当国情勢
平成30年4月12日
2018年2月1日 - 2月28日
1 内政
(ア)2月10日に行われた地方議会選挙の得票率は,SLPPが44.65%,次にUNP(32.63%),UPFA・SLFP(13.38%),JVP(6.27%),ITAK(3.07%)。(11日付電子版アダデラナ)
(イ)得票率は,65%以上に達した。また,特段大きな事件等もなく平穏に終了した。(11日付サンデーオブザーバー紙)
(ウ)18日,UNP及びSLFPは,現政権を継続することで合意した。ジャヤセーカラ・スポーツ大臣は,UPFAはもともと連立政権から退くと主張していたところ,大統領と議論後,継続で合意した旨述べた。S.Bディサナヤケ大臣も,SLFPはシリセーナ大統領を支持すると表明した旨述べた。ジャヤスーリヤ国会議長もこの会議に仲介役として出席した。また,21日(水)までに新内閣を発足させることにつき大統領と首相が合意。(20日付デイリーニュース紙)
(エ)地方議会選挙後に,法律で定められている地方議会における4分の1の女性枠を埋められず,議会を成立させられない事態が発生していることに関し,14日,デーシャブリヤ選挙管理委員長は,特別な状況下で女性枠を満たせなくても議会を成立させることができるようにすべきと発言した。これに対し,15日パドゥマシリ州議会・地方議省次官は,現行法の下で実施された選挙後に,修正を遡って適用することはできないと述べた。また,ロージー・セナナヤケ・コロンボ市長も16日,この法を尊重すべきであり,軽視することは男女差別であると発言した。また,20日に各党リーダーを集めてこの問題が議論されたが,ジャヤスーリヤ国会議長によれば,法を廃止または改正する等の結論には至らなかった。ディネシュ・グナワルダナMEP党首は,公平であることが重要としつつ,関係者は現在様々な選択肢を模索中である旨述べた。(16日付デイリーニュース紙,アイランド紙,17日付デイリーニュース紙,21日付アイランド紙,デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
(オ)24日,地方議会議員の4分の1を女性とする規定について,デーシャプリヤ選挙管理委員長は,実行できない自治体は極わずかに過ぎず,極力この規定に沿うことを推奨する旨述べた。これに対し,ムスタファ地方行政大臣は,選挙管理委員会は推奨するのではなく,命令すべきと述べた。また,地方議会設立の官報発出は,選挙委員会からの要請を受け,3月20日に延期されたと発言。(25日付サンデータイムズ紙,26日付アイランド紙,28日付デイリーニュース紙)
(カ)25日,シリセーナ大統領は,主にUNPを対象とする内閣改造を行い,6大臣,3国務大臣,1副大臣を任命した。セナラトナ保健大臣兼政府スポークスパーソンは26日に,ウィクラマシンハ首相の治安大臣の職務は一時的なものであると発言。また,「シ」大統領は二週間以内にUPFAの内閣改造を行う旨述べた。(26日付デイリーニュース紙)
(キ)27日,新内閣は,2015年より停滞していた,国家監査法案の改訂について承諾した。(28日付デイリーニュース紙)
イ UNPの動き
(ア)1日,デシルバ国家政策・経済副大臣はインフレ率は2017年12月の7.1%から5.8%に減少し,一ヶ月の食費は500ルピー削減されたと述べ,バシル・ラージャパクサ氏による,現政権下でインフレ率や税金,失業率が増加したとの指摘を否定した。(2日付デイリーニュース紙)
(イ)6日,ハシームUNP幹事長は,シリセーナ大統領もウィクラマシンハ首相も全ての法の違反者を訴追できるよう法の執行やシステムを支援することにコミットしている,それこそがスリランカ国民が2015年1月8日に選挙で示した意思であり,我々はそのヴィジョンに引き続きコミットしていると述べた。(7日付デイリーニュース紙)
(ウ)6日,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣は,UNPは汚職で有罪となった者を適切に訴追し,スリランカに新たな段階の透明性をもたらすことができるよう裁判制度を強化し改革を実行していると述べた。(7日付デイリーニュース紙)
(エ)7日,サマラウィーラ財務・マスメディア大臣はマータラでの演説で,ジュネーブでラージャパクサ前大統領が戦争犯罪で訴追されるのを防いだのはUNP政権である,また我々はGSP+を回復した他,EUへの魚類の輸出禁止措置を停止させたと述べた。(8日付デイリーニュース紙)
(オ)11日,ハシームUNP幹事長は敗北を認め,有権者のUNPへの警告と受け止めていると発言。また統一国民戦線(UNF)の構成政党は連立政権が2020年まで維持されることで合意。(12日付デイリーミラー紙,アイランド紙)
(カ)11日,ウィクラマシンハ首相は,シリセーナ大統領と協議し,UNPは今後SLFPシリセーナ派とUNF(統一国民戦線)政権を立ち上げる旨述べた。(13日付アイランド紙,14日付デイリーエクスプレス紙)
(キ)15日,アベイワルダナ内務大臣は,憲法上は大統領に首相を解任する権限はないとメディアに発表。16日,ウィクラマシンハ首相本人も,法的に辞任する理由はないため継続する旨意思表明した。(16日付デイリーミラー紙,17日付デイリーニュース紙・デイリーミラー紙)
ウ SLFP/UPFAの動き
