【平成29年4月~6月】

平成29年9月20日

【平成29年4月~6月】



1 社会・治安情勢

4月中旬からイスラム関連だといわれている襲撃事件が約15件発生したと報道され,一時,シンハラ人とムスリムの間で緊張が高まることが懸念されたが,一部被疑者が逮捕され始めるに従い,事態は収束している。

他方,最近,コロンボを中心に,セイロン電力庁(CEB)や郵便局の労働組合によるストライキや,私立南アジア技術・医学学院(SAITM)の廃止を求める政府医療関係者協会(GMOA)や学生による抗議活動が頻発し,市民生活にも一部支障が生じている。

この他,4月14日にコロンボ郊外のミートタムッラで発生したごみ処分場堆積物崩落事故では32人,5月下旬に南西部を中心に発生した洪水や土砂崩れでは約220人がそれぞれ死亡する等の大規模な災害が発生した。

  

2 一般犯罪・交通事故の傾向

(1)一般犯罪

スリランカ警察が発表した昨年の犯罪発生件数報告によれば,凶悪犯罪発生件数は36,937件と一昨年と比較して8.8%の減少となっているものの,殺人を始めとする犯罪は依然,高水準で推移している。また,薬物犯罪の蔓延も懸念される。

 主な罪種の内訳は以下のとおり。


                                                      

(2)交通事故

スリランカ警察の統計によれば,昨年の交通事故件数は39,086件であり,うち死亡者は過去最高の3,003人を記録した。

死亡交通事故の多さは,近年の車両台数の急増によるほか,悪質な運転に起因するところが大きい。

昨年の死亡交通事故の原因内訳は以下のとおり。

殺人 502件(前年比5.5%増)
放火 486件(同4.3%増)
住居侵入 10,287件(同19.0%減)
詐欺(被害額30万ルピー以上) 5,472件(同1.1%減)
薬物犯罪 2,078件(同26.6%増)
危険運転1,467件
速度超過 397件
整備不良 264件
危険追越し 190件
居眠り運転 56件
その他 629件
                                      

(3)邦人被害事案

  ア 5月上旬,邦人男性観光客が東部州トリンコマリーのレストランで,声をかけてきたスリランカ人男性と意気投合し飲食を共にしたところ,貴重品の入った鞄を何者かに盗まれた。
  イ 5月中旬,邦人女性観光客がコロンボ市フォート駅で,背負っていたリュックサックを何者かに開けられ,旅券等貴重品の入ったポーチを盗まれた。
  ウ 5月下旬,スリランカ中部ダンブッラ町で邦人女性観光客が三輪タクシーの男性運転手に「マッサージ店に行かないか」と声をかけられ,乗車したところ,遠方に連れて行かれた上,運転手から性的嫌がらせを受けた。
  エ 5月下旬,スリランカ南部ブッタラ町に出張中の邦人男性がホテル自室に滞在中,呼び鈴に応え自室ドアを開けたところ,見知らぬ男にいきなり棒で額を殴打され負傷した。男はそのまま逃走。
  オ 6月下旬,コロンボ市内のホテルに滞在していた邦人男性が部屋を留守にしたところ,何者かに旅券や貴重品の入った鞄を盗まれた。

(4)邦人以外の被害事案

ア 4月27日,カザフスタン人2人を含む5人がコロンボ・キャンディー道を車で走行中,ローリーと衝突し負傷した。
イ 5月28日,英国人2人及びネパール人1人がスリランカ山間部ハプターレで三輪タクシーに乗って現れたギャング集団に襲われ,競技用自転車及び携帯電話を強取された。
ウ 6月28日未明,中国人女性がコロンボ市内の自宅アパート近くで,車両から降りた際に1,500万ルピーを強取された。

3 テロ・爆弾事件発生状況

5月13日朝,コロンボ市内のスリランカ医療協会敷地内に手榴弾1個が投げ 込まれたが,不発のまま警察に処理された。


4 誘拐・脅迫事件発生状況

今期における発生はなし。


5 日本企業の安全に関わる諸問題

直接的に進出日本企業の安全に影響を及ぼす事案は発生していない。