当国情勢
平成30年7月23日
2018年5月1日 - 5月31日
1 内政
(1)内閣改造
ア 5月1日,18名の大臣がシリセーナ大統領により任命された内閣改造の結果,省数が42に減少し,大臣の所管にも変更がなされた。詳細は冒頭往電参照。(5月1日付デイリーニュース紙)
イ 5月1日,内閣改造によって,SLFPは,労働・労働組合関係省及び社会進出促進省の2つの閣僚ポストを失い,UNP議員が代わりに任命された。(5月2日付アイランド紙)
ウ 5月1日,プレマチャンドラUNP議員は,UNP一般議員は,党内改革が上辺だけのものであったことから,無期限でUNP内グループ会議をボイコットすることを決定した,ウィクラマシンハ首相が大規模な党内改革を行うことを期待して,不信任決議案には反対したが,幻滅させられたと述べた。(5月2日付アイランド紙)
エ 5月1日,ウィクラマシンハ首相は,理不尽な批判は絶えないが,新しい内閣と新しいプログラムで連立政権は再出発する旨述べた。(5月2日付デイリーニュース紙)
オ 5月2日,8国務大臣及び10副大臣が新たに任命された。(5月3日付デイリーニュース紙)
カ 5月2日,ヘラットJVP議員は,内閣改造は政治的危機の解決及び人々のためにならなかった,政権と大統領は科学的根拠に基づく改造と主張しているが,省庁は各大臣の個人的利益追求の結果行われた旨述べた。(5月3日付デイリーミラー紙,アイランド紙)
キ 5月2日,首相官邸報道官によれば,カリヤワサム教育大臣から文化省の所管を外したのは,UNP幹事色を含む他の多くの任務を果たすためである由。(5月3日付デイリーミラー紙)
(2)シリセーナ大統領による施政方針演説
ア 8日,シリセーナ大統領は,第8国会第二セッション冒頭での政府の施政方針演説を行ったところ,要点以下のとおり。(9日付デイリーニュース紙)
・現政権は,前政権によって負わされた莫大な借金に対応するための経済関連法案を,過去3年で18本も採択した実績がある。
・今後は,縁故資本主義ではなく,国民志向(people oriented)の経済を目指す必要がある。
・この国は,連立政権の目的を実現するにあたり,まだ成熟度に欠けており,目的実現のためには,今後二大政党間の権力争いに終止符を打つ必要性がある。
・与党と野党の間での対立及び権力争いも終わりにすべきである。
イ なお国会開会前,先の首相不信任決議案で支持票と投じたSLFP16議員は,野党席に座った。(9日付デイリーニュース紙)
(3)高等裁判所現状及び司法行政法修正案
ア 9日の国会で,汚職や贈収賄関連の円滑な裁判手続きを促進するための,常設高等裁判所設置を内容とする,司法行政法修正案(Judicalture (Amendment) Bill)が,与党とTNAの賛成119票,統一野党を中心とした反対52票で可決された。JVPは棄権した。(10日付アイランド紙)
イ 10日,ペレーラ電力・再生可能エネルギー担当国務大臣は,高等裁判所で訴訟が終了するまで平均17年,最短10年,最大25年かかっており,これを解決するためには,大統領が高等裁判所の判事を75人から110人に増やし,法務長官オフィスの弁護士の人数を増やし,高等裁判所の数も少なくとも西部州に3,他州に10増やす必要があると述べた。(11日付アイランド紙)
ウ 15日,ジャヤスーリヤ国会議長は,司法行政法修正案(Judicature Amendment Bill)に署名し,同修正法が発効した。(16日付デイリーニュース紙)
(4)憲法改正
ア 3日,アマラウィーラ農業大臣兼UPFA幹事長は,UPFAとしては憲法改正案が国益に反するものでなければ,これを支持すると述べた。(5日付アイランド紙)
イ 10日,ハキームSLMC党首は,憲法制定議会運営委員会は,既に70回以上会合を開いており,シリセーナ大統領が8日の国会で演説にて,民族問題解決に重要な憲法改正について全く触れなかったことは残念である,JVPが実権のある大統領制の廃止を目的とする20次憲法修正案を提出しようとしているが,SLMCは憲法を細切れに修正していくことには反対である,と述べた。(11日付デイリーミラー紙)
(5)各党のメーデー集会での発言
ア UNP(6日,コロンボ市内)(ウィクラマシンハ首相)
・UNPは今後20~30年統治していく。(7日付デイリーニュース紙)
・サムルディ銀行を財務省及び中央銀行の所掌へと移行する。(7日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
・干ばつ,洪水,ごみ処理場堆積物崩落があったにも関わらず,経済成長に力をいれてきた結果,2018-2019年に国債の返却は可能である。(7日付デイリーニュース紙)
・今後,政府は大学を卒業した者の雇用確保を支援し,スキル不足の労働者に対してトレーニングを行う。(7日付デイリーニュース紙)
イ SLFP(7日,バティカロア地区)(シリセーナ大統領)
・自分(シリセーナ大統領)は2020年に引退はせず,引き続き政治に関与する。(8日付デイリーニュース紙)
・未だ指摘されていない多数の問題があり,それらを解決していく必要性がある。(8日付デイリーニュース紙)
・仏教,ヒンドゥー教,イスラム教,キリスト教それぞれの価値観を尊重しながら,国の文化を守っていく。(8日付デイリーニュース紙)
ウ SLPP(7日,ゴール市)(ラージャパクサ前大統領)
・UNPは今度はサムルディ銀行の資産を狙っている。(8日付アイランド紙)
・シリセーナ大統領が2020年に引退しないと発言したのはSLFP議員を政権に留めるためである。(8日付アイランド紙)
エ JVP(7日,コロンボ市内)(ディサナヤケJVP党首,シルヴァJVP幹事長)
・シリセーナ大統領が2020年に引退をしないのは権力への固執の表れであると述べた。(8日付アイランド紙)
・過去70年間,この国を統治してきた政党は,経済の安定確保に失敗し続けている。(8日付デイリーニュース紙)
・5月3週目中に,第20次憲法修正案を提出する。(8日付デイリーミラー紙)
(6)サムルディ銀行