(ア)1日,ディラン・ペレーラ・ハイウェー担当国務大臣兼SLFP報道官は,地方議会選挙でUNPが大敗したら,ウィクラマシンハ首相の代わりに新たな首相が任命される必要があると述べた。(2日付アイランド紙)
(イ)シリセーナ大統領はポロンナルワで演説し,自分は確かに,もしSLFPの全96議員が自分を支持してくれるなら自らの政権を打ち立てると述べたが,自分はSLFPラージャパクサ派は自分の政策を受け入れないため自分には近づけないことを知っている,G.L.ピーリス氏の「スリランカ災いの党」(Sri Lanka Plague Party; SLPP)は詐欺師や汚職人物を庇護する党であると述べた。(4日付サンデーアイランド紙)
(ウ)6日,プレマジャヤンタ科学・技術大臣(SLFP)は,現政権はこのままでは立ちゆかないので,シリセーナ大統領は地方議会選挙直後に国家レベルの変革を行わざるを得なくなる,生活必需品の高騰,失業,経済問題等,国の多くの分野が危機に直面しており,人々は変革を求めていると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
(エ)6日,アマラウィーラUPFA幹事長は国会にて,SLFPはいかなる者も市民権を剥奪されることには同意できないと述べた。またディサナヤケJVP党首は,JVPは汚職捜査委員会(PRECIFAC)の提言のとおり汚職疑惑のある政治家が選挙に立候補できないようにする法案を支持する,国会は法案が起草される場所であって人々が罰せられる場所ではない,としていかなる個人の市民権も剥奪するような試みを撃退すると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
(オ)11日,シリセーナ大統領は,SLFPの敗退について全責任を負う,国民が変化を求めて投票をしたことに対しポジティブに対応し,必要な変化をもたらすと述べた。大統領は,首相をより無難なジャヤスーリヤ国会議長に代えたいと考えている。(12日付デイリーミラー紙)
(カ)18日,スマティパーラ国会副議長は,シリセーナ大統領が首相解任について最高裁の見解を求めた旨述べた。これより前,大統領は法務長官に見解を求めたが,法務長官は憲法上,国民政府についての助言はできないとして,大統領に最高裁の見解を問うべきと助言。シリセーナ大統領は,UPFA議員に対し,最高裁の裁定があるまでは,引き続き政権に残るよう指示。(20日付アイランド紙)
(キ)16日,プレマジャヤンタ科学技術大臣は,大統領がUNPなしの政権を立ち上げる意向を示さない限り,自分を含め15名のSLFP大臣はJOに移る旨をラージャパクサ前大統領に伝えた。(19日付デイリーミラー紙)
(ク)26日,アマラウィーラUPFA幹事長は,今般地方議会選挙の結果をもって,ラージャパクサ前大統領が野党リーダーとなる資格があるわけではないと発言。また,ディサナヤケSLFP幹事長は,今般選挙を国民投票(referendum)と捉えるのは間違っている旨述べた。(27日付デイリーニュース紙)
エ 統一野党(JO)の動き
(ア)5日,ディサナヤケJVP党首は,最近のアルジュン・アローシアス(注:前中銀総裁の義理の息子で国債ディーラー)及びウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使の逮捕は茶番であり,地方議会選挙のために行われたものである,かつて政府はウィーラトゥンガ氏が行方不明と述べたがラージャパクサ前大統領が訪日した際に会っていると述べた。(6日付デイリーニュース紙)
(イ)11日,ピーリスSLPP議長は,今般選挙を,地方議会選挙よりも国民投票(referendum)としてとらえており,現二大政党に対する明確な拒絶であると述べた。(12日付デイリーミラー紙)
(ウ)グナワルダナJO党首は,シリパラ・デ・シルバ大臣が首相に任命される場合,JOとしては異議はない旨述べた。(17日付デイリーミラー紙)
(エ)SLPPのG.Lピーリス党首は,シリセーナ大統領は各党と議論をすることに時間を費やさず,早急にウィクラマシンハ首相を解任すべきだと述べた。同時に,首相が誰であれ,良い経済政策なしでは国の様々な問題は解決されないとも述べた。(20日付アイランド紙)
(オ)19日,グナワルダナJO議員他20議員の求めに応じて,国会にて現在の政治危機について議論が行われた。議論自体は,UNP及びSLFPシリセーナ派と,ラージャパクサ前大統領派を含む統一野党が非難の応酬。そうした中,国会副議長でUPFA選出のスマティパーラ議員(SLFP)は,UPFAのSLFP議員は最高裁の見解が示されるまで連立政権に残るようにとの大統領の要請を受け入れたと述べた。
(2)独立70周年記念式典
4日,シリセーナ大統領は独立70周年記念式典で演説し,汚職との戦いを強化し実施していくことは国の発展を確実にするための自衛行為である旨述べた。(5日付アイランド紙)
(3)汚職関連
ア 4日,中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑に関し,Perpetual Treasuries社オーナーのアルジュン・アローシアス氏と同社CEOのパリセーナ氏が逮捕された。(5日付デイリーミラー紙)
イ 6日,ウィクラマシンハ首相は,PRECIFACの最終報告書の提言にあるとおり,憲法第81条を改正して,重大な犯罪を行って有罪となった人物の市民権を剥奪できるようにすべきと述べた。(7日付アイランド紙)
