当国情勢

平成30年11月19日

2018年9月1日 - 9月30日

 1 内政
(1)JOによる反政府抗議
ア 9月5日,JOによる反政府抗議がコロンボ市内で行われ,ラージャパクサ前大統領やゴタバヤ・ラージャパクサ前国防次官が参加した。(9月6日付デイリーニュース紙)
イ ラージャパクサ前大統領は,LTTEを敗北させたことにより勝ち取った独立を現政権は妨害している,選挙を先延ばしする行為は国民の民主的権利を侵害しており新しい政権によって民主主義を立て直す必要があると述べた。(9月6日付デイリーミラー紙)
ウ ウィジェワルダナ国防担当国務大臣は,JOによる反政府抗議はコロンボ市内の住民が迷惑を被っただけであり,現政府に対する影響はなく,失敗であったと述べた。バンダーラ治安大臣は,JOは25,000人程度の参加者しか集めることもできず,抗議活動は失敗であった,ラージャパクサ前大統領が自分の息子のナマル・ラージャパクサを政治的に後継者として据える目的に過ぎないと述べた。(9月6日付デイリーミラー紙)
エ 6日,アルットガマゲJO議員は,コロンボで行った反政府抗議は成功であり,国民がラージャパクサ前大統領を支持していて政権交代を望んでいることは明らかであった,次回はキャンディで実施すると述べた。(7日付デイリーミラー紙)
 
(2)2019年予算審議
 6日,各党リーダーは,11月8日に2019年予算演説,同日から12月8日まで審議を行うことを提案した。通常予算審議は26日間であるため,提案期間の前後いずれかに2日間足される予定。(7日付デイリーニュース紙)
 
(3)カルナナヤケ前財務大臣の閣僚再任命
 UNPは,カルナナヤケ前財務大臣を閣僚に再任命することを決定した。検事総長オフィスは,首相の要請で来週までにカルナナヤケ前財務大臣に対する汚職疑惑の事実関係を報告予定。(7日付デイリーニュース紙)
 
(4)20次憲法修正案
ア 10日,ピーリスSLPP議長は,国民投票なしには20次憲法修正案は採択されない,同修正案は選挙を遅延させる試みであるが大統領選挙が延期になることは絶対にないと述べた。(11日付デイリーミラー紙)
イ スマンティランTNA議員は,20次憲法修正案の内容は国民の主権は侵害しない,また修正案は第83条に直接違反する内容を記載していないことからも国民投票は要さないと発言した。(17日付デイリーミラー紙)
ウ 17日,検事総長(AG)は最高裁に対して,20次憲法修正案は国会の3分の2の支持に加えて,国民投票も必要であるとの見解を述べた。(18日付デイリーミラー紙)
エ 21日,制憲議会運営委員会(CASC)は,憲法草案を含んだ報告書を憲法委員会(CA)に10月25日に提出することを決定した。同運営委員会は,10月11日に再度招集され,報告書を最終形にまとめる予定である。本報告書及び草案は,専門家パネルが作成したものを基に作成されている。(22日付デイリーニュース紙)
オ 25日,ディサナヤケJVPリーダーは,同党が国会に提出している20次憲法修正案について,憲法的視点からは議会の三分の二の支持を得て可決される必要があるが,政治的観点からは,右に加えて国民投票を実施すべきである,国民が20次憲法修正案に同意すると確信していると述べた。(26日付デイリーニュース紙)
 
(5)常設高等裁判所設置の官報公示
 7日,汚職や贈収賄関連の円滑な裁判手続きを促進するための3つの常設高等裁判所のうちの2つ目を設置する法案が官報公示された。アトゥコーララ司法・刑務所改革大臣は,政府は同裁判所を早急に設置できるよう必要な行動を取ると述べた。(10日付デイリーニュース紙)
 
