在スリランカ日本大使館は、モルディブ共和国を兼轄しています。

 

 

1.最近の出来事

2014年12月1日 - 12月31日

2014年11月1日 - 11月30日

2014年10月1日 - 10月31日

2014年9月1日 - 9月30日

2014年8月1日 - 8月31日

2014年7月1日 - 7月31日

2014年6月1日 - 6月30日

2014年5月1日 - 5月31日

2014年4月1日 - 4月30日

2014年3月1日 - 3月31日

2014年2月1日 - 2月28日

2014年1月1日 - 1月31日

2.過去の出来事

2013年

2012年

2011年

2010年

経済情勢
1.面積・所得
2.産業別GDP・人口
3.人口・労働
4.農業・工業
5.物価・賃金
6.財政
7.国際収支
8.貿易
9.金融
10.投資・観光
11.外貨・為替・対外債務

 

スリランカ内政・外交(2014年12月)

 

1 大統領選挙戦
(1)野党連合による共通プログラム署名
1日,クマラトゥンガ元大統領,シリセーナ野党統一候補,ウィクラマシンハ野党統一国民党(UNP)総裁,フォンセーカ民主党(DP)党首及び社会正義に向けた国民運動代表のソービタ師らが,シリセーナ氏を野党統一候補として擁立し,政権奪回後,強権を伴う大統領制を廃止し議院内閣制を導入することなどを記した野党共通プログラムに署名した。
(2)仏教政党ジャーティカ・ヘラ・ウルマヤ(JHU)による野党候補支持表明
2日,ラナワカJHU幹事長は,同党がシリセーナ候補を支持することを表明し,シリセーナ候補と覚書に署名したことを明らかにした。
(3)シリセーナ野党統一候補による民主党(DP)集会参加
3日,シリセーナ候補は,DP主催の政治集会に参加した際,選挙に勝利した暁には,フォンセーカDP党首・元陸軍司令官の剥奪された市民権及び勲章を復活させる旨述べた。
(4)大統領選挙立候補者らによる立候補届出
8日,ラージャパクサ大統領,シリセーナ野党統一候補を含む計19名が選挙管理局に立候補を届け出た。9日,選挙管理局は,全候補者の氏名,シンボルマーク及び政党名が記載されたリストを発出するとともに,投票は明年1月8日午前7時から午後4時まで行われる旨発表した。シリセーナ候補は,2010年大統領選挙時のフォンセーカ野党統一候補同様,国民民主戦線(NDF)から出馬し,シンボルマークは「白鳥」。
(5)選挙運動中の与野党による主な主張
ア 11日,大統領は,北中央州アヌラダプラでの選挙集会に参加して,選挙運動を開始した。同集会で,大統領は「30年に及ぶ紛争から解放され,発展し続けるこの国を後退させてはならない。政治・軍指導者らを国際司法裁判所に引き立てようとする勢力があるが,そのようなことは許さない」などと主張。
イ 16日,ウィクラマシンハ野党UNP総裁は,観光業界関係者との会合で,選挙で勝利した暁には,中国融資によるコロンボ・ポートシティ事業は,周辺の沿岸部に悪影響をもたらすので廃止する旨述べた。
ウ 19日,シリセーナ候補は,紛争中の人権侵害疑惑に関して,国際戦争犯罪法廷は受け入れないが,国内に独立した法廷を設置して犯罪者を裁く旨発言。
(6)ラージャパクサ大統領・シリセーナ野党統一候補の選挙マニフェスト
ア 19日,シリセーナ野党統一候補が,選挙マニフェスト「慈悲深い統治・安定した国」を発表。大統領への権限集中や,それに伴う法による統治の崩壊,汚職の蔓延を指摘し,就任後,100日以内に,ウィクラマシンハUNP総裁を首班とする挙国一致内閣を設置し,大統領権限を縮小するための憲法修正案を可決,成立させるとした。また,現政権の未熟な外交を改め,インド,中国,日本などのアジアの主要国とバランスの取れた関係を構築する旨標榜。
イ 23日,ラージャパクサ大統領は,選挙マニフェスト「マヒンダ・チンタナ~成功への道~」を発出。05年からの一期目で紛争を終了させて平和をもたらし,10年からの二期目で経済・インフラ開発を進めてきたところ,15年からの三期目では,開発事業をさらに進めるとともに,民主・統治制度の改善に取組みたい,としている。また,LTTE残党による脅威を強調するとともに,紛争中の人権侵害疑惑に関して,国際法廷や国際調査を受け入れないとした。
(7)ムスリム政党によるシリセーナ野党統一候補支持表明
22日にバディユディーン産業・商業相・全セイロン・ムスリム会議(ACMC)党首が,また28日にはハキーム司法相・スリランカ・ムスリム会議(SLMC)党首が,連立政権を離脱し,野党統一候補を支持すると発表。両党党首は,現政権下では,「良い統治」やムスリム住民の安全は望めないとした。
(8)期日前投票の実施
23,24,26,30日及び1月2日,公務により投票日に投票できない公務員,警察官,軍人ら約54万人による期日前投票が実施された。選挙管理委員会関係者は,投票は全国で概ね平和裏に実施された旨述べた。
(9)バン・ギムン国連事務総長とピーリス外相との電話会談
24日,バン・ギムン国連事務総長はピーリス外相に架電して,平和的で信頼に足る選挙の実施を強く期待している旨伝えるとともに,マイノリティーを含む全国民が安全に選挙に参加できることの重要性を指摘した。
10)タミル国民連合(TNA)による野党統一候補への支持表明
12月30日,TNAが野党統一候補への支持を表明。サンパンタンTNA議員団長は「現政権は,タミル問題の解決に熱心でないばかりか,過激派によるマイノリティー攻撃を容認していた」旨述べた。
11)与野党議員による鞍替え
ア 与党から野党への鞍替え
(ア)8日:ヒルニカ・プレマチャンドラ西部州議会議員
同議員は,2011年の与党関係者間抗争で父親であるバラタ・ラクシュパン・プレマチャンドラ大統領顧問・元国会議員を殺害したドゥミンダ・デシルバ国会議員がいまだ処罰されていないことに不満がある旨述べた。
(イ)10日:ティガンバラム言語・社会統合副大臣
同副大臣は,ラダクリシュナン植物園・公共余暇副大臣とともに野党統一候補支持を表明。両名とも中部・プランテーション地区を地盤としており,現政権のインド系タミル人に対する支援は十分でないと不満を表明。
(エ)25日:ウダヤクマール・セイロン労働者会議(CWC)副党首
(オ)31日:ファイザル・ムスタファ投資促進副大臣
イ 野党から与党への鞍替え
(ア)8日:アッタナヤケ統一国民党(UNP)幹事長・国会議員
11日,アッタナヤケ議員は,シリセーナ前保健相の後任として,保健相に任命された。また同議員は22日,シリセーナ候補は,北部州の駐留軍人数の削減と基地の縮小などについてUNPと秘密の合意文書を結んでいると非難した。一方,UNP側は,同合意文書なるものはねつ造であると反論した。
(イ)8日:ジャヤンタ・ケタゴダ民主国民連合(NDA)所属国会議員
(ウ)11日:ガンマンピラJHU副幹事長
22日,同議員は,JHUをともに離党した地方議員らとともに新党ピヴィトゥル・ヘラ・ウルマヤ(PHU)を立ち上げた。
12)主な選挙法違反・暴力事案
(ア)17日,南部州ゴール県ワンドゥランバで,シリセーナ野党統一候補が演説を予定していたステージが何者かにより放火された。翌18日,警察は,ゴール県選出のムトゥヘッティガマ副大臣の支持者3名を,本件放火事案に関与した容疑で逮捕。さらに20日,同副大臣が,自身の運転手や警護官とともに,警察が勾留中の同3名を逃亡させようとして失敗し,28日に逮捕された。
(イ)21日,ハンバントタでデモに参加していたUNP関係者らが何者かに襲撃され,アユーブ・カーン同市議会野党代表を含む数名が負傷。翌22日,襲撃を主導したと見られるイラジュ・フェルナンド同市長が警察に逮捕された。
(ウ)24日,コロンボ郊外シリコタのUNP本部前でデモを行っていた与党支持者らと,UNP支持者らが衝突し,約30名が負傷した。
(エ)26日,西部州カルタラ県ベルワラでの集会後,民家で食事をしていたクマラトゥンガ元大統領及びヒルニカ・プレマチャンドラ州議会議員が投石された。両名は無事であったものの周囲にいた複数の人々が負傷した。

2 その他の内政
(1)燃料・ガス価格の引き下げ
5日,政府は,原油価格の下落を受けて,ガソリンとディーゼル価格を1リットル・7ルピー,また灯油価格を1リットル・5ルピー引き下げた。また7日から,12.5キロ入りのプロパンガス・シリンダーの価格を250ルピー,5キロ入りのプロパンガス・シリンダーの価格を100ルピー引き下げた。
(2)スリランカ空軍機の墜落
12日朝6時半頃,バンダラナイケ国際空港からラトマラーナ空港に向かっていたスリランカ空軍機がコロンボ郊外ホカンダラのゴム農園に墜落して,4名の空軍人が死亡し,1名が重傷を負った。パイロットからラトマラーナ空港管制塔に対して視界不良との連絡が入った後に,同機との連絡が途絶えた。グナティラケ空軍司令官は,墜落原因を調査する軍事法廷調査団を設置した。
(3)フォンセーカ野党民主党(DP)党首の義理の息子による出廷と保釈
紛争中にフォンセーカ陸軍司令官(当時)の便宜によりスリランカ軍への武器供与契約を不当に落札した容疑で,2010年にコロンボ地区治安判事から出廷命令を受けていた,フォンセーカDP党首の義理の息子であるダヌナ・ティケカラトナ氏が,19日,コロンボ高裁に出廷した。同氏は,同日,保釈金を支払い,保釈された。
(4)北中央州,東部州などでの洪水の発生
20日から続いた豪雨により洪水・地滑りが発生し,28日までに北中央州,東部州など8州22県で約28万世帯・100万人が影響を受け,23人が死亡,8名が行方不明となった。また,約4500家屋が全壊し,約1万4千家屋が損傷を受けるなどし,約12万人が,避難生活を余儀なくされた。特に被害が大きかったのは東部州バティカロア県で,約3万人が避難所に避難した。また,ウーワ州バドッラ県では,バドッラ及びハリエラでの地滑りにより8名が死亡,7名が行方不明となった。
(5)農業省による一部農薬の販売禁止措置
23日,農業省は,5種類の農薬の販売を禁止した。カドミウムやひ素といった重金属を含む農薬の使用が腎臓病の原因となっていると言われており,この種の農薬の禁止は大統領選挙の争点の一つとなっていた。

3 国民和解
(1)LTTEが保有していた貴金属・宝石類の返却
4日,大統領や軍幹部らは,大統領官邸において,軍が北部州で発見した,LTTE銀行に預けられていた貴金属・宝石類を,元の所有者である北部州住民2379人に返却した。
(2)失踪者調査委員会への日本人専門家の任命
14日,失踪者調査委員会のパラナガマ議長は,同委員会に助言するために,新たに野口元郎元カンボジア国際法廷最高審判事が専門家として任命された旨述べた。同委員会に任命された外国人専門家はこれで6人目。

4 外交
(1)ドヴァル・インド国家安全保障顧問の来訪
11月31日~12月2日,ドヴァル・インド国家安全保障顧問が来訪した。同顧問は,1日,国防省と海軍の共催によるゴール・ダイアローグ(国際海洋協議)で基調講演を行ったほか,ラージャパクサ大統領やゴタバヤ国防次官,シリセーナ野党統一候補,ウィクラマシンハUNP総裁,クマラトゥンガ元大統領らと会談した。
(2)ブラッター国際サッカー連盟(FIFA)会長による大統領表敬
2日,当地訪問中のブラッター会長がラージャパクサ大統領を表敬した。双方は,スリランカにおけるサッカー振興策について協議した。
(3)LLTEのテロ団体指定解除判決に対するEU理事会による控訴
10月16日,欧州一般裁判所が,LTTEのテロ団体指定を無効とする判決を下したことを受けて,2日,EU理事会は欧州司法裁判所に控訴することを決定。また同日,スリランカ外務省は,EUによる控訴を歓迎する声明を発出。
(4)モルディブの首都マレへの飲料水供給
4日の海水淡水化装置の火災により,マレ市内で飲料水が不足していることを受けて,スリランカ政府は,スリランカ航空の協力を得て,5日夕刻,5.8トンの飲料水ボトルを空輸した。
(5)ラージャパクサ大統領によるインド私的訪問
9~10日,大統領は,インド南部アンドラプラデシュ州ティルパティを訪問して,現地の著名なヒンドゥー寺院での宗教行事に参加した。
(6)ラージャパクサ大統領発安倍総理宛祝意メッセージ
15日,ラージャパクサ大統領は,ツイッターで,安倍総理による再選に祝意を述べるとともに,アベノミクス改革と日本を更なる高みへと導く舵取りの成功に期待を表明した。

 


スリランカ内政・外交(2014年11月)

1 内政
(1)大統領から最高裁への意見照会
サラット・ナンダ・シルバ元最高裁長官ほかが,三選禁止規定を撤廃した第18次憲法修正は,ラージャパクサ大統領が2期目に選出された後に成立したために,同大統領には適用されないと主張していることに関して,5日,ラージャパクサ大統領は,自身による三選出馬が可能か否か,最高裁に意見照会した。これに対して10日,最高裁は,大統領による大統領選挙の布告及び出馬にいかなる法的障害もないと回答した。
(2)与党ジャーティカ・ヘラ・ウルマヤ(JHU)幹部の政府要職からの辞任
18日,JHUは,党幹部による政府要職からの辞任について発表した。ラナワカ党幹事長が科学技術相を,またガンマンピラ西部州議会議員が西部州農業・小規模灌漑相を辞任した。同党は,与党連合に対して,大統領の権限縮小を含む35項目の政策提案を行っていたが,与党連合の回答は不十分であったために,本件辞任を決意した由。
(3)大統領よる大統領選挙実施の布告
19日に2期目就任から4年が経過したことを受けて,20日午後,ラージャパクサ大統領は,憲法31条パラ3Aに基づき,三選に向けて大統領選挙の実施を宣言する布告を発出した。これを受けて22日,デシャプリヤ選挙管理委員長は,立候補受付日を12月8日(月),投票日を来年1月8日(木)とする旨発表した。
(4)シリセーナ保健相による野党統一候補就任
21日午後,シリセーナ保健相・与党スリランカ自由党(SLFP)幹事長は,ラージタ・セナラトネ漁業・水産資源相,チャンドリカ・クマラトゥンガ前大統領,ドゥミンダ・ディサナヤケ教育サービス相,M.K.A.D.S.グナワルダナ仏法・宗教副大臣,ラジーヴァ・ウィジェーシンハ与党連合国会議員・大統領和解顧問,ワサンタ・セナナヤケ与党連合国会議員とともに記者会見に臨み,最大野党統一国民党(UNP)や民主党(DP)などの支持を得て,野党統一候補として大統領選挙に出馬する旨表明した。
シリセーナ保健相は,同会見で,縁故採用,汚職及び法の支配の乱用にまみれた現政権と対決する,大統領就任後100日間で,強権を伴う大統領職は廃止し,第17次憲法修正を復活させて公安,選挙管理,行政部門,司法部門委員会を完全に独立させ,法の支配を回復するなどと述べた。また,ウィクラマシンハUNP総裁を首相に任命すると公約した。
(5)大統領選挙との関連が疑われる暴力事案
21日,西部州カルタラ県パヤガラで,シリセーナ保健相らの鞍替えを受けてクラッカーを鳴らすなどしていたUNP支持者らに対して,車で近づいてきた一団が発砲し,UNPの元村議会議員1名が負傷した。
(6)ペルマル・ラジャトライ与党連合議員のUNPへの鞍替え
21日,セイロン労働者会議(CWC)出身のラジャトライ与党連合議員が,UNPに鞍替えした。同議員は,出身地である中央州ヌワラエリヤ県のUNP選対委員長に就任した。
(7)国会での来年度予算案の可決
24日,国会本会議において,来年度予算案が賛成152票,反対57票で可決された。反対票を投じたのは野党統一国民党(UNP)やタミル国民連合(TNA)など。シリセーナ野党統一候補ほか与党スリランカ自由党(SLFP)造反組は欠席した。
(8)シリセーナ候補による初政治集会
30日,シリセーナ候補は,地元である北中央州ポロンナルワで,野党統一候補就任以来,初めて政治集会に出席した。同集会には,ウィクラマシンハUNP総裁や同党幹部のほか,周辺の町・村議会議員らも応援に駆けつけた。シリセーナ候補は,現政権による汚職,縁故主義,一族支配に終止符を打ち,統治の向上と農業部門の復活を目指すなどと演説した。
(9)北部州ワンニ選挙区選出の与党連合議員による鞍替え
26日,北部州ワンニ選挙区選出のフネイス・ファルーク与党全セイロン・ムスリム会議(ACMC)議員が鞍替えし,シリセーナ候補を支持を表明した。
(10)ナヴィン・ディサナヤケ行政改革相の鞍替え
29日,ディサナヤケ行政改革相は大統領に辞表を提出するとともに,大統領制の廃止に向けてシリセーナ野党統一候補を支持する意向を表明した。UPFA議員で鞍替えしたのは同議員で8人目。
(11)ジャフナ司令官の交代
28日,ウダヤ・ペレーラ国防軍ジャフナ司令官(准将)が解任され,新たにK.ジャガット・アルウィス少将が後任に任命された。

2 国民和解
(1)失踪者調査委員会による公聴会
2~5日,失踪者調査委員会は,北部州ムライティブ県で2回目となる公聴会を実施して,172人の証言を聴取した。
(2)白紙の人権侵害事案申立書に署名を集めていた男の逮捕
10月25日に北部州キリノッチ県ムランカヴィルで,白紙の国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)調査チーム宛人権侵害事案申立書に署名を集めていた男が逮捕された件に関して,5日,ピーリス外相は,西側各国大使及び当地UNDP副代表に対して,本件事件で,OHCHR調査チームに対する申立てが捏造されようとしていた可能性が高い旨説明した。
7日,これに対して,ゼイド国連人権高等弁務官は,OHCHR調査チームは,各証言について裏を取るので,捏造された証言を鵜呑みにすることはない,スリランカがOHCHR調査を中傷し続け,また人々に証言させないように脅迫することは,人権理によりマンデートを与えられた本件調査への侮辱であると反論。
一方,8日,アーリヤシンハ・スリランカ寿府代常駐代表は,ゼイド弁務官に対して,政府は人々がOHCHR調査チームに証言することを妨害してはいない,国連幹部がこのような偏った言葉を用いて独立国を非難するとは懸念すべきことである旨の書簡を発出した。
(3)国民和解問題を扱う国会選任委員会(PSC)の任期延長
13日,国会で,PSCの任期を6か月間延長して,来年5月12日までとする動議が可決された。これまで野党が参加を拒否しており,PSCの作業は進んでいない。
(4)失踪者調査委員会による軍・LTTEによる市民殺傷疑惑事案の申立て受付
失踪者調査委員会は,軍・LTTEによる市民殺傷疑惑の事実関係やそれが国際人道・人権法違反にあたるかどうかを調査するために,市民から関連事案の申立てを受け付けることにした。受付期限は本年末まで。
(5)国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の人権侵害疑惑調査への申立て期限
17日,ピーリス外相は,OHCHR調査チームへの人権侵害事案の申立て期限が,当初10月30日であったのに,OHCHR報道官が,遅れて提出された申立てでも場合によっては受け付けると発言したことを受けて,OHCHR調査は首尾一貫性や客観性が欠如しているとして,ナンディ当地国連代表に申入れを行った。