ウ 6日,国会で行われた国債を巡る汚職疑惑及びPRECIFACについての国会審議は出席議員も少なく静かであった。審議は20,21日に継続される。(7日付デイリーミラー紙)
(4)ウィーラトゥンガ元駐露大使の逮捕
ア ウクライナ政府はUAE政府に対し,逮捕されたウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使はウクライナの市民権を持つことから,同氏をウクライナに引き渡すよう求めた。同氏は4日,ドバイで米国へのトランジット中に拘束された。同氏はウクライナからのミグ27戦闘機の購入や複数の国の反政府勢力に武器を売り渡した容疑がかけられている。警察は,スリランカ政府の特別捜査チームが本7日にUAEを訪問し,ウィーラトゥンガ氏のスリランカへの移送につき協議する旨述べた。(7日付デイリーミラー紙)
イ 9日,スリランカ外務省と法務省は共同のステートメントで,ウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使が,釈放されたものの,捜査が終了するまで,出国を禁じられていることを認めた。ウィーラトゥンガ元駐露大使は,自身のフェイスブックで釈放されたが自分は容疑者ではない,政治的な魔女狩りであり,スリランカに戻るつもりはないと述べた。「ウィ」氏のスリランカへの引き渡しについて議論すべく,11日に政府代表団が,ドバイに渡航予定。(9日付アイランド紙,10日付デイリーミラー紙,11日付サンデーオブザーバー紙)
(5)ミートタムッラごみ処分場堆積物崩落事故関連
6日,ミートタムッラごみ処分場堆積物崩落に関する大統領調査委員会の最終報告書が大統領に提出された。報告書は同地のゴミの除去がコロンボ市当局により系統立てて行われず,解決のための提案に従わなかったことが崩落につながったと指摘した。(7日付デイリーミラー紙)
(6)ベッランウィラ・ウィマララトナ僧の死去
3日,ベッランウィラ・ウィマララトナ僧が肋骨損傷により死去した。8日,国葬が営まれ,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,ジャヤスーリヤ国会長,ラージャパクサ前大統領らが出席した。(9日付デイリーニュースオンライン,11日付サンデータイムズ紙)
(7)経済改革
20日,国家経済評議会(NEC)は国の経済状況を強化するために,翌週から必要な計画をいくつか導入していくことを決定した。具体的な内容については未公表だが,短・中・長期対策それぞれについて大統領と首相の間で議論された。(21日付デイリーニュース紙,アイランド紙)
(8)副大臣の就任
15日,シバリンガムCWC会長が,第一次産業副大臣に就任した。(16日付アイランド紙)
(9)汚職に関する3つの委員会の設置
ウィクラマシンハ首相は,贈収賄と汚職への対応を加速するために,セナラトナ保健大臣,スワミナダン刑務所改革大臣,ペレーラ持続可能な開発大臣をメンバーとする委員会を設置した。また,アトゥコラレ司法大臣,ラトナヤケ青年問題・南部開発大臣で構成される刑事裁判を専門とする大学設立に向けた調整を行うための委員会を設置。さらに,警察への政治介入に対する訴えへの対応を促進することを目的とした委員会を設置。同委員会は,マーラパナ外務大臣,マッドゥマバンダラ行政管理大臣,ラトナヤカ南部開発大臣で構成される。(27日付アイランド紙)
(10)ムライティブにおける抗議活動
23日,TNAの率いる団体及びシヴァジリンガム州議会議員によって,軍が独占しているヴァットゥバイカルの土地の返却を訴える抗議がムライティブにて行われた。(24日付デイリーミラー紙)
(11)アンパラにおけるモスク等の襲撃
26日,アンパラにて,レストランで提供された食事の中に薬物が混入していたことに憤慨した集団が,店やモスクを襲撃する事件が発生した。(27日付アイランド紙)
2 国民和解
(1)「補償に関する国際会議」の開催
22~23日,補償に関する国際会議がIOMの支援の下,和解メカニズム調整事務局(SCRM)の主催で,コロンボ市内ホテルにて開催された。ティッタウェッラSCRM事務局長は,スリランカは恒久平和実現のため民族調和に努めており,政府は和解プロセス進展のため125億ルピーの予算を確保している旨述べた。(23日付デイリーニュース紙)
(2)EUによるOMPへの言及
22日,当地EU代表部はスリランカ政府に対して,失踪者局(OMP)や移行期の正義に関するコミットメントを尊重するべきと述べると共に,多くのスリランカ人が失踪者の運命に関する情報がはっきりしないため,和解の恩恵を被ることができでいないと指摘した。(23日付アイランド紙)
(3)国連人権理事会・ゼイド高等弁務官報告書
ア ゼイド国連人権高等弁務官は,26日から3月23日にかけてジュネーブで開催される人権理事会第37セッションに提出された,「スリランカにおける和解・アカウンタビリティ・人権の促進」と題する報告書中で,2015年1月以降のスリランカ政府によるOHCHR及び国連人権機構との建設的関与を賞賛する一方で,そうした協力は主要なコミットメントの実施を伴わなくてはならない旨言及。また,同報告書で理事会決議30/1におけるスリランカ政府の移行期の正義のコミットメントは1年以上停滞している,信頼醸成措置は十分でなく,実施促進のため設置された機構は十分な政治的支持を得ていない,2017年は断続的な民族間の緊張状態や少数派への襲撃が発生し,完全に解消する見込みはない,拷問や監視が継続しているとの疑惑,また,土地の返還やPTAの廃止といった信頼醸成措置の実施が十分でないといった事態が,政府の改革努力の助けとなる人々を否定的な考えに追いやっている,とした上で,人権理事会に対し,引き続きスリランカにおけるアカウンタビリティと和解の促進において主要な役割を担うことを求めると共に,普遍的管轄権(universal jurisdiction)の適用を含めアカウンタビリティ強化につながる他の手段の可能性も追求するよう提案した。(26日付デイリーニュース紙)
