海外安全対策情報(四半期毎更新)

令和4年10月19日
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海外安全対策情報
【令和4年7月~9月】
 

1 社会・治安情勢
外貨準備高不足等の様々な要因に起因する燃料、食料、生活必需品、医薬品を含む物資の著しい不足や急激な高騰、電力不足からの慢性的な停電等にみられる経済状況の悪化に対し、不満が蓄積した市民による抗議活動の暴徒化が全国で連日多発し、道路の封鎖や治安機関との衝突が頻発した。5月には全国で国会議員等の家屋100棟以上、車両100台以上が襲撃・略奪・放火され、7月には大統領官邸、大統領府、首相府、首相事務所が暴徒に襲撃されて略奪・占拠される事態に陥ったほか、首相私邸が放火されるなど、4月以降の一連の暴動及び襲撃による死者は10名を超えた。ゴタバヤ前大統領が退陣に追い込まれ、暴動が沈静化しつつある現時点においても、治安機関による暴徒・抗議参加者への催涙弾の使用や放水は頻繁に実施され、これら暴動の現場付近に不用意に接近して催涙ガスを吸引し、呼吸困難に陥ったことによる死亡者も発生したものの、8月、9月は小康を保っている。
給油所や料理用ガス販売所、食品店等では市民による行列が発生しやすい傾向にあり、給油所における慢性的な行列が解消された後も、物資の提供に関する不公平感、提供量不足に対する不満による小規模な衝突は散発している。
燃料の供給量は慢性的に制限されているため、交通手段の確保ができない状況は継続しており、これら移動の困難に乗じた犯罪も発生している。また、一部の医薬品不足のほか、多数の医師が海外に出国している状況が認められ、必要な医療サービスを受けることができない可能性がある。
 
2 一般犯罪の傾向
(1)一般犯罪
 スリランカ警察によれば、暴動の発生は減少傾向にあるものの、経済危機の出口が見えず、生活環境に改善の兆しも無いため、困窮した市民や薬物中毒者による凶悪犯罪が増加し、治安は悪化している。月平均の犯罪発生件数を昨年比でみると、強盗は2割以上、住居侵入は4割以上増加している。観光客をターゲットとした盗難、詐欺、性犯罪事案も発生しており、燃料不足や観光客不足を理由とした三輪タクシー等の運賃過剰請求は常態化している。
 5月以降、自動小銃による銃撃事件が頻発しており、一連の死傷者は50名を超えている。
性犯罪及び性的嫌がらせは、被害者の国籍に関係無く、また、歩行中、三輪タクシーの乗車中、又はゲストハウス等、時間帯や場所を問わず発生している。
 薬物事犯では、従来主流であった大麻・ヘロインのほか、覚醒剤の押収量が増加しており、スリランカ警察及び軍では危機感を抱いている。
(2)邦人以外の外国人被害事案
現下の経済状況悪化に伴い、外国人観光客が減少したため、外国人観光客に対する犯罪件数は大幅に減少した。
(3)邦人に対する被害事案
   観光警察によると、邦人以外の外国人観光客が減少し被害も減少傾向にあるなか、過去2年間把握されていなかった邦人観光客への被害が連続して発生しているとされ、注意を要する。
  ア コロンボ・フォート駅において、混雑の中列車の到着を待ち、人の波に揉まれながら乗車したが、気が付くと鞄に入っていた財布が盗まれていた。
  イ キャンディ市内で喫食中、ポケットに入れていた財布が盗まれた。
(4)交通事情
   スリランカにおける交通マナーは劣悪で、規制、規則は遵守されない。
車両通行量は多く、市中の主要道路においては慢性的な交通渋滞が発生しているところ、これらの混雑のなかを少しでも早く進もうとする無謀運転が劣悪な交通事情に拍車を掛けている。
燃料不足及び価格高騰により、自転車や馬車・牛車の利用が散見されるが、車道の中央を走行する者が多いため、これらを避けようとした車両により交通事故が惹起されるケースが増加しているほか、車道以外の場所を走行する車両により通行人が死傷するケースも後を絶たない。
交通死亡事故も多発しており、徒歩及び車両利用のいずれの場合においても、通行には格段の注意が必要である。
 
3 テロ・爆弾事件発生状況
今期における発生はない。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
今期における発生はない。
 
5 日本企業の安全に関わる諸問題
  今期における発生はない。