ア 6日,ディサナヤケ前社会進出促進大臣は,ウィクラマシンハ首相がメーデー集会でサムルディ銀行を中央銀行の下に移行すると発言したことについて,サムルディ法の修正に必要な国会での三分の二の支持獲得を阻止すると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
イ 8日,統一野党(JO)はウィクラマシンハ首相に対し,メーデー集会でのサムルディ銀行の所掌移行発言を,取り下げるよう求めた。グナワルダナJO議員は,サムルディ銀行が中央銀行の下に置かれることで,貧困層によるローンの取得が困難になる旨述べた。(9日付デイリーミラー紙)
(7)ゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官の非公式立候補表明
13日,ゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官はコロンボ市内で開催された式典で2030年ビジョンを掲げ,来年の大統領選挙への立候補を非公式に表明した。講演でゴタバヤ氏は,スリランカはその主権と文化を守り,社会主義及び市場経済が必要であると述べ,伝統的輸出品に頼るばかりで高付加価値工業製品の輸出に乏しいことを嘆いた。本式典はラージャパクサ家内での弟バシル・ラージャパクサ氏との権力争いの中で開催された。バシル・ラージャパクサ氏は2月の地方議会選挙において新設のSLPPを勝利に導いたことで名声を高めたが,ゴタバヤ氏は選挙に全く関わらなかった。ナーナヤッカラ議員は長男のチャマル・ラージャパクサが妥協の末の候補者になると主張している。(15日付デイリーエクスプレス紙)
(8)SLFP16議員グループの発言
16日,8日の国会再開時に野党席に移動したSLFP16議員の一人であるウィーラコディ前石油資源大臣は,CWC2議員を含めた41議員の誰一人として首相不信任決議案に反対しなかったとし,16議員は統一野党に加わったわけではないが,UNP主導の政権を支持することはない,大統領権限を縮小する20次憲法修正など重要な問題について,16議員のグループは政権に残ったSLFP議員と統一野党の間でコンセンサス形成を目指す,首相不信任決議案に反対したTNAは野党席に座る道義的権利を有さないのであって,政権に加わって1大臣ポストをもらったらいいのではないかと述べた。(17日付アイランド紙)
(9)SLFP16議員グループの動向
ア 18日,プレマジャンタ前科学・技術・研究大臣は,記者会見にてSLFPは過去3年半の間,連立政権が2015年の2つの選挙での公約を実現するよう努力してきたが,実現できなかったため政府を辞める他なかった,不信任決議案を支持する動きが国民からも期待されていたことは地方議会選挙結果からも明らかであった,我々は人々の声に従い不信任決議案に賛成し,17日のSLFP中央委員会も我々の行動を追認し(ratified),新たな幹部のイニシアティブの下でSLFPを強化することが決定された,政府は外貨準備が史上最高の91億ドルに増加したと自慢するが,そうならばここまでルピー安が進むはずはないと述べた。(19日付デイリーミラー紙)
イ 23日,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣は,SLFP16議員グループの内,海外にいるヤーパ前災害管理大臣を除く15名がラージャパクサ前大統領と会談し,同前大統領よりSLFPに所属しながら野党として活動する方法につき助言を受け,同グループはシリセーナ大統領と統一野党の間にあるギャップを埋めることに努めたい,同グループは将来の政治課題につきJO/SLPPと共同プログラムを進める,ただ同グループは国会の内外で独立した団体として活動し,JOと政治活動で協力するがそれはJOに加わることを意味しない,と述べた。(24日付デイリーニュース紙,24日付デイリーミラー紙)
(10)SLFPの連立政権離脱の動き
18日,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣は,連立政権に残る限りSLFPにとって将来はないため,シリセーナ大統領が17日のSLFP中央委員会の場で,現政権から離脱する日程を決めるよう指示した旨述べた。(19日付アイランド紙)
(11)サマラウィーラ・マスメディア大臣の発言
20日,サマラウィーラ・マスメディア大臣は,先週13日に行われたゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官が主導する運動「博学の道」(ヴィヤット・マガ)の会合での講演に対して,同元国務次官は当時「白いバン」による恐怖(当館注:「ラ」前大統領政治時代,記者や活動家が白いバンにより拉致され,時に殺害される事件が多発したことを指す)を作り上げた人物であるにも関わらず,権力者と公務員は腐敗や不道徳とは無縁でいるべきだと発言していることを批判し,また,ラージャパクサ前大統領及び元国防次官は国を再び破滅の道(ヴィパット・マガ)に導いていると述べた。(21日付デイリーミラー紙)
(12)4つの修正法案への国会議長の署名
22日,ジャヤスーリヤ国会議長は,司法行政法修正法案,刑法修正法案,刑事訴訟法修正法案,民間航空法修正法案の4つの修正法案は15日に署名済みであると述べた。(23日付,アイランド紙)
(13)UNPの動向
ア 24日,ディサナヤケ・プランテーション大臣のナショナル・オーガナイザーとしての任務開始を記念する式典で,ウィクラマシンハ首相は,UNPは軍事的政権の再来を阻止しようと努力しているが,人々が現在直面しているのは民主主義か第二のラージャパクサ政権のどちらを必要としているかという問題である,ラージャパクサ前大統領を推進するジャーナリストらは,前政権が再び確立された際は存在を消されるのがオチであり,知らないうちに首に縄をまいているのだということに気づいていないと述べた。(25日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
イ 24日,ディサナヤケ・プランテーション産業大臣兼UNPナショナル・オーガナイザーは,今後UNPは次期州議会選挙,大統領選挙,総選挙で勝利する強さと能力を有するとした上で,UNPの理想の大統領候補はウィクラマシンハ首相であると述べた。(25日付アイランド紙)
