海外安全対策情報
【令和元年10月~12月】
1 社会・治安情勢
11月16日,大統領選挙が実施され,ゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官が52.25%を得票し当選した。同月21日,兄のマヒンダ・ラージャパクサ元大統領が首相に任命され,兄弟で大統領,首相を占める新政権が誕生した。同選挙は概ね平和裏に実施され,大きな混乱は発生しなかった。
なお,新政権誕生間もない11月25日夕方,スイス大使館現地職員女性の拉致疑惑事案が発生し,大きく報じられた(後述4参照)。
2 一般犯罪の傾向
(1)一般犯罪
スリランカ警察の犯罪統計部門によれば,今期は,前年同時期に比べ犯罪発生件数は減少傾向にあり,重罪も目立っていない。
しかし,以下のとおり観光地やホテルでは,目を離した隙にバッグや現金を盗まれる事例が依然多く見られる。
(2)邦人被害事案
ア 10月下旬,コロンボ市内のレストランで,ウェイター2人組にバッグ内財布から紙幣を盗まれた。
イ 11月上旬,コロンボ市内の総合病院で,支払いを他人に依頼したところ釣銭の一部を盗まれた。
ウ 11月中旬,コロンボ発バンコク行き機内で,頭上の荷物入れに鞄を入れていたところ,鞄内の財布から現金を盗まれた。
(3)邦人以外の外国人被害事案
ア 10月上旬,西部州ネゴンボのホテルで,ベルギー人カップルが部屋に置いておいた現金をホテル従業員に盗まれた。
イ 10月上旬,南部州マータラで,中国人男性が店から出てきたところ,現金入りのバッグをひったくりされた。
ウ 10月上旬,サバラガムワ州エッラのホテルで,中国人カップルが部屋に置いておいた現金入りバッグ及び携帯電話を盗まれた。
エ 10月中旬,北中部州アヌラダプラで,ドイツ人女性が歩いていたところ,現金入りハンドバッグをひったくりされた。
オ 10月中旬,中部州キャンディのホテルで,インド人男性が部屋のロッカーに置いておいた現金をホテル従業員に盗まれた。
カ 10月中旬,南部州マータラのビーチで,イスラエル人カップルが集団に襲われ,携帯電話を奪われた。
キ 11月上旬,中部州キャンディのホテルで,ニュージーランド人男性がホテルオーナーと飲酒していたところ,オーナーに恐喝されてキャッシュカード及び暗証番号を提供し,ATMから現金を引き出された。
ク 11月上旬,南部州マータラのホテルで,ロシア人女性が気づかぬ隙に,窓ガラスを割って室内に忍び込まれ,現金を盗まれた。
ケ 11月中旬,西部州マウントラビニアで,カナダ人男性が飲酒先から戻る途中,集団に襲われ現金入りの財布を盗まれた。
コ 11月下旬,中部州シギリヤで,中国人男性がシギリヤロックに登る途中,ベンチで休息していた隙に,帽子を盗まれた。
サ 12月上旬,コロンボから西部州バンダラガマに向かうバス中で,ロシア人男性が財布を盗まれた。
シ 12月上旬,サバラガムワ州エッラのパブで,ロシア人男性が飲酒している隙にデジタルカメラを盗まれた。
ス 12月上旬,コロンボ市内で,ドイツ人男性がバーベキューをしていた隙に,携帯電話を盗まれた。
セ 12月中旬,コロンボ市で,アメリカ人女性がフェイスブックで知り合ったスリランカ人男性の自宅を訪問したところ,わいせつな言葉を掛けられた。
ソ 12月中旬,中部州キャンディのホテルで,中国人男性が部屋に置いておいた現金入り財布を盗まれた。
タ 12月下旬,南部州ミリッサで,サウジアラビア人女性がフットマッサージを依頼したスリランカ人男性にわいせつな行為をされそうになった。
3 テロ・爆弾事件発生状況
今期における発生は無し。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
11月25日夕方,スイス大使館現地職員の女性がコロンボ市内で5人組の男に車両に連れ去られ暴行を受けた上,査証関連の資料を強取された後,自宅近くで解放されるという拉致容疑が浮上した(上記1参照)。ただし,その後のスリランカ当局の捜査により同現地職員の申告が虚偽だった容疑が深まり,12月16日,同職員は逮捕された(後に釈放)。
5 日本企業の安全に関わる諸問題
今期における発生は無し。