海外安全対策情報(四半期毎更新)

令和6年7月11日
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海外安全対策情報
【令和6年上半期】

1 社会・治安情勢

令和4年中は、経済状況の悪化に対する抗議行動の暴徒化が全国で多発し、道路の封鎖や治安機関との衝突が頻発したほか、全国で国会議員等の家屋や車両が襲撃・略奪・放火されたり、大統領官邸、大統領府をはじめとする政府中枢施設が暴徒に襲撃されたりする事態に陥り、多数の死傷者が発生した。
令和5年以降、経済状況に改善が見られ始めてからは、市民の不満は沈静化傾向にあり、大規模な抗議行動はみられないものの、課税や民営化などの政策に反対する抗議行動や賃金の増額を求めるストライキ等は散発している。治安機関は、抗議行動等の鎮圧に催涙弾や放水銃を使用することがあるため、抗議行動等が実施されている場所及びその周辺には注意が必要である。
また、令和6年上半期では、同年中に実施される見込みの大統領選挙に向けて政治団体等が活動を活発化させており、大統領候補者争いの行方次第で、政党間の衝突が暴力事案に発展するおそれもあるため、政府関係機関や現地報道機関の発表等から最新の情報を確認することが推奨される。
 
2 一般犯罪の傾向

(1)一般犯罪
 スリランカ警察によれば、経済危機による暴動や抗議行動は概ね沈静化したが、物価高騰により生活に困窮した市民や薬物中毒者による犯罪が増加しており、令和6年上半期の強盗と住居侵入を合計した発生件数は、月平均で令和5年の1.5倍以上に増加している。
暴動や抗議行動の状況が改善するに連れ、観光客数が増加傾向にあるが、これを標的とする詐欺、窃盗、性犯罪事案も多発している。性犯罪及び性的ハラスメントは、被害者の国籍や時間・場所に関係無く発生しているので、常に注意が必要である。
 薬物事犯では、従来主流であった大麻・ヘロインのほか、覚醒剤の押収量が増加しており、スリランカ警察および軍では危機感を抱いているところ、令和5年12月から始まった警察による大規模な薬物対策では、令和6年上半期に10万人以上が逮捕者されている。
(2)邦人以外の外国人被害事案
経済状況が改善に向かう中、外国人観光客が増加し、令和6年1月から6月までに約100万人がスリランカを訪問しているところ、これら外国人観光客に対する犯罪件数も増加している。今期においては、窃盗、強盗、詐欺、性的嫌がらせ事案の発生が多く確認された。
(3)邦人に対する被害事案
列車移動中の男性が、駅で停止した車内で、降車のため出口に向かうスリランカ人の男性に、すれ違いざま鞄をひったくられる事案があった他、宝石詐欺や窃盗未遂に関する相談が寄せられている。
 
3 交通事情

スリランカにおけるドライバーの交通マナーは悪く、規制・規則が守られないことも多い。車両通行量は多く、市中の主要道路においては慢性的な交通渋滞が発生しているところ、これらの混雑の中を少しでも早く進もうとする乗り合いバスや三輪タクシーによる無謀な運転が、交通事情を悪化させている。
交通死亡事故も多発しており、徒歩および車両利用のいずれの場合においても、通行には格段の注意が必要である。
 
4 テロ・爆弾事件発生状況
今期における発生はない。
 
5 誘拐・脅迫事件発生状況
 今期における発生はない。
 
6 日本企業の安全に関わる諸問題
今期における発生はない。