当国情勢

平成29年12月15日

2017年10月1日 - 10月31日

スリランカ情勢(201710月)
 
1 内政
(1)ロヒンギャ難民襲撃事件:続報
ア 9月に31名のロヒンギャ難民が襲撃された事件に関連して,2日,ダヤラトナ僧が逮捕された。
イ 20日,新たに1名の僧侶が逮捕された。
(2)議会民主主義70周年記念特別議会
ア 3日,ウィクラマシンハ首相は議会民主主義70周年を記念して開かれた特別議会で,スリランカ人としての真のアイデンティティ確立に失敗したことで,1978年に導入された解放経済の最大限の成果を得ることを妨げたのみならず,30年に亘る紛争につながったと述べた。
イ 同議会でシリセーナ大統領は,我々は国の統一性を維持しながら議会を強化することを目指しており,そのために全ての政党に属する全ての議員の協力が必要である,議会は1978年憲法と第18次修正により弱体化してしまったが,第19次修正で強化することができたと述べた。
(3)中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑
ア 4日,中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑にカルナナヤケ前財務大臣が関与していた疑いに関し,3つの国営銀行からの8名の証人が,カルナナヤケ前財務大臣に中央銀行国債の第一回入札の前日に招聘され,国債の入札申し入れ額を下げるよう求められたと証言。
イ 11日,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣及びハシム国営企業開発大臣が大統領調査委員会に召喚され,国債売却が行われる前の2015年2月26日に朝食会に出席し,道路開発事業の為に150億ドルが至急必要である旨に関し協議したが,同資金をどのように集めるのかについては協議しておらず,国債に関する協議も無かったと証言。
(4)ナマル・ラージャパクサ議員を巡る動き
ア 5日,警察の要請を受けたハンバントタ裁判所が,ラージャパクサ前大統領の長男であるナマル・ラージャパクサ議員らに対し,南部州ハンバントタ県での抗議集会を控えるよう言い渡したが,翌6日,同県に位置する印総領事館前で,同議員,アルンディカ・フェルナンド議員,クマール・ウェルガマ議員,マヒンダナンダ・アルツトゥガマゲ議員及びチャマル・ラージャパクサ前国会議長を始めとした統一野党支持者がマッタラ空港の印企業への引き渡しに反対するとの抗議活動を実施。警察と衝突し,26名が逮捕された。10日には,ナマル・ラージャパクサ議員を含む計6名が裁判所の命令に背き,公共資産にダメージを加えたとして逮捕され,16日までの勾留が決定。
イ 約3000万ルピーをGowers Corporate Services (Pvt) Limited社を通して資金洗浄したとして今年6月に起訴されたナマル・ラージャパクサ議員を含む計5名の初公判が来年2月16日に行われることが決定。
(5)地方議会選挙
ア 9日,8月31日に成立した地方議会選挙修正法案を反映させた市議会条例修正法案,町議会条例修正法案及び村議会法修正法案が国会で可決された。これにより,来年初旬に60%が小選挙区,40%が比例区での混合選挙制度で地方議会選挙を実施することが可能となる。
イ カリアッパー・スリランカ・ムスリム会議(SLMC)幹事長は,地方議会選挙でSLMCは北部州と東部州を除き,統一国民党(UNP)と共闘するとの姿勢を示した。
(6)新憲法制定関連
ア キリエッラ高等教育・ハイウェー大臣が憲法制定議会運営委員会中間報告書をアスギリヤ派大僧正に手渡した。同大僧正は意見表明をせずに憲法制定議会を欠席する者は無責任でありそのような行動は称賛できないと述べた。
