なメカニズムを検討しているが,ほとんどのケースは真実和解委員会から慈悲的委員会に送られるだろうと述べた。また,司法メカニズムへの外国人の参加について,憲法には外国人判事について記述はないが,英連邦判事が審理に参加することは問題ない,そして誰が検察官を務めるかは,最高裁が決めることであると述べた。同首相はまた、日本政府が次の数ヶ月の内に、ドナーや投資家を集め、北部州・東部州開発に向けた開発フォーラムを日本で行う,ドナーや投資家が参加する同フォーラム無しには同地域の開発は不可能であると述べた。
(2)戦争犯罪疑惑追及への外国の関与:ウィクラマシンハ首相の発言
12日,ウィクラマシンハ首相は,インド南部ケララ州グルヴァユルのヒンドゥー寺院を参拝した際,記者団に対し,政府は,戦争犯罪疑惑捜査への国際社会の関与に反対しているわけではないが,最後の判決は,自国の司法制度に基づき行われるべきであると述べた。同首相は,民間人死者数など事実関係の調査に国際社会が関与することは歓迎するが,誰が責任者でどのような処罰が必要かについての最終判断は,自国の司法制度に基づき,行われるべきであると考える,スリランカの司法制度は,以前は問題があったが,改善しつつあると述べた。
(3) タミル人民評議会(TPC)の動き
新憲法の起草を見据えて、TPCは2日、スリランカが連邦国家になること、また、北部州と東部州を統合することを提言した。
(4) アリ・スリランカ・ムスリム会議(SLMC)幹事長の見解
新憲法の起草を見据えて、アリSLMC幹事長が22日、デイリーニュース紙に対し、ムスリムの地位を確立するためにもムスリムにも州が与えられるべきであるとの見解を示し、同提案を提出する考えを示した。
(5)内戦中の事案に対する捜査
ア カンタン元LTTE幹部の出頭
カンタン元LTTE幹部はコロンボ特別高裁に対し、自身に嫌疑が掛けられているダグラス・デヴァナンダ元大臣暗殺未遂疑惑に関し、スリランカに帰国して2週間以内に出頭する旨を伝えた。
イ 元LTTE幹部に対する捜査の開始
LTTEの武器調達役であり,プラバカランLTTE司令官が死亡直前に後継者に指名したクマラン・パトマナータン(通称:KP)の逮捕・刑事訴追を求めて,野党人民解放戦線(JVP)のヘーラト議員が検事総長・警察長官を相手取り控訴裁判所に訴えを起こしている件に関し,3日の裁判審理で検察庁は,警察テロ捜査部(TID)がテロ防止法,刑法及び反マネーロンダリング法の下でKPを有罪に問えるか否か,包括的な捜査を行っていると報告した。これを受けて裁判官団は,5月9日に捜査の進展を裁判所に改めて報告するように指示するとともに,KPに対する出国禁止措置を5月10日まで延長した。
ウ ウィクラマトゥンガ元サンデーリーダー紙編集者暗殺事件を巡る動き
2009年1月8日に発生したウィクラマトゥンガ元サンデーリーダー紙編集者暗殺事件に関し、警察犯罪捜査局(CID)はここ数週間で、何らかの関与があるとされる40名以上の軍諜報員を召喚し、事情を聴取した由。
(6)和解メカニズムにかかる国民協議の開始
12日,サマラウィーラ外相は,ジャフナにおいて,和解メカニズムの制度設計に向けて国民の意見をとりまとめるため、11名の著名人からなるタスクフォース(TF)が国民協議プロセスを開始する旨発表。そのためのウェブサイト(www.scrm.gov.lk)が立ち上げられ,国民は,同サイトを通じて設問に答える形で意見を表明することができるほか,TFは,紛争被害者や紛争未亡人,軍関係者,失踪者の家族など全ての関係者とのグループ協議も実施する由。TF議長はムッテトウェガマ元失踪者調査委員会委員長,事務局長はサラワナムットゥ代替政策センター(CPA)代表が務める。なお,本件発表には,スマンティランTNA議員,フェルナンド東部州知事,ヘッティアーラッチ国防次官,現地軍幹部及び国民和解局関係者も同席した。
(7)失踪者問題
ア 国際赤十字(ICRC)による失踪者の家族のニーズ調査結果に係る会議