イ 24日, ITAK中央委員会は,ゼイド高等弁務官報告を歓迎するとし,失踪者問題や土地問題等について国際社会やスリランカ政府が積極的に取り組むべきと述べた。(25日付サンデーアイランド紙)
(4)映画「Thundenek」の公開初日
27日,映画「Thundenek」の公開初日を記念する式典において,シリセーナ大統領はスリランカにおける和解に関する国家政策及び共生について演説した。大統領は映画と併せ,スリラン初の和解に関する国家政策を発表したクマーラトゥンガONUR会長を称えると共に,26日にアンパーラで起きたような事件は和解を妨げるものであり,和解を促進させるにあたり,スリランカ国民は共生に努める必要があると述べた。(28日付デイリーニュース紙)
(5)大統領による失踪局(OMP)メンバーの承認
28日,シリセーナ大統領は,OMPメンバー7名を承認した。大統領顧問のサーリヤ・ピーリス氏が局長に就任した。(3月1日付デイリーニュース紙)
3 軍事
(1)第7回インド-スリランカ海軍幕僚会議の開催
7日,コロンボで実施されていたインド-スリランカ海軍幕僚会議が終了した。会議では2国間の国防事項に関する意見交換等が実施された。(8日付国防省ニュースサイト)
(2)バングラデシュ海軍艦船のコロンボ港寄港
7日から10日にかけ,バングラデシュ海軍艦船「Ali Haider」,「Nirmul」がコロンボに寄港した。(9日付国防省ニュースサイト)
(3)イラン海軍艦船のコロンボ寄港
16日から19日にかけ,イラン海軍艦船「Bayandor」「Naghdi」「Tonb」がコロンボに寄港。(17日付国防省ニュースサイト)
(4)スリランカ軍サイバー作戦センターの開設
26日,スリランカ空軍司令部にサイバー作戦センターが開設された。同センターにはモニタリングセンターやサイバーセキュリティー分析センター等で構成され,3軍からの専門家が勤務する予定。(26日付国防省ニュースサイト及びデイリーミラー紙)
(5)ウィジェグナラトナ国防参謀長のインド訪問
27日,インドを訪問中のウィジェグナラトナ・スリランカ国防参謀長は,インド太平洋地域会議2018において,「スリランカはどの国とも軍事同盟を結ばず,どの国の軍隊もスリランカ軍の基地を使用することはない,ハンバントタ港が外国によって軍事利用される恐れがあるといった主張があるが,スリランカの港湾や領海内でインドの安全保障を脅かすような行動は取られることはないと保証する」と述べた。(28日付アイランド紙,ANI記事を掲載)
4 外交
(1)エドワード王子夫妻のスリランカ訪問
3日,独立70周年記念式典出席のためスリランカを訪問したエドワード王子夫妻は,ラトマラーナの視聴覚障害児学校を訪問し,同校及びコミュニケーション障害児のためのリハビリセンターの子供たちと面会した。同夫妻はまた,ブリティッシュ・スクールも訪問した。(4日付サンデーアイランド紙)
(3)王欽敏 全国政治協商会議副主席のスリランカ訪問
独立70周年記念式典出席のため,スリランカを訪問した中国の王欽敏全国政治協商会議副主席が,4日にシリセーナ大統領を,5日にウィクラマシンハ首相を表敬した。(5日及び6日付デイリーニュース紙)
(4)「世界青年の船」(にっぽん丸)のコロンボ寄港
15日,242名の多国籍の青年を乗せた「世界青年の船」(にっぽん丸)がコロンボに寄港。参加する青年らは,16日まで,コロンボ大学生徒とのスタディーツアーを含む多くのプログラムに参加予定。(15日付デイリーニュース紙)
(5)15日,スリランカ海外雇用促進・福祉省は,UAEに滞在するスリランカの出稼ぎ労働者の安全及び福祉に関する合意覚書を同国と締結した。(16日付デイリーミラー紙)
(6)セナナヤケ外務担当国務大臣は,ポーランド政府からの招待により2月15-16日で同国を訪問。15日,マギエロウスキー同国外務副大臣と会談し,投資,観光,教育,運輸,スポーツ等の幅広い分野で今後の政治的・経済的関係強化について議論した。また,ウィデラ同国スポーツ・観光大臣,起業・技術大臣とも会談。両国は航空貨物についての合意文書及びスポーツに関するMOUに署名した。(19日付デイリーニュース紙)
(7)シリセーナ大統領の印訪問
23日,3月11日にインドで開催される国際太陽光同盟(ISA)設立会議に対するモディ印首相とマクロン仏大統領からの招待状が,サンドゥ印高等弁務官とシュー仏大使からシリセーナ大統領に手放された。同大統領は受諾。(25日付アイランド紙)
(8)米国Peace Corpsの契約調印
26日,米国Peace Corpsクラウリー代行取締役とマーラパナ外務大臣の間でスリランカにてPeace Corpsプログラムを再開するための契約書を交わした。スリランカでのPeace Corpsの主な取り組みは,英語教育となる。(27日付デイリーニュース紙)