3 外交
(1)中国潜水艦によるコロンボ港寄港
9月中旬に続いて10月31日~11月6日に再び中国潜水艦が,給油と乗員の休息のためにコロンボ港に寄港した。同潜水艦は,アデン湾・ソマリア沖での海賊対処任務の途中に寄港した。
(2)ネイサン・ガイNZ第一次産業相のスリランカ訪問
ビジネス代表団とともに来訪したガイNZ第一次産業相は,4日,ラージャパクサ大統領を表敬して,経済交流強化策などについて協議した。またガイ大臣は大統領に対して,来年2月のクリケット世界杯の機会を捉えたNZ訪問を招請した。
(3)ジャヤラトナ首相によるインド訪問
9日,インド南部カルナータカ州マニパール大学の卒業式で演説したジャヤラトナ首相は,インドとスリランカの文化的,歴史的友好関係を強調した。
(4)ラージャパクサ大統領とモディ・インド首相との電話会談
9日,両首脳は,電話にて,10月30日にコロンボ高裁により麻薬密輸の容疑で死刑判決を下されたインド人漁師5名の問題について協議した。19日,当該インド人漁師5名らは,ラージャパクサ大統領の恩赦により釈放された。
(5)ウィグネーシュワラン北部州首席大臣のインド訪問
9日,インド南部タミルナドゥ州を訪問中の北部州首席大臣は,講演会においてスリランカではマイノリティーに対する国家による暴力が続いている一方で,司法も機能していないなどと述べた。同首席大臣には,TNAのセナティラージャ副議員団長やスマンティラン議員が同行している。
(6)アブデル・アジズ・モーリタニア大統領のスリランカ訪問
13日,来訪中のアブデル・アジズ大統領がラージャパクサ大統領と会談した。アブデル・アジズ大統領が,鉱物資源開発,保健,職業訓練,漁業,農業といった分野での協力を求めたところ,ラージャパクサ大統領は,これを快諾しつつ,スリランカはアフリカ諸国との関係強化を推進している旨述べた。
(7)ローマ法王フランシスコ一世のスリランカ訪問日程の確定
14日,バチカンは,ローマ法王による来年1月13~15日のスリランカ訪問日程を正式に発表した。
(8)ベラルーシ議員団による大統領表敬
20日,アンドレイチェンコ下院議長率いるベラルーシ議員団がラージャパクサ大統領を表敬した。双方は,主に,スリランカからべラルーシへの水産物の輸出拡大を含む貿易問題に焦点をあてて協議した。
(9)大統領による南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会合出席
25~28日,ラージャパクサ大統領は,SAARC首脳会合に出席するため,ネパールを訪問した。26日,大統領は,首脳会合の開会式で演説し,SAARCとして,人権,環境・気候変動,労働移民,金融・貿易制度,テロといった国際的課題について,共通の立場を取るべき旨主張した。また大統領は,本件首脳会合に機会に,モディ・インド首相ほかSAARC各国首脳とバイ会談を実施した。
(10)南・東南アジア諸国(SASEAN)国防軍司令官対話
27~29日,コロンボで南・東南アジア諸国(SASEAN)国防軍司令官対話が開催された。27日の開会式で演説したゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,地域の安全と平和に対する課題に対処するため,各国の軍及び法執行機関同士の協力が必要である旨強調した。

 


スリランカ内政・外交(2014年10月)

1 内政
(1)植物園・公共余暇副大臣の就任
9日,与党連合(UPFA)所属で中央州ヌワラエリア県選出のV・S・ラダクリシュナン議員が植物園・公共余暇副大臣に就任した。同副大臣も含めて,現在,閣僚が67人,副大臣が41人に上っている。
(2)大統領による北部州訪問
12~14日,大統領が北部州を訪問した。12日,大統領は,キリノッチで,2万人に対する土地権利書の交付式及び,LTTEの銀行に預けられていた金・宝石類の返還式に出席した。また,13日には,パッライ駅で北部鉄道開通式に出席した後,パッライ・ジャフナ間の列車に試乗した。本事業は,インドの財政支援によるもので,LTTEにより破壊されて以来,24年ぶりにコロンボからジャフナまで列車が開通した。また,同日大統領は,北部州5県特別合同開発会合に出席して復興・開発の進展状況を確認した。14日,大統領は,ジャフナ半島の先にあるデルフト島の学校において実験室の開所式に出席したほか,ナイナティブ島の仏教及びヒンドゥー教寺院を訪問した。
なお,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,北部州議会とタミル住民が復興・開発プロセスから疎外され続けていることに抗議して,一連の行事をボイコットした。
(3)外国人の北部州立入に際する許可制導入
15日,ワニガスーリヤ軍報道官は,北部州を訪問する外国人は,訪問先や目的を事前に国防省に通報し,許可を得る必要がある旨述べた。また同報道官は,友好国や国内外非政府機関が地域の発展のために尽力していることは承知しているが,少数の外国人が,民族対立を煽るような見解を流布しているとの情報に接しており,安全保障上の脅威となっている旨述べた。
(4)治安省次官の交代
昨年8月の治安省発足以来,次官を務めていたナンダ・マラワラッチ退役少将に代わり,20日,マヒンダ・バラスーリヤ元警察長官が,同省次官に就任した。バラスーリヤ元警察長官は,直前には駐UAE大使を務めていた。
(5)大統領選挙の実施時期に係る閣僚らの発言
20日,ランブクウェッラ情報・報道相は,投票日は未確定であるとしつつも,大統領選挙は1月に実施される旨明言した。また同日,プレマジャヤンタ環境相・与党連合幹事長は,大統領選挙は1月に実施されるとした上で,与党スリランカ自由党(SLFP)は先月から各選挙区の党員拡大など選挙戦に向けた準備を開始した旨述べた。
(6)ウィジャヤティラケ新検事総長の就任
23日,ウィジャヤティラケ副検事総長が,新検事総長に任命された。ウィジャヤティラケ氏は1980年に検察庁に入庁した後,要職を歴任し,副検事総長として,時に検事総長代理をも務めてきていた。
(7)大統領による予算演説
24日,ラージャパクサ大統領は,国会で来年度予算案について演説した。同予算案が,幅広く公務員,農業・酪農・漁業関係者,高齢者などに対する給料・補助金増額を提案していることについて,野党関係者らは,大統領選挙を念頭に置いたばら撒き予算案であると非難した。
(8)ウーワ州バドゥッラ県コスランダにおける地滑りの発生
29日朝,コスランダのミーリヤベッダ茶園において,地滑りが発生した。現地では,豪雨が続いていた。63家屋のほかヒンドゥー寺院など5つの建物が土砂に流された。また,死亡・行方不明者は39名に上り,3人の児童が両親を失った。さらに,付近の1755人が避難生活を余儀なくされた。

2 国民和解
(1)地雷除去の状況
1日,ワニガスーリヤ軍報道官は,地雷地帯2064平方キロの内,96%について地雷が除去された,内約7割は陸軍により除去され,約3割は国内外NGOにより行われた,地雷地帯は北・東部州の森林地帯に散在する計79平方キロを残すのみとなった旨述べた。
(2)コミュニティー間の和解・共存に関する内閣小委員会の設置
2日,本件内閣小委員会の設置が閣議で承認された。同小委員会は,大統領が議長を務め,関係閣僚により構成される。同小委員会は,各種政府機関が中央・地方レベルで進めるコミュニティー間の友好・信頼醸成事業を監督,調整する。
(3)証人保護法案に関する最高裁の判断
9日,ウィーラッコディ国会副議長は,現在,審議中の本件法案について,最高裁が合憲であるとの判断を下した旨国会に報告した。また同時に最高裁は,法案について幾つかの修正を行うように命じた。先月,政府が法案を国会に提出した後,最高裁に,同法案の合憲性を問う6件の申立てがなされていた。
(4)和解特別局の設置
10日,ランブクウェッラ報道・情報相は,「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」報告書の実施を監督するウィーラトゥンガ委員会の下に,同委員会の業務を支援する和解特別局を設置することが閣議で了承された旨述べた。また,ランブクウェッラ大臣は,144のLLRC勧告の内,45が完了し,89が実施中で,10が初期段階にある旨述べた。
(5)白紙の人権侵害事案申立書に署名を集めていた男の逮捕
25日,キリノッチ県ムランカヴィルで,白紙の国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)調査チーム宛人権侵害事案申立書に署名を集めていたクリシュナラサ容疑者が逮捕された。同容疑者は,逮捕された際,署名だけされた白紙の申立書6枚を所持しており,調べに対して,ヴィジェンドラクマール(通称:サンマスター)なる人物から署名を得るように指示されたと供述した。

3 外交
(1)大統領によるヴァチカン・イタリア訪問
2~5日,ラージャパクサ大統領は,ヴァチカン及びイタリアを訪問した。3日,大統領は,ローマ法王フランシス1世と会談し,来年1月にスリランカを訪問するように正式に招待した。その後,大統領は,イタリアのローマ及びミラノで在留スリランカ人と会合して,5日に帰国した。
(2)インド・スリランカ防衛協議
9日,本件協議がコロンボで開催され,マトゥル・インド国防次官とゴタバヤ・スリランカ国防次官が両国の代表を務めた。双方は,既存の防衛協力事業を見直すとともに,新たな協力事業を特定した。本件協議は2012年1月の第1回協議に続いて2回目。また10日,マトゥル国防次官は,ラージャパクサ大統領を表敬した。
(3)ピーリス外相による環インド洋連合(IORA)閣僚会合出席
10日,本件会合(豪パース)に出席したピーリス外相は,インド洋の中心に位置するスリランカは,アフリカ,アジア,中東及び欧州を結び,世界の海洋安全保障,船舶航行,貿易と積荷積み替えの観点から重要な国と認識されつつある旨発言した。また同外相は,この機会にビショップ豪外相とバイ会談を行った。
(4)ピーリス外相によるバリ民主主義フォーラム出席
10~11日,ピーリス外相は,インドネシア・バリで開かれた本件フォーラムに出席し,パネリストとして,紛争後の国民和解や経済開発に関するスリランカの経験について説明した。またこの機会に,同外相はジョコ・ウィドド次期インドネシア大統領及びユン・ビョンセ韓国外相とバイ会談を行った。
(5)欧州一般裁判所によるLLTEのテロ団体指定解除判決
16日,欧州一般裁判所は,EUが06年にLTTEをテロ団体に指定した際に,その妥当性について十分な調査を行わなかったとの手続き上の問題を指摘し,LTTEに対するテロ団体指定を無効とする判決を下した。一方,同裁判所は,同指定に基づくLTTE関係者の資産凍結措置は,同指定の問題が決着するまで一時的に維持するとした。
これに対して,同日,スリランカ外務省は,欧州一般裁判所による本件決定を懸念しているとして,EUがLTTEに対するテロ団体指定を維持できるように支援や情報提供を行っていく旨の声明を発出した。
(6)ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官のインド訪問
19日からインドを訪問しているラージャパクサ国防次官は,20日,ジェイトリー国防相と会談した。なお,インド紙によれば,同国防次官はドヴァル国家安全保障顧問とも会談し,これらの会談においてインド側から,先月の中国潜水艦の寄港に見られるような,スリランカにおける中国の軍事プレゼンスの拡大について深刻な懸念が表明された由。
(7)シャルマ英連邦事務局長の来訪
25~30日,シャルマ英連邦事務局長がスリランカを訪問した。26日,ジャフナを訪問したシャルマ事務局長は,チャンドラシリ北部州知事から復興・開発状況について説明を受けた。27日,同事務局長は,英連邦議長を務めるラージャパクサ大統領に面会して,昨年11月の英連邦首脳会議(CHOGM)時の合意事項を受けた事務局の活動状況について報告した。
(8)ペレーラ海軍司令官のインド訪問
27日,インドを訪問中のペレーラ海軍司令官は,スリランカで中国の軍事プレゼンスが増大しているとのインドの懸念を受けて,スリランカは,インドのほか,いかなる他国の国家安全保障をも害するようなことはしない旨発言。
(9)日本大使による北部州訪問
30日,北部州を訪問中の粗日本大使がチャンドラシリ北部州知事を表敬した。双方は,北部州における日本政府の支援事業について協議した。

 


スリランカ内政・外交(2014年9月)

1 内政
(1)タミル国民連合(TNA)の一員であるITAKの党大会
5~7日,ワウニヤ県でITAKの党大会が開催され,セナティラージャ党幹事長がITAK党首に任命された。なお,TNA議員団長については,サンパンタン氏が続投する。
(2)ウーワ州議会選挙
ア 20日,ウーワ州議会選挙が実施され,与党連合UPFAが34議席中,ボーナス議席2議席を含む19議席(得票率51.246%)を獲得して,勝利を収めた。一方,最大野党統一国民党(UNP)も大幅に議席を伸ばして,13議席(得票率40.242%)を獲得した。また野党人民解放戦線(JVP)も議席を伸ばして2議席(得票率5.357%)を獲得した。
イ なお,22日には,最多票数を獲得して当選したハリン・フェルナンドUNP議員を乗せた車両が,州内で刃物を持った集団に襲撃されたことに端を発して,与野党の支持者らが衝突する事態が発生した。
ウ 9月30日,シャシンドラ・ラージャパクサ前州首相(チャマル・ラージャパクサ国会議長の息子)が,大統領の立会いの下,再任のための就任宣誓を行った。
(3)最大野党UNPの動向
23日,UNP作業部会は,サジット・プレマダーサ国会議員をUNP副総裁に任命した。プレマダーサ副総裁は,大統領選挙で無条件にウィクラマシンハ総裁を支持すると発言した。
(4)政府による来年度予算案の国会提出
9月26日,ジャヤラトナ首相が来年度予算案を国会に提出したが,例年より1か月早いことから,来年早々にも大統領選挙が前倒し実施されるのではないかとの憶測を呼んでいる。
(5)ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)主催仏教関係者の集会
9月28日,急進派仏教団体BBSは,コロンボ市内で集会を開催した。同集会にはムスリム団体の反対にもかかわらず,ミャンマーでの反ムスリム運動で知られるアシン・ウィラト師が特別ゲストとして参加した。

2 国民和解
(1)国防次官と市民社会との対話
4日,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,英連邦首脳会議のサイドイベントである英連邦市民フォーラムに出席した市民社会グループら11団体と対話を行った。同次官は,政府を批判しているNGOらとも対話を行うことに意欲を示した。
(2)証人保護法案
10日,ハキーム司法相は,国会に証人保護法案を提出した。
(3)政府とTNAとの対話
ア ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官がマノ・ガネーシャン民主人民戦線(DPF)党首を通じ,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣との会談を打診したことに関し,9日,同首席大臣は党として対応を検討中である旨述べた。
イ 11日付インド紙「ヒンドゥー」は,ラージャパクサ大統領とのインタビュー記事を掲載した。その中で大統領は,州への権限委譲に関するTNAとの対話にオープンであると述べた。一方,12日付同紙は,サンパンタンTNA議員団長が,大統領と協議する用意はあるが,その際には,大統領が約束を反故にしないように国際的オブザーバーの同席を希望する,また,タミル住民の安全確保の観点から,州への警察権の委譲は必須であると述べた旨報じた。
(4)北部州議会の動向
ア 12日,ジャヤスンドラ財務・計画次官はジャフナを訪問し,州の各省次官らと会談。州当局側は,来年度予算として,69億7000万ルピーを要望した。一方,チャンドラシリ北部州知事は,別の機会に,北部州議会は,過去8か月で18億ルピーの予算の内,3億5千万ルピーしか使用していない旨指摘した。
イ 18日,イランゴワン北部州知事秘書官は,北部州議会議長に対して,北部州知事が財務法及び印紙税法を承認した旨通知。
(5)ムトゥール事件に関する当地仏大の声明
06年に仏系国際NGO・ACF関係者17名がムトゥールで殺害された事件に関して,アーリヤシンハ国連常駐寿府代表が国連人権理事会で「検事総長は,仏在住のスリランカ人から証言を得るために,大使館の支援を受け入れる意思がある」と発言したことを受けて,16日,当地仏大は,証人保護の問題などもあり,大使館として同支援を提案してはいない旨声明を発出した。
(6)TNAの選挙マニフェストに対する申立て
セナティラージャITAK党首・TNA幹事長は,TNAが独立国家を設置する政治的思惑を持っているとの申し立て受けて,22日,最高裁に宣誓供述書を提出し,ITAKとしてもTNAとしても分離独立を求めておらず,スリランカ国内における連邦制を追求する旨証言した。

3 外交
(1)ピーリス外相のスロベニア訪問
1~2日,スロベニアでブレッド戦略フォーラムが開催され,ピーリス外相が出席した。また同外相は,この機会にパホル・スロベニア大統領やエイリヤヴェツ外相とも会談した。
(2)国連人権理事会
ア 8~26日,国連人権理事会がジュネーブで開催された。初日の8日,ゼイド新国連人権高等弁務官は,紛争中の人権侵害疑惑に係る調査を重視しているとして,スリランカ政府に対して,改めて調査への協力を要請した。これに対してアーリヤシンハ・スリランカ常駐代表は,政府は国民和解と紛争中の人権侵害疑惑に包括的に取組んでいると反論し,上述の調査への協力を否定した。  
イ 25日にはパンシエリ副高等弁務官が同調査に関して中間報告を行った。これに対してアーリヤシンハ代表は,改めて調査は不当である旨指摘した。
(3)安倍総理のスリランカ訪問
7~8日,安倍総理がスリランカを公式に訪問した。7日にラージャパクサ大統領との首脳会談が行われた。また首脳会談後に発出された共同声明において,安倍総理は,スリランカ政府による国連や人権理事会との継続的関与を歓迎した。
(4)中国潜水艦のコロンボ港寄港
7~13日,中国潜水艦が初めてコロンボ港に寄港した。
(5)キューバ外相の訪問
8日,スリランカを訪問中のロドリゲス・キューバ外相が,ラージャパクサ大統領を表敬した。ラージャパクサ大統領は,国際場裏でのキューバの支援に謝意を表明した。
(6)モルディブとの合同委員会
ア 10日,コロンボにおいて,スリランカ・モルディブ合同委員会が開催され,ピーリス外相及びマウムーン・モルディブ外相がそれぞれ両国の代表を務めた。
(7)習近平中国国家主席のスリランカ訪問
16~17日,習近平中国国家主席が当地を訪問した。16日,習主席は,大統領と首脳会談を実施した後,27の合意文書の署名に立ち会うとともに,ノロッチョライ石炭発電所の最終フェーズの発電開始式にビデオ通信を通じて出席。また17日には,コロンボ国際コンテナ・ターミナルを訪問し,コロンボ・ポートシティの起工式に出席した。
(8)アジア政党会議(ICAPP)総会
18~21日,コロンボにおいて「アジア・コミュニティの立上げ」とのテーマの下,ICAPP総会が開催された。アジア諸国から約100の異なる政党が出席した。開会式にはモルディブのヤーミン大統領も出席した。
(9)大統領による国連総会出席
23~29日,ラージャパクサ大統領は国連総会に出席するためにNYを訪問した。大統領は23日に2014年気候変動サミット,24日にクリントン・グローバル・イニシアティブ(CGI)2014年次会合に出席したほか,25日には,一般討論演説を行い,スリランカは紛争後の復興・国民和解に努力しているのに,人権理事会で不当に非難されているなどと述べた。また大統領は,コイララ・ネパール首相,シャルマ英連邦事務総長(23日),マダニ・イスラム諸国会議(OIC)事務総長,アッバス・パレスチナ大統領,(25日),アボット豪首相,ケリー米国務長官(26日),バン・ギムン国連事務総長,モディ・インド首相(27日)ほかとバイ会談を行った。

 


スリランカ内政・外交(2014年8月)