12日,外務省とICRCは,関係省庁・機関の参加を得て,ICRC作成の報告書「失踪者の家族のニーズ:不確実性を抱えた暮らし」に係る会議を開催した。同会議で議長を務めたデシルバ外務副大臣は,政府は,失踪者を捜索するための失踪者局を設置する方針である,また,これまでに,死亡証明書に代わる失踪証明書の発行に係る閣議承認と法案準備,国連強制失踪作業部会の16年ぶりの受入れ,強制失踪条約への署名といった措置を取ってきたと説明した。メイトラウドICRC代表は,ICRCの報告書には,失踪者家族のニーズ,同家族が現時点で保有しているリソース及び問題への対処ぶりが記載されており,政府が失踪者家族の問題に取組む上で参考になる,ICRCは政府による同取組へのあらゆる支援を惜しまないと述べた。会議出席者らは,失踪者家族のニーズに応じた措置を取る必要があるとの点で一致した。同会議には,大統領府,首相府,国家統合・和解省,国民共存・公用語省,保健省,司法省,社会進出促進・福祉省,刑務所改革・復興・再定住省,内務省,国防省,国民和解局,スリランカ人権委員会の関係者も出席した。
イ 大統領失踪者調査委員会の任期延長
15日で任期が切れる本件委員会(パラナガマ委員会)は,3か月間,任期が延長されることになった。パラナガマ議長は,いまだ調査が終了していない失踪申立てについて調査するため,大統領に任期延長を要請した,5月には調査を完了し,最終報告書を提出する予定であると述べた。
(8)拘留者問題
ア タミル人長期被拘留者の問題
スワミナタン刑務所改革・復興・再定住相によれば,政府は,PTAの下で起訴されないまま拘留されている108人(内37名は保釈中・2名は不起訴が確定)の内,60名以上に対し,罪を認める代わりに刑期を1か月に短縮し,さらに1年間の社会復帰研修を経て釈放されることを,また19名に対し,罪を認める代わりに刑期を1年に短縮し,さらに1年間の社会復帰研修を経て釈放されることを提案したが,ほとんどの容疑者がこれを拒絶し,罪を認めずに大統領の恩赦を得ることを希望したため,タミル人長期被勾留者の早期釈放が行き詰っている由。また,既に起訴されている被拘留者21名にも同様の提案を行ったが,ほとんどの者が受け入れなかった由。
イ 元LTTE兵の釈放
テロ防止法の下で逮捕・拘留されていた5名の元LTTE兵が24日、釈放された。
(9)北部州を巡る動き
ア レジナルド・クーレー新北部州知事の就任宣誓式
14日,クーレー新知事が大統領に対して就任宣誓を行った。同新知事は,西部州カルタラ県を地盤とする, SLFP所属のベテラン政治家で,前政権下で輸出作物促進大臣,またそれ以前に西部州首席大臣を二期務めた。
サンパンタン野党代表・タミル国民連合(TNA)議員団長は,クーレー新知事は進歩的な政治家で,自身もウィグネーシュワラン北部州首席大臣も知事就任に賛成していると述べた。また,スマンティランTNA議員も,同新知事は,地方への権限委譲推進派であると述べた。なお,タワラサ北部州議会野党代表は,新知事はベテラン政治家であるとともに三言語に堪能で,同役職にふさわしい人物であると思うが,北部州議会の与党には強硬派議員もおり,彼らと上手くやっていくのはなかなか難しいだろうとコメントした。
イ 第1回北部州開発計画会議の開催
15日,ウィクラマシンハ首相が主催し,関係閣僚,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣及び関係大臣,政府関係者の出席の下,本件会議が開催された。同会議では,スワミナタン再定住相が推進している6万5千軒のプレハブ住宅建設事業や,パラリ空軍基地を国内空港として拡充する案などについて話し合われた。また,今後,月一回,同様の会議を開催していくことが決まった。なお,首相は同様の会議を他の州についても開催する予定。
ウ 北部州議会の内紛
北部州議会で北部州農業大臣に対する11の汚職事案を指摘した決議案が採択されたことを受け、ウィグネシューワラン北部州首席大臣が、同農業大臣には誤った嫌疑が掛けられているとして同決議案の撤回を求める決議案を提出した。
(10)スリランカ難民の帰還