イ 21日,シリセーナ大統領は北部州ワウニアの式典で,権限の委譲は政治家の権限強化の為ではなく,国民のニーズに応えるために行われるべきとの考えを示し,また,一部のメディアが憲法制定議会運営委員会の中間報告書に関し,国民をミスリードする虚偽の報道を行っていると述べた。
ウ 22日,コーッテの仏教一派であるカリヤニ・カララ派が,現在は新憲法に取り組む時期ではないとして,憲法制定議会運営委員会の提言を一時的に取り下げるよう申し入れることで一致した旨発表。
エ 24日,ジャヤスーリヤ国会議長は声明を発出し,ウィーラワンサ国家自由戦線(NFF)党首が最近,提案されている憲法草案が国会で3分の2以上の票を得て採択される場合には国会が爆破されなくてはならないと発言したと報じられたことについて,近く国会で取り上げる旨述べた。国会では1987年にウィーラワンサ議員の親戚であるJVP活動家による手りゅう弾投擲により2人が死亡,16人が負傷している。
オ 26日,統一野党は同月30日から始動される憲法制定議会での同議会運営委員会中間報告書の議論に参加する意向を再度表明。
カ 31日,アスギリヤ派のメダンカラ僧は,新憲法制定に向けた取組は,前政権を権力の座に再度据えようとする一部の僧侶により悪影響を受けてはならず,現政権は同政権に投票した620万人の国民のために尽力すべきとの見解を示した。また,マルワッタ派大僧正も,地方への権限の委譲に関し何も問題はないと述べており,一部の僧侶が新憲法をサボタージュするための政治的アジェンダを持って活動している,新憲法に反対する僧侶より多くの僧侶が新憲法を好意的にとらえており,この点は強調される必要があると述べた。
(7)スリランカ自由党(SLFP)内の動き
ア シリセーナ大統領は統一野党議員を含む一部のSLFP地区責任者を解任し,クマーラトゥンガ元大統領を含む,新たに50名の新SLFP地区責任者を任命。
イ 17日,シリセーナ大統領は大統領府で新たに9名のSLFP地区責任者を任命。
ウ 29日,シリセーナ大統領はウィジェセカラ郵政・イスラム教副大臣(SLFP:ガンパハ地区選出)を同地位から解任。30日,同元副大臣は憲法制定議会で新憲法には多くの宗教リーダーが反対しており,自分はそのような取組に加担する訳にはいかないと述べ,統一野党側にクロスオーバーした。
(8)私立南アジア技術・医学学院(SAITM)医学部廃止の決定
 政府は29日の声明で,SAITMの医学部を国有化することで医学教育の水準を落とすことのないよう要求するデモが続いていたことを受けて設置された大統領委員会(委員長:デシルバ国家政策・経済副大臣)が,同学院の医学部を廃止し,高等教育省の下,非営利的な機関を設置することを提言したと述べた。
 
2 国民和解
(1)拘留者を巡る動き
ア 7日,シヴァニャーナム北部州議会議長を含む州議会6議員がアヌラーダプラ刑務所を訪問し,9月23日以降,刑の宣告もしくは釈放を要求してハンガーストライキを行っていた元LTTE兵士に対し,大統領と会って取り上げると約束してストライキを止めるよう働きかけたが,元LTTE兵士は右を拒否し,政府が解決に乗り出さないのであれば翌日から水さえも飲まないと脅した。
イ サンパンタン野党代表兼タミル国民連合(TNA)代表がシリセーナ大統領にテロ防止法(PTA)下で拘留中のタミル人拘留者の釈放に向けた取組を行うよう申し入れた。
ウ 13日,北部州でPTA下で拘留中の拘留者の釈放を求めたハルタルが実施され,タミル政治政党及び市民社会の支援のもと,抗議集会が開催された。
エ ウィジェワルダナ国防担当国務大臣は,拘留中のLTTE容疑者は多くの罪を犯したとされており司法プロセスを経ない限り釈放されることはないと発言。
オ 北部州ジャフナ県を訪問したシリセーナ大統領は,タミル言語記念日式典に向かう途中で,乗っていた車が,プレマチャンドランEPRLF代表党が指揮をしていたPTA下で拘留中の拘留者の釈放を求める抗議集会参加者に道を阻まれ,車から降り,抗議集会参加者に同問題に対する政府の立場を説明し,要求は考慮すると述べた。