(6)憲法委員会への任命
ア シリセーナ大統領は,サマラシンハ港湾・海軍大臣を憲法委員会(CC)における大統領代表(president's representative)に任命した。CCは,ジャヤスーリヤ国会議長,ウィクラマシンハ首相,サンパンタンTNA代表を含む計10名で構成されている。(15日付デイリーニュース紙)
イ 憲法委員会(CC)は,残り6名が任命されておらず9月7日より3週間機能していない。CCは,国会議長,首相,野党リーダーを役員とし,他議員7名の合計10名に加えて市民社会のメンバーで構成されている。(9月29日付アイランド紙)
ウ 9月29日,イダワラ副事務総長兼議会議長は,CCの市民社会からのメンバーの募集が10月5日までであることから,5日以降に残り6名の議員についても任命されると述べた。(9月30日付サンデーオブザーバー紙)
※(注)独立委員会の委員や最高裁長官,検事総長などについて候補者を推薦する委員会(任命は大統領)(憲法41条)
 
(7)イランとの茶貿易の支払い方法
 19日,ディサナヤケ・プランテーション産業大臣は,米国に制裁を下されたイランとの茶貿易の支払い方法の解決策に取り組む委員会が閣議で任命されたと述べた。(20日付デイリーミラー紙)
 
(8)スリランカ警察副長官による大統領暗殺計画疑惑(往電第1678号参照)
 治安省は,警察委員会にデシルバ・スリランカ警察テロ捜査担当副長官がシリセーナ大統領及びゴタバヤ・ラージャパクサ元国防次官に対する暗殺を企てた疑惑について,同副長官を停職させるよう勧告した。17日付で同副長官はIT部門に異動した。(20日付デイリーニュース紙)
 
(9)ウィジェグナラトナ国防参謀長の疑惑
 政府は,ウィジェグナラトナ国防参謀長が2008~2009年に若者が拉致された際の指名手配犯を庇っている疑惑があるものの,同参謀長の逮捕報道については否定した。また,CIDは,同国防参謀長が19日にメキシコからスリランカに戻ったため,今後取り調べを行うと述べた。(15日付デイリーミラー紙,20日付デイリーミラー紙)
 
(10)州議会選挙
 8月に任命された区割審査委員会は,区割りに関する報告書を2か月以内に提出することになっていたが,報告書の提出が2か月遅延する旨ジャヤスーリヤ国会議長に伝えた。21日,ジャヤスーリヤ国会議長は各政党リーダーを招集し,本件について議論したところ,同国会議長はこれ以上州議会選挙を先延ばししないよう改めて伝え,報告書がさらに延期となった場合にとるべき行動について議論された。(22日付デイリーニュース紙)
 
(11)テロ防止法(PTA)・テロ対策法(CTA)
ア テロ防止法(PTA)に代わるテロ対策法(CTA)が官報公示された。(特徴)1.殺害事案を伴うテロ行為の場合は終身刑,2.扇動や未遂の場合は15年以下の懲役か100万ルピー以下の罰金,3.刑事手続きがない場合6ヶ月以上拘留できない(例外規定あり),4.裁判所の許可で2週間以上の留置が可能であるも6か月以上は不可,5.警察は72時間以内に容疑者の留置について人権委員会に報告,人権委員会はいつでも視察可能。
イ 26日,サンパンタンTNAリーダーはウィクラマシンハ首相と面会し,2時間の会談の中でPTAの下で拘留されている囚人やCTAに関して議論した。ジャヤスーリヤ法務長官も同席し,残りのPTA拘留者に関する訴訟を迅速化させるメカニズムを3日以内に提案することにつき同意した。(28日付デイリーニュース紙)
ウ 11日,国会で制定予定のテロ防止法(PTA)に替わるテロ対策法(CTA)案が閣議決定された。ラージャパクサ高等教育・文化大臣は,実施機関を警察ではなく国防にすることや自白に基づく裁判等の法案修正を国会審議中に行うべきと提案した。(12日付デイリーミラー紙)
 