- 地方議会選挙を巡る動き
(ア)2月10日に行われた地方議会選挙の得票率は,SLPPが44.65%,次にUNP(32.63%),UPFA・SLFP(13.38%),JVP(6.27%),ITAK(3.07%)。(11日付電子版アダデラナ)
(イ)得票率は,65%以上に達した。また,特段大きな事件等もなく平穏に終了した。(11日付サンデーオブザーバー紙)
(ウ)18日,UNP及びSLFPは,現政権を継続することで合意した。ジャヤセーカラ・スポーツ大臣は,UPFAはもともと連立政権から退くと主張していたところ,大統領と議論後,継続で合意した旨述べた。S.Bディサナヤケ大臣も,SLFPはシリセーナ大統領を支持すると表明した旨述べた。ジャヤスーリヤ国会議長もこの会議に仲介役として出席した。また,21日(水)までに新内閣を発足させることにつき大統領と首相が合意。(20日付デイリーニュース紙)
(エ)地方議会選挙後に,法律で定められている地方議会における4分の1の女性枠を埋められず,議会を成立させられない事態が発生していることに関し,14日,デーシャブリヤ選挙管理委員長は,特別な状況下で女性枠を満たせなくても議会を成立させることができるようにすべきと発言した。これに対し,15日パドゥマシリ州議会・地方議省次官は,現行法の下で実施された選挙後に,修正を遡って適用することはできないと述べた。また,ロージー・セナナヤケ・コロンボ市長も16日,この法を尊重すべきであり,軽視することは男女差別であると発言した。また,20日に各党リーダーを集めてこの問題が議論されたが,ジャヤスーリヤ国会議長によれば,法を廃止または改正する等の結論には至らなかった。ディネシュ・グナワルダナMEP党首は,公平であることが重要としつつ,関係者は現在様々な選択肢を模索中である旨述べた。(16日付デイリーニュース紙,アイランド紙,17日付デイリーニュース紙,21日付アイランド紙,デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
(オ)24日,地方議会議員の4分の1を女性とする規定について,デーシャプリヤ選挙管理委員長は,実行できない自治体は極わずかに過ぎず,極力この規定に沿うことを推奨する旨述べた。これに対し,ムスタファ地方行政大臣は,選挙管理委員会は推奨するのではなく,命令すべきと述べた。また,地方議会設立の官報発出は,選挙委員会からの要請を受け,3月20日に延期されたと発言。(25日付サンデータイムズ紙,26日付アイランド紙,28日付デイリーニュース紙)
(カ)25日,シリセーナ大統領は,主にUNPを対象とする内閣改造を行い,6大臣,3国務大臣,1副大臣を任命した。セナラトナ保健大臣兼政府スポークスパーソンは26日に,ウィクラマシンハ首相の治安大臣の職務は一時的なものであると発言。また,「シ」大統領は二週間以内にUPFAの内閣改造を行う旨述べた。(26日付デイリーニュース紙)
(キ)27日,新内閣は,2015年より停滞していた,国家監査法案の改訂について承諾した。(28日付デイリーニュース紙)
イ UNPの動き
(ア)1日,デシルバ国家政策・経済副大臣はインフレ率は2017年12月の7.1%から5.8%に減少し,一ヶ月の食費は500ルピー削減されたと述べ,バシル・ラージャパクサ氏による,現政権下でインフレ率や税金,失業率が増加したとの指摘を否定した。(2日付デイリーニュース紙)
(イ)6日,ハシームUNP幹事長は,シリセーナ大統領もウィクラマシンハ首相も全ての法の違反者を訴追できるよう法の執行やシステムを支援することにコミットしている,それこそがスリランカ国民が2015年1月8日に選挙で示した意思であり,我々はそのヴィジョンに引き続きコミットしていると述べた。(7日付デイリーニュース紙)
(ウ)6日,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣は,UNPは汚職で有罪となった者を適切に訴追し,スリランカに新たな段階の透明性をもたらすことができるよう裁判制度を強化し改革を実行していると述べた。(7日付デイリーニュース紙)
(エ)7日,サマラウィーラ財務・マスメディア大臣はマータラでの演説で,ジュネーブでラージャパクサ前大統領が戦争犯罪で訴追されるのを防いだのはUNP政権である,また我々はGSP+を回復した他,EUへの魚類の輸出禁止措置を停止させたと述べた。(8日付デイリーニュース紙)
(オ)11日,ハシームUNP幹事長は敗北を認め,有権者のUNPへの警告と受け止めていると発言。また統一国民戦線(UNF)の構成政党は連立政権が2020年まで維持されることで合意。(12日付デイリーミラー紙,アイランド紙)
(カ)11日,ウィクラマシンハ首相は,シリセーナ大統領と協議し,UNPは今後SLFPシリセーナ派とUNF(統一国民戦線)政権を立ち上げる旨述べた。(13日付アイランド紙,14日付デイリーエクスプレス紙)
(キ)15日,アベイワルダナ内務大臣は,憲法上は大統領に首相を解任する権限はないとメディアに発表。16日,ウィクラマシンハ首相本人も,法的に辞任する理由はないため継続する旨意思表明した。(16日付デイリーミラー紙,17日付デイリーニュース紙・デイリーミラー紙)
ウ SLFP/UPFAの動き