(14)新憲法草案作成
制憲議会運営委員会(Steering Committee)は,専門家委員会(experts' committee)に,新憲法草案作成のため2週間以内に意見書を提出するよう指示した。(26日付デイリーミラー紙)
(15)20次憲法修正案
ア 25日,ディサナヤケJVPリーダーは,実権のある大統領制を廃止する内容の20次憲法修正案を国会に提出し,同制度の廃止について,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相はそれぞれの立場を明確にすべきであると指摘した。(26日付デイリーニュース紙)
イ 27日,デヴァプリヤ西部州知事は,SLFPは20次憲法修正案には反対し,実権のある大統領制を廃止する必要性はないと述べた。(28日付デイリーミラー紙)
ウ 28日,ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣兼JHU党首は,JHUは実権のある大統領制廃止には同意できず20次憲法修正案に反対であり,選挙制度を変えない限り認めないと述べた。(29日付デイリーニュース紙)
エ 28日,ディサナヤケJVPリーダーは,議員が鞍替えで有権者をだまし議会を不安定化しているとし,20次憲法修正案は,議員が鞍替えできなくするものである,現状では鞍替えを受けて党が規律違反行為としてプロセスを開始しても当議員が地区裁判所に訴えることで,議員任期中は党が何らの行動をとれなくなるが,20次修正案では地区裁判所の右権力がなくなると述べた。(29日付デイリーニュース紙)
オ 30日,JO関係者によると,JOは,20次憲法修正案に反対することを全会一致で決定した。当初異論もあったが,憲法は細切れに改正するべきではないとしての意見の一致をみた。(31日付デイリーミラー紙)
(16)Perpetual Treasury社(PTL)の関連会社からの資金受け取り
ア 25日,政権を離脱した16議員の内の一人,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣が北西部州知事時代の2015年7月に,中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑で名指しされているPerpetual Treasury社(PTL)の関連会社から100万ルピーを受け取ったことが判明した。28日,同大臣は100万ルピーの受け取りは認めているものの,他118名の議員が総額13億ルピーを選挙活動用等に受け取っており,ジャヤスーリヤ国会議長にこれらの名の開示を求め,自身はPTL社の便宜も図っていないので問題はないと述べた。(25日付デイリーミラー紙,29日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
イ 29日,ハドゥンネッティJVP議員は,JVP議員はPTL社から資金を受け取ったことは一切ないと述べた。(30日付デイリーミラー紙)
ウ 29日,フェルナンド大統領秘書官は,PTL社より資金を受け取ったといわれている118議員の名前が記載された資料の有無及び大統領府事務局で所持しているかどうか確認し,別途メディアに公表すると述べた。(30日付アイランド紙)
(17)T.B.エカナヤケ前土地担当国務大臣の車両目的外使用疑惑
28日,FCIDによって,政権を離脱した16議員のうちの一人である,T.B.エカナヤケ前土地担当国務大臣が,以前文化大臣を務めていた際に,中央文化基金の車両を目的外使用した疑いが公表された。(29日付デイリーミラー紙)
2 平和構築
(1)失踪者局(OMP)
ア 12日,OMPはマナーで,失踪者家族,活動家,専門家とのコンサルテーションを開始した。これらのコンサルテーションは,OMPの計画や戦略について共有し,国民の見解や,戦略についての提案等をヒアリングする目的で開催される。(12日付デイリーニュース紙,13日付サンデーオブザーバー紙)
イ 19日,OMPは先週のマナーに引き続き,マータラで第2回公聴会を実施した。ピーリスOMP委員長は,OMPは政治情勢や政治的圧力に屈することなく活動を続けると述べた。(19日付デイリーニュース紙・20日付サンデーオブザーバー紙)
ウ 29日,OMPは,今後6ヶ月間で,予定している12の地方事務所のうちいくつかを北部から順に設置する意向を示した。(30日付デイリーミラー紙)
エ 31日,シリセーナ大統領はOMPを,ファウジー国民統一・共存担当国務大臣の管轄下に置くとの内容の官報を発出した。以前は,国民統合・和解大臣を兼ねる大統領下にあった。(2日付デイリーニュース紙)
(2)スリランカ軍による特別ユニット結成
スリランカ軍は,紛争終結時における人権侵害に関する重大な疑惑を晴らすための特別ユニットを結成した。セナナヤケ陸軍司令官は,紛争終結時の市民の死者数について,異なる人々が異なることを述べてきたが我々の声は聞いてもらっていない,本特別ユニットは国内外の報告書を照合し真実を確定することを目的に結成したと述べた。(13日付サンデーアイランド紙)
(3)戦争英雄を記念する式典
19日,戦争英雄を記念する式典がコーッテ市の戦争記念碑にて行われ,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相及び何名かの大臣や議員も参加した。シリセーナ大統領は同式典にて,現政権はこの3年半でLTTEのイデオロギーを打ち破り,世界の各リーダーや国際社会と良好な関係を築き上げ,今後もLTTEのイデオロギーを完全に排除することに引き続きコミットする必要性がある,また戦争英雄やその家族に対する福祉及び奉仕を引き続き行う,戦争英雄を最大限認識することで義務を果たすべきであり,彼らの犠牲を忘れることはあってはならない,何人かの与野党の政治家や,外国からの資金に頼って国を不安定化させようとするNGO職員は,戦争英雄とテロリストの違いがわかっていない,また政治家が権力を握ったり,政権を倒すために戦争英雄を利用するべきではないと述べた。(19日付デイリーミラー紙,19日付デイリーニュース紙,19日付デイリーミラー紙,20日付サンデーオブザーバー紙)