1 内政
(1)大統領選挙
25日,サラート・N.シルバ元最高裁長官は,ラージャパクサ大統領は,第18次憲法修正が施行される前に大統領に就任したため,同修正により認められた三選のルールは同大統領には適用されないとし,もし2016年11月19日までに大統領選挙が実施されるのであれば,選挙管理委員長に対して法的な措置をとる必要がある旨述べた。
(2)人事
ア 21日,副大臣2名(P.ディガムバラム言語・社会統合副大臣及びプラバ・ガネシャン通信・IT副大臣)がラージャパクサ大統領の前で宣誓した。
イ コロンバゲ元海軍司令官は,15日付で海洋及び海軍中継地(maritime and naval hub)に関する大統領顧問に就任。
(3)ウーワ州議会
ア 6日,デシャプリヤ選挙管理委員長は,9月20日午前7時~午後4時にウーワ州議会選挙の投票を実施すると発表。6日正午に,立候補者の届出期間が終了。
イ 11日,選挙管理委員会は,9月4日~5日に郵便投票を実施すると発表。4~5日に投票出来ない者は,11日も投票可能。
(4)TNAの動き
ア TNAに属する北部州議会議員及び東部州議会議員33名は,ピレー国連人権高等弁務官宛書簡(17日付)の中で,国連人権理事会に対し,スリランカでジェノサイドが行われたのかどうか究明するよう要請した他,スリランカが国際調査に協力することを拒否したことを受け,インドのタミル・ナドゥ州で同調査を実施するよう要請。
イ 20日,マワイ・セナティラージャTNA幹事長は,上記の要請をTNAとして承認していないと述べた。
ウ 22日~9月1日,サンパンタンTNA議員団長ら5名のTNA代表団がインドを訪問。22日,スシュマ・スワラージ・インド外相を表敬。スワラージ外相は,統一国家の枠組みの中で,正しい方法で,タミル人コミュニティの潜在的な熱望に対応する政治的解決の必要性を強調。TNA代表団は,最近の北部及び東部における状況を説明。シン前首相とも会談。23日,一行はモディ首相を表敬。モディ首相は,全てのスリランカ人は建設的に協力し,民族問題の政治的解決に取り組むよう呼びかけた。サンパンタン議員団長は,表敬後記者らに対し,モディ首相がウィグネーシュワラン北部州首席大臣との会談に関心の意を表明したと述べた。情報筋によれば,サンパンタン議員団長は,モディ首相に対し,スリランカにおける問題解決のために特使の任命を要請したが,同首相は前向きな答えをせず。
(5)北部州情勢
ア 北部州議会の州首席大臣室報道官は,州知事からの反対にも関わらず,北部州議会は,州首席大臣基金の設置を承認するよう州知事に要請したが,州知事からの承認は絶対では無いと述べ,同基金の設置のため,中央政府財務省に対して承認を要請したと述べた。
イ 11日,ジャフナ県行政事務所で,中央政府の政府広報局主催で,ジャフナ県の開発に関するセミナーが開催され,デーワーナンダ伝統産業・中小企業振興相,チャンドラシリ北部州知事が出席。両者は,開発プログラムを実施する上で,国民を啓発するメディアの役割が重要である旨述べた。
ウ ラメーシュ州首席秘書官が,州の幹部行政官が休暇を取ったり州外に出る際には北部州首席大臣の許可を取るべきとする同大臣の回章は,自身の基本的人権を侵害するもので,自身の解雇をねらった不当な回章であるとして,3月以来,最高裁に訴えていた件で,4日,最高裁裁判官団は,7月28日に州首席大臣が正式に同回章を取り下げたことを受けて,これ以上の審理の継続は不要であると宣言した。同時に,州首席秘書官の進退を決められるのは大統領かまたは大統領が設置した行政人事委員会のみであり,州首席大臣ではない,州首席大臣と州首席秘書官は,1987年の州議会法の下で協力して業務にあたるべきであるとの見解を示した。
(6)国会選任委員会(PSC)
29日,デ・シルバ灌漑・水資源管理大臣(PSC委員長)は,TNAはPSCに参加し,意見書を提出し,問題解決のためにコンセンサスに達しなければならない,と述べた。
(7)急進派仏教徒らによるNGO会合妨害事案
本件事案を非難する一部外交団の声明を受けて,5日,外務省は「表現/集会の自由といった基本的人権は認識しているが,一部外交団は,特定の地域・民族のためだけの行事に関与して中立性を欠いているように見受けられる点を改めて指摘したい。そのような対応が,今回,民族間の相互不信を引き起こし,潜在的に危険な状況を生み出した。一部外交団におかれては,国内のセンシティビティにより注意深くなっていいただきたい」との声明を発出した。
(8)北部州・東部州への支援
バシル・ラージャパクサ経済開発相は,「プラ・ネグマ・プログラム」第2フェーズの下,北部及び東部の79の地方政府機関を発展させるため,107億5千万ルピー以上を割り当てた旨述べた。世界銀行から5千万米ドルの借款,オーストラリアから1880万米ドルの無償資金援助を受ける。同プログラムは,2010年以降,北部州5県及び東部州3県の79の地方政府での,地域と農村レベルの間の調整向上のため,行政プロセスの強化を通じ,能力を向上させ,人々によりよい効率的なサービスを提供する目的。
(9)その他
コロンバゲ元海軍司令官は,8月15日付で海洋及び海軍中継地(maritime and naval hub)に関する大統領顧問に就任。

2 国民和解
(1)失踪者問題に関する大統領調査委員会
ア 5日,ラージャパクサ大統領は,記者らの質問に対し,国際専門家3名で構成される諮問委員会は,失踪者問題に関する大統領調査委員会に勧告するために,同委員会の要請に基づき任命されたもので,諮問委員会は勧告を行う組織であり,調査をする権限はないと明確にした。また,政府は更に3名の専門家を追加で任命し,諮問委員会を拡大する可能性につき検討していると述べた。ピーリス外相は,スリランカは国際調査を呼びかけるスリランカ決議のパラ10を徹底的に拒否しているが,国内調査を呼びかけるパラ2には同意している旨指摘し,これに基づき,諮問委員会が任命されたと述べた。
イ 6日,スリランカ政府は,失踪者問題に関する大統領調査委員会の任期を2015年2月15日まで延長したとするプレスリリースを発表。
ウ 8~11日,失踪者問題に関する大統領調査委員会は,マナー県での公聴会を実施し,合計314件の証言を受領。証言を要請した225件のうちの157件の証言と新たな証言157件を受領。これまでに同委員会は,1万9284件の苦情を受領し,786件を調査し,独立調査チームを通じた更なる調査のため分析中。
エ パラナガマ失踪者問題に関する大統領調査委員会委員長は,マナー県での公聴会後,記者らに対し,様々な団体が北部州で33000名以上が失踪したと主張するが,これまで受領した申し立ての数と合致しない。例えば,マナー県では14万7千名が失踪したと言われているが,委員会はこれまで312件の苦情しか受領していないと述べた。また,治安部隊の親族からの苦情5600件を含め,これまでに1万9千件以上の申し立てを受領した。1万3千件の苦情には,紛争中に命を落とした者も含まれる他,失踪者の何名かは海外に居住しているとの報道にも接しており,外務省は関係国の大使館に対し,情報提供を求めたが,安全上の問題から各国はこれを拒否していると述べた。
オ モハン・ピーリス最高裁長官は,失踪者問題に関する大統領調査委員会に勧告する国際専門家3名の任命につき,著名な専門家の任命は国際コミュニティを満足させるものであると評価する発言を行った。
カ パラナガマ失踪者問題に関する大統領調査委員長は,公聴会と並行し,調査委員会(Court of Inquiry)がまもなく戦争犯罪の疑惑調査を開始すると述べた。
(2)土地問題
ア 北部及び東部における土地の所有権復活法案
7日,北部及び東部での紛争中に強制的に避難を強いられ,家を手放すことを余儀なくされた所有者の権利を復活させる時効(特別法)法案が国会の第2審議で取り上げられた。
イ 外国人への土地の譲渡
閣議は外国人への土地の譲渡を禁止する法案を承認。一方,当地紙が入手した情報によれば,同法案は,スリランカ人の親族の外国籍の子供や近親者に対しては土地の相続や寄進を許可するものであることが明らかになった。
(3)児童虐待
21日,司法省,検察局及びUNICEFは,児童虐待事件の司法プロセスを加速化するための電子データベースの開発に着手した。
(4)陸空海軍のタミル語研修
27日,バドゥッラ合同言語研修センター長は,同センターが2014年までに80名以上の陸空海及び警察幹部と7338名の要員にタミル語研修を実施したと発表。
(5)地雷
27日,ワニガスーリヤ国防省報道官は,北部州及び東部州の98%の地雷が除去された旨述べた。現在,地雷は,80平方キロメートルの地域に留まると明らかにした。
(6)元LTTE要員の社会復帰
ガジャディーラ社会復帰・刑務所改革相は,ワウニヤのプーントッタム社会復帰センターを出た7名の元LTTE要員を親族に引き渡した。これまで軍に降伏した1万2298名のうち,1万1970名の元LTTE要員が社会統合を果たしている。
(7)青年
ア 12日,UNDP在スリランカ事務所は,第3回スリランカ全国人間開発報告書を発表した。同報告書は,スリランカにおける青年の役割を調査。アラハペルマ青年問題・技能開発相は,2014年は第1回青年に関する国家政策を初めて発表した他,世界青年会議を主催,更には全国人間開発報告書を発表し,重要な年となった旨発言。
イ 12日,ハンバントータに英連邦青年評議会事務局を設置。
(8)サバラガムワ大学生の逮捕
9日,警察のテロ捜査局(TID)は,マスクを被った5人組に襲撃されたと述べたサバラガムワ大学1年生を勾留。大学間学生連盟(IUSF)は,同人の勾留につき,弁護士や家族が同人と連絡を取ることが出来ないとして重大な懸念を表明。同学生は,3日に大学のホステル敷地内で意識を失った状態で発見され,5人組に襲撃されたと発言。他方,TIDに逮捕されて以降,自分で傷つけたと,証言を覆している。
(9)NGO団体に対する取り締まり
政府関係者によれば,登録されているNGOのうちの4団体は,国防省NGO事務局の監視下に置かれており,調査が終わり次第,これらの団体に対する措置に関する決定を行う旨明らかにした。

3 外交
(1)防衛セミナー「スリランカ:台頭する国家の課題」
ア 18日~20日,「スリランカ:台頭する国家の課題」と題する防衛セミナーがコロンボで開催。55カ国以上から350名以上が出席。ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,我々が徐々に築こうとしなければならないのは,信頼と相互関係を促進するような「前向きな平和(Positive Peace)」と発展である旨述べた。
イ 同セミナーで,ピーリス外相は,人権侵害疑惑を調査するための国際的圧力は,手助けにならないだけでなく,同疑惑解明に向けた国内プロセスをないがしろにして傷つけるものであると述べた。
ウ スワミBJP党員の発言中,モディ首相が来年早期にスリランカを訪問すると述べたことに対し,ラージャパクサ大統領は再度歓迎の意を表明。
エ 中国代表は,スリランカはインド洋及び太平洋の戦略的場所に位置することから,戦略的な影響を受けやすいが,中国はいつでもこれらの課題を乗り越えるために支援する準備があると発言。
(2)第21回ASEAN地域フォーラム(閣僚級)
ア 10日,ピーリス外相は,ミャンマーで第21回ASEAN地域フォーラムに出席し,スリランカは,テロを撲滅し,国民だけでなく,より広い地域の利益に貢献したにも関わらず,今日,人権を政治的ツールとして利用する巨大な圧力を受けていると述べつつ,国民和解における国内プロセスの重要性を主張。
イ 上記の際,ピーリス外相は,9日,ムーレー・ニュージーランド外相と,11日,王毅・中国外相と二国間会談を実施。
(3)日本
ア 日・スリランカ議連のスリランカ訪問
7月31日から8月2日まで,高村正彦日本スリランカ友好議員連盟会長(元外相)ら同議連一行(竹本直一衆議院議員,山口泰明衆議院議員,竹下亘衆議院議員,吉野正芳衆議院議員,小渕優子衆議院議員)が当地を訪問し,ラージャパクサ大統領,ピーリス外相,プレマジャヤンタ・スリランカ日本友好議員連盟会長(環境・再生エネルギー相)及びバシル・ラージャパクサ経済開発相らと面談し,両国関係等について意見交換を行った。また,議連一行はスリランカ国会を視察したほか,キャンディーでペラヘラ祭りを視察し,仏歯寺などを訪問。
イ 広島における地滑り
21日,スリランカ外務省は,広島で発生した地滑り災害で,少なくとも39名の日本人が亡くなったことに対し,哀悼の意を表明した。また,ラージャパクサ大統領も,ツィッターで,哀悼の意を表明し,スリランカ人も地滑りの被害を受けている,だからこそ,両国間で同問題に対する協力がとても重要である旨コメント。
(4)インド
ア 国防省ホームページ掲載記事を受けたスリランカ政府による謝罪
1日,スリランカ政府は,国防省ホームページに掲載されたモディ・インド首相及びジャヤラリータ・タミルナドゥ州首相を中傷する記事及び挿絵に関して謝罪した。これはシンハ・インド大使からセナヴィラトナ外務次官に対する申入れを受けたもの。その後,国防省ホームページから同記事は削除され,代わりに,同記事及び挿絵は適切な承認を経ずに掲載されたもので政府の見解を判明したものではないとする謝罪文が掲載された。同記事は,タミルナドゥ州首相がインド首相に対してタミル人問題に関してスリランカ政府に圧力をかけるべきと働きかけていることを題材としたしたもので,「ジャヤラリータ州首相からのモディ首相に対する恋文はどれほど意味があるのか」と題して,恋文を書く同州首相の挿絵とともに掲載されていた。本件は,1~2日にかけてインドのメディアで大きく取り上げられ,タミルナドゥ州では反スリランカ・デモも発生し,スリランカ航空事務所が投石されるなどした。6日,ワニガスーリヤ国防省報道官は,同記事がホームページに掲載された経緯について調査を開始したことを明らかにした。
イ 漁民問題
インドの独立記念日(15日)を前に,ラージャパクサ大統領は勾留中のインド人漁民の釈放を命じた。14日,シンハ駐スリランカ印高等弁務官は,ラージャパクサ大統領を表敬し,謝意を表明。同大統領は,双方の漁民による領海侵入事案による,漁民の生活環境への影響に懸念を表明し,永続的解決策の必要性を表明。インドは,カルナータカ州で勾留中のスリランカ人漁民16名を釈放。セナラトネ漁業・水産資源相は,インド人漁民94名を釈放しても,船舶の返還は行わない,行わなければ領海侵入事案を抑制できるとの考えを明らかにした。20日~21日,スリランカ及びインド政府関係者は,デリーで薬物の不法売買及び二国間の領海での不法貿易を行う犯罪組織に対処するための共同戦略に関する協議を実施。29日,漁民問題に関する政府間協議が実施された。インド側は,週3回スリランカ領海内でのインド人漁民による操業を可能にするとの覚書きを提案したが,スリランカ側はこれを拒否。
ウ 開発プロジェクト
27日,インドは,北部州で2つの主要開発プロジェクト(3億6500万ルピー相当)を開始。1つは,ジャフナ県ドゥライアッパ・スタジアムの改修(1億4500万
ルピー)。もう一つは,ジャフナ県アッチュベリ工業地帯の設置(2億2千万ルピー)。
キ 26日,ロハギ・インド検事総長は,最高裁判所に対し,インドが1974年の二国間での合意に基づき,スリランカに譲ったカッチャーチブ島の領有権を取り戻すことは出来ない旨声明を発表。二国間合意を国内法によって廃棄することは出来ないとの見解を示した。
(5)米国
ア 8日,在スリランカ米国大使館は,駐スリランカ米国民に対する安全情報を発出。2014年初旬以降,スリランカでは抗議運動が増加している,米国及び国連に対する抗議運動やガザでの最近の状況に対する西側への抗議運動も増えている,NGO,記者及び米国プロジェクト関係者に対する圧力も拡大し,市民社会会合も中断されている,平和的な抗議運動が暴力化することもあるとし,米国民に対して,抗議運動の場所には近づかないよう勧告。
イ これに対し,11日,スリランカ外務省はプレスリリースを発出し,懸念を表明。スリランカでは表現の自由や平和的な抗議運動の権利は保障されている,上記メッセージにあるような米国大使館,外交官らを対象にする暴力的抗議運動は起こっていないと述べた。8日に米国大使館前で起きたガザの現状に対する抗議運動は,野党議員によるものであるとしつつ,反西側感情が高まっているというのであれば,米国当局はその原因を調査し,二国間の差を縮める措置をとるべきである旨の声明を発表。
ウ 23~28日,ラージャパクサ大統領は,米国を私的訪問。
(6)難民の送還
ア 2日,難民高等弁務官は,1~2日にかけてスリランカ政府がパキスタン人難民申請者18名を本国に送還したことを深く懸念している旨の声明を発出した。また同声明は,難民申請者の本国送還は,国際慣習法の追放・送還の禁止に反しているとして,スリランカ政府に国際法上の責任を果たすように求めている。更に,スリランカ政府は6月9日以来,パキスタン人及びアフガニスタン人の難民申請者を逮捕を開始。
イ 一方,同日,スリランカ外務省は,昨年以来,同国に滞在する難民申請者/難民数は7倍になっており,6月末時点でそれぞれ1562人と308人に達しており,彼らが国内に散在することとで,治安,安全保障及び保健上の問題を引き起こしているなどとする声明を発出。声明には,政府は当地国連難民高等弁務官事務所に難民申請者の審査及び難民と認定された者の第三国への送還手続きを迅速化するように求めたが,その対応は鈍く,政府として今以上の負担を担うことはできず,難民申請者に帰国するよう促していると記されていた。
15日,スリランカの控訴裁判所は,パキスタンからの難民申請者(アフマディヤ,キリスト教徒,シーア派)を本国に送還するというスリランカ政府の決定を29日まで留保するよう命じた。弁護士らによれば,1日以降,既に100名以上が送還され,75名が勾留されている。同日,ピーリス外相は,政府は国連に対して,難民申請プロセスの加速化計画を提出するように要請したと述べた。また,政府は,安全保障上の懸念,医療問題,財政的な制限,国内法やコミュニティ問題等の様々な理由から難民を送還することを決定したと述べた。
(7)パキスタン
ア 第4回パキスタン・スリランカ外務次官級政治対話
6日,イスラマバードにて第4回パキスタン・スリランカ外務次官級政治対話が実施された。セネヴィラトナ・スリランカ外務次官は,紛争後の国民和解や復興に向けた取組を説明するとともに,3月の国連人権理事会でのパキスタンによる支持に謝意を表した。また双方は,ラージャパクサ大統領訪問時に署名予定の防災協力に係る合意案をとりまとめた。同日,セネヴィラトナ外務次官はシャリーフ首相らも表敬した。
イ バット・パキスタン空軍参謀長のスリランカ訪問
27日~29日,バット・パキスタン空軍参謀長がスリランカを訪問。ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官を表敬した他,グナティラカ・スリランカ空軍参謀長とも会談し,既存の友好関係を新たに発展させることで合意。
(8)パレスチナ
14日,ラージャパクサ大統領は,パレスチナに対し,100万米ドルの財政支援を供与すると発表。
(9)その他の要人往来
ア SAARC事務総長
11日,ターパSAARC新事務総長がキャンディでラージャパクサ大統領を表敬。ラージャパクサ大統領は,SAARC青年フォーラムの開催とSAARC地域における宗教及び文化的連結性を高める巡礼プログラムの提案を行った。また,両者は,南アジアだけでなく,国際地域における経済的な繁栄に寄与しつつ,一方で域内においてSAARCを更に強化することにつき協議。
イ 韓国
9日,ジャヤラトナ首相は,韓国で開催された平和・安全保障・開発に関する世界会議に出席。同首相は,IMFはスリランカの経済成長をアジアの中でも最も早い成長の1つと認めている,最近のスリランカの経済状況は予想以上に好調であると述べた他,国民和解について,スリランカは1日で奇跡を起こすことは出来ない,国際社会は不条理(unreasonable)な要求をやめるべきであると述べた。
ウ ベトナム
21日,グエン・ヴァン・ヒエン・ベトナム司法委員会委員長率いるベトナム国会議員団の一行がスリランカの国会を訪問し,ウィーラコッディ副議長と協議。
エ セーシェル
ラポルト・セーシェル財務貿易投資大臣は,ビジネス代表団らとスリランカを訪問し,8月27日にビジネスフォーラムに出席。28日,双方の投資担当部局が研修に関する覚
書を締結。
オ ブータン
タンディン・ワンチュク・ブータン保健大臣がスリランカを訪問し,シリセーナ保健大臣と会談。
カ ローマ法王
スリランカ・カトリック評議会新聞は,正式にフランシス・ローマ法王のスリランカ訪問を発表。来年1月13日午前9時にバンダラナイケ国際空港に到着。同日午後にラージャパクサ大統領を表敬し,14日午前にゴール・フェイス・グリーンで,午後にマナー県マドゥ教会で説教する予定。

 


スリランカ内政・外交(2014年7月)

