当国情勢
平成29年10月18日
2017年8月1日 - 8月31日
1 内政
(1)カルナナヤケ外務大臣の汚職疑惑及びこれに係わる辞任要求
ア 中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑にカルナナヤケ外務大臣が関与していた嫌疑に関し,3日,統一野党は,32の署名と共に同外務大臣の不信任案を国会に提出。
イ 5日夜,ウィクラマシンハ首相はカルナナヤケ大臣と同大臣の汚職疑惑及び不信任案に関し協議。
ウ 8日,ジャヤスーリヤ国会議長はカルナナヤケ外務大臣への不信任案につき法務長官と協議し,国会に対し,10日に本件不信任案を審議すると伝達。
エ 9日に開催された閣議でスリランカ自由党(SLFP)閣僚は,SLFP議員はカルナナヤケ外務大臣の不信任案を支持する考えを表明。同閣議には同外務大臣は出席しなかった。
オ 閣議後,シリセーナ大統領とウィクラマシンハ首相は大統領府でカルナナヤケ外務大臣と同大臣に対する不信任案に関し協議した。また,SLFP議員の一行が同件に関しウィクラマシンハ首相と協議した。
カ 10日午後,カルナナヤケ外務大臣は国会で特別声明を発表し外務大臣を辞任。
(2)マーラパナ新外務大臣の就任
15日,マーラパナ開発任務大臣(統一国民等:UNP)が大統領府で新外務大臣として就任。
(3)新外務次官の就任
15日,プラサド・カリヤワサム前駐米大使が新外務次官に就任。同新次官は7月29日に新外務次官として任命されていた。
(4)次期選挙を巡る動き
ア 州議会選挙延期を巡る動き
(ア)全ての州議会選挙を同時期に開催するとの旨が記された第20次憲法修正案が3日,告示された。本来であれば,州議会の任期満了から一週間以内に州議会選挙が開催される必要があるものの,本修正案に基づくと,次期州議会選挙は2019年にウワ州の州議会任期が満了するまで延期される可能性がある。
(イ)6日,デーシャプリヤ選挙管理委員長は選挙の延期は世界人権宣言及び民主主義に反するとして反対の見解を提示。
(ウ)10日,シリセーナ大統領が委員長を務めるSLFP中央委員会は,州議会選挙を2019年まで延期する案に反対する旨を決定。また,州議会選挙は来年2月か3月に実施すべきとの見解で一致した。
(エ)24日,ウワ州議会は,州議会首席大臣を含めたSLFP議員が反対し,7票差で第20次憲法修正案を否決した。また,ウィクラマシンハ首相兼UNP党首が全州議会UNP議員に対し,同修正案に賛成票を投じるよう通達していたにもかかわらず,同州議会農業大臣や野党代表を含む6名のUNP議員が棄権したため,UNPはこれら議員を処罰する決定を下した。
(オ)28日,サバラガム州議会はシリセーナ大統領及びサバラガム州知事の要請で,第20次憲法修正案に関する協議を延期。
(カ)28日,第20次憲法修正案につき協議を行った西部州議会で議員同士の争いが発生し,協議が延期されることになった。
(キ)29日,南部州議会で第20次憲法修正案に関する協議が州知事の決定で延期となりかけたものの,これを不服とした統一野党議員が憤慨。同状況を受け,州議会議長は多数の州議会議員が同修正案に関する採決を同日に取る意向を持っているとして採決に持ち込み,同修正案は最終的に否決された。
イ 地方議会選挙法修正案の国会可決
(ア)25日,次期地方議会選挙を新選挙制度の下,実施するとの内容の地方議会選挙法修正案が賛成120票を得て国会で可決された。反対票を投じた議員はおらず,セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣(SLFP)を含めた44名は棄権。審議中に示されたJVPと統一野党の修正要請は反映された。これにより,次期地方議会選挙から単純小選挙区制と比例代表制が併用されることになる。また,地方議会議席数の内,25%が女性議席となる。