(4)補償局の設置
補償局の設置に関する法案が,今週閣議承認され,現在ドラフト作成の最終段階にある。法案によると,補償局はコロンボに設置され,大統領の任命による5名の委員から構成される予定である。(20日付サンデータイムズ紙)
(5)犯罪科学に関する認定コース
弁護士協会が,6月1日より,犯罪科学(Forensic Science)に関する認定コースを開始することとなった。法律専門家の知見を深めるために質の高いトレーニングを外国の専門家が提供する。(27日付サンデーアイランド紙)
(6)ウィクラマシンハ首相の北部訪問
28日,ウィクラマシンハ首相は,開発案件の現状を確認のためキリノッチ及びジャフナ県を訪れた。(29日付デイリーニュース紙)
(7)スリランカ人権委員会の活動評価
ウダガマ・スリランカ人権委員委員長は,スリランカ人権委員会の活動が,国家人権機関グローバルアライアンス(GANHRI)よりAの評価で認定(前回2009年の評価はB)された旨述べた。(30日付デイリーニュース紙)
3 軍事
(1)パシフィックパートナーシップ2018の実施
4月25日から5月9日にかけ,トリンコマリー近辺でパシフィックパートナーシップ2018が実施されている。米やスリランカ,日本等から要員が参加し,住民に対し医療支援や公共施設の改装等を行っている。(4日付デイリーミラー紙,デイリーニュース紙,5日付デイリーミラー紙)
(2)第29回スリランカ・インド国際海上境界協議の実施
3日,スリランカ・インド国際海上境界年次協議がインド海軍艦船「Sumithra」艦上で実施された。本協議は両国海軍及び沿岸警備隊の関係強化及び即応性向上を図るものであり,地域の海上安全保障について協議が行われた。(4日付国防省ニュースサイト)
(3)インド陸軍総参謀長のスリランカ訪問
13日,インド陸軍総参謀長ラワット大将がスリランカに到着した。7日間の滞在間,ラワット大将はシリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,ウィジェワルダナ国防担当国務大臣等を表敬する他,トリンコマリー及びゴールを訪問する予定。(14日付デイリーニュース紙)
(4)豪雨による被災地域への援助活動
スリランカ豪雨による被災者の援助・救援のため,スリランカ海軍は,被災した8州に100人を,スリランカ陸軍は,全土に100人以上の兵士を派遣したとそれぞれ発表した。(23日付デイリーミラー紙)
4 外交
(1)福山哲郎参議院議員のスリランカ訪問
5月1日,福山哲郎立憲民主党幹事長は,セナナヤケ外務担当国務大臣を表敬した際,二国間関係は強固である,日本は考古学分野での協力をより強化していくことを検討したい,自らの党のメンバーを近い将来連れて来たい旨述べた。(5月3日付デイリーニュース紙)
(2)シンガポール・スリランカ間のFTA
4日,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣は,スリランカ・シンガポール間のFTAは,スリランカ国内に新しい職・雇用を創出する機会になるのであって,シンガポールのみに有益となることはない旨述べた。(5日付デイリーニュース紙)
(3)和泉補佐官のスリランカ訪問
4日,和泉補佐官率いる代表団が,シリセーナ大統領を表敬し,トリンコマリー港やバンダラナイケ国際空港について協議した。(5日付デイリーニュース紙)
(4)シリセーナ大統領のイラン訪問
12日~13日,シリセーナ大統領は,経済・貿易関係拡大を目的として,イランを訪問した。同大統領は,ローハニ・イラン大統領を表敬し,経済・貿易関係について議論し,麻薬密売,健康,研究室サービス及び訓練,映画,文化・科学・教育での交流に関する5つのMOUを締結した。(13日付アイランド紙,14日付デイリーニュース紙)
(5)「一帯一路」に関する程駐スリランカ中国大使の発言
11日,中国の程駐スリランカ大使はシリセーナ大統領を表敬し,二国間関係や一帯一路イニシアティブについて意見を交わした。大統領はスリランカは一致一路イニシアティブを強力に支持しており,ポートシティやハンバントタ港といったメガ・プロジェクトへの参加を重要なものと考えている,中国政府の支援による国家腎障害専門病院の早期開業への期待を表明した。程大使は「相談・貢献・利益の共有」という黄金の方針に基づき,両国民に裨益する一帯一路の枠組の下で両国の現実的協力を積極的に推進していくと述べた。程大使は共同事業における軍事目的という根拠のない憶測を否定しつつ,特定の外国勢力(certain external forces)が二国間友好関係とハンバントタ港の運営を攻撃しようとしていると警告した。程大使は国家腎障害専門病院について建設は間もなく開始され2年以内に開業する,台湾やチベットという中国にとっての核心的利益に関する課題におけるスリランカの堅い支持に感謝すると共に,スリランカの内政に決して介入しないと述べた。(
(6)セナラトナ保健・栄養・伝統医療大臣のジュネーブ訪問
21~26日,セナラトナ保健・栄養・伝統医療大臣は第71回世界保健総会に出席するため,ジュネーブを訪問。同総会で,同大臣はスリランカの保健サービスについて発言予定。(22日付デイリーニュース紙)
(7)程中国大使の発言
23日,程中国大使は,一帯一路政策に関するシンポジウムにて,中国はスリランカとの歴史的関係が基に,スリランカの経済発展を支援している,スリランカに地理的に優位な位置にあり広範な発展の見込みがあり,一帯一路政策において重要なパートナー国であると述べた。(24日付デイリーニュース紙)
(8)北朝鮮への国連制裁発動
スリランカは,対北朝鮮に国連安保理事決議履行の一環として,北朝鮮に関する資金及び金融資産を凍結させ,経済的関与を禁ずることとした。(27日付サンデータイムズ紙)
(9)米国下院軍事委員会代表団の訪問