1 北部州情勢
(1)州知事の再任
ア 11日,ラージャパクサ大統領は同日付で任期が切れるG.A.チャンドラシリ北部州知事を5年間の任期で再任。
イ 13日,マワイ・セナティラージャTNA国会議員は,チャンドラシリ北部州知事の再任につき,政府は再び約束を実行しなかった,我々は政府の約束を信じないが,政府が良心をみせ,新しい知事を任命すると期待していた,州知事が再任され,失望した旨明らかにした。
ウ NFFは,チャンドラシリ北部州知事の再任を歓迎する声明を発出。
(2)州首席秘書官の申立てを受けた裁判審議
14日,州首席秘書官の申立ての審議中に,モハン・ピーリス最高裁長官は,北部州首席大臣及び州首席秘書官に対し,北部州のグッド・ガバナンスのために,協力して取り組むよう呼びかけた。同首席秘書官は,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣が2月15日付で上級公務員に対し,州外への外出許可が必要とする規則を記した回章を発出したことに対して,3月19日に最高裁判所に申立てを行っていた。14日の審議の結果,ピーリス最高裁長官は,同回章の公式な取り下げを命じた。また,28日の審議までに,北部州首席大臣及び州首席秘書官の間の友好的な解決を呼びかけた。
(3)TNAに対する裁判
15日,TNAが独立国家を求める政党であり,これを憲法違反とし,北部州選挙の結果の取り消しを求める申立てに対する審議が最高裁判所で実施され,TNAはスリランカを統一国家として認める宣誓を提出することに合意した。
(4)ウィグネーシュワラン北部州首席大臣の発言
ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,ムスリムは大多数のシンハラ人と協力し,問題がないと考えていたが,今では抑圧される側に追いやられた,タミル人,ムスリム及びインド・タミル人及び抑圧されたシンハラ人は,共に協力するべきである旨述べた。
(5)土地の収用問題
23日,ワニガスーリヤ軍報道官は,ジャフナ半島の軍キャンプの規模は,26,000エーカーから6,500エーカーに縮小した旨明らかにした。また,約20,000エーカーの土地が元の所有者に引き渡されたと述べた。

2 内政
(1)ウーワ州議会選挙
ア 7月6日,ウーワ州議会選挙のため,UNPはバドゥッラ県出身のハリン・フェルナンド国会議員をウーワ州議会首席大臣候補として決定。
イ 16日,選挙管理委員会は,ウーワ州議会選挙の立候補者届を7月30日~8月6日正午まで受付ける旨発表。また,議席数については,バドゥッラ県が18議席,モナラガラ県が14議席有すると発表。8月6日以降,選挙管理委員長が投票日を発表する。
ウ 12日,ハキーム司法相は,ウーワ州議会を前に,SLMCの党シンボルを犠牲にしてでも,全てのムスリム政党と協力すべきであり,確実に同州議会でムスリム議員を多く輩出するよう呼びかけた。
エ ハリン・フェルナンドUNP国会議員は,選挙管理委員会がウーワ州議会の各県の議席数配分の変更に関し,基本的人権の侵害として申立てを最高裁判所に提出していたが,24日,最高裁判所は選挙管理委員会の決定は合法とし,これを却下。
(2)クラム・シェイクICRC英国人職員の殺害事件
ア 18日,コロンボ高等裁判所は,ウィダナパティラナ・ハンバントタ県タンガッラ村議会議長他3名を,クラム・シェイクICRC職員を殺害し,同職員の彼女を暴行した罪で,20年の懲役の判決を下した。
イ 同日,在スリランカ英国高等弁務官事務所は,「本日,クラム・シェイク殺害事件の容疑者に判決が下ったことを歓迎する。ご家族とご友人の正義のための長く厳しい戦いに終止符を打つだろう。検察局の職員らは,プロフェッショナリズムと誠実さを示してきた。彼らに対し謝意を表明する。同件に関するいかなる展開も引き続き注視する。」旨の声明を発表。
ウ 同日,ヤーパ石油産業相は,同事件により,スリランカの司法の独立性及び検察局が効率的であることが証明されたと述べた。
(3)スリランカ弁護士会会長に対する尾行事件
ア 14日,ジャヤスーリヤ・スリランカ弁護士会(BASL)会長は,コロンボの警察に対して,ハルフツドープ(Hulftsdorp)の裁判所からフォートに向かう途中,オートバイ2台に乗った不特定の人物に尾行されたと訴えた。また,20日,同会長は,15日及び17日に再びタランガマの自宅付近でオートバイに尾行されたとして,警察に訴えた。
イ 25日,国会で,ジャヤラトナ首相は,ウィクラマシンハUNP指導者から上記尾行問題の調査状況につき問われ,上記オートバイは,虚偽のナンバープレートを付けていたとし,犯人を特定出来ていない旨述べた。
ウ 警察長官は,ジャヤスーリヤBASL会長が移動中のSPの派遣を要請したことにつき,治安省次官の許可を求めた。
(4)公務委員会
7月1日,ラージャパクサ大統領は公務委員会に9名を任命。同委員会は,公務員の任命,異動,規律,免職権限を有する。
3 国民和解
(1)失踪者に関する大統領調査委員会
ア 7月5日~8日,失踪者に関する大統領調査委員会は,ムライティブ県での公聴会を実施。同委員会は,5日~6日にムライティブ県のプドゥクリルップで,7~8日に同県のマリタイムパットゥで公聴会を実施。
イ 16日,ラージャパクサ大統領が失踪者問題に関する大統領調査委員会の任務を拡大するとともに国際専門家3名で構成される同委員会の諮問委員会を任命。同諮問委員会の構成メンバーは,デスモンド・デ・シルバ氏,ジェフリー・ニース氏,デイビッド・クレーン氏。同諮問委員会は,要請に応じ,失踪者問題に関する大統領調査委員会に対し,同委員会の作業に関連する問題につき勧告する。
ウ 22日,ウィーラワンサ建設・工学・住宅・公共設備相(NFF)は,大統領宛書簡を発出し,調査委員会の権限を拡大し,国際専門家の任命を記した回章の修正を求めた。25日,ムザミルNFF報道官は,同回章を修正しなければ,与党連立政権から離脱する,大統領からの回答を待っているところと述べた。
エ パラナガマ同調査委員会委員長は,失踪者家族によれば,ムライティブ県における誘拐の90%は,LTTEによるものである,ジャフナ県における誘拐の10%はLTTEによるもの,35%が不特定の人物によるものである,キリノッチ県では失踪者の80%が,バティカロア県では70%がLTTEによるものであると明らかにした。また,調査委員会は,現在犯罪捜査を実施するために充分な証拠を見つけた事件のリストを取り纏め中である旨明らかにした。
(2)人権委員会
17日,スリランカ人権委員会職員らが4日間の北部視察を開始。キリノッチ県,ワウニヤ県,ムライティブ県で人権保護及び促進のための国家行動計画に基づくワークショップを実施。民間人,警察関係者,軍及び市民社会グループ関係者らがワークショップに参加。
(3)超法規的・即決・恣意的処刑に関する国連特別報告者の訪問
14日,スリランカ外務省関係者は,ヘインズ超法規的・即決・恣意的処刑に関する国連特別報告者のスリランカ訪問に関して留保はないと述べた。同報告者の訪問許可要請が外務省に接到している由。
(4)ジャーナリストの取締まり
ワニガスーリヤ軍報道官は,25日夜にオーマンタイのチェックポイントでコロンボに向かう途中のジャーナリスト一行を逮捕したとの報道を否定。同報道官によれば,麻薬を所持していた一行の運転手のみを逮捕したとの由。これに対し,記者会見で,自由メディア運動(FMM)は,スリランカ・プレス研究所(SLPI)が「デジタル・セキュリティ」に関するコースへの参加者として選んだジャフナ出身の記者16名が,コロンボに向かう途中に軍によって逮捕されたと発表。26日,FMMはこれら記者らがコロンボへの移動を再開した旨認めた。

4 国際調査
(1)7月3日,ランブクウェラ情報・通信大臣は,定例記者会見で,国際調査を受け入れる用意がないとの政府の見解を強調し,ピーリス外相が既に政府の立場を明確にしていると述べた。また,スリランカは受け入れられる条件につき協議する用意はあるが,テロ組織と同等の立場に見られる用意はない旨述べた。更に,同大臣は,政府はスリランカにおける唯一のタミル社会代表者としてTNAを受け入れる用意はないと強調しつつ,政府が全てのコミュニティに受け入れられる民族問題の解決のためにPSCを設置している中で,TNAを特別扱いすることはタミル人を代表する他政党の利益を害することになると述べた。
(2)7月5日,ランキン駐スリランカ英国高等弁務官は,当地紙に対し,国際調査チームに証言する人が脅迫を受けないことを願う旨明らかにしつつ,現段階でも,スリランカ政府が国際調査に協力することを望んでいると述べた。
(3)南アジア5カ国(インド,ネパール,バングラデシュ,パキスタン及びモルディブ)は,国際調査チームの入国のための査証の発給を拒否する意向を表明。マハナマヘワ・スリランカ人権委員会委員長は,「インドは重要な国であるが,入国を拒否した。パキスタン,バングラデシュ,ネパール及びモルディブが同様の状況で,支援するのに否定的である。アフガニスタンでさえ同様の立場であるため,南アジアの外から国際調査チームは情報収集を実施しなければならない。本件に関し,SAARCは団結している」旨述べた。国際調査チームは,ニューヨーク,バンコク,ジュネーブに調査センターを設置し,スカイプ及び衛星で調査を開始する。
(4)19日,国連情報筋は,国際調査チームが,ニューヨーク,ジュネーブ及びバンコクで口頭証拠の収集を実施し,スリランカ国内に住むタミル人に対しては,電話,ビデオ会議,スカイプ等を通じて口頭証拠を収集する旨明らかにした。
(5)国際調査チームの一員であるジェハンギール専門家は,スリランカが国際調査チームの訪問を許可しなければ,証拠の提供者には隣国ないしはジュネーブに来てもらう措置をとるだろうと述べた。

5 外交
(1)ラマポーザ南アフリカ大統領のスリランカ訪問
ア 日程
7日~8日,ラマポーザ南アフリカ副大統領がスリランカを訪問。ムフェケト国際関係・協力副大臣が同行。7日,ラマポーザ副大統領は,ラージャパクサ大統領を表敬。また,バシル・ラージャパクサ経済開発相,ピーリス外相,ゴタバヤ国防次官と会談。ラマポーザ副大統領は,ウィクラマシンハ野党UNP指導者とも会談。8日,ジャフナを訪問し,チャンドラシリ北部州知事,アルマイナヤガム・ジャフナ県行政官,デーワーナンダ伝統産業・中小企業振興相(EPDP指導者)の歓迎を受けた。ラマポーザ副大統領は,チャンドラシリ北部州知事,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣及びその他TNAメンバーらと会談。
イ 国内の反応
10日,国会で,ディサナヤケJVP指導者は,国会で国際調査に反対する決議を採択した後に,何故南アフリカの代表団を招請したのかと発言。これに対し,ペレーラ外務担当閣外相は,「ラマポーザ副大統領を国際的な調停者とする意図はない。同副大統領はスリランカ政府の招請で同国を訪問した。昨年の英連邦首脳会議の際に,ラージャパクサ大統領が,ズマ大統領に対して,スリランカが南アフリカの真実和解委員会から学ぶことが出来る過去の教訓を問うたため,ズマ大統領は,南アフリカの真実和解委員会の経験をスリランカと共有するよう,ラマポーザ副大統領に命じた。そのため,ラマポーザ副大統領のスリランカ訪問は,スリランカが同様のメカニズムを採択する可能性を追求するため,真実和解委員会に関する見方を共有する観点から実施された。」旨述べた。
政府は,ラマポーザ副大統領に対して,国家問題の解決のために,PSCプロセスに参加することが重要であるとTNAを説得するよう求めた。これに対して,ラマポーザ副大統領はTNA代表団らとこれにつき協議。スマンティランTNA国会議員は,南アフリカの取り組みは政府の支持を得ているものである旨強調。また,政府及びTNAとの会談を終え,南アフリカは次の行動を起こさなければならないと述べた。更に,プレマチャンドランTNA国会議員は,ラマポーザ副大統領がTNAに対し,訪問に際するUPFA連立参加政党JHU及びNFFの批判につき不満の意をピーリス外相に伝達したと述べた旨明らかにした。
(2)バシル・ラージャパクサ経済開発相の中国訪問
ア 6月29日~7月6日,バシル・ラージャパクサ経済開発相は,高虎城商工相の招請を受け,ラージャパクサ大統領の貿易・商業に関する特使として,中国を訪問。7月2日,汪洋中国国務院副総理と会談。同副総理は,今年後半に予定されている習近平国家主席のスリランカ訪問は外交上の画期的な出来事となる旨述べた。
イ 6月29日,高商工相と会談し,FTAの交渉を迅速に行うことで合意。四川省成都市を訪問し,王東明・四川省委書記とも会談。
(3)インド
イ ジャフナ大学の施設
14日,インド政府は,スリランカ政府と協力し,キリノッチ県でジャフナ大学の2つの施設の設置を支援するプロジェクトの履行のため,覚書きに署名。インドは,農業部及びエンジニアリング部の設置のため,スリランカに対し,6億ルピーの無償資金を提供することで合意。
ウ インド空軍幕僚長のラージャパクサ大統領表敬
15日~19日,ラハ・インド空軍幕僚長がスリランカを訪問し,ラージャパクサ大統領を表敬した他,ゴタバヤ国防次官や陸海軍司令官らを表敬。
エ スーブラマニアム・スワミ・インドBJP党員らの訪問
21日~22日,スワミ・インドBJP党員(BJP戦略的行動委員会委員長)らがスリランカを訪問。21日,ラージャパクサ大統領を表敬し,環インド洋地域諸国連合(IORA)が実施するイベントやインド洋の保護に重要な役割を果たすスリランカの重要性を含めて,二国間及び地域的に重要な問題を協議。BJP指導者らは,ラージャパクサ大統領に対して,モディ・インド首相は,スリランカとのよい関係を望んでいると伝達。ラージャパクサ大統領は,スリランカが海洋学及び環境学に関する卓越した研究拠点(Centre of Excellence)を設置することに関心があると伝達。同日,バンダラナイケ国際関係学センター(BCIS)で公開パネル討論会「モディ政権の下でのインド:地域と世界の関連性(India under Modi: Relevance for the Region and the World)」に参加。22日,ゴタバヤ国防次官を表敬。
オ 漁民問題
21日,セナラトナ漁業相は,スリランカ政府は,スリランカ領海外に出て他国に勾留された漁民に関しては,釈放に向けて介入する立場にないと発言し,インドとの漁民問題については,来年1月までに導入予定の船舶監視システム(VMS)によって,漁民問題は解決されるだろう旨述べた。
(4)テロ取り締まり
ア 4日,マレーシア警察はLTTE幹部と見られる4名の逮捕を明らかにした。4人のうち,1名はクマラトゥンガ前大統領の暗殺未遂事件(1999年)の容疑者とみられ,その他3名は,爆発物専門家,在印スリランカ総領事館の攻撃支援者,LTTEの諜報活動者と見られる。19日,マレーシア警察が3日に逮捕したLTTE要員4名がスリランカに移送された。
イ アブ・バカール・マレーシア警察長官は,今年逮捕されたLTTE要員14名のうち,7名が難民カード所有者であったことを明らかにした。
(5)英国
ア 2013年英国下院武器輸出規制委員会報告書は,スリランカは,英国が武器を販売した27カ国のうちの一国であり,ライフル銃,防護服,戦闘用ショットガン等を販売した旨明らかにした。同委員会は,英国外務省が人権上の懸念を指摘している国に対しての武器の販売を批判。
イ 24日に英国がラージャパクサ大統領に対して,英連邦試合に際する英国訪問を招請したのに対し,ピーリス外相は,英国に対して,これを辞退する旨の書簡を発出した。前回のロンドン訪問の際,LTTEが英国で禁じられているにも関わらず,LTTEディアスポラ・グループが抗議運動を起こし,大統領の車両に対してビン等を投げつけたことに触れ,治安上の理由からとした。
(6)難民
19日,スリランカ移民局は,難民申請中のアフガニスタン人の帰還を開始。ペレーラ移民管理官は,アフガニスタン人5名が自主的に帰還したと述べた。他方,国連難民高等弁務官事務所は,同帰還を承知しておらず。移民管理官は,アフガニスタン人及びパキスタン人家族の帰還を更に実施する予定と明らかにした。
(7)その他の要人往来
ア グナワルダナ外務省担当国会議員が1週間訪米。ワシントンを訪問し,15日にワシントンでブルームバーグ紙のインタビューに応じている。
イ 14~17日,スミッツ・オランダ貿易閣外相がスリランカを訪問。バシル・ラージャパクサ経済開発相,ジャヤスンドラ財務次官と会談,シリセーナ保健相が議長を務めるビジネス機会に関する会合及びグナワルダナ上下水道相が議長を務める上下水道の安全な供給に関する会合に出席。
ウ 8~10日,リバコフ・ベラルーシ外務副大臣率いる一行がスリランカを訪問。10日,第1回貿易及び経済協力に関する共同委員会を実施した他,その際,第2回外務協議を実施。第3回外務協議は来年ベラルーシで開催予定。
エ 21日,メンベ・タンザニア外務・国際協力相は,ラージャパクサ大統領を表敬。

 


スリランカ内政・外交(2014年6月)

1 西部州カルタラ県アルトゥガマ付近での暴動事案の発生
(1)事実関係
ア 12日,アルトゥガマのムスリム居住地域ダルガタウンで,オート三輪で宗教行事に向かっていた僧侶がバイクに乗ったムスリム青年らともめ事になり,暴力を振るわれるという事件が発生した。これを受けて3名のムスリム青年が逮捕されたが,その一方で,同僧侶が重傷を負った,または死亡したという噂が流れ,暴徒化したシンハラ住民らがダルガタウンのムスリム家屋・商店を襲撃し,ムスリム住民もこれに対抗してシンハラ人の商店を襲撃した。
イ 15日,アルトゥガマにおいて,急進派仏教団体ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)らも参加して事件に対する抗議集会が開催された。集会終了後,出席者らが当該僧侶をダルガタウン内の寺に送り届けるべくムスリム居住地域を行進しようとしたところ,ムスリム住民と衝突。これに部外の暴徒も加わり,地元家屋・商店への放火や略奪が行われた。警察は,同日夕刻からアルトゥガマ及び隣町のベルワラに外出禁止令(curfew)を出して鎮圧にあたるも,ムスリム2名が死亡,シンハラ・ムスリム双方合わせて44名が負傷,約150家屋・商店が被害にあい,58名が逮捕される事態となった(注:4名が死亡,60名以上が負傷したとの報道もある)。
ウ 事案発生の翌週,東部州やコロンボの一部などムスリム居住地域の店舗経営者らが,一連のムスリムに対する暴力に抗議して終日,閉店した(ハルタル)。また,21日未明には,カルタラ県内の別のムスリム居住地域パナドゥラでムスリムが経営する有名衣料品店の支店が火災にあい,警察が原因を捜査中。
(2)ムスリム政党の動き
ア 17日,国会で発言したハキーム司法相・連立与党スリランカ・ムスリム会議(SLMC)党首は,15日の集会を中止させなかった警察の不手際を厳しく非難するとともに,本件事案は急進派仏教団体BBSが引き起こしたとして同団体の取り締まりを要請。
イ 24日,ハキーム司法相はゴタバヤ国防次官との会談において,改めてBBSの取り締まりを要請するとともに,「早期警戒システム」など,宗派間暴動の再発を防止するためのメカニズムを導入する必要がある旨訴えた。
(3)政府の対応
ア 事案発生の翌16日にジャヤラトナ首相兼仏法・宗教相やバシル経済開発相が,また18日にはボリビアから帰国した大統領が現地を訪れ,地元政治家やシンハラ・ムスリム関係者と対話したほか,警察に公平な捜査と犯罪者の逮捕を指示した。さらに22日,大統領は,本件事案を調査するためのハイレベル委員会の設置を表明した。
イ 警察は,6月17日,今次事案に際して僧侶が殺害されたとの噂を否定しつつ,人々に抑制を呼びかけた。また警察は,同日,BBSがサバラガムワ州ケゴール県のムスリム居住地域マワネッラで開催しようとした集会を中止させたほか,22日には,宗教・民族間対立を煽るような集会は認めないとの方針を表明。さらに警察は,23日,犯罪者の特定に繋がるような写真やビデオ映像などの提供を呼びかけた他,現地で多数の火炎瓶が見つかっているとして,24日,住民に対して火炎瓶や武器を見つけた場合は通報,あるいは引き渡すように要請した。
ウ 26日,ウィーラコーン再定住相は,被災家屋の修理用資材の調達などのために2億ルピーを拠出する旨述べた。また,27日以降,軍人700人が被災家屋・商店の修復作業にあたっている。
エ 30日,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,当地紙のインタビューに答え,BBSへの自身の関与を否定。もし関与が証明されれば,辞任する旨述べた。また政界入りに関する質問に対し,ラージャパクサ大統領が招けば,必ず政界入りし,現在役務についている多くの政治家よりも多くのことを達成することを保障する旨述べた。
(4)野党の動き
ア 最大野党UNP
17日,ウィクラマシンハ総裁は,事態の打開を図るために全党代表者会議の開催を提案するとともに,BBSによる扇動が本件事案の原因であると指摘した。また同総裁は,26日,宗教指導者らと面会した際にも,改めて全党代表者会議の必要性を訴え,宗教指導者らもこれに賛同した。さらに29日,同総裁は被災地域を視察した。
24日,サマラウィーラ議員は記者会見を開き,本件事案には軍の情報機関が関与していたとして複数の諜報員の氏名に言及した。一方,同日,ワニガスーリヤ軍報道官は,軍の情報機関は事態の沈静化に向けて活動していたとしつつ,諜報員の氏名を明かすことは国への裏切りであると発言。
イ タミル国民連合(TNA)
20日,TNAは,ジャフナで本件事案に対する抗議集会を実施した。集会出席者らは,ムスリムへの襲撃を非難するとともに,政府に対してBBSを非合法化するように要請した。
(5)諸外国の反応
ア 事案発生以降,米,英,加,EU,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)などが,犯罪者の処罰や扇動的発言の取り締まりを求める声明を発出。
イ ジュネーブで開会中の人権理事会で,独,ノルウェー,加などが本件事案に言及したことを受けて,20日,グナセカラ・スリランカ常駐副代表は,政府はいかなる宗派,民族への暴力も許容しないなどと政府の立場を説明した。
ウ 当地ムスリム諸国大使はピーリス外相に対して本件事案に係るブリーフィングの実施を要請。23日,ピーリス外相は同ブリーフィングを実施し,政府がこれまでに取った措置などを説明。
エ 27日付ロイター通信記事はBBS関係者のフェイスブック・アカウントがブロックされたことを報じるとともに,フェイスブック社がそれを行ったことを示唆。また,30日,当地米大は,グナナサナBBS幹事長の米国入国査証を失効させた旨本人に通報。