(イ)31日,ジャヤスーリヤ国会議長は25日に国会で可決された地方議会選挙法修正法案を承認し,同修正法案が成立した。
(5)ハンバントタ港を巡る動き
ア 5日,サマラシンハ港湾・海運大臣はアスギリヤ派大僧正及びマルワッタ派大僧正と夫々協議し,7月29日にスリランカ政府と中国招商局港口控股有限公司(China Merchants Ports Holdings:CMPort)の間で署名されたハンバントタ港の運営権譲渡に関する合意文書の背景について説明し,理解を求めた。アスギリヤ派大僧正はスリランカの資源を確保するための安定した国家政策の必要性を強調。
イ ハンバントタ港の運営権譲渡に関する合意文書が署名されたことを受け,同地域の活動が活発になるとの見通しを踏まえ,南部州ゴール及びタンゴールに位置するスリランカ海軍基地がハンバントタ県に移転することが決定された。
エ 10日,カルナティラカ与党院内総務兼土地・国会改革大臣はハンバントタ港合意書を国会に提出。
(6)「アワ・グループ」リーダー他の逮捕
8日,テロ捜査局(TID)は北部州ジャフナ県を拠点とするギャング・グループ,「アワ・グループ」のリーダー及び5名のメンバーを逮捕した。
(7)ラージャパクサ司法・仏法大臣の辞任
ア 17日, UNPはラージャパクサ司法・仏法大臣の続投に係る決定を下す特別委員会の設置を決定。同大臣のハンバントタ港の売却には反対するとの発言が問題視され,また,同大臣には前政権の汚職問題の捜査を阻害しているとした不満が示され,多くのUNP閣僚が同大臣の辞任を求めていた。
イ 19日,ラージャパクサ司法・仏法大臣がシリセーナ大統領の連立政権を批判し,仏教僧に対し,政治改革を求めるキャンペーンを主導するよう呼びかけた。
ウ 21日,ウィクラマシンハ首相はシリセーナ大統領に対し,UNPはラージャパクサ司法・仏法大臣を大臣職から辞任させたい考えである旨伝えた。
エ 23日,シリセーナ大統領はウィクラマシンハ首相により伝達された,ラージャパクサ司法・仏法大臣を解任すべきとのUNPの要望を受け入れ,同旨をラージャパクサ司法・仏法大臣に伝えたところ,同大臣は辞任を受け入れた。
(6)新司法大臣及び仏法大臣の就任
25日,新司法大臣にアトゥコーララ海外雇用大臣(UNP)が,新仏法大臣にガーミニ・ジャヤウィクラマ・ペレーラ持続可能な開発・野生生物大臣(UNP)が夫々就任した(何れも現職との兼任)。
(7)セナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣への不信任案の提出
ア 24日,統一野党は39の署名と共に,セナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣(UNP)の不信任案を国会議長に提出。統一野党は,同保健大臣の職務不遂行,漁業大臣時代の汚職及び法務長官オフィスへの司法介入を不信任案提出の理由としている。
イ 27日,人民解放戦線(JVP)はセナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣に対する不信任案を支持する考えを示した。
(8)セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣の政権離脱意向
27日,セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣(SLFP)は,連立政権が発足した当初から,2年の期限を超えて連立政権に留まるつもりはないと公言していた,SLFP政府樹立に向けた取組を開始すると述べ,これ以上UNPと共に政権に留まることはできないとして,政権から出て,野党として活動することを決定したと発言。
(9)シリセーナ大統領が連立政権維持の意向表明