30日,スリランカ訪問中の米国下院軍事委員会(House Armed Services Committee)代表団は,シリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相をそれぞれ表敬した。大統領は,麻薬流入阻止の協力を必要としている旨述べ,代表団は防衛協力の強化の方策を探ることが訪問の目的である旨述べた。(31日付デイリーニュース)
(1)内閣改造
ア 5月1日,18名の大臣がシリセーナ大統領により任命された内閣改造の結果,省数が42に減少し,大臣の所管にも変更がなされた。詳細は冒頭往電参照。(5月1日付デイリーニュース紙)
イ 5月1日,内閣改造によって,SLFPは,労働・労働組合関係省及び社会進出促進省の2つの閣僚ポストを失い,UNP議員が代わりに任命された。(5月2日付アイランド紙)
ウ 5月1日,プレマチャンドラUNP議員は,UNP一般議員は,党内改革が上辺だけのものであったことから,無期限でUNP内グループ会議をボイコットすることを決定した,ウィクラマシンハ首相が大規模な党内改革を行うことを期待して,不信任決議案には反対したが,幻滅させられたと述べた。(5月2日付アイランド紙)
エ 5月1日,ウィクラマシンハ首相は,理不尽な批判は絶えないが,新しい内閣と新しいプログラムで連立政権は再出発する旨述べた。(5月2日付デイリーニュース紙)
オ 5月2日,8国務大臣及び10副大臣が新たに任命された。(5月3日付デイリーニュース紙)
カ 5月2日,ヘラットJVP議員は,内閣改造は政治的危機の解決及び人々のためにならなかった,政権と大統領は科学的根拠に基づく改造と主張しているが,省庁は各大臣の個人的利益追求の結果行われた旨述べた。(5月3日付デイリーミラー紙,アイランド紙)
キ 5月2日,首相官邸報道官によれば,カリヤワサム教育大臣から文化省の所管を外したのは,UNP幹事色を含む他の多くの任務を果たすためである由。(5月3日付デイリーミラー紙)
(2)シリセーナ大統領による施政方針演説
ア 8日,シリセーナ大統領は,第8国会第二セッション冒頭での政府の施政方針演説を行ったところ,要点以下のとおり。(9日付デイリーニュース紙)
・現政権は,前政権によって負わされた莫大な借金に対応するための経済関連法案を,過去3年で18本も採択した実績がある。
・今後は,縁故資本主義ではなく,国民志向(people oriented)の経済を目指す必要がある。
・この国は,連立政権の目的を実現するにあたり,まだ成熟度に欠けており,目的実現のためには,今後二大政党間の権力争いに終止符を打つ必要性がある。
・与党と野党の間での対立及び権力争いも終わりにすべきである。
イ なお国会開会前,先の首相不信任決議案で支持票と投じたSLFP16議員は,野党席に座った。(9日付デイリーニュース紙)
(3)高等裁判所現状及び司法行政法修正案
ア 9日の国会で,汚職や贈収賄関連の円滑な裁判手続きを促進するための,常設高等裁判所設置を内容とする,司法行政法修正案(Judicalture (Amendment) Bill)が,与党とTNAの賛成119票,統一野党を中心とした反対52票で可決された。JVPは棄権した。(10日付アイランド紙)
イ 10日,ペレーラ電力・再生可能エネルギー担当国務大臣は,高等裁判所で訴訟が終了するまで平均17年,最短10年,最大25年かかっており,これを解決するためには,大統領が高等裁判所の判事を75人から110人に増やし,法務長官オフィスの弁護士の人数を増やし,高等裁判所の数も少なくとも西部州に3,他州に10増やす必要があると述べた。(11日付アイランド紙)
ウ 15日,ジャヤスーリヤ国会議長は,司法行政法修正案(Judicature Amendment Bill)に署名し,同修正法が発効した。(16日付デイリーニュース紙)
(4)憲法改正
ア 3日,アマラウィーラ農業大臣兼UPFA幹事長は,UPFAとしては憲法改正案が国益に反するものでなければ,これを支持すると述べた。(5日付アイランド紙)
イ 10日,ハキームSLMC党首は,憲法制定議会運営委員会は,既に70回以上会合を開いており,シリセーナ大統領が8日の国会で演説にて,民族問題解決に重要な憲法改正について全く触れなかったことは残念である,JVPが実権のある大統領制の廃止を目的とする20次憲法修正案を提出しようとしているが,SLMCは憲法を細切れに修正していくことには反対である,と述べた。(11日付デイリーミラー紙)
(5)各党のメーデー集会での発言
ア UNP(6日,コロンボ市内)(ウィクラマシンハ首相)
・UNPは今後20~30年統治していく。(7日付デイリーニュース紙)
・サムルディ銀行を財務省及び中央銀行の所掌へと移行する。(7日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
・干ばつ,洪水,ごみ処理場堆積物崩落があったにも関わらず,経済成長に力をいれてきた結果,2018-2019年に国債の返却は可能である。(7日付デイリーニュース紙)
・今後,政府は大学を卒業した者の雇用確保を支援し,スキル不足の労働者に対してトレーニングを行う。(7日付デイリーニュース紙)
イ SLFP(7日,バティカロア地区)(シリセーナ大統領)
・自分(シリセーナ大統領)は2020年に引退はせず,引き続き政治に関与する。(8日付デイリーニュース紙)
・未だ指摘されていない多数の問題があり,それらを解決していく必要性がある。(8日付デイリーニュース紙)
・仏教,ヒンドゥー教,イスラム教,キリスト教それぞれの価値観を尊重しながら,国の文化を守っていく。(8日付デイリーニュース紙)
ウ SLPP(7日,ゴール市)(ラージャパクサ前大統領)
・UNPは今度はサムルディ銀行の資産を狙っている。(8日付アイランド紙)
・シリセーナ大統領が2020年に引退しないと発言したのはSLFP議員を政権に留めるためである。(8日付アイランド紙)
エ JVP(7日,コロンボ市内)(ディサナヤケJVP党首,シルヴァJVP幹事長)
・シリセーナ大統領が2020年に引退をしないのは権力への固執の表れであると述べた。(8日付アイランド紙)
・過去70年間,この国を統治してきた政党は,経済の安定確保に失敗し続けている。(8日付デイリーニュース紙)