3 内政
(1)第13次憲法修正
ア 1日,情報筋によれば,国会選任委員会(PSC)はTNAに対して,定期会合に出席出来ないならば,意見書を提出するよう要請した。
イ 4日,国会でのピーリス外相の発言によれば,ラージャパクサ大統領がモディ・インド首相に対し,スリランカ政府として警察権の州への委譲を受け入れることは出来ない旨,また国家問題のいかなる解決についても,PSCを通じて決定するべき旨を伝達。更に,ラージャパクサ大統領は,モディ首相に対し,スリランカは警察権を除く第13次憲法修正を実施する用意がある,警察権が州議会に委譲されれば,警察は崩壊し,北部と東部でLTTEが再興し,統一国家であるスリランカへの脅威となる旨伝達した。
ウ 5日,ランブクウェラ報道・情報大臣は,記者会見で,警察権限を除く第13次憲法修正の土地及びその他の条項が履行されるかどうかとの問いに対し,TNAは北部州首席大臣が警察委員長を任命するべきと要求しているが,治安上の理由からこれは容認出来ない旨述べつつ,交通警察や行政目的で必要なその他の権限については委譲することが出来る旨返答。
エ 10日,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,個人的な意見として,PSCに参加することは問題を複雑にするだけであると考えている,他方,これまで多くの委員会がタミル問題を研究し,様々な報告書を発表した,PSCがこれまでの提案を検討するならば,勿論,タミル人の人々はこれに反対しないだろうと述べた。
(2)大統領選挙に向けた与野党の動き
ア 与党
(ア)30日,ベルワラでラージャパクサ大統領を議長とするUPFA全閣僚及び国会議員が集まって特別ワークショップが開催。ラージャパクサ大統領は,憎悪政治を完全に否定した。その他,UPFA参加政党から,大統領選挙と総選挙のどちらを先に実施するかに関しての提案が書面で提出された。
(イ)D.E.W.グナセーカラ人的資源上級相(CP),ティッサ・ウィターラナ科学問題上級相(LSSP),ナーナーヤッカラ言語・社会統合相(DLF)は,SLFP中央委員会に対する書簡を送付し,大統領選挙ではなく,まず国会総選挙を実施するよう要請。
(ウ)16日,SLFPとNFFは会合を開き,NFFが送付した12箇条の政策案につき協議。結果,SLFPは,同12箇条はSLFPの政策と一致するとし,大統領の帰国後に更に協議することとした。同会合には,SLFPからバシル・ラージャパクサ経済開発相,シリセーナ保健相,アラハペルマ青年問題・技能開発相,デ・シルバ灌漑・水資源管理相,プレマジャヤンタ環境・再生可能エネルギー相,NFFからウィーラワンサ建設・工学・住宅・公共設備相,ディサナヤカ伝統産業・小規模企業振興副大臣,ウィジェーナイカ前文化相,ウィターラナNFF幹事長,ムザミルNFF報道官が参加。
イ 野党
(ア)4日,フォンセカDP指導者(元陸軍参謀長)は,記者会見で,次期大統領選挙で野党共通候補を立てることに固執しないが,いずれにしろ,野党から有力な候補者を輩出するべきという意見には同意する旨述べた。また,DPとして,大統領の権限は縮小されるべきだが,大統領制の廃止に賛成しない,廃止については住民投票を実施するべきと述べた。
(イ)19日,「市民社会団体である社会正義のための国民運動」(NMSJ)を率いるマドゥルワウェ・ソービタ僧は,要請されれば野党の共通候補になる意志を見せつつ,自分は大統領制の廃止のみを望んでおり,もし他の者が野党の共通候補に選ばれれば,その者を応援すると述べた。ソービタ僧はラージャパクサ大統領に対し,大統領選挙を実施するのではなく,同システムを廃止するよう呼びかけ,もし現大統領が大統領制を廃止すれば,大統領を支持すると述べた。
(3)マータラ県ルフナ大学学部生襲撃事件
ア ルフヌ大学で2015年デヤタ・キルラ展が開催されることにつき,ルフヌ大学学部生グループが,同開催により3ヵ月以上キャンパスが閉鎖されるとし反対していたところ,2日,同グループが武装集団に襲撃される事件が発生。8名が負傷。同現場には,サナト・ジャヤスーリヤ郵政副大臣及びUPFA南部州議会議員らがいたとして,JVPはこれを批判。3日,ティルウィン・シルバJVP幹事長は,公平な調査を要求。
イ 4日,ジャヤスーリヤ郵政副大臣は同事件への関与を否定。また,6日、ディサナヤケ高等教育相は,だれも学生を攻撃していない,大学当局及び警察は苦情を受領していない旨発言。
ウ 6日,大学教師連盟(FUTA)総裁らは,記者会見で,4名のルフヌ大学学術者らの名前が与党政治家の暴力団員のヒットリストに入っている旨明らかにし,ハラスメントが止まらなければ国中で抗議運動を実施すると述べた。4名はデヤタ・キルラ展が同大学で開催されることに反対した人物。
エ 上記抗議を受け,9日にマータラ県行政事務所で会合が実施され,デヤタ・キルラ展の会場がルフヌ大学からコタウィラワッテ及びウェラマダマに移動することに決定した。
(4)東部州議会
UPFA州議会議員ら15名は,ラージャパクサ大統領に対し,マジード東部州首席大臣の交代を求める陳情書を提出した。陳情書の中で,州議会議員らは,州首席大臣との意見の相違により,人々の政治的熱意に対応することが出来ないと述べた。バディユディーン産業・商業相率いるACMC代表団は,数日前にラージャパクサ大統領を表敬し,同様の陳情を行った他,SLMCに州首席大臣の座を引き渡すことに合意したかどうかを問うた。ラージャパクサ大統領はこれに否定的な答えを述べつつ,プレマジャヤンタUPFA幹事長に対して,SLMCと協議し,決定するようにと指示した。
(5)ヘロインの取り締まり
ア 11日,警察特別タスクフォースは,ケラニヤで,ヘロイン85キロの密輸に関与したとして,2名を逮捕。同ヘロインは市場価格6億8千万ルピー相当。
イ 15日,警察は,上記の容疑者1名がLTTE要員であったと明らかにした。同容疑者は,紛争中にLTTEの自爆テロ者をコロンボに移送したり,コロンボに到着したLTTE要員に施設を提供。

4 国民和解
(1)失踪者問題に関する大統領調査委員会
ア グナワルダナ失踪者問題に関する大統領調査委員会次官は,公に証拠を提出出来ない者に対しては,極秘に提出することができるよう措置を執ることが出来る,これまでのところ,証拠を提出したことで脅威にさらされたという苦情を申し出た者はいないと述べた。
イ 退役上席警察官協会は,パラナガマ失踪者問題に関する大統領調査委員会委員長に対し,1990年6月に東部で殺害された警察官600名についても調査するよう訴える覚書きを手交。
ウ 6月6日~9日,失踪者問題に関する大統領調査委員会がバティカロア県で公聴会を実施(6日~7日,カッタンクディ郡行政事務所,8日~9日,マンムナイパットゥ郡行政事務所)。216名が新たに苦情を登録。また,同調査委員会は1990年代にLTTEがムスリム163名を殺害したという疑惑があるクルッカルマダム虐殺事件に関連する証拠についても記録した。 
(2)土地問題
ア ワニガスーリヤ軍報道官は,スリランカ軍は2009年以降,1万8千248エーカーの土地を開放した旨明らかにした。2009年に4379エーカー,2010年に6652エーカー,2011年に5817エーカー,2012年に785エーカー,2013年に410エーカー,2014年に201エーカー。また,今後2ヵ月以内に,ジャフナ県アッチュウェリ軍キャンプの6エーカーの土地が開放されると述べた。
イ 閣議は,ハキーム司法相が閣議に提出した,紛争前の元の所有者に対する土地及び不動産の返還を促進するための「時効条令」修正案を承認した。まもなくハキーム司法相は修正案を国会に提出予定。現在の条令下では,継続的に10年以上使用している者に土地の権利が譲渡されることとなっているが,修正案では,紛争初期に土地及び所有物を失った者が所有権を再び主張することが出来るとしている。
ウ 土地問題担当長官事務所は,北部州土地問題担当長官事務所に対して,軍が要請したジャフナ県,キリノッチ県,ムライティブ県の土地の収用につき,許可しないよう指令を発出した。
(3)国会選任委員会
19日,国会は,州への権限委譲のあり方について話し合う国会選任委員会(PSC)の期限を,12月21日まで延長することを承認した。
(4)元LTTE要員の社会復帰
ア 社会復帰委員長長官事務所(BCGR)によれば,現在132名の元LTTE要員が社会復帰訓練のために収容されている。ウィジェティラカ同委員長長官は,2009年の紛争終結を受けて,約1万2千名の元LTTE要員が降伏ないし勾留された。現在収容されている132名は,ワウニヤ県プーントッタム社会復帰センターでスリランカ軍とBCGRが共同で実施する1年間の社会復帰プログラムを受けている。同委員長長官は,ICRC及びこれら元要員の家族が定期的に元要員を訪問していると述べた。
イ ウィジェティラカ社会復帰委員長長官は,シンガポールの建設会社がLTTE要員40名以上を雇用することに関心を表明している旨明らかにした。社会復帰を果たしたLTTE要員は,生計の立ち上げのために,25万ルピーまでローンを受けとることが出来る他,上記長官の事務所は元LTTE要員に対して海外での雇用機会を提供する方法を模索している。
(5)民族調和
18日,仏教に関する勧告作業委員会が設置された。同作業委員会は,マハナヤカ(管区長)の代表で構成される。同委員会は,政府に対して,仏教とスリランカの文化保護に関する問題につき勧告する。
(6)軍の動き
ア 治安部隊によるタミル語研修
最近,スリランカ軍1122名の要員がタミル語研修を終え,修了証書を授与された。
イ 武器の不法所持
ジャフナ県のアッチュウェリ,ワリカマム東,ワダマラッチで,軍はチラシやポスターを発行し,不法に武器を所持する者に対しては,厳格な行動をとるとし,所持する者は近くの警察署ないし軍キャンプに引き渡すよう求めた。
ウ 治安当局は,カナダ在住のカナカラージャ・ラヴィ・シャンカール氏に対して,インターポールに国際手配を要請した。同氏は,ワウニヤ高等裁判所で,不在の下,30年の刑を言い渡されている。紛争中武器の密輸を行った人物。
(7)大量の遺骨の発掘
バティカロア県カラワンチクディ治安判事裁判所は,1990年にLTTEが誘拐し,殺害したと見られるムスリム100数名の遺体が埋まっていると見られる大量墓地を掘り返す裁判所命令を発出した。同命令は,4月9日にアブドゥル・マジード・モハメドとみられる者が苦情を提出したことを受けてのもの。

5 内戦末期の人権問題(国際調査)

  1. 新国連人権高等弁務官

16日,国連総会本会議は,ザイード・ヨルダン常駐代表を次期国連人権高等弁務官として承認した。
(2)国際調査メンバー
ア 25日,国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は,3月に国連人権理事会(UNHRC)で採択された決議に基づき実施されるスリランカの人権状況に関する包括的調査のメンバーを発表。
イ ペレーラ外務副大臣は,一部の政党がスリランカ政府を戦争犯罪で告発するために国連パネルに出頭するとしたら,それは非愛国的であるだけでなく,不法な行為である,全ての政党はUNHRCの国際調査には協力しないという国会決議を受け入れるべきである旨述べた。
ウ 潘基文国連事務総長は,スリランカが国際社会と建設的に関与するように,また既存の国内プロセスを強化するためにもUNHRCによる国際調査に協力するよう促した。
エ 米英は,国際調査チームのメンバーの任命を歓迎する声明を発出。

6 要人往来
(1)ラージャパクサ大統領のボリビア訪問
ア 12日~17日,ラージャパクサ大統領は,「良い生活を送るための新しい世界秩序のために」と題するG77プラス中国首脳会合(14日~15日,於:サンタ・クルス・デ・ラ・シエラ)のため,ボリビアを訪問。ピーリス外相,グナワルダナ外務省担当国会議員,ウィーラトゥンガ大統領秘書官,セネウィラトナ外務次官が同行。
イ 15日,ラージャパクサ大統領は,上記首脳会合で,途上国にとっての懸念事項がポスト2015開発アジェンダで取り上げられることが重要である,多くの南南協力に基づき,「良い生活を送るための新しい世界秩序」を達成することが出来ると述べた。また,途上国の多くが海洋に依存しているにも関わらず,海洋資源は,過剰な搾取と汚染の脅威にある,G77及び中国は,海洋を十分に保護し,継続的に利用出来るようにリーダシップをとらなければならないと強調。
ウ 16日,ラージャパクサ大統領は,ラパスに到着し,ボリビアの国会を視察。同日,モラレス・ボリビア大統領との二国間会談に出席。モラレス大統領は,スリランカの政治・経済・産業・輸出入セクターにつき質問し,特にアパレル業界への技術支援及びスリランカからのシナモンの輸入に関心を示した。また,スリランカ訪問の招請を承諾。ラージャパクサ大統領は,紛争終結後の状況につきブリーフし,国内的取組みの進捗は無視され,人権問題は外部から圧力をかけるための武器として使われていると述べた。
エ ボリビア訪問中,ラージャパクサ大統領は,ガインコブ・ナミビア首相,オナ・オンド・ガボン首相,ムヒカ・ウルグアイ大統領,オビアン・マング赤道ギニア第2大統領,ラウル・カストロ・キューバ国家評議会議長と二国間会談を実施し,スリランカの現状を説明。
オ 上記G77及び中国首脳会談の際,ピーリス外相は,ムニョス・チリ外相と会談をし,エチェヴェル・コスタリカ副大統領と会談。
(2)ラージャパクサ大統領のモルディブ訪問
ア 6月25日~27日,ラージャパクサ大統領はモルディブを訪問。25日,ヤーミン・アブドゥル・ガユーム大統領と会談。ガユーム大統領は,ラージャパクサ大統領に対し,モルディブの国連人権理事会理事国入りにつき支持を要請。モルディブからは,マームーン外務担当閣外相,ナジム国防相,ガフール観光相らが同席。スリランカ側は,ピーリス外相,ディサナヤカ高等教育相,グナワルダナ外務省担当国会議員らが同席。
イ 25日,ピーリス外相は,医療に関する専門家交流,投資促進,捜索・救出に関する3つの覚書きに署名。また,ラージャパクサ大統領は,ガユーム前大統領とも会談し,両国は,大国による過度の影響を引き続き受けているとし,これについては多くの資金が動いているとのことで一致。
ウ 26日,ラージャパクサ大統領は,マームーン外相と会談。両国は,SAARC諸国の福祉のために,SAARCが強化されるべきであり,SAARCは,加盟各国の立場や経済状況に左右されない平等なプラットフォームとなるべきと強調。また,同日,ラージャパクサ大統領は,アフメド副大統領とも会談し,両国間の移民等につき協議。
(3)ラージャパクサ大統領のセーシェル訪問
ア 27日~28日,ラージャパクサ大統領はセーシェルを訪問。28日,ミシェル大統領と会談し,二国間関係の強化に合意。同会議後,ピーリス外相とフォール副大統領が協議を継続。二国間協力に関する合同委員会の設置に係る合意文書,二国間政務協議設置に係る合意文書,観光に関する協力合意文書,電力セクター開発に対する技術・投資協力及びセーシェルの再利用可能エネルギー計画実施の促進に関する覚書き,文化協力に関する合意文書及びスポーツ分野に関する覚書きの6つに署名。
イ また,同日,ラージャパクサ大統領は,在セーシェル・スリランカ高等弁務官事務所の開館式に出席。
(4)バシル・ラージャパクサ経済開発相の中国訪問
ア 6月29日~7月6日,バシル・ラージャパクサ経済開発相は,高虎城商工相の招請を受け,ラージャパクサ大統領の貿易・商業に関する特使として,中国を訪問。7月2日,汪洋中国国務院副総理と会談。同副総理は,今年後半に予定されている習近平国家主席のスリランカ訪問は外交上の画期的な出来事となる旨述べた。
イ 6月29日,高商工相と会談し,FTAの交渉を迅速に行うことで合意。四川省成都市を訪問し,王東明・四川省委書記とも会談。
(5)ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官の外遊
ア 5月30日~6月1日,シンガポールでシャングリラ防衛ダイアログが開催され,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が出席。
イ 13日~18日,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,JICAの招請で日本を訪問。沖縄及び東京でモノレールを視察。小野寺防衛相,三ツ矢外務副大臣,明石康特別代表らを表敬。
(6)シリセナ保健相のバングラデシュ訪問
22日~24日,シリセナ保健相はバングラデシュを訪問。両日,ナジーム・バングラデシュ保健・家族福祉相を表敬。23日,同大臣との間で,薬剤及び医療器具の調達に関する覚書きに署名。
(7)ピーリス外相のUAE訪問
6月7日,ピーリス外相はUAEのアブダビで駐中東スリランカ大使らと地域会合を開催。同大臣は,国際協力や貿易,投資,雇用機会及び観光を含む経済問題に関して,中東地域に重要性を見いだし,これらの分野において,これらの諸国と関係を迅速に拡大し,限られた時間の中で目標を決め,進捗状況を継続的に評価することが重要であると述べた。ナマル・ラージャパクサ国会議員も同席。
(8)タランコ国連事務局政務局次長の訪問
19日~23日,タランコ国連事務局政務局次長がスリランカを訪問。グナワルダナ外務省担当国会議員,バシル・ラージャパクサ経済開発相,ピーリス外相,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣,サンパンタンTNA議員団長,スレッシュ・プレマチャンドランTNA国会議員,ハキーム司法相(SLMC)と会談。
(9)ケシャップ米国務省南アジア担当次官補代理の訪問
20日~21日,ケシャップ米国務省南アジア担当次官補代理がスリランカを訪問。バシル・ラージャパクサ経済開発相,ピーリス外相,ゴタバヤ国防次官を表敬。
(10)ラマフォサ南アフリカ・スリランカ担当特使の訪問延期
9日,UPFA中央委員会は,ラマフォサ南アフリカ・スリランカ担当特使の訪問につき,JHU及びNFFが反対していることにつき協議。11日,アトゥラリヤ・ラタナJHU議員は,スリランカは国内問題の解決に向けていかなる部外者の関与も望んでいない旨述べた。
(11)ウガンダ国際問題担当閣外相のスリランカ訪問
3日,オリエム・ウガンダ国際問題担当閣外相はラージャパクサ大統領を表敬。両者は南南協力を強化する重要性を協議。
(12)中尾アジア開発銀行総裁の訪問
17日~19日,中尾アジア開発銀行総裁はスリランカを訪問。18日,ラージャパクサ大統領は同総裁に対して,紛争後の開発状況につきブリーフを行い,政府がいかに素早くIDPの再定住や元LTTE要員の社会復帰に対応したかを説明した。