2 平和構築
(1)OMPによる勧告内容を検討する内閣小委員会の設置
 シリセーナ大統領は,OMPが先週提出した中間報告書(※往電第1623号参照)の勧告内容について検討する内閣小委員会を設置すると述べた。(10日付デイリーニュース紙)
 
(2)第39回国連人権理事会及び第73回国連総会
 
(3)シリセーナ大統領の国連総会への新しい提案内容
 14日,シリセーナ大統領は,25日の国連総会にて,LTTEの容疑者及び囚人の解放要求やスリランカ軍による人権侵害事案の疑いを含む内戦後の問題を解決するための包括的な新しい案を提出すると述べた。また,これらの内容を次回の国連人権理事会の決議内容にも提案予定である旨発言した。(15日付デイリーニュース紙)
 
(4)土地の返還
 ジャフナ治安部隊司令官はシリセーナ大統領宛に,政府に対してジャフナ・フォートを軍の管轄下に戻すことを要求し,代わりにキャンプとして使用している土地を3か所返還することを提示したレターを発出した。一方,ジャフナ市評議会は同フォートは観光の目玉として開発し得るとして,右動きに反対している。(23日付サンデータイムズ紙)
 
(5)12,190名の元LTTE兵士の社会復帰
 9月28日,ワウニヤ・リハビリテーション局長のオベセーカラ大佐は,ワウニヤのキャンプでは12,191名の元LTTE兵士のうち1名以外全員社会復帰済みであると報告した。(9月29日付デイリーミラー紙)
 
(6)ジャフナ半島における軍による犯罪取締り
 9月30日,スマンティランTNAスポークスマンは,ジャフナ半島における犯罪を軍が取締まることに反対し,警察に任せるべきである,しかし北部州に配置されている警察の多くはタミル語を流暢に話せないため適切なサービスを提供できない,このような問題は憲法改革によって改善することができると述べた。(10月2日付アイランド紙)
 
3 軍事
(1)スリランカ・インド海軍共同演習の実施
 7日~13日の間,トリンコマリーにおいてスリランカ海軍とインド海軍の共同演習「SLINEX」が実施される。インド海軍からは3隻の艦船の他,ドルニエ偵察機が演習に参加して捜索救難や海上監視訓練等が実施される。(7日付デイリーニュース紙他)
 
(2)インドネシア海軍艦船のコロンボ港訪問
 8日,インドネシア海軍艦船「Kri Sultan Hasanuddin」がコロンボ港に寄港した。9日まで滞在する予定。(10日付デイリーニュース紙)
 
(3)バングラデシュ海軍艦船のコロンボ港訪問
 12日,バングラデシュ海軍艦船「Somudra Joy」がコロンボ港に寄港した。16日まで滞在する予定。(12日付国防省ニュースサイト)
 
(4)スリランカ陸軍主催演習コーモラント・ストライクの終了
 26日,東部トリンコマリーにおいて陸軍主催統合演習「コーモラント・ストライク」が終了した。本演習は3軍の他,米,中,豪等の諸外国からも参加者を得て,北部や東部を使用して約3週間実施された。本演習は対反乱作戦をメインとし,スタジアムを舞台としたVIP救出作戦等が実施された。(9月28日付デイリーニュース紙)
 
(5)日本海自艦船のコロンボ港寄港
 9月30日,日本海上自衛隊艦船「かが」及び「いなづま」がコロンボ港に寄港した。10月4日に出港するまでの間,乗員はスリランカ海軍主催のスポーツイベント等に参加する予定。(10月1日付国防省ニュースサイト)
 
4 外交
(1)ラージャパクサ前大統領のインド訪問
(2)ウィクラマシンハ首相のベトナム訪問
(3)ラトナヤケ大臣の米国訪問
 12~13日,サーガラ・ラトナヤケ青年問題・事業管理・南部開発大臣は米国ワシントンDCを訪問し,スリランカの最近の開発について,関係する議員にブリーフをし,二国間関係についても議論した。(20日付デイリーニュース紙)
(4)シリセーナ大統領の国連総会参加