・5月3週目中に,第20次憲法修正案を提出する。(8日付デイリーミラー紙)
(6)サムルディ銀行
ア 6日,ディサナヤケ前社会進出促進大臣は,ウィクラマシンハ首相がメーデー集会でサムルディ銀行を中央銀行の下に移行すると発言したことについて,サムルディ法の修正に必要な国会での三分の二の支持獲得を阻止すると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
イ 8日,統一野党(JO)はウィクラマシンハ首相に対し,メーデー集会でのサムルディ銀行の所掌移行発言を,取り下げるよう求めた。グナワルダナJO議員は,サムルディ銀行が中央銀行の下に置かれることで,貧困層によるローンの取得が困難になる旨述べた。(9日付デイリーミラー紙)
(7)ゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官の非公式立候補表明
13日,ゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官はコロンボ市内で開催された式典で2030年ビジョンを掲げ,来年の大統領選挙への立候補を非公式に表明した。講演でゴタバヤ氏は,スリランカはその主権と文化を守り,社会主義及び市場経済が必要であると述べ,伝統的輸出品に頼るばかりで高付加価値工業製品の輸出に乏しいことを嘆いた。本式典はラージャパクサ家内での弟バシル・ラージャパクサ氏との権力争いの中で開催された。バシル・ラージャパクサ氏は2月の地方議会選挙において新設のSLPPを勝利に導いたことで名声を高めたが,ゴタバヤ氏は選挙に全く関わらなかった。ナーナヤッカラ議員は長男のチャマル・ラージャパクサが妥協の末の候補者になると主張している。(15日付デイリーエクスプレス紙)
(8)SLFP16議員グループの発言
16日,8日の国会再開時に野党席に移動したSLFP16議員の一人であるウィーラコディ前石油資源大臣は,CWC2議員を含めた41議員の誰一人として首相不信任決議案に反対しなかったとし,16議員は統一野党に加わったわけではないが,UNP主導の政権を支持することはない,大統領権限を縮小する20次憲法修正など重要な問題について,16議員のグループは政権に残ったSLFP議員と統一野党の間でコンセンサス形成を目指す,首相不信任決議案に反対したTNAは野党席に座る道義的権利を有さないのであって,政権に加わって1大臣ポストをもらったらいいのではないかと述べた。(17日付アイランド紙)
(9)SLFP16議員グループの動向
ア 18日,プレマジャンタ前科学・技術・研究大臣は,記者会見にてSLFPは過去3年半の間,連立政権が2015年の2つの選挙での公約を実現するよう努力してきたが,実現できなかったため政府を辞める他なかった,不信任決議案を支持する動きが国民からも期待されていたことは地方議会選挙結果からも明らかであった,我々は人々の声に従い不信任決議案に賛成し,17日のSLFP中央委員会も我々の行動を追認し(ratified),新たな幹部のイニシアティブの下でSLFPを強化することが決定された,政府は外貨準備が史上最高の91億ドルに増加したと自慢するが,そうならばここまでルピー安が進むはずはないと述べた。(19日付デイリーミラー紙)
イ 23日,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣は,SLFP16議員グループの内,海外にいるヤーパ前災害管理大臣を除く15名がラージャパクサ前大統領と会談し,同前大統領よりSLFPに所属しながら野党として活動する方法につき助言を受け,同グループはシリセーナ大統領と統一野党の間にあるギャップを埋めることに努めたい,同グループは将来の政治課題につきJO/SLPPと共同プログラムを進める,ただ同グループは国会の内外で独立した団体として活動し,JOと政治活動で協力するがそれはJOに加わることを意味しない,と述べた。(24日付デイリーニュース紙,24日付デイリーミラー紙)
(10)SLFPの連立政権離脱の動き
18日,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣は,連立政権に残る限りSLFPにとって将来はないため,シリセーナ大統領が17日のSLFP中央委員会の場で,現政権から離脱する日程を決めるよう指示した旨述べた。(19日付アイランド紙)
(11)サマラウィーラ・マスメディア大臣の発言
20日,サマラウィーラ・マスメディア大臣は,先週13日に行われたゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官が主導する運動「博学の道」(ヴィヤット・マガ)の会合での講演に対して,同元国務次官は当時「白いバン」による恐怖(当館注:「ラ」前大統領政治時代,記者や活動家が白いバンにより拉致され,時に殺害される事件が多発したことを指す)を作り上げた人物であるにも関わらず,権力者と公務員は腐敗や不道徳とは無縁でいるべきだと発言していることを批判し,また,ラージャパクサ前大統領及び元国防次官は国を再び破滅の道(ヴィパット・マガ)に導いていると述べた。(21日付デイリーミラー紙)
(12)4つの修正法案への国会議長の署名
22日,ジャヤスーリヤ国会議長は,司法行政法修正法案,刑法修正法案,刑事訴訟法修正法案,民間航空法修正法案の4つの修正法案は15日に署名済みであると述べた。(23日付,アイランド紙)
(13)UNPの動向
ア 24日,ディサナヤケ・プランテーション大臣のナショナル・オーガナイザーとしての任務開始を記念する式典で,ウィクラマシンハ首相は,UNPは軍事的政権の再来を阻止しようと努力しているが,人々が現在直面しているのは民主主義か第二のラージャパクサ政権のどちらを必要としているかという問題である,ラージャパクサ前大統領を推進するジャーナリストらは,前政権が再び確立された際は存在を消されるのがオチであり,知らないうちに首に縄をまいているのだということに気づいていないと述べた。(25日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