カ 14日,TNAは,サンパンタン野党代表兼TNA代表発シリセーナ大統領宛の書簡に対する返事がないとして北部州ジャフナ県でシリセーナ大統領が出席したタミル言語記念日式典をボイコット。
キ ジャフナ大学で学部生と一部の教員が拘留者の早期釈放を求めた抗議活動を行い,同大学が無期限に休校せざるを得なくなった。抗議活動参加者は同大学の再開は全拘留者の釈放が行われるまで許さない姿勢を示した。
(2)新タミル政治的考え普及の動き
 TNAがタミル人問題に優先的に取り組まず,タミル政治リーダーシップの分断を生んでいるとして,アーナンダサンガリー・タミル統一解放戦線(TULF)党首が学者,市民社会及び政治家と北部州で新たな政治的考えを普及すべく協議を開始。
(3)国民和解:和解メカニズム調整事務局(SCRM)事務局の設置期限延長
 スリランカ政府はSCRMの設置期限の2019年3月31日までの延長を決定した。同局は2015年に2年の期限で設置されていた。同延期はウィクラマシンハ首相が提案していたもの。
(4)紛争中の事件・事案に対する各裁判所の決定
ア 26日,法務長官は最高裁に対し,チャンドラカンタン(通称ピラヤン)元東部州首席大臣を,2005年12月に発生したパララージャシンガムTNA議員殺害事件に関与したとして東部州バティカロア県高等裁判所に起訴した旨伝えた。公判は11月6日,7日及び17日。
イ 30日,コロンボ高等裁判所は1998年7月30日のデーワーナンダ・イーラム人民民主党(EPDP)党首殺人未遂事件の被疑者であるLTTEの財務管理長であったエミール・カンタン被告を始め計15名を無罪とする判決を下した一方,残りの6名に10年半の禁固刑及びそれぞれ1万ルピーの罰金を下した。
 
3 軍事
(1)スリランカ・米国
ア スリランカ・米海軍共同訓練
 6日,スリランカと米海軍の共同訓練CARAT(Cooperation Afloat Readiness and Training)が終了。CARATは海洋安全保障に関する能力向上と参加国との相互運用性の向上を目的として米海軍とバングラデシュ,ブルネイ等の海軍と実施されてきた2国間共同訓練であり,スリランカ海軍が参加するのは初めて。約1週間,トリンコマリー港において潜水やサルベージ,戦闘救急訓練等が実施された。
イ フェルター米国防長官副補佐官の海軍司令官表敬
 13日,フェルター米国防長官副補佐官(南及び東南アジア担当)が海軍司令官を表敬。表敬間,海洋安全保障や両海軍の関係強化等について意見交換が実施された。
ウ 米空母打撃群のコロンボ寄港
 28日,米空母ニミッツを初めとする第11米空母打撃群(CSG)計6隻(ニミッツ,ミサイル巡洋艦プリンストン,駆逐艦ハワード,スープ,ピンケニー及びキッド)がコロンボ港に入港。米空母のスリランカ寄港は1985年以来32年ぶり。
(2)スリランカ・インド
ア スリランカ・インド陸軍共同訓練の実施
 13日,スリランカ及びインド両陸軍による共同訓練「ミトラ・シャクティ2017」が開始された。訓練は対テロ作戦を焦点として,13日間にわたりインドのプネにおいて実施される予定。
イ 沿岸警備庁巡視船が就役
 21日,スリランカ沿岸警備庁「スラクシャ」が就役。同船はインド沿岸警備庁より供与を受けたものであり,今後はスリランカ領海内の海洋監視や巡視,災害救援活動等に使用される。
ウ スリランカ・インド両海軍による共同海洋調査
 26日から12月21日にかけ,スリランカとインド両海軍がスリランカの南及び西海岸において共同海洋調査を実施する。インド海軍からはストレジ(Sutlej)が参加するが,同艦は2004年の津波災害の際,コロンボ港とゴール港の被害調査を行った実績がある。今回の調査は本年5月に行われた共同海洋調査に引き続くものであり,特に沿岸部及び海岸線に関して前回より詳細な調査が実施される予定。
(3)スリランカ・韓国
ア 韓国との防衛協力協議の実施