6 その他外交
(1)インド
ア 2日,ラージャパクサ大統領は,友好の印として,6月1日にスリランカ海軍がスリランカ領海内のタライマナー北西で逮捕したインド人漁民29名を釈放するよう指示した。
イ 5日,ランブクウェラ報道・情報相は,インドのジャヤラリータ・タミルナドゥ州首相がスリランカで紛争末期にタミル人に対するジェノサイドが起こった疑惑があると発言したことにつき,インド政府に対し公式に抗議する旨述べた。
ウ 9日,ラージャパクサ大統領は,インドがスリランカ人漁民13名を釈放したことを歓迎し,7日にスリランカ領海内に侵入して逮捕されたインド人漁民78名を釈放するよう指示した。
エ 14日,ディサナヤカ漁業省次官は,インド政府との漁業問題に関する協議のため,代表団3名を任命したと述べた。日程については,インドからの回答を待っているとの由。
オ 25日,スリランカ政府は18日にスリランカ領海内でスリランカ海軍が逮捕したインド・タミルナドゥ州漁民46名を釈放。
(2)紛争中の性的暴力をなくすための世界首脳会議
ア 10日~13日,英国で「紛争中の性的暴力をなくすための世界首脳会議」が開催され,ヘーグ外務次官とアンジェリーナ・ジョリー国連人権高等弁務官事務所特使が共同議長を務めた。スリランカは,招請に応じず。スワイア外務担当閣外相は,スリランカ紙エフに対して,スリランカ政府に積極的に参加して欲しかったとし,欠席の理由を説明するよう呼びかけた。同会合には,南アのヤスミン・ソーカ人権専門家,ベアード・カナダ外相及びラップ米刑事司法担当特使も参加。
イ 11日,上記会議と同時に実施された,在スリランカ英国高等弁務官事務所での行事で,アラン・シブナレーUNFPAスリランカ事務所長は,特定の閣僚による最近の発言には,スリランカにおけるジェンダーの平等の問題を重視して対応する意欲が欠けていると述べ,これらの発言は政策を前進させ,性的・ジェンダーに基づく暴力に対応するプログラムの実施を難しくさせる可能性があると批判した。更に,北部及び東部の特定の県でのUNHCRの統計によれば,40%の女性が,一人で家にいることを安全と感じておらず,村レベルでの女性の安全に対する深刻な懸念がある旨述べた。
(3)中国
11日,スリランカ政府幹部は,政府の要請に応じて,中国がスリランカで風力及び太陽エネルギーに投資する可能性を探究することに合意した旨明らかにした。
(4)米国
20日,米国務省は「2014年人身売買報告書」を公開。これによれば,スリランカは,政府が人身売買被害者防止条約の最小限の基準を十分に遵守出来ていないが,遵守しようと努力をしている国として取り上げられている。
(5)パキスタン難民の送還
国連人権高等弁務官事務所は,スリランカ政府に対して,多くのパキスタン人亡命希望者が逮捕され,勾留されている理由の説明を要請し,本国への送還は国際法の侵害に当たると警告した。9日以降,スリランカ警察は,ネゴンボにいるパキスタン人亡命希望者及び難民を逮捕し,勾留。ペレーラ出入国管理官は,同方針は本国に送還するとの政府の決定に基づくものであるとし,多くのこれら亡命希望者は薬物密売や不法行為に関与していると述べた。17日の時点で,142名のパキスタン人が勾留され,うち141名がテロ捜査局(TID)のブーサ勾留所に収用されている。
(6)イラン
ア 20日,スリランカ外務省は,ロイター紙が,ランブクウェラ報道・情報相の発言として,スリランカが米国の制裁を防ぐ為に,第3国を通じイランの原油を輸入すると報じたことにつき,報道内容を完全に否定した。
イ 20日,米国は,第3国を通じてのイランの原油の輸入をスリランカに許可したとの報道を否定。
(7)海賊問題
約4年前にソマリアの海賊によってハイジャックにあったマレーシアの漁船MVアルベド(所有者:イラン人)の乗組員,スリランカ人2名を含む11名は,海賊内通者の助けを得て,6月7日に無事脱出した。

 


スリランカ内政・外交(2014年5月)

1 内政
(1)マータラにおける戦勝記念式典(18日)
ア 18日,マータラで戦勝記念式典が開催され,ラージャパクサ大統領が演説し,同式典は,スリランカ人全ての勝利を祝うものと述べた。
イ ウィッティング駐スリランカ・カナダ高等弁務官は,勝利者の役割を永続させる毎年の戦勝記念日パレードを取りやめ,紛争の被害を被った全ての人々を追悼するための追悼日を設置するよう,スリランカ政府を奨励するとして,同式典には出席せず。国防省プレスリリースによれば,同式典は,人種や宗教に関わらず,全てのスリランカ人の勝利であるとの由。
(2)ムリワイカルにおける犠牲者追悼記念日(18日)
ア 8日,ランブクウェラ報道・情報相は,記者会見で,ムリワイカルにおける犠牲者追悼記念日を前に,国家の平和を維持するための決定がなされた,もし諜報部がLTTEやその指導者を追悼する企てに関する情報を入手した場合,これを防止するための適切な措置を実施すると述べた。また同日,ワニガスーリヤ軍報道官は,紛争の最終段階で死亡したLTTE要員を祈念するいかなる式典も許されないとしつつ,死亡したLTTE要員の家族らが自宅で宗教的儀式やその他の慣習を行うことは出来ると述べた。
イ 5月6日,ジャフナ大学は,16日~20日の間,休校にすると発表。大学情報筋によれば,学生がムリワイカルにおける犠牲者のための追悼式典を行わないようにとの措置。同日,ジャフナ大学で,教員及び学生らに対して,LTTEの再興を支持しないようにと要請するポスターの張り紙が張られた。これに対し,9日,ジャフナ大学で講師及び学生はこのような抑圧に対する抗議運動を実施。
ウ 20日,「母国を守る軍隊(Troop to Safeguard Motherland)」と名乗る者が再度ジャフナ大学の建物に,大学教師,学生指導者及び記者らに対する脅迫状を貼り付けた。同脅迫状は,テロを奨励する企てを行う人々は罰せられると記載。
エ 21日に,ジャフナ大学で学生及び講師がムリワイカルで死亡した人々のための追悼記念式典を開催しようとしていたところ,20日にジャフナ県軍司令官は講師らを召喚し,いかなる追悼式典も開催しないよう呼びかけた。21日,ラサクマラン・ジャフナ大学教師連合長は,TIDに呼ばれ,8時間にわたり,在外タミル人との関係につき尋問を受けた。ジャフナ大学学生は,学生,教師及びジャフナ大学担当ジャーナリストに対する脅迫状や,上記ジャフナ大学学生連合長に対する尋問といった最近の出来事を非難し,22日~23日に授業をボイコットすることを決定。
オ 22日,北部州議会議員らは,紛争の最終段階にムリワイカルで殺害された死者のための追悼式典を開催した。EPDPを除くその他野党州議会議員も参加。ウィグネーシュワラン北部州首席大臣が演説し,追悼式典の軍の妨害を批判した。27日,東部州議会TNA議員らは,紛争被害者,特にムリワイカルで殺害された死者のための追悼式典を開催。
(3)メーデー集会
ア 1日,ラージャパクサ大統領は,メーデーに際し,「我々は,国の労働者を混乱させようとする陰謀に対して常に気をつける必要がある。しかし,我々の労働者(working people)は労働者の権利を守り,隠された動機によるそのような陰謀を団結して負かすだろう」と述べつつ,「スリランカは今日持続可能な開発に向けた正しい道を歩んでいる。マヒンダ・チンタナの政策枠組みに基づくディヴィネグマ及びガマネグマ開発プロジェクトの下で前進している」とした。
イ 1日,与野党はそれぞれメーデーの集会を実施。ラージャパクサ大統領は,ほとんどの国連機関が戦勝後のあらゆる場におけるスリランカの達成を賞賛しているにも関わらず,スリランカに対する人権侵害容疑を訴える人々は,これらの達成については声を潜めていることは明白であると述べた。カル・ジャヤスーリヤUNP総裁代行は,UNP集会で,次回のメーデーはUNP政権の下で迎えるだろうとしつつ,政府に対して,総選挙を実施するよう求め,後はUNPが仕切る旨述べた。JVPは,ラージャパクサ大統領が大統領として3期目を迎えるために選挙に出馬することは違憲であり,非民主主義的だと強調し,次の大統領選挙で野党共通の候補を立てることを待つのではなく,大統領の2期目の任期が終わる前に,国民は退陣を迫る抗議運動を実施するべきであると述べた。サラット・フォンセーカDP指導者は,メーデーの集会で,政府は労働者を抑圧し,国を壊滅させようとしているが,来年,我々は選挙に勝って,国と労働者を守ると述べた。
(4)不信任決議
21日,国際麻薬取引がスリランカで行われ,これを防ぐことが出来なかった政府に対する不信任決議案が国会で採決にかけられ,賛成57票,反対151票で否決された。連立与党参加政党であるJHU及びNFFはこれを棄権。最大野党統一国民党(UNP),タミル国民連合(TNA),JVPを含む野党グループ民主国民連合(DNA)は賛成。
(5)地方政府議長保護法案
現行の地方当局(特別条項)法によれば,地方政府(市議会,町議会及び村議会)の年次予算が二度否決された場合には,議長を辞任しなければならないとされているところ,アタウッラ地方政府・州議会相は,これを修正し,議長を保護する法案を閣議に提出し,承認を得たと明らかにした。近く国会に提出される見通し。昨年末,いくつかの地方議会において議長を排除する意図で,年次予算が与党議員らにより故意に否決されたのではないかとの疑惑があり,これに対する対抗処置として,今回の法案が作成された。
(6)国会選任委員会(PSC)
デーワーナンダ伝統産業・中小企業振興相(EPDP)は,国会選任委員会がタミル語話者の人々の問題を解決しないならば,自分は政府を支持することを再考するとし,TNAをPSCに招請した。
(7)宗教的調和
与野党のムスリム国会議員18名のうち,A.R.M.カデール国会議員及びA.H.M.アズワール国会議員を除く16名(大臣含む)は,BBSを抑制し,法と秩序を復活させるよう要請する大統領宛共同書簡に署名した。
(8)コロンボにおける低所得者立ち退き問題
9日,スリランカ人権委員会は,都市開発当局(UDA)に対して,立ち退き予定のコロンボのナラヘンピタ(188 Watte Borella, 5th Lane Narahenpita and Kolombage Mawatha Narahenpita)に住む低所得者世帯に対して過度な圧力を与えることを控えるよう勧告した。また,スリランカ人権委員会はUDAに対して,国際法と土地収用に関する規則を遵守するように求めた。
(9)ウィクラマシンハUNP指導者の帰国
15日,ウィクラマシンハUNP指導者が米国から帰国。22日,同指導者は,UNP政権をどのように構成するか,また,国をどのように発展させるかにつき学ぶため米国に行ったと述べ,大統領制廃止後の代替策につき協議したと述べた。

2 大統領選挙に向けた動き
(1)与党政権内の動き
ア 左派政党の動き
ウィタラーナ科学技術上級大臣(LSSP),ナーナーヤッカラ言語・社会統合大臣(DLF)及びグナセーカラ人的資源上級大臣(CP)は,ラージャパクサ大統領及びシリセーナ保健大臣(SLFP幹事長)に対して,大統領制の廃止,比例代表制の変更,LLRC勧告の実施の加速化及び自由経済戦略ではなく社会主義的経済システムの設置を要請する書簡を発出。
イ シンハラ急進派政党の動き
23日,NFF指導者らは,JHU指導者らと現在の政治状況及び今後のUPFAの動きにつき協議。最終的に協議を続けることで合意した。
同日,ラージャパクサ大統領は,ウィーラワンサ建設・工学・住宅・公共設備相(NFF)を会合に招請。ムザミルNFF報道官によれば,ラージャパクサ大統領はウィーラワンサ大臣に架電し,5日のNFFの第2回全国大会で承認された12の提案を協議するため,会議に招請。12の提案には,新しい憲法の起案,カジノの停止,テロ支援者への対処,紛争後の国民和解における南アフリカの関与に対する対処や権限委譲を含む。
24日,ラージャパクサ大統領は,ウィーラワンサ建設・工学・住宅・公共設備相と会談。ウィーラワンサ大臣は,ラージャパクサ大統領に対して,上記12の提案を提出。ラージャパクサ大統領がデリーから帰国後,協議を継続することで合意。協議は,友好的におこなわれ,ウィーラワンサ大臣は,連立政権から離脱し政府を不安定化させる意図はないが,適切に問題が対処されることを望む旨強調。また,政府がTNAとの協議を促進するために,外国勢力と関与するならば与党政権から離脱すると述べた。
26日,マドゥルワウェ・ソービタ(Maduluwawe Sobitha)僧とJHU代表らは協議を実施。JHUは,選挙システムの改革無しに大統領制を変更すれば,深刻な影響を与えかねないと警告。大統領制の廃止,第17次憲法修正の再導入,適切なメカニズムの導入を通じての汚職の防止につき協議。
(2)野党の動き
ア 7日,マノ・ガネシャンDPF党首は,記者会見で,大統領選挙の野党共通候補として,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣を提案。
イ ウィグネーシュワラン北部州首席大臣を大統領選挙の野党共通候補に挙げることにつき,スマンティランTNA国会議員は,UNP,JVP及びDPはこの問題に関する立場を明確に述べるべきとした。
ウ 20日,ウィクラマシンハ野党統一国民党(UNP)指導者は,党員に対して,大統領選挙ないし国会総選挙があれば,UNPは単独で戦うと発言。
エ UNP最高評議会筋は,UNP国会議員らは大統領制の廃止をUNP大統領候補の公約とするべきであると決定した旨明らかにした。また,他党の支持を得ることができる候補者を党内から選出することを決定。
オ 21日,へラートJVPプロパガンダ書記は,UNPの一部,国民僧侶戦線(NBF)は共通候補を押している旨述べ,UNPは党内の声を取り纏められていない,ウィクラマシンハUNP指導者は,自分自身の意見を公言しているに過ぎないと批判。ハンドゥネッティJVP国会議員は,マドゥルワーウェ・ソービタ僧と会談し,大統領制の廃止や2010年に廃止された第17次憲法修正の復活につき協議。
カ 24日,UNP幹部筋は,ウィクラマシンハUNP指導者は,UNP率いる野党連合を結成することを打ち消してはいない,同指導者は国会議員らに対して、現在の問題として,生活コストや高官の汚職,よいガバナンス及び法の支配の欠如,シンハラ人の人権侵害を強調し,政府が国政選挙を実施するように仕向けるよう訴えたと述べた。
キ 28日,マドゥルワウェ・ソービタ僧は,サンパンタンTNA議員団長の要請に応じ,同団長と会談。大統領制の廃止及びソービタ僧の同大統領選挙への立候補の意志につき協議。再度会合を開くことで合意。
ク 30日,アンパラ県カルムナイ市議会でTNA及びSLMC国会議員らが協力の可能性を協議するため会合を開催。ハキーム司法相(SLMC),ハッサン・アリSLMC幹事長,マワイ・セナティラージャTNA議員及びC.ヨゲシュワランTNA国会議員及びアリヤネンティランTNA国会議員が出席。北部及び東部の人々が直面する問題に対する解決に向けて協力することを決定。
ケ 31日,アンパラ県サマントゥライにおける集会で,ハキーム司法相(SLMC)は,SLMCと政府の意見の相違により,SLMCとの選挙協力に向けて野党の期待は高まっているだろうが,野党間の定員もまとまっていないため,今後の選挙協力についてはSLMCは慎重に決定する旨述べた。

3 国民和解
(1)失踪者に関する大統領調査委員会
ア 20日,スリランカ政府は,失踪者に関する大統領調査委員会の公式ホームページ(http://www.pcicmp.lk)を立ち上げた。
イ 28日付タミル語「ティナックラル」紙で,TNA及び北部州議会議員らが,大統領調査委員会につき信頼が持てないと批判したことを受け,パラナガマ失踪者に関する大統領調査委員会委員長が,TNA及び北部州議会議員らに対して,同委員会は開始したばかりであり,更なる公聴会を実施する準備を行っているとして,批判されたことにつき遺憾の意を表明した。
ウ 軍が殺害したと考えられていたタミル人がインドに不法入国しようとした事件を受けて,パランガマ大統領調査委員会委員長は,同調査委員会の要請に基づき,外務省が,インド,カナダ,オーストラリア,ドイツ,フランス,スイス,ノルウェー,米国及びイタリア政府に対し,難民申請を要求しているスリランカ人及び不法に難民キャンプに居住しているスリランカ人に関する詳細を照会したと述べ,同委員会は,親族が失踪者として報告した人物は,海外に住んでいる可能性があると考えている旨述べ,諸外国が大統領調査委員会の要請に応じ,海外に避難したスリランカ・タミル人の詳細を提供してくれれば,同委員会の任務はより簡単になると述べた。
エ 最近,失踪者に関する大統領調査委員会は,ムスリム代表団から,バティカロア-カルムナイ道路に沿って発見された大量の遺骨に関する苦情を受領したため,6月6日に同地域を訪問すると決定。ムスリムらは,首謀者はLTTE要員であると疑っている。
(2)移民の人権に関する国連特別報告者のスリランカ訪問
19日~26日,フランソワ・クレポー移民の人権に関する国連特別報告者がスリランカを訪問した。訪問中,政府関係者,国連カントリーチーム,人権委員会,外交団,雇用機関,市民社会団体,学術研究者,移民家族,帰還移民者と会談した他,ミリハナ勾留センター,ブーサ刑務所,カトナヤケのサハナ・ピヤサ福祉センター,スリランカ外国雇用局(SLBFE)の州センター,クルネガラ県及びキャンディー県の訓練センター,タンガッラの移民リソースセンターを訪問した。
(3)土地問題
国内避難民モニタリングセンター年次報告書は,スリランカには2013年末の時点で9万名の避難民がいると明らかにした。また,再定住省が2013年に政策案を出したにも関わらず,IDPに関する包括的な法や政策がスリランカにはない,また,元々住んでいた国有地が開放されず,少なくともIDP3万名が帰還出来ず,うち2万名がホスト・コミュニティに住み,7千名がキャンプに住み,数千名が(必ずしも自主的ではなく)再定住したと報告。
(4)警察による容疑者の殺害
5日,クルネガラ県で警察官が誘拐され,殺害された。17日,警察犯罪捜査局(CID)は,同警察官を殺害した容疑者とみられる32歳のギャングのメンバーを逮捕。18日,ロハナ警察報道官は,容疑者が警官と共に犯行に使った銃器の隠し場所を検分中に,隙を見て同場所に隠してあった手榴弾を投げようとしたため,CIDの警察官が容疑者に対して発砲したと発表。容疑者が死亡した状況に関する治安判事裁判所の調査が行われる予定。マハナマヘワ人権委員会委員長は,警察の勾留中に容疑者を殺害することは非合法であるとして批判。