26日、UNHCRの支援により12名のスリランカ人難民が印タミルナドゥ州から帰還する予定。
(11)再定住家屋の引き渡し記念式典
25日、ムライティブ県ケッパピラン村で、軍が建設した19の家屋の再定住者への引き渡し記念式典が開かれた。同19軒をもって、ムライテイィブ県コッパピラウ地区で2012年9月25日より軍が再定住省との協力のもと行ってきた285家屋建設の目標が達成された。同記念式典では同時に新たに設置された医療センターのオープン及び小学校への電気供給スキーム開始記念式典も行われた。
3 外交
(1)スリランカ・中国関係
ア 中国政府のスリランカ軍傷兵支援
5日、中国政府は200万ルピー相当の理学療法用具を傷兵への福祉支援として軍に寄贈した
イ 王毅中国外相とサマラウィーラ外相の協議
トランジットのためにバンダラナヤケ国際空港に来ていた王毅中国外相とサマラウィーラ外相が6日、同空港で2国間関係につき協議を行った。デシルバ外務副大臣、Yi Xianliang中国大使及びアジワード外務省東アジア・太平洋局長が同席。
ウ 中国による南部州ハンバントタでの投資ゾーン設置構想
20日,ハンバントタ港やマッタラ空港などを視察したウィクラマシンハ首相は,中国政府がハンバントタに投資ゾーンを設置するため,1000エーカーの土地の確保を申請してきており,政府部内で検討している旨述べた。同時に首相は,インドとの経済・技術協力協定(ETCA)締結をも推進する意向を表明した。
エ 中国海軍艦船の親善寄港
26日、中国海軍艦船(潜水艦救難艦865号)がコロンボ港に親善寄港し、スリランカ海軍の歓迎を受けた。同艦船は28日に当地を出港予定。
ウ サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びラトナヤケ南部開発・治安大臣の中国訪問
サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びラトナヤケ南部開発・治安大臣が29日、コロンボ・ポートシティー等の中国資金プロジェクトに関する協議を行うために中国に向けて出発した。情報筋によると、同訪問は、4月のウィクラマシンハ首相の中国訪問の準備も兼ねている由。
(2)バティュディーン産業・商業大臣のバーレーン訪問
2月初旬にバーレーンを訪れたバティュディーン産業・商業大臣は2日、サルマン・バーレーン皇太子を表敬し、北部・東部州の再定住促進に向け、バーレーンが200軒の家屋建設を支援したことへの感謝を述べ、また、バーレーンがスリランカ人労働者に適切な労働環境を提供していることへの謝意を表明した。これに対し、皇太子は、バーレーンはスリランカ人労働者の貢献に感謝している旨を述べ、また、スリランカは南アジアのハブになる可能性を秘めていると述べた。バディュディーン大臣はその後、アルザヤニ・バーレーン産業・商業・観光大臣と、商業・経済的分野における2国間関係の強化につき協議を行った。
(3)スワラージ・インド外相の来訪
ア 5~6日,スワラージ・インド外相が来訪し,5日にサマラウィーラ外相とともに,第9回インド・スリランカ合同委員会で共同議長を務めた。両国間の合同委員会が開かれたのは2013年1月以来3年ぶり。今次委員会では,両国間で交渉中の経済・技術協力協定の準備状況を確認した。また,これに関連して,インド政府が3月にコロンボで非関税障壁規制制度に関するワークショップを開催することになった。さらに,パラリ空港改善,カンケサントゥライ港整備,サンプール発電所建設及びトリンコマリー経済特区整備といった計画中の協力事業についても話し合われた。そのほか,同委員会では,観光,航空,石油,エネルギー,鉄道,開発支援,文化,教育,科学技術,農業,防衛,テロ対策,保健,議員交流など多岐にわたる分野について話し合われた。また,懸案となっているインド漁師による越境操業問題については,3月にアマラウィーラ漁業・水産資源相がインドを訪問して解決策を探ることになった。さらに,合同委員会終了後,両国間で,北部州の学校改修及び東部州のバティカロア病院での外科施設増設に係る覚書に署名された。
