海外安全対策情報(四半期毎更新)
海外安全対策情報
【令和4年4月~6月】
1 社会・治安情勢
外貨準備高不足等の様々な要因に起因する燃料、食料、生活必需品、医薬品を含む物資の著しい不足や急激な高騰、電力不足からの慢性的な停電等にみられる経済状況の悪化に対し、不満が蓄積した市民による道路封鎖、抗議行動が全国で連日多発し、警察及び軍との衝突も頻発している。5月9日には、全国で国会議員等の家屋100棟以上、車両100台以上が襲撃・略奪・放火され、4月以降の一連の衝突及び襲撃による死者は10名に及んだ。
給油所や料理用ガス販売所、食品店等、市民による行列が発生する場所においては、物資の提供に関する不公平感、提供量不足に対する不満により抗議及び衝突が発生しやすい傾向にある。
警察及び軍は、犯罪行為に至らなければ静観するとしているが、抗議現場においては催涙弾の使用や放水が頻繁に実施されており、これら抗議行動の現場付近に不用意に接近することは危険を伴う。
燃料不足により列車及びバスの運行が制限されることがあるほか、他の交通手段が確保できない等、移動に困難が伴う可能性があり、これに乗じた犯罪も発生している。また、一部の医薬品不足のほか、燃料不足により職員の出勤が困難である事を理由に、必要な医療サービスを受けることができない可能性がある。
7月7日時点で、政府から外出禁止令等の移動規制は課されていないが、状況に応じ、これらの規制が急に発出される可能性がある。
2 一般犯罪の傾向
(1)一般犯罪
スリランカ警察によれば、殺人、強盗、住居侵入及び盗難事件の発生件数が増加傾向にある。観光客をターゲットとした盗難、詐欺、性犯罪事案も発生しているところ、燃料不足や観光客不足を理由とした三輪タクシー等の運賃過剰請求が常態化している。
性犯罪及び性的嫌がらせは、被害者の国籍に関係無く、また、歩行中、三輪タクシーの乗車中、又はゲストハウス等、時間帯、場所を問わず発生している。
薬物事犯では、大麻・ヘロインのほか、覚醒剤の押収量が増加しており、スリランカ警察及び軍では危機感を抱いている。
(2)邦人被害事案
コロンボ市内に宿泊する男性がホテルから外出しようとした際、同ホテルレストラン従業員と称するスリランカ人から声を掛けられ、外出先を告げたところ、「そこは一人で行くと危険」等と言われ、後方で待機していたトゥクトゥクに同乗して移動することになった。その後、頼んでもいない寺や宝石店に連れて行かれ宝石を買わされたほか、片道約10,000ルピーずつに加え、案内料として15,000ルピーを支払わされた。
(3)邦人以外の外国人被害事案
ロシアのエアフロート社航空機が商業裁判所の命令で離陸を許可されずバンダラナイケ国際空港で一時留め置かれた事案の後、ロシア人観光客が大幅に減少したほか、現下の経済状況悪化に伴い、必要な渡航を除きスリランカへの旅行を控えるよう推奨するトラベル・アドバイスが複数発出された。その結果、観光客数が減少し、外国人に対する犯罪件数も減少したが、経済苦から外国人を標的とした過剰請求が常態化しているほか、滞在中の外国人に対する盗難、性的犯罪等も発生している。
(4)交通事情
スリランカにおける交通マナーは劣悪で、規制、規則は遵守されない。
車両通行量は多く、市中の主要道路においては慢性的な交通渋滞が発生しているところ、燃料不足により多くの給油所付近で行列が恒常的に発生し、これにより通行可能な車線が少なくなることで更なる交通渋滞を招いている。また、道路封鎖を伴う抗議行動が頻発していることがこの状況に拍車を掛けているが、これらの混雑のなかを少しでも早く進もうとする無謀運転が、劣悪な交通事情に拍車を掛けている。
燃料不足により、自転車や馬車・牛車の利用が散見されるが、車道の中央を走行する者が多いため、これらを避けようとした車両により交通事故が惹起されるケースが増加している。
交通死亡事故も多発しており、徒歩及び車両利用のいずれの場合においても、通行には格段の注意が必要である。
3 テロ・爆弾事件発生状況
今期における発生はない。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
今期における発生はない。
5 日本企業の安全に関わる諸問題
今期における発生はない。