4 LTTE再興に対する取り締まり
(1)スリランカ政府の動き
ア スリランカ外務省は,最近指定リストに掲載された16団体及び個人に関する情報の各国との情報共有を急がないとしている一方で,8日,ワニガヤスーリヤ国防省報道官は,記者会見で,スリランカは既にこれらの情報を提供する措置をとったと述べた。他方,国防省高官は当地紙に対し,情報提供は必要に応じて,また各国の問題に対する反応に応じて行うとした。
イ インド「Indian Express」紙によれば,13日,スリランカ治安当局に近い情報筋は,同紙に対して,スリランカ政府は,テロ関連団体及び個人に指定された16団体及び452名(ママ)の個人のテロ関連資金の送金に関する証拠文書を様々な国々に送付していると述べた。
ウ 22日付官報「国連規則2012年No.1の規則5の下における命令」が発出され,2014年3月21日の官報第1854/41で公表された,テロ関連団体及び個人が所有する全ての資金,その他資産及び経済的資源が凍結された。
(2)元LTTE要員一家のインドへの不法入国
ア 5日,スリランカ人10名(うち5名は子供)は,2つのグループに分かれ,マナー県を出発し,タミルナド州ダヌシュコディ沖のアリチャムナイで,インドに不法上陸。スリランカ治安部隊がLTTE再興を疑い,タミル人地域での捜索活動を活発化させて以降,命の危険を感じたためとしている。これら10名は,正当な文書無しに入国したとして,タミルナド州ダヌシュコディ警察に逮捕された。
イ 国防省筋によれば,上記の10名のうち1名は,多くの地元及び国際NGOが,2009年にスリランカ治安部隊により虐待,殺害されたと主張していたLTTE幹部要員であることが明らかになった。同元要員は,K.タヤパララージャ氏(33歳)で,ジャフナでコンピューター・エンジニアとして勤務していた人物。2005年にペラデニヤ大学卒業後,同大学で助講師としても勤務した経験がある。妻と息子(12歳)及び娘2名(6歳と4歳)と共にインドに不法上陸した。
ウ 16日,記者会見で,ワニガスーリヤ国防省報道官は,様々な虚偽の非難は,国のイメージに影響を与え,スリランカに対する戦争犯罪の容疑の根拠となっていると述べ,タヤパラージャ元LTTE要員がインドで発見されたことに関し,いくつかのNGOはタヤパラージャ元LTTE要員が,2009年にスリランカ軍によって拷問され,殺害されたと報告したが,同人物は死亡したとされる年から5年後に,他国に不法入国しようとして発見された,同要員とその妻は,ロンドンでの雇用を約束し,多くの人々を騙した疑惑がある。ワンニ地域の多くの被害者は,ジャフナのインド総領事館に被害を申し立てていると述べた。
(3)LTTE要員3名の逮捕
ア 15日,マレーシア警察は,LTTE要員と見られる3名の男性を逮捕。これら要員のうち2名は,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民カードを所持。2004年にマレーシアに入国し,LTTEのプロパガンダを広め,活動資金を集める拠点としていた疑いがある。
イ 27日,上記3名は,スリランカに移送され,勾留された。27日の記者会見で,ロハナ警察報道官は,これら3名の名前を公開(シャンガリラージ・ジオシャンタン氏,マハデワン・キリバカラン氏及びセルヴトゥライ・キリバワン氏)。ロハナ報道官は,マレーシア警察に対して謝意を表明。これら3名には,これまでインターポールを通じて赤手配書が発出されていた。
ウ スリランカ政府の治安関係者幹部は,上記の逮捕・送還事件を受けて,国連手続きの緊急の見直しが必要であると述べた。うち2名は難民資格を所持し,残りの1名も同資格を受ける手続き中であった旨明らかにした。

5 外交
(1)世界青年会議
ア 6日~10日まで,スリランカで「ポスト2015の開発アジェンダにおける青年の主流化」をテーマとした世界青年会議が開催され,ポスト2015年における青年の発展を目的として,10日にコロンボ宣言が採択された。アッシュ国連総会議長の他,169カ国から1500名の青年が参加。
イ 10日,アラハペルマ青年問題・技能開発相は,上記会合に際してスリランカを訪問したキューバ,ブルガリア,フィジー,ネパール,ソマリア,ザンビア,ウガンダ,アフガニスタン,ザンビアの青年大臣,堀部伸子国連人口基金アジア・太平洋地域事務所所長他と会合した。
(2)インド・スリランカ関係
ア モディ新インド首相の宣誓式へのスリランカ代表団
(ア)16日,ラージャパクサ大統領は,モディ氏の国会総選挙開票を受けた圧倒的勝利を祝福するため,モディ氏に架電し,スリランカ政府は,二国間の更なる関係強化のため,新しい政権と協力するのを心待ちにしていると表明した。架電後,モディ氏はツィッターでラージャパクサ大統領に謝意を表明。
(イ)ラージャパクサ大統領は,インドからのモディ新インド首相の宣誓式への招請に対し,22日に外交ルートを通じ,出席を正式に伝達したと共に,23日朝には,大統領公式ツィッター(@PresRajapaksa)を通じ,「貴殿の宣誓式への参加をご招待してくださり有り難うございます。出席するのを心待ちにしております。」とツィートした。
(ウ)23日に発出されたスリランカ政府プレスリリースによれば,ラージャパクサ大統領はウィグネーシュワラン北部州首席大臣に対し,モディ・インド新首相の宣誓式に出席する大統領代表団に参加するよう招請。これに対して,同日に発出したピーリス外相宛書簡の中で,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は参加を断った。
(エ)26日~27日,ラージャパクサ大統領は,モディ新インド首相の宣誓式に出席するため,インドを訪問。26日,宣誓式に出席し,27日にモディ首相と会談。会談中,ラージャパクサ大統領は,スリランカが社会復帰,再定住,復興に関して実施したイニシアティブと国内において継続中の国民和解プロセスにつき説明。両者は,両国間の漁民問題につき協議し,両国の漁民の意見が反映されるプロセスを通じた永続的な解決措置につき協議。両者は,漁民間の協議及び政府関係者間合同委員会会合を継続することで合意した。また,同日,ムカジー・インド大統領とも会談し,二国間の相互の関心事項につき協議。
(オ)26日,宣誓式の際,ラージャパクサ大統領は,ガユーム・モルディブ大統領と会談し,共同経済委員会を含む相互の様々な関心事項につき協議。ガユーム・モルディブ大統領は,ラージャパクサ大統領をモルディブに招請。
(3)漁民問題
(ア)12日,第2回インド・スリランカ漁民間協議が実施されたが,インド側はスリランカ領海内での操業及び底引き網漁実施の数週間の延長を要求し,スリランカ側は漁師の生計に影響が出るとして拒否し,コンセンサスに至らず。13日,セナラトネ漁業・水産資源相は,インド政府に対し,早期に密漁に関する政府間協議を実施するよう訴えた。
(イ)グナラトナ漁業・水資源副大臣は,モディ新首相が,漁民問題を真剣に取り上げ,インド漁民がスリランカ領海内で密漁を行うことを防ぐ措置をとることを期待すると述べた。
(ウ)ラージャパクサ大統領は,モディ新首相の宣誓式に対する「善意の印」として,コロンボで勾留されていたインド人漁民5名を釈放するよう命じた。27日,モディ首相は,ラージャパクサ大統領に対し,オリッサ州及びアンドラ・プラデシュ州の刑務所にいるスリランカ人漁民85名を釈放すると伝達。
ウ 民生用原子力協力
5日~6日,包括的民生用原子力協力に関する第2回協議がコロンボで実施された。同会合は,友好的な雰囲気で実施され,二国間民生用原子力協力に関する包括的合意文書案につき協議した。次回会合は,2014年後半にインドで開催することで合意。
(4)中国
ア 20日~22日のラージャパクサ大統領が中国を訪問。20日,上海国際会議場センターで開催された習近平・中国国家主席夫妻主催の歓迎晩餐会に出席。同日午後,ラージャパクサ大統領は,フセイン・パキスタン大統領と二国間会談を実施。また,21日,ルハニ・イラン大統領とも会談。21日~22日,第4回アジア相互協力信頼醸成会議(CICA)首脳会議に出席。プーチン大統領,ナザルバエフ・カザフスタン大統領,アタムバエフ・キルギス共和国大統領,ローハニ・イラン大統領を含む46カ国が参加。国連事務総長も出席。習近平国家主席が議長を務めた。
イ 14日から中国共産党中央軍事委員会副主席がスリランカを訪問。16日,許其亮中国共産党中央軍事委員会副主席(空軍大将)はラージャパクサ大統領を表敬。許副主席は,中国は二国間の軍事関係を「優先課題」と認識していると述べ,テロ撲滅及び紛争後の迅速な国の再建につき賞賛した。ラージャパクサ大統領は,「1つの中国政策」といった国際・地域問題及び南シナ海に関する問題について,スリランカが中国を支持することを保証した。また,紛争中のテロ撲滅と経済発展及び国際場裏における支援につき,中国に対する謝意を述べた。同日,許副主席は国防省でラージャパクサ国防次官を表敬。許副主席は,中国とスリランカの歴史的関係に焦点を当て,両国に共通する将来の課題に対処するために既存の関係を強化する必要性を強調した。また,スリランカがインド洋の戦略的な場所に位置することを強調し,スリランカが抱えるいくつかの問題は,スリランカの実際の人権状況よりも,他国の戦略的な懸念によるものであると述べた。各国の状況はユニークであるゆえ,問題への解決策は,押しつけられたものではなく特有のものである必要があるとし,許副主席は,中国が経済開発,安全保障協力,社会統合等の分野でスリランカと全面的に協力する旨保証した。ラージャパクサ国防次官は,これまでで最もハイレベルな軍事代表団の訪問を歓迎し,中国に対して,テロの撲滅及び主権と領土保全の為の支援につき謝意を表明。協議後,相互協力に関する3つの重要な合意に署名。
ウ 6日~8日,北京で,スリランカ政府と中国政府は刑事司法相互共助条約に関する交渉を実施し,最終的に合意して署名した。
(5)南シナ海問題
ベトナムを訪問中のジャヤラトナ首相が,5月9日にグエン・タン・ズン・ベトナム首相と会談した際に南シナ海における中国の台頭について協議。ベトナムの政府報道機関は,ジャヤラトナ首相が中国は国際法を遵守するべきとするベトナムの要請を支持すると発言したと報じた。これに対して,10日,スリランカ外務省は,スリランカは,南シナ海における紛争は二国間で解決するべきという立場であると発表した。
(6)ピーリス外相のオーストラリア・ニュージーランド訪問
ア 5日,オーストラリアで,ピーリス外相は,ビショップ・オーストラリア外相と会談し,テロ資金及び地域におけるテロの再興に向けたその他の活動を撲滅するために,オーストラリアの全面的協力を要請。この他,ジョンストン国防相とも会談。
イ 8日,ピーリス外相は,マッカリー・ニュージーランド外務・スポーツ大臣と会談し,スリランカがディアスポラ・グループの一部をテロ関連団体に指定したことにつき,説明した。ピーリス外相は,大陸棚に関するスリランカの主張をまとめる際にニュージーランドが支援してくれたことに対し,謝意を述べた。両国は,ニュージーランド・スリランカ間の国会友好議員連盟の設置を歓迎した。国連PKOへのスリランカの貢献拡大についても協議した。
(7)シャルマ英連邦事務総長
2日,シャルマ英連邦事務総長はチャマル・ラージャパクサ国会議長とロンドンで会談し,裁判官の任命・罷免及び司法の独立性に関する法案起案の進捗状況を問うた。また,スリランカの国会が英連邦国会議員らの地域会合を主催することを歓迎。
(8)その他要人往来
仏教法に関する会議に出席するため,スリランカを訪問中のトプゲー・ブータン最高裁長官は,9日,ラージャパクサ大統領を表敬した。

 


スリランカ内政・外交(2014年4月)

1 北部州関連情勢
(1)テロ再興の取り締まり
ア 4日,スリランカ政府は,安保理決議第1373号及び同国の国連規則2012年No1に基づき,16団体及び424人をテロ関連団体・個人に指定してその資産を凍結する命令(Order)を発出するとともに,同指定団体・個人リストを3月21日付官報に掲載した。
イ 10日夜,北部州ワウニヤ県ネドゥンカーニーで,ゴピ(本名:Kajeepan Ponniah Selvanayagam)及びティウィアン(本名:Sundaralingam Kajeepan)LTTE容疑者が,軍と対峙した末,殺害された。この他,もう1名,通称アッパンと呼ばれる容疑者が死亡。
ウ 28日,北部州議会は,政府が16団体及び個人472名をテロ関連団体及び個人に指定し,資産を凍結したことにつき,撤回するよう求める決議を採択した。
(2)県調整委員会(DCC)
21日,デーワナンダ伝統産業・中小企業振興大臣(EPDP)とウィグネーシュワラン北部州首席大臣(TNA)が共同議長を務めるジャフナ県調整委員会が開催された。委員会では,同県ワリカマム北での土地の収用を止め,政府に対し,土地収用を撤回する回章を出し,元の土地保有者に土地を返還するよう訴えることを決定。土地問題が議題に挙がった際,デーワナンダ伝統産業・中小企業振興大臣は沈黙を維持。
(3)TNAの動き
ア 9日~12日,サンパンタンTNA国会議員団長率いるTNA議員団が南アフリカを訪問し,ラマフォサ・スリランカ担当特使と国民和解プロセスのためのモダリティを協議。TNAは,同特使との協議は充実したものとなったと述べた。ラマフォサ特使は,6月初頭にスリランカを訪問し,ラージャパクサ大統領及びその他政府要人と協議する他,北部州を視察する見通し。
イ 29日,TNA調整委員会がトリンコマリー県で開催され,全てのTNA指導者及び国会議員がこれに参加した。同委員会は,選挙管理委員会にTNAを政党として登録することを検討する5人委員会を設置。5人委員会には,スマンティラン国会議員(ITAK),マワイ・セナティラージャ国会議員(ITAK),スレッシュ・プレマチャンドラン国会議員(EPRLF),セルワム・アダイカラナタン国会議員(TELO)及びD.シタールタン北部州議会議員(PLOTE)が任命された。この他,TNA調整委員会では,国連人権理事会,北部州議会と中央政府との関係及び現在の政治情勢につき協議した。
(4)抗議運動
キリノッチ県イラナマドゥ貯水池からジャフナ県に飲料水を引く「イラナマドゥ-ジャフナ飲料水プロジェクト」につき,20日,キリノッチ県農民は,これを自分たちの生計手段を損失するものであるとして反対,抗議運動を実施。スリタランTNA国会議員,クルクララジャ北部州教育大臣らが駆けつけ、農民に対し,同問題を検討すると約束し,抗議は終了。

2 内政
(1)シンハラ・タミル正月に際する大統領のメッセージ
14日,シンハラ・タミル正月に際し,大統領は国民に向けたメッセージを発出し,「新年の祝祭の伝統の中で重要なことは,共存と国民和解である。新年のお祭りの中で最も価値があることは,家族を越え,村,都市,全国に向けた理解と一貫した理想に突き進むことである。この新年の祭りに際し,この精神をスリランカにおける国民和解に取り入れ,アジアの驚異(Wonder of Asia)となることは,我々全員の堅いコミットメントであるべきだ。」と述べた。
(2)南部州・西部州議会の発足
ア 4日,大統領事務局で,新しく選ばれたプラサンナ・ラナトゥンガ西部州議会首席大臣(ガンパハ県選出)及びシャン・ウィジャヤラル・デシルワ南部州首席大臣(ゴール県選出)が,ラージャパクサ大統領の前で宣誓を行った。
イ 11日,ゴール県で南部州議会の開会式が開催され,議長及び副議長が選出された。
(3)大統領選挙
24日,ラージャパクサ大統領は来年1月に大統領選挙を実施すると決めたとするメディア報道を否定し,占星術師の発言に起因すると考えられる報道に根拠はない,国会議員選挙を実施出来るときに,何故大統領選挙を実施しなければならないのかと述べた。25日,アベイグナワルダナ港湾・ハイウェー閣外大臣は,国会で,野党議員は繰り返し,政府は大統領選挙を早期に実施するか尋ねるが,2015年に大統領選挙を実施する」と発言した。
(4)最大野党UNPの動向
ア ウィクラマシンハUNP総裁の米国訪問
6日,ウィクラマシンハUNP総裁は,米国にむけてスリランカを出発。ウィクラマシンハUNP総裁は,ラージャパクサ国会議長に対して,自身の不在中,ジョン・アマラトゥンガ野党院内総務が野党リーダーとしての代理を務めると伝達。また,カル・ジャヤスーリヤ国会議員をUNP総裁代行に任命。
イ ハンバントタでのUNP国会議員襲撃事件
17日,UNP国会議員5名は,政府の招請を受けて,マヒンダ・ラージャパクサ国際空港(MRIA)とハンバントタ港への事実調査ミッションのため,ハンバントタを訪問。記者7名が同行。最初の訪問先であるMRIAを35分視察後,同議員らは建物から出たところで,群衆から石や卵等を投げられ,襲われた。近くに警察官がいたが,助けを得られず。ハンバントタ港では,1時間程,同港を視察。視察後,フェルナンド・ハンバントタ市長率いる怒った港労働者,村人から成る群衆による襲撃を受けた。
18日,ジャヤスーリヤUNP指導者代行は,声明を発出し,UNP国会議員らが襲撃された17日を暗黒の日とした他,ラージャパクサ国会議長に対して,同暴力事件に関する調査委員会を設置するよう呼びかけた。また,このような国会議員に対する襲撃事件は,国連人権理事会で批判された人権問題疑惑に信憑性を与えかねないと述べた。
24日,アマラトゥンガUNP国会議員は,国会で,ハンバントタで起きたUNP国会議員襲撃事件を調査する国会選任委員会の設置を要求した。ジャヤラトナ首相は,同件に関し警察は適切な措置をとらなかったのかどうかを独自に調査するだろうと述べた。
(5)ムスリム政党の動向
ア 国会ボイコットの噂
情報筋によれば,7日,ムスリム団体によるコロンボ県マラダーナでの会合で,与野党のムスリム国会議員らが,国内の反ムスリム行動に抗議して,一ヶ月間の国会ボイコットを計画。ハッサン・アリ国会議員(SLMC)及びリサド・バディユディーン産業・商業相(ACMC)がこれに参加。これに対して,アズワールUPFA国会議員は,上記を否定。与党の全ムスリム議員は平和と平静をもたらしたラージャパクサ大統領を強く支持していると述べた。
イ ウィルパットゥ国立公園内に住むムスリム避難民問題
3月,仏教急進派BBS幹事長のグナナサーラ僧が,北西部州・北中央州・北部州境にあるウィルパットゥ国立公園内にムスリムが不法に住居を建設し居住しているとし,同公園の環境破壊の原因はこれを支援したバディユディーン産業・商業大臣(ACMC)にあると述べた他,同大臣はウィルパットゥから北部州マナーまで排他的ムスリム地帯を作り,アラブ人地域(colony)を作ろうとしている旨述べ,批判。これに対して,4月17日,バディユディーン産業・商業大臣は記者会見を開催。野生生物保護局職員も同席。野生生物保護局は,ウィルパットゥ国立公園内には,いかなる者も住居を建設していないとし,1990年にLTTEが北部から排除し,その後海軍が土地を収用したために,行き場を失ったムスリム避難民がウィルパットゥ国立公園との境の保護区に一時的避難所を設置していると述べた。4月22日,ソイサ野生生物保護大臣は,記者会見で,ウィルパットゥ国立公園の保護区の一時避難所に住む者は,裁判所の命令で,数日中に同地域から立ち退かなければならないだろうと述べ,マナー高等裁判所に申し立てを行ったことを明らかにした。デシャプリヤ・マナー県行政官は,現在ムスリムIDP73世帯がウィルパットゥ国立公園との境にある保護区域に住んでいる件につき,現在の避難場所より,1マイル先に50エーカーのプロットの土地を割り当てる旨述べた。WFPの支援を受け,一時避難所に3週間以内に移転させる予定と明らかにした。
ウ BBSの産業・商業省への不法侵入事件
23日にBBS関係者が,BBSのライバルであるJBS幹事長が産業・商業省に隠れているとして,不法侵入した事件につき,28日,裁判所は,警察署に対して,不法侵入したBBS関係者を特定するよう命じた。
(6)戦略的開発計画法の下での3つの官報の承認
ア 24日~25日,国会は,これまで懸案となっていた戦略的開発計画法(Strategic Development Projects Act)の下での開発プロジェクトに関する3つの官報を承認。これら官報により,「クイーンズベリー・レジャー社」,「ウォーターフロント・プロパティーズ社」,「レジャー・ホールディングス社」が建設・運営する予定の総合高級リゾート施設3件に対し,免税が付与された。これらリゾート施設は,ショッピングモール,高級住居施設及びオフィス・スペースを備えるもの。外国直接投資額は約数億米ドル規模。
イ これら官報については,与党連立政権内のJHU,SLMC,ACMC等からこれらリゾート施設にカジノが設置されることを懸念する声が挙がり,票決の際には,野党UNP,TNA,JVPが反対した他,与党から欠席するものも出た。
ウ 24日,ラージャパクサ大統領は,報道関係者に対して,政府が新しいホテル計画に対してカジノ設置の許可を与えたとする疑惑を否定し,カジノは同計画に含まれないと述べた。また,官報の内容を変えることはない,政府の政策を変えることはない,カジノを設置しないと保証した。
(7)タンガッラでのクラム・シャイク英国赤十字社職員射殺事件(2011年)
ア タンガッラでのクラム・シャイク英国赤十字社職員射殺事件に関し,22日~23日,タンガッラ治安判事裁判所で,同事件が発生したタンガッラ・ネイチャー・リゾートのタランガ・ピーリス・ホテルマネージャーに対する反対尋問が実施された。同マネージャーは,警察が事件発生直後,自身の証言の記録を改ざんし,自分はこれに署名をしたが,記録内容を読み上げてもらっていないため内容を知らないと述べ,警察での証言と裁判所での証言に差が出た経緯を説明し,警察の報告書の信憑性を否定。
イ 国選代理人は,シャイク英国赤十字社職員射殺事件での,リアン・アカランカ証人の証言が矛盾しているとして,裁判所に対し法廷侮辱罪を提出すると伝達した。首謀者とされるタンガッラ村議会議長が同証人を襲撃したかどうかを巡り証言が揺れているため。
(8)マナー県の集団墓地
8日,考古学局は,記者会見で,マナー県ティルケティースワラムで大量の人骨が発掘された事件につき,これらは,1930年以降に埋められたものであり,普通の墓であり,遺体を積み重ねて遺棄したものではないと明らかにした。