30日,シリセーナ大統領は大統領府で報道関係者との朝食会を開催し,2020年まで連立政権を維持する考えを示した。同時に,SLFPの中央委員会が連立に関する覚書の更新に係る決定を12月に下すと述べた。
2 軍事
(1)スリランカ海軍の新しい艦船が就役
2日,シリセーナ大統領の出席のもと,スリランカ海軍最新かつ最大の新型外洋哨戒船(Advanced Offshore Patrol Vessel)「サユララ」の就役式が実施された。「サユララ」は海軍の要求を元に印ゴア造船所で建造された。主な諸元は全長約105m,幅約14m,最大速度は26ノット(巡航速度は12~14ノット)であり,7000マイルの行動範囲を有する。またヘリコプター1機を運用でき,哨戒や偵察,捜索救難,HA/DR等の任務が期待されている。
(2)中国病院船のコロンボ港寄港
6日,中国海軍の病院船「岱山島」がコロンボ港に4日間寄港した。本船の歓迎式典において,易駐スリランカ中国大使は,「スリランカはインド洋において戦略的に重要な位置にあるが,その重要性はスリランカの平和と発展の為に使用されるべきであり,それゆえ中国が自身の戦略や安全保障の為にスリランカを利用することはない」と発言。
(3)新海軍司令官の就任
ア 18日,シリセーナ大統領はトラヴィス・シンナイアー海軍将官を新海軍司令官として任命した。新司令官はタミルであり,タミル人の海軍司令官としての就任は1970年以降,今回が初めて。同司令官は1982年に海軍に入隊した後,ダートマスの英海軍大学などで教育を受け,スリランカ海軍旗艦のである「サーガラ」艦長や,トリンコマリーに所在する東部管区司令官等を歴任した。同司令官は22日に任務を開始。
イ 22日,ウィジェーグナラトナ海軍司令官は国防参謀長に就任。
(4)米海兵隊とスリランカ海軍の演習
30日,米海兵隊とスリランカ海軍が共催した「非致死兵器セミナー」が終了した。同セミナーは実働演習とセミナーからなり,実働演習にはスリランカ海軍が,セミナーには18カ国の代表の他,国際赤十字等の国際機関からも参加があった。実働演習では暴徒等の取り扱いに関してジュネーブ条約等に関する教育が行われた他,非致死兵器の取り扱いに関するトレーニング等が実施された。
3 国民和解
(1)元スリランカ軍傷兵による抗議行進
8日,元スリランカ軍傷兵がコロンボで,戦闘以外の理由で負傷した元スリランカ軍兵士に対する給与及び特権の支給,軍での勤務が12年以下の傷兵への年金(pension)の支給,様々な理由で逮捕・拘留されている兵士の解放等の要求を掲げて抗議行進を行った。
(2)軍による土地の解放
15日,キリノッチ県軍司令部は2,332エーカーの土地(主に国有地)を国及び元の所有者に返還した。
(3)マーラパナ新外務大臣の外国人判事を巡る発言
18日,マーラパナ新外務大臣は当地の憲法では外国人判事は司法メカニズムに参加することは不可能でありこれは国際社会に説明済である,ただし,外国人判事は国内メカニズムを支援することはできると発言。
(4)サンパンタン野党代表兼TNA代表発グテーレス国連事務総長宛の書簡
サンパンタン野党代表兼TNA代表が再定住及び新憲法制定に向けた取組等の和解プロセスの促進を求めるとの内容の書簡をグテーレス国連事務総長宛に発出した。同書簡は国連人権委員会,当地国連事務所及び駐米大等の外交団にも提出されている。
(5)元LTTE兵士によるハンガーストライキ
アヌラーダプラに拘留中の3名の元LTTE兵士が裁判プロセスの促進を求めて20日からハンガーストライキを開始した。同拘留所には約20名の元LTTE兵士が拘留されており,残りの元LTTE兵士もハンガーストライキに参加する見込み。
4 外交
(1)セナナヤケ外務担当国務大臣の比訪問