イ 24日,ディサナヤケ・プランテーション産業大臣兼UNPナショナル・オーガナイザーは,今後UNPは次期州議会選挙,大統領選挙,総選挙で勝利する強さと能力を有するとした上で,UNPの理想の大統領候補はウィクラマシンハ首相であると述べた。(25日付アイランド紙)
(14)新憲法草案作成
制憲議会運営委員会(Steering Committee)は,専門家委員会(experts' committee)に,新憲法草案作成のため2週間以内に意見書を提出するよう指示した。(26日付デイリーミラー紙)
(15)20次憲法修正案
ア 25日,ディサナヤケJVPリーダーは,実権のある大統領制を廃止する内容の20次憲法修正案を国会に提出し,同制度の廃止について,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相はそれぞれの立場を明確にすべきであると指摘した。(26日付デイリーニュース紙)
イ 27日,デヴァプリヤ西部州知事は,SLFPは20次憲法修正案には反対し,実権のある大統領制を廃止する必要性はないと述べた。(28日付デイリーミラー紙)
ウ 28日,ラナワカ・メガポリス・西部開発大臣兼JHU党首は,JHUは実権のある大統領制廃止には同意できず20次憲法修正案に反対であり,選挙制度を変えない限り認めないと述べた。(29日付デイリーニュース紙)
エ 28日,ディサナヤケJVPリーダーは,議員が鞍替えで有権者をだまし議会を不安定化しているとし,20次憲法修正案は,議員が鞍替えできなくするものである,現状では鞍替えを受けて党が規律違反行為としてプロセスを開始しても当議員が地区裁判所に訴えることで,議員任期中は党が何らの行動をとれなくなるが,20次修正案では地区裁判所の右権力がなくなると述べた。(29日付デイリーニュース紙)
オ 30日,JO関係者によると,JOは,20次憲法修正案に反対することを全会一致で決定した。当初異論もあったが,憲法は細切れに改正するべきではないとしての意見の一致をみた。(31日付デイリーミラー紙)
(16)Perpetual Treasury社(PTL)の関連会社からの資金受け取り
ア 25日,政権を離脱した16議員の内の一人,ジャヤセーカラ前スポーツ大臣が北西部州知事時代の2015年7月に,中央銀行の国債売却を巡る汚職疑惑で名指しされているPerpetual Treasury社(PTL)の関連会社から100万ルピーを受け取ったことが判明した。28日,同大臣は100万ルピーの受け取りは認めているものの,他118名の議員が総額13億ルピーを選挙活動用等に受け取っており,ジャヤスーリヤ国会議長にこれらの名の開示を求め,自身はPTL社の便宜も図っていないので問題はないと述べた。(25日付デイリーミラー紙,29日付デイリーニュース紙,デイリーミラー紙)
イ 29日,ハドゥンネッティJVP議員は,JVP議員はPTL社から資金を受け取ったことは一切ないと述べた。(30日付デイリーミラー紙)
ウ 29日,フェルナンド大統領秘書官は,PTL社より資金を受け取ったといわれている118議員の名前が記載された資料の有無及び大統領府事務局で所持しているかどうか確認し,別途メディアに公表すると述べた。(30日付アイランド紙)
(17)T.B.エカナヤケ前土地担当国務大臣の車両目的外使用疑惑
28日,FCIDによって,政権を離脱した16議員のうちの一人である,T.B.エカナヤケ前土地担当国務大臣が,以前文化大臣を務めていた際に,中央文化基金の車両を目的外使用した疑いが公表された。(29日付デイリーミラー紙)
2 平和構築
(1)失踪者局(OMP)
ア 12日,OMPはマナーで,失踪者家族,活動家,専門家とのコンサルテーションを開始した。これらのコンサルテーションは,OMPの計画や戦略について共有し,国民の見解や,戦略についての提案等をヒアリングする目的で開催される。(12日付デイリーニュース紙,13日付サンデーオブザーバー紙)
イ 19日,OMPは先週のマナーに引き続き,マータラで第2回公聴会を実施した。ピーリスOMP委員長は,OMPは政治情勢や政治的圧力に屈することなく活動を続けると述べた。(19日付デイリーニュース紙・20日付サンデーオブザーバー紙)
ウ 29日,OMPは,今後6ヶ月間で,予定している12の地方事務所のうちいくつかを北部から順に設置する意向を示した。(30日付デイリーミラー紙)
エ 31日,シリセーナ大統領はOMPを,ファウジー国民統一・共存担当国務大臣の管轄下に置くとの内容の官報を発出した。以前は,国民統合・和解大臣を兼ねる大統領下にあった。(2日付デイリーニュース紙)
(2)スリランカ軍による特別ユニット結成
スリランカ軍は,紛争終結時における人権侵害に関する重大な疑惑を晴らすための特別ユニットを結成した。セナナヤケ陸軍司令官は,紛争終結時の市民の死者数について,異なる人々が異なることを述べてきたが我々の声は聞いてもらっていない,本特別ユニットは国内外の報告書を照合し真実を確定することを目的に結成したと述べた。(13日付サンデーアイランド紙)
(3)戦争英雄を記念する式典
19日,戦争英雄を記念する式典がコーッテ市の戦争記念碑にて行われ,シリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相及び何名かの大臣や議員も参加した。シリセーナ大統領は同式典にて,現政権はこの3年半でLTTEのイデオロギーを打ち破り,世界の各リーダーや国際社会と良好な関係を築き上げ,今後もLTTEのイデオロギーを完全に排除することに引き続きコミットする必要性がある,また戦争英雄やその家族に対する福祉及び奉仕を引き続き行う,戦争英雄を最大限認識することで義務を果たすべきであり,彼らの犠牲を忘れることはあってはならない,何人かの与野党の政治家や,外国からの資金に頼って国を不安定化させようとするNGO職員は,戦争英雄とテロリストの違いがわかっていない,また政治家が権力を握ったり,政権を倒すために戦争英雄を利用するべきではないと述べた。(19日付デイリーミラー紙,19日付デイリーニュース紙,19日付デイリーミラー紙,20日付サンデーオブザーバー紙)
