海外安全対策情報(四半期毎更新)

令和5年7月1日
>>過去の情報はこちらをクリック

海外安全対策情報
【令和5年4月~6月】

1 社会・治安情勢

令和4年度中は、外貨準備高不足等の様々な要因に起因する経済状況の悪化に対し、不満が蓄積した市民による抗議行動の暴徒化が全国で多発し、道路の封鎖や治安機関との衝突が頻発したほか、全国で国会議員等の家屋100棟以上、車両100台以上が襲撃・略奪・放火されたり、大統領官邸、大統領府をはじめとする政府中枢施設が暴徒に襲撃されて略奪・占拠・放火されたりする事態に陥り、一連の暴動及び襲撃による死者は10名を超えた。
令和5年に入り、経済状況に改善が見られ始めて以降、市民の不満は沈静化傾向にあり、大規模な抗議行動はみられないものの、課税や民営化などの政策に呼応した抗議行動は散発している。治安機関は、抗議行動を鎮圧するため、催涙弾や放水銃を使用することがあるので、抗議行動が実施されている場所及びその周辺には注意が必要である。

2 一般犯罪の傾向

(1)一般犯罪
 スリランカ警察によれば、経済危機による暴動や抗議行動は一部を除き沈静化したが、困窮した市民や薬物中毒者による犯罪が増加しており、月平均の犯罪発生件数は、昨年比で強盗が約10%、住居侵入が約14%増加している。経済状況が改善するに連れ、観光客数が増加傾向にあるが、これを標的とする三輪タクシー等の運賃過剰請求が常態化しているほか、暴行、盗難、詐欺、性犯罪事案も多発している。
性犯罪及び性的嫌がらせは、被害者の国籍に関係無く、また、歩行中、タクシーの乗車中、宿泊施設等、時間帯や場所を問わず発生しているので、常に注意が必要である。
 薬物事犯では、従来主流であった大麻・ヘロインのほか、覚醒剤の押収量が増加しており、スリランカ警察および軍では危機感を抱いているところ、覚醒剤関連犯罪に対し死刑を最高刑として新設する法律が施行された。
(2)邦人以外の外国人被害事案
経済状況が改善に向かう中、外国人観光客が増加し、令和5年6月末までに毎月平均10万人以上がスリランカを訪問しているところ、これら外国人観光客に対する犯罪件数も増加している。今期においては、盗難、強盗、性的嫌がらせ事案の発生が多く確認された。
(3)邦人に対する被害事案
   今期における発生はない。 

3 交通事情
     スリランカにおけるドライバーの交通マナーは悪く、規制、規則が守られないことも多い。車両通行量は多く、市中の主要道路においては慢性的な交通渋滞が発生しているところ、これらの混雑の中を少しでも早く進もうとする無謀運転が、交通事情を悪化させている。
燃料不足および価格高騰により、自転車の利用が散見されるが、車道の中央を走行する者が多いため、これらを避けようとした車両により交通事故が惹起されるケースが増加しているほか、車道以外の場所を走行する車両により通行人が死傷するケースも後を絶たない。
交通死亡事故も多発しており、徒歩および車両利用のいずれの場合においても、通行には格段の注意が必要である。
 
4 テロ・爆弾事件発生状況
    今期における発生はない。
 
5 誘拐・脅迫事件発生状況
  今期における発生はない。

6 日本企業の安全に関わる諸問題
     今期における発生はない。