ASEAN地域フォーラム(ARF)に出席すべくフィリピンを訪問したセナナヤケ外務担当国務大臣は3日,ルナ比国防副大臣と協議し,国防及び海洋安全の分野で訓練,教育及び経験の共有を通じた防衛関係の強化に同意した。そして4日,同国務大臣はベロ比労働・雇用大臣と協議し,移民労働者の権利強化に向けた枠組に取り組むことで合意した。
(2)米議会超党派グループの来訪
9日,スリランカと米国のさらなる関係強化に向け,米議会超党派議員2名が来訪し,10日,ウィクラマシンハ首相,ジャヤスーリヤ国会議長及びサンパンタン野党代表兼TNA代表を表敬し,新憲法制定に向けた取組,全民族の民主的権利の強化,和解の促進及びスリランカ全土の繁栄を米国は支援している旨強調した。
(3)ワイディヤラトナ国防次官のロシア訪問
22日~27日にかけて,ワイディヤラトナ国防次官が「Army 2017 EXPO」に参加するため,ロシアを訪問した。同国防次官は装備品等に関する説明を受けたほか,フォミン・ロシア国防副大臣と会談を行った。
(4)ウェルズ・米国務次官補代行のシリセーナ大統領表敬他
ア 28日~9月2日の間,当地を来訪していたウェルズ米国務次官補代行は30日,シリセーナ大統領を表敬し,シリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相の主導のもと,民主改革及び和解プロセスが進められているとして大いに歓迎している旨述べた。これに対し,シリセーナ大統領は北部及び南部の一部の過激派が政府に対し,根拠のない主張をしているが,現政権は和解及び開発プログラムを粛々と進めていく意向であると発言。ウェルズ米国務次官補代行は,トランプ米大統領が南アジア・太平洋地域における新戦略プログラムを仕上げており,スリランカは同地域内での米国の重要なパートナーと記されていると述べ,スリランカは米国政府の援助先としてリストされているとも発言。同協議にはフェルナンド大統領秘書官及びカリヤワサム外務次官が同席した。
(5)姉妹都市協定の締結
山西省稷山県とウーワ州モナラーガラ県の姉妹都市協定が締結された。在北京スリランカ大使館は声明で,稷山県は5世紀にスリランカを訪れた法顕の生誕地であるため重要である旨述べた。
(1)カルナナヤケ外務大臣の汚職疑惑及びこれに係わる辞任要求
ア 中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑にカルナナヤケ外務大臣が関与していた嫌疑に関し,3日,統一野党は,32の署名と共に同外務大臣の不信任案を国会に提出。
イ 5日夜,ウィクラマシンハ首相はカルナナヤケ大臣と同大臣の汚職疑惑及び不信任案に関し協議。
ウ 8日,ジャヤスーリヤ国会議長はカルナナヤケ外務大臣への不信任案につき法務長官と協議し,国会に対し,10日に本件不信任案を審議すると伝達。
エ 9日に開催された閣議でスリランカ自由党(SLFP)閣僚は,SLFP議員はカルナナヤケ外務大臣の不信任案を支持する考えを表明。同閣議には同外務大臣は出席しなかった。
オ 閣議後,シリセーナ大統領とウィクラマシンハ首相は大統領府でカルナナヤケ外務大臣と同大臣に対する不信任案に関し協議した。また,SLFP議員の一行が同件に関しウィクラマシンハ首相と協議した。
カ 10日午後,カルナナヤケ外務大臣は国会で特別声明を発表し外務大臣を辞任。
(2)マーラパナ新外務大臣の就任
15日,マーラパナ開発任務大臣(統一国民等:UNP)が大統領府で新外務大臣として就任。
(3)新外務次官の就任
15日,プラサド・カリヤワサム前駐米大使が新外務次官に就任。同新次官は7月29日に新外務次官として任命されていた。
(4)次期選挙を巡る動き
ア 州議会選挙延期を巡る動き
(ア)全ての州議会選挙を同時期に開催するとの旨が記された第20次憲法修正案が3日,告示された。本来であれば,州議会の任期満了から一週間以内に州議会選挙が開催される必要があるものの,本修正案に基づくと,次期州議会選挙は2019年にウワ州の州議会任期が満了するまで延期される可能性がある。