(4)補償局の設置
補償局の設置に関する法案が,今週閣議承認され,現在ドラフト作成の最終段階にある。法案によると,補償局はコロンボに設置され,大統領の任命による5名の委員から構成される予定である。(20日付サンデータイムズ紙)
(5)犯罪科学に関する認定コース
弁護士協会が,6月1日より,犯罪科学(Forensic Science)に関する認定コースを開始することとなった。法律専門家の知見を深めるために質の高いトレーニングを外国の専門家が提供する。(27日付サンデーアイランド紙)
(6)ウィクラマシンハ首相の北部訪問
28日,ウィクラマシンハ首相は,開発案件の現状を確認のためキリノッチ及びジャフナ県を訪れた。(29日付デイリーニュース紙)
(7)スリランカ人権委員会の活動評価
ウダガマ・スリランカ人権委員委員長は,スリランカ人権委員会の活動が,国家人権機関グローバルアライアンス(GANHRI)よりAの評価で認定(前回2009年の評価はB)された旨述べた。(30日付デイリーニュース紙)
3 軍事
(1)パシフィックパートナーシップ2018の実施
4月25日から5月9日にかけ,トリンコマリー近辺でパシフィックパートナーシップ2018が実施されている。米やスリランカ,日本等から要員が参加し,住民に対し医療支援や公共施設の改装等を行っている。(4日付デイリーミラー紙,デイリーニュース紙,5日付デイリーミラー紙)
(2)第29回スリランカ・インド国際海上境界協議の実施
3日,スリランカ・インド国際海上境界年次協議がインド海軍艦船「Sumithra」艦上で実施された。本協議は両国海軍及び沿岸警備隊の関係強化及び即応性向上を図るものであり,地域の海上安全保障について協議が行われた。(4日付国防省ニュースサイト)
(3)インド陸軍総参謀長のスリランカ訪問
13日,インド陸軍総参謀長ラワット大将がスリランカに到着した。7日間の滞在間,ラワット大将はシリセーナ大統領,ウィクラマシンハ首相,ウィジェワルダナ国防担当国務大臣等を表敬する他,トリンコマリー及びゴールを訪問する予定。(14日付デイリーニュース紙)
(4)豪雨による被災地域への援助活動
スリランカ豪雨による被災者の援助・救援のため,スリランカ海軍は,被災した8州に100人を,スリランカ陸軍は,全土に100人以上の兵士を派遣したとそれぞれ発表した。(23日付デイリーミラー紙)
4 外交
(1)福山哲郎参議院議員のスリランカ訪問
5月1日,福山哲郎立憲民主党幹事長は,セナナヤケ外務担当国務大臣を表敬した際,二国間関係は強固である,日本は考古学分野での協力をより強化していくことを検討したい,自らの党のメンバーを近い将来連れて来たい旨述べた。(5月3日付デイリーニュース紙)
(2)シンガポール・スリランカ間のFTA
4日,サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易大臣は,スリランカ・シンガポール間のFTAは,スリランカ国内に新しい職・雇用を創出する機会になるのであって,シンガポールのみに有益となることはない旨述べた。(5日付デイリーニュース紙)
(3)和泉補佐官のスリランカ訪問
4日,和泉補佐官率いる代表団が,シリセーナ大統領を表敬し,トリンコマリー港やバンダラナイケ国際空港について協議した。(5日付デイリーニュース紙)
(4)シリセーナ大統領のイラン訪問
12日~13日,シリセーナ大統領は,経済・貿易関係拡大を目的として,イランを訪問した。同大統領は,ローハニ・イラン大統領を表敬し,経済・貿易関係について議論し,麻薬密売,健康,研究室サービス及び訓練,映画,文化・科学・教育での交流に関する5つのMOUを締結した。(13日付アイランド紙,14日付デイリーニュース紙)
(5)「一帯一路」に関する程駐スリランカ中国大使の発言
11日,中国の程駐スリランカ大使はシリセーナ大統領を表敬し,二国間関係や一帯一路イニシアティブについて意見を交わした。大統領はスリランカは一致一路イニシアティブを強力に支持しており,ポートシティやハンバントタ港といったメガ・プロジェクトへの参加を重要なものと考えている,中国政府の支援による国家腎障害専門病院の早期開業への期待を表明した。程大使は「相談・貢献・利益の共有」という黄金の方針に基づき,両国民に裨益する一帯一路の枠組の下で両国の現実的協力を積極的に推進していくと述べた。程大使は共同事業における軍事目的という根拠のない憶測を否定しつつ,特定の外国勢力(certain external forces)が二国間友好関係とハンバントタ港の運営を攻撃しようとしていると警告した。程大使は国家腎障害専門病院について建設は間もなく開始され2年以内に開業する,台湾やチベットという中国にとっての核心的利益に関する課題におけるスリランカの堅い支持に感謝すると共に,スリランカの内政に決して介入しないと述べた。(
(6)セナラトナ保健・栄養・伝統医療大臣のジュネーブ訪問
21~26日,セナラトナ保健・栄養・伝統医療大臣は第71回世界保健総会に出席するため,ジュネーブを訪問。同総会で,同大臣はスリランカの保健サービスについて発言予定。(22日付デイリーニュース紙)
(7)程中国大使の発言
23日,程中国大使は,一帯一路政策に関するシンポジウムにて,中国はスリランカとの歴史的関係が基に,スリランカの経済発展を支援している,スリランカに地理的に優位な位置にあり広範な発展の見込みがあり,一帯一路政策において重要なパートナー国であると述べた。(24日付デイリーニュース紙)
(8)北朝鮮への国連制裁発動
スリランカは,対北朝鮮に国連安保理事決議履行の一環として,北朝鮮に関する資金及び金融資産を凍結させ,経済的関与を禁ずることとした。(27日付サンデータイムズ紙)
(9)米国下院軍事委員会代表団の訪問
30日,スリランカ訪問中の米国下院軍事委員会(House Armed Services Committee)代表団は,シリセーナ大統領及びウィクラマシンハ首相をそれぞれ表敬した。大統領は,麻薬流入阻止の協力を必要としている旨述べ,代表団は防衛協力の強化の方策を探ることが訪問の目的である旨述べた。(31日付デイリーニュース)