イ スワラージ外相は,この機会に,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,クマーラトゥンガ元大統領,サンパンタン国会野党代表, SLMC及びインド系タミル政党幹部と会談した。シンハ駐コロンボ・インド高等弁務官によれば,スワラージ外相との会談において,サンパンタンTNA議員団長は民族問題の解決に向けて政府と協力していく旨表明した由。
(4)ゼイド国連人権高等弁務官の来訪
ゼイド国連人権高等弁務官が6~10日の日程でスリランカを訪問。6日に当地に到着した後,ゼイド弁務官は,サマラウィーラ外相と昼食を兼ねた会合を持った。昨年10月の人権決議の実施状況,即ち和解メカニズムの設置状況について話し合われた模様だが,国連側も外務省も詳細は明らかにしなかった。その後,ゼイド弁務官は国連事務所を訪問し,マッカウリー国連常駐代表ほかと会談した。一方で,シンハラ至上主義政党の国民自由戦線(NFF)は同事務所前で抗議デモを実施し,弁務官の写真を燃やすなどした。
国連事務所によれば,ゼイド弁務官は,7日から北部州と東部州を訪問して,州知事,州首席大臣のほか,紛争被害者,国内避難民,市民社会団体関係者などと面会する予定の由。また,10日の出発までにシリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相を表敬するほかキャンディも訪問した。
(5)EU議員団のスリランカ来訪
EU議員団がスリランカを訪問し、9日にヘッティアラッチ国防省次官と政権交代後のスリランカ内政について協議を行った。同国防省次官は政権交代後、軍は土地の解放を行いつつあり、また、平時における国防政策の立案に取り組んでいると説明。また、地雷除去、元LTTE兵の社会復帰支援促進及び北部州・東部州への旅行規制の解除も行ったとして現政権の成果を説明した。
(6)シリセーナ大統領によるドイツ・オーストリア訪問
ア 15日,大統領は,ドイツ・オーストリア歴訪に向けてコロンボを出発。大統領にはサマラウィーラ外相,カルナナヤケ財務相,サマラシンハ技術開発・職業訓練相,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易相ほかが同行した。スリランカ大統領によるドイツ訪問は43年ぶり。
イ 16日,ベルリンに到着した大統領一行は,ホロコースト記念館を視察。翌17日,大統領はメルケル独首相と会談した。メルケル首相は,投資・貿易の機会を探るため,5月に経済大臣を含むハイレベル・ビジネス代表団を派遣するとした。また,スリランカの腎臓病問題への支援に同意した。さらに同首相は,スリランカ政府による和解への取組に満足の意を表するとともに,北部州住民への支援を約束した。スリランカ産魚介類の対EU禁輸措置の解除及び一般特恵関税(GSP)プラスの復活についてもフォローしていくとした。大統領はメルケル首相によるスリランカ訪問を招請し,同首相もこれに応じた。同日,大統領はガウク大統領及びシュタインマイヤー外相とも会談した。18日,大統領は,ムラー経済相と会談したほか,これに先立ち,両国間で,1800万ユーロの国立公園保全,北部州での生計支援及び和解促進事業,並びに中小企業のための技術支援に係る2つの覚書が署名された。同日,大統領は投資セミナーにも出席した。
ウ 19日,シリセーナ大統領はオーストリアに入り,フィシャー大統領と会談した。フィッシャー大統領は,スリランカ産魚介類の対EU禁輸措置の解除に協力する旨述べた。会談後,シリセーナ大統領は,経済交流強化などについて協議したとする声明を発出した。20日,大統領は在留スリランカ人と懇談し,自身の政権はあらゆる国々と友好関係を構築しており,敵対国はいなくなった,また,国内で民族調和を推進しており,在外スリランカ人が帰国し,新たな国づくりに協力することを希望していると述べた。
(7)サマラウィーラ外相の訪米