(イ)6日,デーシャプリヤ選挙管理委員長は選挙の延期は世界人権宣言及び民主主義に反するとして反対の見解を提示。
(ウ)10日,シリセーナ大統領が委員長を務めるSLFP中央委員会は,州議会選挙を2019年まで延期する案に反対する旨を決定。また,州議会選挙は来年2月か3月に実施すべきとの見解で一致した。
(エ)24日,ウワ州議会は,州議会首席大臣を含めたSLFP議員が反対し,7票差で第20次憲法修正案を否決した。また,ウィクラマシンハ首相兼UNP党首が全州議会UNP議員に対し,同修正案に賛成票を投じるよう通達していたにもかかわらず,同州議会農業大臣や野党代表を含む6名のUNP議員が棄権したため,UNPはこれら議員を処罰する決定を下した。
(オ)28日,サバラガム州議会はシリセーナ大統領及びサバラガム州知事の要請で,第20次憲法修正案に関する協議を延期。
(カ)28日,第20次憲法修正案につき協議を行った西部州議会で議員同士の争いが発生し,協議が延期されることになった。
(キ)29日,南部州議会で第20次憲法修正案に関する協議が州知事の決定で延期となりかけたものの,これを不服とした統一野党議員が憤慨。同状況を受け,州議会議長は多数の州議会議員が同修正案に関する採決を同日に取る意向を持っているとして採決に持ち込み,同修正案は最終的に否決された。
イ 地方議会選挙法修正案の国会可決
(ア)25日,次期地方議会選挙を新選挙制度の下,実施するとの内容の地方議会選挙法修正案が賛成120票を得て国会で可決された。反対票を投じた議員はおらず,セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣(SLFP)を含めた44名は棄権。審議中に示されたJVPと統一野党の修正要請は反映された。これにより,次期地方議会選挙から単純小選挙区制と比例代表制が併用されることになる。また,地方議会議席数の内,25%が女性議席となる。
(イ)31日,ジャヤスーリヤ国会議長は25日に国会で可決された地方議会選挙法修正法案を承認し,同修正法案が成立した。
(5)ハンバントタ港を巡る動き
ア 5日,サマラシンハ港湾・海運大臣はアスギリヤ派大僧正及びマルワッタ派大僧正と夫々協議し,7月29日にスリランカ政府と中国招商局港口控股有限公司(China Merchants Ports Holdings:CMPort)の間で署名されたハンバントタ港の運営権譲渡に関する合意文書の背景について説明し,理解を求めた。アスギリヤ派大僧正はスリランカの資源を確保するための安定した国家政策の必要性を強調。
イ ハンバントタ港の運営権譲渡に関する合意文書が署名されたことを受け,同地域の活動が活発になるとの見通しを踏まえ,南部州ゴール及びタンゴールに位置するスリランカ海軍基地がハンバントタ県に移転することが決定された。
エ 10日,カルナティラカ与党院内総務兼土地・国会改革大臣はハンバントタ港合意書を国会に提出。
(6)「アワ・グループ」リーダー他の逮捕
8日,テロ捜査局(TID)は北部州ジャフナ県を拠点とするギャング・グループ,「アワ・グループ」のリーダー及び5名のメンバーを逮捕した。
(7)ラージャパクサ司法・仏法大臣の辞任
ア 17日, UNPはラージャパクサ司法・仏法大臣の続投に係る決定を下す特別委員会の設置を決定。同大臣のハンバントタ港の売却には反対するとの発言が問題視され,また,同大臣には前政権の汚職問題の捜査を阻害しているとした不満が示され,多くのUNP閣僚が同大臣の辞任を求めていた。
イ 19日,ラージャパクサ司法・仏法大臣がシリセーナ大統領の連立政権を批判し,仏教僧に対し,政治改革を求めるキャンペーンを主導するよう呼びかけた。
ウ 21日,ウィクラマシンハ首相はシリセーナ大統領に対し,UNPはラージャパクサ司法・仏法大臣を大臣職から辞任させたい考えである旨伝えた。