 16日から18日にかけ,ウィジェワルダナ国防担当国務大臣は,韓国国防部の招待を受けてソウル国際防衛航空展示会(Seoul International Aerospace and Defense Exhibition 2017)に出席するため韓国を訪問。韓国滞在中,宋永武国防部長の間で,防衛協力や両国の外交関係樹立40周年について会談が行われた。
イ 韓国海軍練習艦隊の入港
 26日,韓国海軍練習艦隊2隻(駆逐艦Kang Gam Chan及び補給艦Hwacheon)がコロンボ港に入港。スリランカ-韓国外交関係樹立40周年を祝う行事に参加した後,29日にインドネシアへ向け出港。韓国練習艦隊の訪問は1977年以来40年ぶり7回。
(4)スリランカ・インドネシア
ア 19日,インドネシア軍の艦船「Ki Bung Tomo号」が親善寄港した。滞在は3日間。
イ 30日,インドネシア海軍練習艦Bima Suciがコロンボ港に入港。11月2日に出港。
(5)「ゴール・ダイアログ2017
ア 9日,海軍司令官シンナイアー中将は,コロンボで開催された国際会議「ゴール・ダイアログ2017」の開会式で,リアルタイムで情報交換を行うために各国海軍間で共通の海上領域を設立することが必要だと述べた。同司令官は,海洋監視や情報収集はより進化しているが,海洋は未だ国家・非国家による多数の違法行為の場となっている,各国による情報交換はテロリストの行動を抑止し,海洋犯罪をなくす重要なツールであり,我々はより協力していく必要があると述べた。ゴール・ダイアログ2017には52カ国及び12機関から代表が参加。
イ 同日,同ダイアログに出席した米海軍ガブリエルソン少将はデイリーミラー紙の「米はスリランカにおける中国のプレゼンスに関して憂慮しているかどうか」という質問に対し,米は中国が今すでに利益を得ているシステムを変更しようと試みている点を憂慮していると述べた。「ガ」少将は,中国には透明性が欠けており,それゆえ中国と働く際には注意深くあるべきだと述べた。また,一帯一路政策が何を目指しているのか,誰がそれにより利益を得られるのかが明確でない,米はスリランカが自身の為に繁栄することを望んでいると述べた。
(6)海軍司令官の交代
 26日,ラナシンハ海軍参謀長が中将に昇進し,第22代スリランカ海軍司令官に就任した。
 
4 外交
(1)ウィクラマシンハ首相の欧州訪問
 5日からウィクラマシンハ首相が独を私的に,そしてフィンランドを公式に訪問。8日にフィンランドに到着したウィクラマシンハ首相はフィンランドの3大企業と協議し,スリランカへの投資を呼びかけた。同首相にはマイトリ夫人,サマラシンハ港湾・海運大臣,カリヤワサム教育大臣,エカナヤケ首相府次官,フェルナンド憲法制定議会事務局次官補他が同行。
イ 9日,ウィクラマシンハ首相はゴミ処理・リサイクル事業に従事するFortum社を視察。
ウ 10日朝,ウィクラマシンハ首相はフィンランド企業連盟(Finnish Industry Federation)との朝食会を開催し,同連盟はスリランカでは投資を行いやすい環境が作られているとの見解を示した。ウィクラマシンハ首相は新たな世界経済情勢に見合った経済概念を取り入れる必要がある,地域市場概念は遅れており,今は世界市場概念の傾向にあるため,産業はこの現実を理解する必要があると述べた。
エ 同日,ウィクラマシンハ首相はシピラ・フィンランド首相と協議し,波力発電開発事業に向けたパイロット事業を行う旨で合意し,エネルギー事業分野での関係強化に向け協議した。また,国会議事堂でロヘラ・フィンランド国会議長と協議し,同国会議長はフィンランドの議会制度につき学んで頂く機会を設けることを前向きに考えている,スリランカの議会民主主義の強化に向けた取組に感心していると述べた。
オ 同日,ウィクラマシンハ首相に同行していたサマラトゥンガ財務次官は,フィンランドから開発事業に向けた無償資金提供を受ける合意に署名した。
