海外安全対策情報(四半期毎更新)

令和5年4月11日
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海外安全対策情報
【令和5年1月~3月】
 

1 社会・治安情勢

令和4年上半期は、外貨準備高不足等の様々な要因に起因する経済状況の悪化に対し、不満が蓄積した市民による抗議活動の暴徒化が全国で連日多発し、道路の封鎖や治安機関との衝突が頻発したほか、全国で国会議員等の家屋100棟以上、車両100台以上が襲撃・略奪・放火されたり、大統領官邸、大統領府をはじめとする政府中枢施設が暴徒に襲撃されて略奪・占拠・放火されたりする事態に陥り、一連の暴動及び襲撃による死者は10名を超えた。ゴタバヤ前大統領が退陣に追い込まれ、経済状況に改善が見られ始めて以降は沈静化傾向にあり、令和5年に入ってからは大規模な抗議行動はみられないものの、課税や民営化などの政策に呼応した抗議行動は散発しており、これらに対する治安機関による催涙弾の使用や放水は、より頻繁に実施されている。 

2 一般犯罪の傾向

(1)一般犯罪
 スリランカ警察によれば、経済危機による暴動や抗議行動は一部を除き沈静化したが、困窮した市民や薬物中毒者による凶悪犯罪が増加し、治安は悪化している。月平均の犯罪発生件数を昨年比でみると、2022年は前年比で強盗が30%以上、住居侵入が47%以上増加していたが、2023年第1四半期は、前年比で更に殺人及び住居侵入が1割以上、住居侵入も6%増加している。観光客数が非常に増加しているが、これを標的とする三輪タクシー等の運賃過剰請求が常態化している。暴行、盗難、詐欺、性犯罪事案も多発しているほか、昨年以降頻発している自動小銃による銃撃事件も引き続き発生している。
性犯罪及び性的嫌がらせは、被害者の国籍に関係無く、また、歩行中、三輪タクシーの乗車中、又はゲストハウス等、時間帯や場所を問わず発生しているので、注意を要する。
 薬物事犯では、従来主流であった大麻・ヘロインのほか、覚醒剤の押収量が増加しており、スリランカ警察及び軍では危機感を抱いているところ、覚醒剤関連犯罪に対し死刑を最高刑として新設する法律が施行された。
(2)邦人以外の外国人被害事案
経済状況が改善に向かうなか外国人観光客が増加し、2023年1月から3月は毎月10万人以上が訪問しているとされるところ、これら外国人観光客に対する犯罪件数も増加している。盗難、詐欺、性犯罪のほか、3月になって観光客に暴行を加えて数十万円相当の金品を強取する強盗事件が複数発生している。
(3)邦人に対する被害事案
   アヌラーダプラを観光中の邦人女性が頭痛を訴えた際、ツアーガイドがマッサージを申し出たので、これを受けていたところ、性的嫌がらせを受けた。
(4)交通事情
   スリランカにおける交通マナーは劣悪で、規制、規則は遵守されない。
車両通行量は多く、市中の主要道路においては慢性的な交通渋滞が発生しているところ、これらの混雑のなかを少しでも早く進もうとする無謀運転が劣悪な交通事情に拍車を掛けている。
燃料不足及び価格高騰により、自転車の利用が散見されるが、車道の中央を走行する者が多いため、これらを避けようとした車両により交通事故が惹起されるケースが増加しているほか、車道以外の場所を走行する車両により通行人が死傷するケースも後を絶たない。
交通死亡事故も多発しており、徒歩及び車両利用のいずれの場合においても、通行には格段の注意が必要である。 

3 テロ・爆弾事件発生状況
     今期における発生はない。
 
4 誘拐・脅迫事件発生状況
     今期における発生はない。
 
5 日本企業の安全に関わる諸問題
  今期における発生はない。