エ 23日,シリセーナ大統領はウィクラマシンハ首相により伝達された,ラージャパクサ司法・仏法大臣を解任すべきとのUNPの要望を受け入れ,同旨をラージャパクサ司法・仏法大臣に伝えたところ,同大臣は辞任を受け入れた。
(6)新司法大臣及び仏法大臣の就任
25日,新司法大臣にアトゥコーララ海外雇用大臣(UNP)が,新仏法大臣にガーミニ・ジャヤウィクラマ・ペレーラ持続可能な開発・野生生物大臣(UNP)が夫々就任した(何れも現職との兼任)。
(7)セナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣への不信任案の提出
ア 24日,統一野党は39の署名と共に,セナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣(UNP)の不信任案を国会議長に提出。統一野党は,同保健大臣の職務不遂行,漁業大臣時代の汚職及び法務長官オフィスへの司法介入を不信任案提出の理由としている。
イ 27日,人民解放戦線(JVP)はセナラトネ保健・栄養・伝統医療大臣に対する不信任案を支持する考えを示した。
(8)セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣の政権離脱意向
27日,セナウィラトネ労働・労働組合関係・サバラガム開発大臣(SLFP)は,連立政権が発足した当初から,2年の期限を超えて連立政権に留まるつもりはないと公言していた,SLFP政府樹立に向けた取組を開始すると述べ,これ以上UNPと共に政権に留まることはできないとして,政権から出て,野党として活動することを決定したと発言。
(9)シリセーナ大統領が連立政権維持の意向表明
30日,シリセーナ大統領は大統領府で報道関係者との朝食会を開催し,2020年まで連立政権を維持する考えを示した。同時に,SLFPの中央委員会が連立に関する覚書の更新に係る決定を12月に下すと述べた。
2 軍事
(1)スリランカ海軍の新しい艦船が就役
2日,シリセーナ大統領の出席のもと,スリランカ海軍最新かつ最大の新型外洋哨戒船(Advanced Offshore Patrol Vessel)「サユララ」の就役式が実施された。「サユララ」は海軍の要求を元に印ゴア造船所で建造された。主な諸元は全長約105m,幅約14m,最大速度は26ノット(巡航速度は12~14ノット)であり,7000マイルの行動範囲を有する。またヘリコプター1機を運用でき,哨戒や偵察,捜索救難,HA/DR等の任務が期待されている。
(2)中国病院船のコロンボ港寄港
6日,中国海軍の病院船「岱山島」がコロンボ港に4日間寄港した。本船の歓迎式典において,易駐スリランカ中国大使は,「スリランカはインド洋において戦略的に重要な位置にあるが,その重要性はスリランカの平和と発展の為に使用されるべきであり,それゆえ中国が自身の戦略や安全保障の為にスリランカを利用することはない」と発言。
(3)新海軍司令官の就任
ア 18日,シリセーナ大統領はトラヴィス・シンナイアー海軍将官を新海軍司令官として任命した。新司令官はタミルであり,タミル人の海軍司令官としての就任は1970年以降,今回が初めて。同司令官は1982年に海軍に入隊した後,ダートマスの英海軍大学などで教育を受け,スリランカ海軍旗艦のである「サーガラ」艦長や,トリンコマリーに所在する東部管区司令官等を歴任した。同司令官は22日に任務を開始。
イ 22日,ウィジェーグナラトナ海軍司令官は国防参謀長に就任。
(4)米海兵隊とスリランカ海軍の演習
30日,米海兵隊とスリランカ海軍が共催した「非致死兵器セミナー」が終了した。同セミナーは実働演習とセミナーからなり,実働演習にはスリランカ海軍が,セミナーには18カ国の代表の他,国際赤十字等の国際機関からも参加があった。実働演習では暴徒等の取り扱いに関してジュネーブ条約等に関する教育が行われた他,非致死兵器の取り扱いに関するトレーニング等が実施された。