(ア)1日,ディラン・ペレーラ・ハイウェー担当国務大臣兼SLFP報道官は,地方議会選挙でUNPが大敗したら,ウィクラマシンハ首相の代わりに新たな首相が任命される必要があると述べた。(2日付アイランド紙)
(イ)シリセーナ大統領はポロンナルワで演説し,自分は確かに,もしSLFPの全96議員が自分を支持してくれるなら自らの政権を打ち立てると述べたが,自分はSLFPラージャパクサ派は自分の政策を受け入れないため自分には近づけないことを知っている,G.L.ピーリス氏の「スリランカ災いの党」(Sri Lanka Plague Party; SLPP)は詐欺師や汚職人物を庇護する党であると述べた。(4日付サンデーアイランド紙)
(ウ)6日,プレマジャヤンタ科学・技術大臣(SLFP)は,現政権はこのままでは立ちゆかないので,シリセーナ大統領は地方議会選挙直後に国家レベルの変革を行わざるを得なくなる,生活必需品の高騰,失業,経済問題等,国の多くの分野が危機に直面しており,人々は変革を求めていると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
(エ)6日,アマラウィーラUPFA幹事長は国会にて,SLFPはいかなる者も市民権を剥奪されることには同意できないと述べた。またディサナヤケJVP党首は,JVPは汚職捜査委員会(PRECIFAC)の提言のとおり汚職疑惑のある政治家が選挙に立候補できないようにする法案を支持する,国会は法案が起草される場所であって人々が罰せられる場所ではない,としていかなる個人の市民権も剥奪するような試みを撃退すると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
(オ)11日,シリセーナ大統領は,SLFPの敗退について全責任を負う,国民が変化を求めて投票をしたことに対しポジティブに対応し,必要な変化をもたらすと述べた。大統領は,首相をより無難なジャヤスーリヤ国会議長に代えたいと考えている。(12日付デイリーミラー紙)
(カ)18日,スマティパーラ国会副議長は,シリセーナ大統領が首相解任について最高裁の見解を求めた旨述べた。これより前,大統領は法務長官に見解を求めたが,法務長官は憲法上,国民政府についての助言はできないとして,大統領に最高裁の見解を問うべきと助言。シリセーナ大統領は,UPFA議員に対し,最高裁の裁定があるまでは,引き続き政権に残るよう指示。(20日付アイランド紙)
(キ)16日,プレマジャヤンタ科学技術大臣は,大統領がUNPなしの政権を立ち上げる意向を示さない限り,自分を含め15名のSLFP大臣はJOに移る旨をラージャパクサ前大統領に伝えた。(19日付デイリーミラー紙)
(ク)26日,アマラウィーラUPFA幹事長は,今般地方議会選挙の結果をもって,ラージャパクサ前大統領が野党リーダーとなる資格があるわけではないと発言。また,ディサナヤケSLFP幹事長は,今般選挙を国民投票(referendum)と捉えるのは間違っている旨述べた。(27日付デイリーニュース紙)
エ 統一野党(JO)の動き
(ア)5日,ディサナヤケJVP党首は,最近のアルジュン・アローシアス(注:前中銀総裁の義理の息子で国債ディーラー)及びウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使の逮捕は茶番であり,地方議会選挙のために行われたものである,かつて政府はウィーラトゥンガ氏が行方不明と述べたがラージャパクサ前大統領が訪日した際に会っていると述べた。(6日付デイリーニュース紙)
(イ)11日,ピーリスSLPP議長は,今般選挙を,地方議会選挙よりも国民投票(referendum)としてとらえており,現二大政党に対する明確な拒絶であると述べた。(12日付デイリーミラー紙)
(ウ)グナワルダナJO党首は,シリパラ・デ・シルバ大臣が首相に任命される場合,JOとしては異議はない旨述べた。(17日付デイリーミラー紙)
(エ)SLPPのG.Lピーリス党首は,シリセーナ大統領は各党と議論をすることに時間を費やさず,早急にウィクラマシンハ首相を解任すべきだと述べた。同時に,首相が誰であれ,良い経済政策なしでは国の様々な問題は解決されないとも述べた。(20日付アイランド紙)
(オ)19日,グナワルダナJO議員他20議員の求めに応じて,国会にて現在の政治危機について議論が行われた。議論自体は,UNP及びSLFPシリセーナ派と,ラージャパクサ前大統領派を含む統一野党が非難の応酬。そうした中,国会副議長でUPFA選出のスマティパーラ議員(SLFP)は,UPFAのSLFP議員は最高裁の見解が示されるまで連立政権に残るようにとの大統領の要請を受け入れたと述べた。
(2)独立70周年記念式典
4日,シリセーナ大統領は独立70周年記念式典で演説し,汚職との戦いを強化し実施していくことは国の発展を確実にするための自衛行為である旨述べた。(5日付アイランド紙)
(3)汚職関連
ア 4日,中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑に関し,Perpetual Treasuries社オーナーのアルジュン・アローシアス氏と同社CEOのパリセーナ氏が逮捕された。(5日付デイリーミラー紙)
イ 6日,ウィクラマシンハ首相は,PRECIFACの最終報告書の提言にあるとおり,憲法第81条を改正して,重大な犯罪を行って有罪となった人物の市民権を剥奪できるようにすべきと述べた。(7日付アイランド紙)