カ ウィクラマシンハ首相は滞在中,マッティラ・フィンランド社会・保健大臣とも協議した。
(2)フィールド英国アジア太平洋担当大臣のスリランカ訪問
ア 5~6日の日程で英国のマーク・フィールド・アジア太平洋担当大臣が当地を訪問。同大臣は訪問前の声明で,スリランカ政府の和解と民主主義強化へのコミットメントを歓迎するとともに,野生生物の違法取引根絶のための取組を賞賛した。
イ 同大臣はコロンボでシンハラ及びタミル双方の失踪者家族と失踪者局(OMP)設置に向けた期待を聴取。また,マーラパナ外務大臣と協議し,英国は現連立政権を継続して支援する旨を伝えた。その後同国務大臣は,英国資金で行われている地雷除去地を訪れ,英国地雷除去団体のHalo Trust関係者と協議し,さらに,コロンボとジャフナのブリティッシュ・カウンシルを視察。7日にはクーレイ北部州知事とも協議し,同知事提案の3民族混合学校の設置を支援する旨を表明した。同知事は軍が占拠している土地を元の住民に向け返還すべく準備が進められているが,一部の過激な者の行動が同準備を停滞させていると述べた。
ウ フィールド国務大臣はサンパンタンTNA代表とも協議し,同代表は北部州と東部州の併合の必要性を強調。また,新憲法制定はスリランカが面する課題において重要であり,失敗することはできない,失敗すると暴力が再発するとの懸念を示した。
(3)セナナヤケ外務担当国務大臣のマルタ訪問
 5~6日にかけてマルタで開催された「我らの海洋(Our Ocean」サミットに出席したセナナヤケ外務担当国務大臣が8日に帰国。同サミットで同国務大臣はスリランカは海洋汚染に対応すべくポリエステル製品の輸入・製造・販売を禁止している等発言。また,サイドライン・イベントとしてマスカット・マルタ首相,アベラ・マルタ外相,プジアストゥティ・インドネシア海洋・漁業大臣と会談し,特別ゲストとして同サミットに出席していたチャールズ英皇太子を表敬。
(4)国連人口基金(UNFPA)アジア・太平洋局長の来訪
 アンダーソンUNFPAアジア・太平洋局長が6日から5日間の日程で来訪し,コロンボで開催された第20回「人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)」に出席。
(5)マーラパナ外務大臣のルクセンブルク訪問
 マーラパナ外務大臣がルクセンブルクを訪問し,欧州投資銀行(EIB)本部を訪問。
(6)サマラウィーラ財務・マスメディア大臣の訪米
ア 世界銀行/IMFの協議に出席するために米国を訪問したサマラウィーラ財務・マスメディア大臣は11日,シャノン米国務次官と協議した。同国務次官は11月に米・スリランカ・パートナーシップ対話に出席すべくスリランカの訪問を予定している。サマラウィーラ財務・マスメディア大臣にはティッタウェッラSCRM局長兼財務省上級顧問他が同行。
イ 12日,サマラウィーラ財務・マスメディア大臣はロス米国商務長官と協議した。
ウ 13日,サマラウィーラ財務・マスメディア大臣はニュースを配信するNewsmax TVのルディーCEOと協議した。また,訪米中,G-24の議長に就任し,包括的,公平,そして環境に強靱な経済成長及び雇用の創出の必要性を強調した。
(7)ジャンジュア・パキスタン外務次官の来訪
ア 17日,2日間の予定で当地を初の外遊先として来訪したジャンジュア・パキスタン外務次官がシリセーナ大統領を表敬し,特に貿易関係の強化への希望を述べた。
イ 17日,第5回スリランカ・パキスタン外務省協議が実施され,カリヤワサム外務次官及びジャンジュア・パキスタン外務次官が合同議長を務めた。同協議では貿易・投資,観光,科学技術,教育,出入国管理,国防,スポーツ等の分野での協力関係競技に関し協議された。