サマラウィーラ外相が21日~24日、ニューヨークの国連本部を訪れた。同外相はパワー米国国連常駐代表、フェルトマン国連平和構築長と協議を行い、また、スウェーデン国連常駐代表主催の昼食会で米国、豪州、日本及び韓国といったドナー各国と平和構築メカニズム及びスリランカの開発について協議した。23日にはクラークUNDP総裁と国連のスリランカ支援強化に向けた協議を行った。また、UNDPの閣僚級協議では、主要パネリストを務め、スリランカが1948年に独立した際、タイムズ・オブ・ロンドン紙がスリランカは東のスイスになると予測したにもかかわらず、国内の多民族への対処を誤り、コミュニティー間不信を助長したため内戦が勃発した、この教訓を踏まえ、スリランカではすでに真実追究、正義、補償、再発防止の4の分野での和解メカニズム設置に向けた国民協議が開始されているとして新政権の成果を説明した。
サマラウィーラ外相は26日、アメリカ平和研究所(US Institute of Peace)で講演し、スリランカ政府は和解プロセスに向けた国民協議終了から6~8ヶ月後に責任追及を行う特別法廷を設置すると述べた。そして質問に対し、法廷の形についてはタミル国民連合(TNA)や他の政党と協議を行うが、同法廷の信頼性を高めるためには何らかの国際的関与が必要であるとの見解は国会内で広く共有されている、外国人の判事・科学捜査官・捜査官・検事の参加に関し政府は決定を下しておらず、国民協議を通し、外国人をどのレベルまで参加させるのかを決定すると述べた。また、政府は1年以内に和解メカニズムを設置するつもりであり、3月の第一週には専門家チームが南アフリカに向けて出発するとも述べた。さらに、国民協議は3ヶ月かけて行うこととしており、その後、1ヶ月で和解メカニズム設置に必要な法律を国会で成立させるといったタイムラインを説明。なお、大統領は前政権中に起こったメディア関係者への攻撃についての捜査を行う大統領委員会の設置を考えていると説明した。
(8)ジョン・キー・ニュージーランド首相の来訪
キー・ニュージーランド首相が23日からスリランカを公式訪問中。24日、同首相はシリセーナ大統領を表敬し、スリランカは「アジアの輝く光」(Shining Light of Asian Region)であると述べ、スリランカはニュージーランドの投資家にとって、多大なる可能性を秘めていると述べた。また、2013年に訪れた際に比べ、大きな変化が見られるとして、特に現政府による民主主義の強化及び汚職の追求を評価しつつ、農業の分野での二国間関係強化に向けての期待を述べた。同日、ニュージーランドが当地地方経済省を通し、スリランカの酪農強化の支援を行う旨のパートナーシップ合意を締結した。
(9)中尾アジア開発銀行総裁の訪問
中尾アジア開発銀行総裁がスリランカを23日に2日間の予定で訪問。23日、シリセーナ大統領を表敬し、スリランカで行われているアジア開発銀行のプロジェクトについて協議を行った。26日、アジア開発銀行とスリランカ港湾局はコロンボ港の東コンテナ・ターミナル開発支援、中小企業支援などについての覚書を締結した。
(10)モルディブ沿岸警備船の親善寄港
25日、モルディブ沿岸警備船「フラヴェー」がコロンボ港に親善寄港し、スリランカ海軍の歓迎を受けた。同船は28日に当地を出港予定。
(11)シリセーナ大統領のシンガポール訪問
27日、シリセーナ大統領はシンガポールで2月26日から手術・治療を受けているセナラトナ保健大臣の見舞いのために、スリランカを出発した。なお、同大統領は28日朝、シンガポールから帰国した。
(12)米国による記者の能力向上支援
米国務省は,スリランカの記者の能力向上研修を実施する機関を支援するため,計50万ドルを贈与することを決定し,事業提案の受け付けを開始した。米国務省は,同研修事業を通じて,記者のみならず編集者も含めて調査に基づく記事執筆に精通すること,和解や移行期の正義の問題がメディアでより多く取り上げられるようになることが望ましいとしている。
(13)ウーワ州と韓国政府の覚書の締結
ウーワ州と韓国政府がゴミのリサイクル及び発電に関するプロジェクトの覚書を結んだ。同プロジェクトにより約1000の雇用も創出される。