ウ 6日,国会で行われた国債を巡る汚職疑惑及びPRECIFACについての国会審議は出席議員も少なく静かであった。審議は20,21日に継続される。(7日付デイリーミラー紙)
(4)ウィーラトゥンガ元駐露大使の逮捕
ア ウクライナ政府はUAE政府に対し,逮捕されたウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使はウクライナの市民権を持つことから,同氏をウクライナに引き渡すよう求めた。同氏は4日,ドバイで米国へのトランジット中に拘束された。同氏はウクライナからのミグ27戦闘機の購入や複数の国の反政府勢力に武器を売り渡した容疑がかけられている。警察は,スリランカ政府の特別捜査チームが本7日にUAEを訪問し,ウィーラトゥンガ氏のスリランカへの移送につき協議する旨述べた。(7日付デイリーミラー紙)
イ 9日,スリランカ外務省と法務省は共同のステートメントで,ウダヤンガ・ウィーラトゥンガ元駐露大使が,釈放されたものの,捜査が終了するまで,出国を禁じられていることを認めた。ウィーラトゥンガ元駐露大使は,自身のフェイスブックで釈放されたが自分は容疑者ではない,政治的な魔女狩りであり,スリランカに戻るつもりはないと述べた。「ウィ」氏のスリランカへの引き渡しについて議論すべく,11日に政府代表団が,ドバイに渡航予定。(9日付アイランド紙,10日付デイリーミラー紙,11日付サンデーオブザーバー紙)
(5)ミートタムッラごみ処分場堆積物崩落事故関連
6日,ミートタムッラごみ処分場堆積物崩落に関する大統領調査委員会の最終報告書が大統領に提出された。報告書は同地のゴミの除去がコロンボ市当局により系統立てて行われず,解決のための提案に従わなかったことが崩落につながったと指摘した。(7日付デイリーミラー紙)
(6)ベッランウィラ・ウィマララトナ僧の死去
3日,ベッランウィラ・ウィマララトナ僧が肋骨損傷により死去した。8日,国葬が営まれ,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,ジャヤスーリヤ国会長,ラージャパクサ前大統領らが出席した。(9日付デイリーニュースオンライン,11日付サンデータイムズ紙)
(7)経済改革
20日,国家経済評議会(NEC)は国の経済状況を強化するために,翌週から必要な計画をいくつか導入していくことを決定した。具体的な内容については未公表だが,短・中・長期対策それぞれについて大統領と首相の間で議論された。(21日付デイリーニュース紙,アイランド紙)
(8)副大臣の就任
15日,シバリンガムCWC会長が,第一次産業副大臣に就任した。(16日付アイランド紙)
(9)汚職に関する3つの委員会の設置
ウィクラマシンハ首相は,贈収賄と汚職への対応を加速するために,セナラトナ保健大臣,スワミナダン刑務所改革大臣,ペレーラ持続可能な開発大臣をメンバーとする委員会を設置した。また,アトゥコラレ司法大臣,ラトナヤケ青年問題・南部開発大臣で構成される刑事裁判を専門とする大学設立に向けた調整を行うための委員会を設置。さらに,警察への政治介入に対する訴えへの対応を促進することを目的とした委員会を設置。同委員会は,マーラパナ外務大臣,マッドゥマバンダラ行政管理大臣,ラトナヤカ南部開発大臣で構成される。(27日付アイランド紙)
(10)ムライティブにおける抗議活動
23日,TNAの率いる団体及びシヴァジリンガム州議会議員によって,軍が独占しているヴァットゥバイカルの土地の返却を訴える抗議がムライティブにて行われた。(24日付デイリーミラー紙)
(11)アンパラにおけるモスク等の襲撃
26日,アンパラにて,レストランで提供された食事の中に薬物が混入していたことに憤慨した集団が,店やモスクを襲撃する事件が発生した。(27日付アイランド紙)
2 国民和解
(1)「補償に関する国際会議」の開催
22~23日,補償に関する国際会議がIOMの支援の下,和解メカニズム調整事務局(SCRM)の主催で,コロンボ市内ホテルにて開催された。ティッタウェッラSCRM事務局長は,スリランカは恒久平和実現のため民族調和に努めており,政府は和解プロセス進展のため125億ルピーの予算を確保している旨述べた。(23日付デイリーニュース紙)
(2)EUによるOMPへの言及
22日,当地EU代表部はスリランカ政府に対して,失踪者局(OMP)や移行期の正義に関するコミットメントを尊重するべきと述べると共に,多くのスリランカ人が失踪者の運命に関する情報がはっきりしないため,和解の恩恵を被ることができでいないと指摘した。(23日付アイランド紙)
(3)国連人権理事会・ゼイド高等弁務官報告書
ア ゼイド国連人権高等弁務官は,26日から3月23日にかけてジュネーブで開催される人権理事会第37セッションに提出された,「スリランカにおける和解・アカウンタビリティ・人権の促進」と題する報告書中で,2015年1月以降のスリランカ政府によるOHCHR及び国連人権機構との建設的関与を賞賛する一方で,そうした協力は主要なコミットメントの実施を伴わなくてはならない旨言及。また,同報告書で理事会決議30/1におけるスリランカ政府の移行期の正義のコミットメントは1年以上停滞している,信頼醸成措置は十分でなく,実施促進のため設置された機構は十分な政治的支持を得ていない,2017年は断続的な民族間の緊張状態や少数派への襲撃が発生し,完全に解消する見込みはない,拷問や監視が継続しているとの疑惑,また,土地の返還やPTAの廃止といった信頼醸成措置の実施が十分でないといった事態が,政府の改革努力の助けとなる人々を否定的な考えに追いやっている,とした上で,人権理事会に対し,引き続きスリランカにおけるアカウンタビリティと和解の促進において主要な役割を担うことを求めると共に,普遍的管轄権(universal jurisdiction)の適用を含めアカウンタビリティ強化につながる他の手段の可能性も追求するよう提案した。(26日付デイリーニュース紙)