ウ 18日,ジャンジュア・パキスタン外務次官はスリランカ・パキスタン同窓会発足式典で,シリセーナ大統領が,パキスタンが第20回SAARCサミットを開催することを支持する考えを示したと述べた。また,数日前にパキスタンが国連人権理事会理事国に選出されたことに関し,スリランカ側の支援に謝意を示した。
(8)グレイフ「真実の権利」国連特別報告者の来訪
ア 10日~23日にかけて,グレイフ「真実の権利」国連特別報告者が来訪し,移行期の正義プロセスの進捗を調査した。
イ 同国連報告者の来訪を受け,11日,外務省は,スリランカ政府は同報告者の助言及び提言に縛られることはないが知見を生かすことはできるとの内容の声明を発表。
ウ 18日,同国連報告者はシリセーナ大統領を表敬。フェルナンド大統領秘書官及びカリヤワサム外務次官が同席。
エ 20日,同報告者はハキーム都市計画・上水大臣を表敬し,同大臣は紛争中に行われたムスリム社会に対する事件や犯罪につき説明し,報告書を提出。
オ 同報告者はガネーサン国民共存・対話・公式言語大臣に対し,当地の和解プロセスは遅れを取っていると述べた。
カ 21日,同報告者はサンパンタンTNA代表と協議し,同代表はPTA下で逮捕・拘留中の拘留者の迅速な保釈,また軍による土地の解放の必要性等を強調。
キ 23日,同報告者は14日間の公式訪問の最終日で記者会見を開き,スリランカは人権問題に前向きに取り組んでいるため国際社会からの支援を得ることができた,しかしながら移行期の正義に関する進展がさらにあっても良かったと述べた。また,移行期の正義メカニズムや信頼の置ける捜査及び死者の追悼は全コミュニティーに利益をもたらす,しかしながら同用語の意味が政治操作され,多数派のコミュニティーに対する脅威として捉えられている,移行期の正義は全コミュニティーの被害者を団結させることが可能であり,組織改革を通して再発防止を行うことを意図していると述べた。
(9)シリセーナ大統領のカタール訪問
ア 25日,カタールを公式訪問したシリセーナ大統領はアール・サーニー・カタール外相と会談し,経済,貿易,観光の分野での二国間関係強化に関し協議した。
イ 26日,シリセーナ大統領はハリーファ・アール・サーニ・カタール首相と二国間関係強化に向けた協議を行った。シリセーナ大統領はスリランカにおけるエネルギー分野での投資の機会につき説明し,また,カタールのこれまでの国際場裏でのスリランカに対する支援及びカタール内のスリランカ人出稼ぎ労働者への支援に謝意を示し,同首相をスリランカに招待した。同首相はこれを快諾し,訪問は二国間関係強化に資するものであると述べた。
ウ シリセーナ大統領はタミーム・カタール首長と会談し,スリランカ航空とのパートナーシップ合意を結ぶこと,また,カタール在住の15万人以上のスリランカ人の子女のためのスリランカの教育システムを採用した学校の建設について要請した。タミーム首長は関係大臣に学校建設の可能性を追求するよう指示した。また,両首脳は二国間関係拡大及びカタールからの投資促進に関する合同委員会の立ち上げについて合意した。タミーム首長はスリランカにおける港湾,インフラ開発への支援,また,カタール開発基金を通しての天然ガス・プラントへの投資の意思を表明した。
(10)マーラパナ外務大臣のタイ国王国葬出席
 26日,マーラパナ外務大臣が夫人と共に,シリセーナ大統領の特使としてタイ国王国葬に出席。
(11)アハマド・アール・サーニ・カタール経済・産業大臣の来訪
ア 第2回カタール・スリランカ経済技術協力合同委員会に出席すべく当地を来訪したアール・サーニ・カタール経済・産業大臣は27日,ウィクラマシンハ首相と首相官邸で協議した。同協議にはラトナヤケ治安・南部開発大臣,バティュディーン産業・商業大臣及びエカナヤケ首相府次官が同席した。
イ 31日,アール・サーニ・カタール経済・産業大臣は大統領府でシリセーナ大統領を表敬。
(12)新大使による信任状の奉呈
 23日,新たにロシア,カナダ,モルディブ,パキスタン,エジプトの新大使がシリセーナ大統領に信任状を奉呈した。