3 国民和解
(1)元スリランカ軍傷兵による抗議行進
8日,元スリランカ軍傷兵がコロンボで,戦闘以外の理由で負傷した元スリランカ軍兵士に対する給与及び特権の支給,軍での勤務が12年以下の傷兵への年金(pension)の支給,様々な理由で逮捕・拘留されている兵士の解放等の要求を掲げて抗議行進を行った。
(2)軍による土地の解放
15日,キリノッチ県軍司令部は2,332エーカーの土地(主に国有地)を国及び元の所有者に返還した。
(3)マーラパナ新外務大臣の外国人判事を巡る発言
18日,マーラパナ新外務大臣は当地の憲法では外国人判事は司法メカニズムに参加することは不可能でありこれは国際社会に説明済である,ただし,外国人判事は国内メカニズムを支援することはできると発言。
(4)サンパンタン野党代表兼TNA代表発グテーレス国連事務総長宛の書簡
サンパンタン野党代表兼TNA代表が再定住及び新憲法制定に向けた取組等の和解プロセスの促進を求めるとの内容の書簡をグテーレス国連事務総長宛に発出した。同書簡は国連人権委員会,当地国連事務所及び駐米大等の外交団にも提出されている。
(5)元LTTE兵士によるハンガーストライキ
アヌラーダプラに拘留中の3名の元LTTE兵士が裁判プロセスの促進を求めて20日からハンガーストライキを開始した。同拘留所には約20名の元LTTE兵士が拘留されており,残りの元LTTE兵士もハンガーストライキに参加する見込み。
4 外交
(1)セナナヤケ外務担当国務大臣の比訪問
ASEAN地域フォーラム(ARF)に出席すべくフィリピンを訪問したセナナヤケ外務担当国務大臣は3日,ルナ比国防副大臣と協議し,国防及び海洋安全の分野で訓練,教育及び経験の共有を通じた防衛関係の強化に同意した。そして4日,同国務大臣はベロ比労働・雇用大臣と協議し,移民労働者の権利強化に向けた枠組に取り組むことで合意した。
(2)米議会超党派グループの来訪
9日,スリランカと米国のさらなる関係強化に向け,米議会超党派議員2名が来訪し,10日,ウィクラマシンハ首相,ジャヤスーリヤ国会議長及びサンパンタン野党代表兼TNA代表を表敬し,新憲法制定に向けた取組,全民族の民主的権利の強化,和解の促進及びスリランカ全土の繁栄を米国は支援している旨強調した。
(3)ワイディヤラトナ国防次官のロシア訪問
22日~27日にかけて,ワイディヤラトナ国防次官が「Army 2017 EXPO」に参加するため,ロシアを訪問した。同国防次官は装備品等に関する説明を受けたほか,フォミン・ロシア国防副大臣と会談を行った。
(4)ウェルズ・米国務次官補代行のシリセーナ大統領表敬他
ア 28日~9月2日の間,当地を来訪していたウェルズ米国務次官補代行は30日,シリセーナ大統領を表敬し,シリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相の主導のもと,民主改革及び和解プロセスが進められているとして大いに歓迎している旨述べた。これに対し,シリセーナ大統領は北部及び南部の一部の過激派が政府に対し,根拠のない主張をしているが,現政権は和解及び開発プログラムを粛々と進めていく意向であると発言。ウェルズ米国務次官補代行は,トランプ米大統領が南アジア・太平洋地域における新戦略プログラムを仕上げており,スリランカは同地域内での米国の重要なパートナーと記されていると述べ,スリランカは米国政府の援助先としてリストされているとも発言。同協議にはフェルナンド大統領秘書官及びカリヤワサム外務次官が同席した。
(5)姉妹都市協定の締結
山西省稷山県とウーワ州モナラーガラ県の姉妹都市協定が締結された。在北京スリランカ大使館は声明で,稷山県は5世紀にスリランカを訪れた法顕の生誕地であるため重要である旨述べた。