イ 24日, ITAK中央委員会は,ゼイド高等弁務官報告を歓迎するとし,失踪者問題や土地問題等について国際社会やスリランカ政府が積極的に取り組むべきと述べた。(25日付サンデーアイランド紙)
(4)映画「Thundenek」の公開初日
27日,映画「Thundenek」の公開初日を記念する式典において,シリセーナ大統領はスリランカにおける和解に関する国家政策及び共生について演説した。大統領は映画と併せ,スリラン初の和解に関する国家政策を発表したクマーラトゥンガONUR会長を称えると共に,26日にアンパーラで起きたような事件は和解を妨げるものであり,和解を促進させるにあたり,スリランカ国民は共生に努める必要があると述べた。(28日付デイリーニュース紙)
(5)大統領による失踪局(OMP)メンバーの承認
28日,シリセーナ大統領は,OMPメンバー7名を承認した。大統領顧問のサーリヤ・ピーリス氏が局長に就任した。(3月1日付デイリーニュース紙)
3 軍事
(1)第7回インド-スリランカ海軍幕僚会議の開催
7日,コロンボで実施されていたインド-スリランカ海軍幕僚会議が終了した。会議では2国間の国防事項に関する意見交換等が実施された。(8日付国防省ニュースサイト)
(2)バングラデシュ海軍艦船のコロンボ港寄港
7日から10日にかけ,バングラデシュ海軍艦船「Ali Haider」,「Nirmul」がコロンボに寄港した。(9日付国防省ニュースサイト)
(3)イラン海軍艦船のコロンボ寄港
16日から19日にかけ,イラン海軍艦船「Bayandor」「Naghdi」「Tonb」がコロンボに寄港。(17日付国防省ニュースサイト)
(4)スリランカ軍サイバー作戦センターの開設
26日,スリランカ空軍司令部にサイバー作戦センターが開設された。同センターにはモニタリングセンターやサイバーセキュリティー分析センター等で構成され,3軍からの専門家が勤務する予定。(26日付国防省ニュースサイト及びデイリーミラー紙)
(5)ウィジェグナラトナ国防参謀長のインド訪問
27日,インドを訪問中のウィジェグナラトナ・スリランカ国防参謀長は,インド太平洋地域会議2018において,「スリランカはどの国とも軍事同盟を結ばず,どの国の軍隊もスリランカ軍の基地を使用することはない,ハンバントタ港が外国によって軍事利用される恐れがあるといった主張があるが,スリランカの港湾や領海内でインドの安全保障を脅かすような行動は取られることはないと保証する」と述べた。(28日付アイランド紙,ANI記事を掲載)
4 外交
(1)エドワード王子夫妻のスリランカ訪問
3日,独立70周年記念式典出席のためスリランカを訪問したエドワード王子夫妻は,ラトマラーナの視聴覚障害児学校を訪問し,同校及びコミュニケーション障害児のためのリハビリセンターの子供たちと面会した。同夫妻はまた,ブリティッシュ・スクールも訪問した。(4日付サンデーアイランド紙)
- 竹下総理特使一行のスリランカ訪問
(3)王欽敏 全国政治協商会議副主席のスリランカ訪問
独立70周年記念式典出席のため,スリランカを訪問した中国の王欽敏全国政治協商会議副主席が,4日にシリセーナ大統領を,5日にウィクラマシンハ首相を表敬した。(5日及び6日付デイリーニュース紙)
(4)「世界青年の船」(にっぽん丸)のコロンボ寄港
15日,242名の多国籍の青年を乗せた「世界青年の船」(にっぽん丸)がコロンボに寄港。参加する青年らは,16日まで,コロンボ大学生徒とのスタディーツアーを含む多くのプログラムに参加予定。(15日付デイリーニュース紙)
(5)15日,スリランカ海外雇用促進・福祉省は,UAEに滞在するスリランカの出稼ぎ労働者の安全及び福祉に関する合意覚書を同国と締結した。(16日付デイリーミラー紙)
(6)セナナヤケ外務担当国務大臣は,ポーランド政府からの招待により2月15-16日で同国を訪問。15日,マギエロウスキー同国外務副大臣と会談し,投資,観光,教育,運輸,スポーツ等の幅広い分野で今後の政治的・経済的関係強化について議論した。また,ウィデラ同国スポーツ・観光大臣,起業・技術大臣とも会談。両国は航空貨物についての合意文書及びスポーツに関するMOUに署名した。(19日付デイリーニュース紙)
(7)シリセーナ大統領の印訪問
23日,3月11日にインドで開催される国際太陽光同盟(ISA)設立会議に対するモディ印首相とマクロン仏大統領からの招待状が,サンドゥ印高等弁務官とシュー仏大使からシリセーナ大統領に手放された。同大統領は受諾。(25日付アイランド紙)
(8)米国Peace Corpsの契約調印
26日,米国Peace Corpsクラウリー代行取締役とマーラパナ外務大臣の間でスリランカにてPeace Corpsプログラムを再開するための契約書を交わした。スリランカでのPeace Corpsの主な取り組みは,英語教育となる。(27日付デイリーニュース紙)