3 国民和解
(1)各州への検察官補の配置
20日付で,検察局は,LLRC勧告の実施に基づき,州の監督システムを導入した。全9州に検察官補(additional solicitors general)9名を任命し,これら検察官は犯罪捜査や容疑者の訴追に関して警察を助言する。また,彼らは州内の全ての犯罪及び民事事案を扱う上で,シニア及び若手職員の支援を得る。更に,2名の上席検察官補が民事及び犯罪局の全体を監督し,州を監督する検察官補と調整する。新しいシステムには,検察局と州との間で密接な関係構築を図る意図があり,州を担当する検察官補は同地域を管轄する上級警察副長官,州首席秘書官,州の省秘書官らと直接連絡をとることが出来る。
(2)宗教関連事案を担当する特別警察ユニットの設置
ア 24日,ラージャパクサ大統領は,報道関係者に対して,「我々は,いかなる宗教団体による不法行為をも許すことは出来ない。自分は,警察長官とこの問題につき協議し,このような問題に対処するための特別ユニットを設置するよう指示した」と述べた。
イ 28日,ジャヤラトナ首相(仏法・宗教大臣兼務)は,仏法・宗教省において宗教問題に対応する特別警察ユニットの開設式を実施。その後,ディサナヤカ仏法・宗教省次官は報道関係者に対し,スリランカには2万件の宗教施設があり,うち1万件が仏教徒の宗教施設,5千件がヒンドゥ寺院,2500件がキリスト教徒の宗教施設,2500件がムスリムの宗教施設であると述べつつ,スリランカのような規模の国としては,十分な数の宗教施設がある旨発言。特別警察ユニットには,警視補をトップとし,警部長,巡査が配属される。
ウ 25日,ハキーム司法相(SLMC)は,宗教問題に関する苦情に対応する別の警察ユニットを設置することにつき,意味がない,警察は既にこのような問題に対応するために十分な権限を有している,政府はBBSといった宗教過激派をコントロールするために最善を尽くさなければならないと発言。27日,バディユディーン産業・商業相(ACMC)は,政府の法執行当局に対する全面支援がない限り,警察が状況をコントロールするのは難しい,BBSメンバーが多くの場面で警察を中傷してきたことから,ムスリム他のマイノリティの間で自信を取り戻すには,新しい警察ユニットの設置だけでは十分ではないと述べた。
(3)ウィーラトゥンガ大統領秘書官の発言
9日,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,各省次官及び関係者らと協議を実施。各省が実施している精神的社会支援やカウンセリング・プログラム,カウンセリングのための能力構築,全ての裨益者に対する支援体制の改善メカニズムの展開を中心に協議。会議中,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,カウンセリング及び精神的社会支援のための効率性を拡大するために,政府関係機関が現在実施する全てのプログラムを関連づける包括的な調整のとれたアプローチを採用する重要性を強調した。
(4)記者の襲撃事件
11日,ジャフナ県で,タミル語「ティナックラル」紙のフリーランス記者が,母親の家から帰宅途中にポイントペドロで襲撃され,病院に運ばれた。ディアス・ジャフナ県担当警察副長官は現在同件を捜査中であると述べている。

4 外交
(1)米国
17日,ビスワル米国務次官補は,ハーバード大学で「南アジアにおける米国の外交政策:繁栄と安全保障のビジョン」と題する講演を行い,その中で,「スリランカにおける国民和解はチャレンジではあるが,スリランカは幸運にも内線を終結させた。3月の国連人権決議に基づき,我々はアカウンタビリティと正義を確保する信頼性のある取り組みを継続的に呼びかける。我々は,スリランカ政府が国民和解とアカウンタビリティ問題への取り組みを更に進展させ,より包括的な軍事関係を再開させることを心待ちにしている。」と述べた。これに対し,ワニガスーリヤ・スリランカ軍報道官は,スリランカと米国は友好的な軍事関係を結んでおり,更に改善させることは可能であるとしつつ,両国の軍事関係は相互に得るものがある旨明らかにした。また,アメリカ側の条件の問題で,国防省が選出したスリランカ軍人が研修に参加できないケースも数件あり,米国側に懸念を伝達したことはあると述べた。
(2)カナダ
ア 英連邦
14日,ベアード・カナダ外相は,人権及び政治的和解に関する意義ある行動をとっていないとして,スリランカ政府を批判し,スリランカが議長を務める英連邦事務局に対する年間自主的拠出金1000万ドルを今後2年間停止すると発表。合計2000万ドルは,その他の英連邦プログラムに拠出される見通し。15日,これに対して,スリランカ外務省は,カナダのこのような決定は,スリランカにおける国民和解を蝕むものとして批判。同日,シャルマ英連邦事務総長は,声明の中で,カナダ政府は,スリランカが議長を務める今後2年間,技術協力に関する英連邦基金への拠出を停止する決定を通報してきたと述べ,カナダの決定につき遺憾の意を表明した。
イ カナダの国籍保有者がヘロイン36キロ(3億6000万ルピー相当)を不法輸入した疑いで逮捕された事件(3月19日)につき,フェネロン・カナダ外務省報道官はこれを認め,コロンボに勾留されているカナダ国籍保有者1名に対して,領事サービスを提供している,領事は更なる情報収集のため,当局と連絡を取っている,個人のプライバシーを保護するため,詳細については公開できないと述べた。ロハナ警察報道官は,当地紙に対し,同カナダ国籍保有者の名前をモハメド・アリ・サブリ氏と述べ,ヘロインの不法輸入の疑いで逮捕された3名のうちの1人であると明らかにした。同氏は,1996年にカナダ国籍を取得した元スリランカ人。
(3)英国
ア 3日,駐スリランカ英国高等弁務官次席がイランガクーン警察長官を表敬し,同カナダ旅券保持者が在インド英国高等弁務官事務所の情報提供者だったことを明らかにし,同人との面会を求めた。これに対し,同長官は捜査が終了していないことを理由にこれを却下。当地英国高等弁務官事務所は,コメントを控えている。国防省高官は,本件に英国が介入してきたことに関し,前例がなく,懸念していると明らかにした。イ 英国労働党及びトーリー党議員2名は,スリランカが国連人権理事会決議を受けた人権調査に協力しない考えを示したことを受け,スリランカ訪問を取りやめた旨明らかにした。同2名は,スリランカ人クリケット選手ムラリタラン氏が創立した団体の招請を受け,政府高官や大統領らと会談する予定だったが,労働党幹部の意向で中止した。
ウ 10日,ヘーグ外務次官は「2013年人権及び民主主義報告書」を正式に発表。報告書では,過去3ヵ月の間のスリランカの人権状況に改善がないとしつつ,クラム・シェイクICRC職員の殺害事件の捜査に進展があり,3月26日に同裁判が開始されたことを前向きな展開として評価。
(4)インド
6日,ナレンドラ・スリ・ラージャパクサ漁業省報道官は,スリランカとインド・タミルナドゥ州の漁業コミュニティ間の第2回代表者会合につき,インドは4月24日の開催を提案したが,スリランカ当局は祭日シーズンであるために,再び延期を求めた,5月に開催する見通しと述べた。15日,インドのタミルナドゥ州政府は,5月12日及び13日にコロンボでインド・スリランカ漁民間の第2回会合を開催することで合意。
(5)中国
24日~26日まで,劉振民(Liu Zhenmin)中国外務副大臣がスリランカを訪問。ラージャパクサ大統領及びピーリス外相と会談した他,セネウィラトナ外務次官との間で,第9回二国間政務協議(24~25日)を実施。協議中,中国は,中国指導部が提案した「海上シルクロード(Maritime Silk Route)」イニシアティブに対するスリランカの支持に対して謝意を表明。同イニシアティブは,海上のシルクロードベルトにおける経済協力を拡大するもの。また,中国は,海洋学セミナーの実施及び海洋科学環境の保護のための協力拡大を提案するとともに,中国が建設したハンバントタ港及びその周辺の開発を目的とする投資を拡大することに対しての関心を表明した。両国は,両国の外務大臣が長を務める共同委員会を実施するメカニズムを構築し,年1回の防衛対話を開始することで合意した。自由貿易協定(FTA)に関する最終調整を促進することでも合意。劉副大臣は,サマラシンハ・プランテーション大臣(人権特使)とも会談。同大臣は,スリランカが直面する人権問題に関する課題についてもブリーフした。
(6)韓国
21日,当地を訪問中の柳明桓(Myung Hwan YU)特使(元外務大臣,駐日大使)は,ピーリス外相と会談。ピーリス外相は,同特使に対し,スリランカは,国連人権決議が国内プロセスに干渉するものであることから,これを拒否した旨述べた。また,韓国がスリランカの現状を理解していることに鑑み,今後,韓国が決議に関する投票態度を変えるよう望むと述べた。柳特使は,「国家パートナーシップ戦略」の下,韓国はスリランカに対して,経済・社会インフラ及び技術・高等教育を優先分野とし支援を行うと述べた。また,スリランカがKOIKAの支援を最も多く受ける国の一つであることに鑑みて,ピーリス外相は謝意を表明した。
同日,柳特使は,ラージャパクサ大統領を表敬。元LTTE要員の社会復帰及び迅速なIDPの帰還を紛争後の進捗として挙げつつ,韓国政府は自由で公正な北部州議会選挙の実施と失踪者に関する大統領調査委員会の設置につき歓迎していると述べた。ラージャパクサ大統領は,どのような対処が必要か検討するため,同調査委員会の報告書を待っているところであると述べ,また同特使に対し,北部州を訪問するよう提案した。柳特使は,スリランカに対する韓国政府の支援と強固な二国間関係の維持へのコミットメントを強調した。
(7)シンガポール
2~5日,K.シャンムガム・シンガポール外相・法務相は,スリランカを訪問。3日,ラージャパクサ大統領を表敬。ピーリス外相と二重課税防止協定(修正)に署名。ゴタバヤ国防次官とも会談。ジャフナを訪問し,チャンドラシリ北部州知事,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣,パトクナラージャ・ジャフナ市長と会談。
(8)ベトナム
7日,クアン・ベトナム公安大臣がラージャパクサ大統領を表敬。同大統領は,国連人権理事会を初めとする国際議場でのスリランカに対する一貫したベトナムの支援に感謝を表明した。クアン大臣は,確実に地域における永続的な平和,開発,安全保障を確保するため,長期にわたる伝統的な友好関係を強化するべきであると述べた。
(9)マレーシア
15日~17日,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,フセイン・マレーシア国防大臣の招請で,マレーシアを訪問。「非国家アクターの影響:グローバル安全保障への影響」につき講演。また,50カ国以上が参加した第14回DSA(Defence Services Asia Exhibition and Conference)に出席。マレーシア訪問中,ラージャパクサ国防次官は,フセイン国防大臣と協議した他,ナジブ首相を表敬。
(10)パキスタン
24日~28日,パキスタン・バロチスタン州議会議員団がスリランカを訪問。26日,同議員団率いるジャマリ州議会議長は,ラージャパクサ大統領を表敬。ジャマリ議長はスリランカに対して,バロチスタン州のグワダール港に貿易事務所を設置するよう要請。同港は,戦略的に重要なホルムズ海峡へのゲートウェイとなる。グワダール港は,パキスタン・中国間の経済的回廊を建設する取り組みの一部である。ラージャパクサ大統領はハンバントタ港につきブリーフ。
(11)バーレーン
28日~29日,ラージャパクサ大統領は,国賓としてバーレーンを訪問。ラージャパクサ大統領は,ハリーファ勲章を授賞。ハマド国王,ハリーファ首相らと二国間会談を実施し,相互の関心事項につき協議した他,国際場裏での相互支持を表明。公式協議中,次回外務省協議を2015年前半にコロンボで実施することを決定。その後,スポーツ,文化,芸術に関する覚書3件及びコロンボ大学とバーレーン大学間の覚書に署名した。29日,ラージャパクサ大統領は,ハリーファ首相の昼食会に参加した他,在バーレーン・スリランカ人コミュニティメンバーらと会談。
(12)モルディブ
ア 26日にコロンボで開催予定の英連邦の日の主賓であるガユーム元モルディブ大統領が,16日,スリランカに到着。26日,マウムーン・モルディブ外相はラージャパクサ大統領を表敬。教育を含む相互の関心問題や二国間関係の更なる強化に焦点を当てて協議。マウムーン外相のスリランカ訪問は今回が2回目。
イ 25日,マウムーン・モルディブ外相はピーリス外相と会談し,共同委員会に新しい方向性を与えることで合意。同共同委員会では,経済協力,観光,文化,漁業,教育,医療,青年・スキル開発,スポーツ,雇用,領事・コミュニティ業務,法務及び航空サービス分野での協力に焦点を当てる予定。
(13)ローマ法王
来年1月13日にベネディクト・ジョゼフ・ローマ法王がスリランカを訪問する見通し。その他,まもなくスリランカの全司教らがバチカン市国を訪問する予定。
(14)国連
ア 金子絵里国連報道官は,当地紙に対し,国連事務総長は,一貫してスリランカにおける国際人道法及び人権法侵害に対応するアカウンタビリティプロセスの重要性を強調してきた,同国におけるアカウンタビリティを前進させ,永続的な平和と国民和解を促進させるという国連人権高等弁務官の決意を歓迎していると述べた。アカウンタビリティ,国民和解及び永続的な政治的解決を促進させるためのスリランカの取組みを支援するため,国連はスリランカに関与し続けたいと述べ,スリランカ政府に対し,スリランカ決議の履行のため,国連人権高等弁務官事務所と建設的に協力するよう訴えた。
イ 24日,国連事務総長は,国連安全保障理事会に対して,性的暴力に関する国連事務総長報告書を提出した。スリランカ政府は,同報告書の中で,関係のない3月のスリランカ人権決議につき触れられていることに懸念を表明した。

 


スリランカ内政・外交(2014年3月)

1 州議会選挙
(1)日程
13日~14日,西部州及び南部州議会選挙の郵便投票が実施された。26日深夜に全ての選挙運動が終了。29日に西部州及び南部州における州議会選挙が実施された。30日,選挙管理委員会は,29日までに2州から1076件の苦情を受領したが,どれも深刻なものではなかったとの認識を発表。30日にスリランカ選挙管理委員会が選挙結果を発表。
(2)結果
ア 西部州議会(投票率:66.32%)
全104議席中,与党連立UPFAが56議席(ボーナスの2議席含む),最大野党UNPが28議席,DPが9議席,JVPが6議席,DPF2議席,SLMCが2議席,ACMCが1議席獲得。
イ 南部州議会(投票率:66.83%)
全55議席中,与党連立UPFAが33議席(ボーナスの2議席含む),最大野党UNPが14議席,JVPが5議席,DPが3議席獲得。
(3)選挙前の与党の動き
ア 12日,ゴールでのUPFA選挙集会で,ラージャパクサ大統領は,人々に対し,スリランカに対する外的脅威を認識し,そのような脅威が再び国家を不安定化させないように注意喚起した。また,テロに反対する者は,政府に票を投じるべきと述べた。
イ 22日,南部州カルタラ県における選挙集会で,ラージャパクサ大統領は,29日の州議会選挙で,政府与党が勝利すれば,国際社会は内政干渉できないという明確なメッセージとなるであろうと発言。
ウ 26日,UPFAは,選挙前の最後の選挙集会をティサマハラマーヤで実施。同集会で,ラージャパクサ大統領は,野党はジュネーブでの米国決議の採決に注目しているが,愛国者は州議会選挙での勝利を求めており,UPFAは州議会選挙で勝利を収めると確信しているため,ジュネーブでの決議の採決の結果については気にしていないと述べた。
エ 29日,南部州議会選挙で,ラージャパクサ大統領は自ら投票した直後,記者らに対し,2016年まで大統領選挙を実施しない,人々は賢い決断を行っており,その結果として,西部州及び南部州議会選挙で,UPFAは圧倒的勝利を得るだろうと述べた。
(4)選挙後の与野党の動き
ア 与党
30日のスリランカ政府プレスリリースは,ラージャパクサ大統領率いる与党連合UPFAが十分な勝利(a comfortable victory)を獲得した旨発表。同日,与党連合UPFAのアラハペルマ青年問題・技能開発相は,2009年の州議会選挙は,テロに対する勝利という機運の下で実施され,野党は非常に弱小であったため,政治的背景が異なり,2009年の州議会選挙の結果と比べてUPFAは支持を減らしたと考えるのは公正ではなく,野党の獲得票数と比較することが重要であると述べ,UPFAの一方的な圧倒的勝利であった旨述べた。
31日のスリランカ政府プレスリリースによれば,ラージャパクサ大統領が声明の中で,「西部州及び南部州議会選挙でUPFAが大きな勝利を収めたことに鑑みれば,人々が政府に対して,国民に友好的な政策をとるよう圧倒的なマンデートを与えたことは明らかである。」と発言。
イ 最大野党UNP
30日,カビル・ハシムUNP最高評議会報道官は,記者会見で,今回の州議会選挙の結果は,全ての野党政党は連立を形成するべきであるとの人々からのメッセージであると解釈しつつ,現政権を倒す準備が出来ているいかなる政党とも協議する準備があると発言。 30日,UNP改革支持派のシラール・ラクティラカ元西部州議会議員は,政府は西部州カルタラ県を除く全ての県で,票田を縮小させたが,UNPはこれらの政府票を獲得することが出来ず,政府票はJVP及びDPに流れてしまったと述べ,UNP支持者らは指導者の交代を望んでいると発言。
ウ その他野党
30日,アヌラ・クマラ・ディサナヤカJVP指導者は,記者会見の場で,今回の州議会選挙の結果は,JVPにとって主要野党となるための第一歩となったと述べた。また,31日,フォンセーカ元国防参謀長は,記者会見で,政党として登録されてから1年となるDPの取り組みに満足の意を示した。

2 内政
(1)北部州議会
19日,ラメッシュ北部州首席秘書官は,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣が自身を首席秘書官の座から排除しようとしているとして,最高裁判所に申立てを行った。同首席秘書官は,憲法及び州議会法は,州議会及び州首席大臣に,政治的な変化に応じて州首席秘書官の立場に既にいる者を異動や排除する権限を与えていないと主張。同申立ての内容によれば,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣が2月15日付で上級公務員に対する新しい規則が書かれた回章を発出したが,州外への外出許可の取得等が含まれており,ラメッシュ北部州首席秘書官は公務員の移動の自由を妨げるものとして,これを批判している。
(2)クマーラトゥンガ前大統領の発言
5日,クマーラトゥンガ前大統領は,ラージャパクサ大統領に対し,書簡を発出し,国家による継続的なスパイ行為及び自身の動静に関する情報収集は自分のプライバシー及び安全への深刻な脅威となっていると述べた。また,大統領府及び国防省の下にある諜報機関が全ての電話及びEメールを監視し,コロンボ及びホラゴッラにある自宅を監視していると述べた。12日,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,上記書簡に返答し,政府が監視をしているという疑惑に対する証拠はなく,メール及び電話を含めて監視を行っていないと述べた。
(3)クラム・シャイク英国赤十字社職員射殺事件(2011)
27日,タンガッラでのクラム・シャイク英国赤十字社職員射殺事件につき,同職員のロシア人ガールフレンドによる証言が終了した。31日,事件が発生したタンガッラ・ネイチャー・リゾート・ホテルのマネージャーであるタランガ・ピーリス氏が目撃した一部始終を証言。
(4)南部高速道路
15日,ラージャパクサ大統領は,南部高速道路のゴール県ピンナドゥワからマータラ県ゴダガマまでの第2フェーズの開通を宣言。
(5)ハンウェッラ暴動
16日,コロンボ近郊のハンウェッラのゴム工場が水質を汚染しているとして,ハンウェッラ住民による抗議運動が発生。約20名が逮捕された。抗議者が切り倒した木がボレッラ警察署のシリワルダナ署長を直撃し,同署長は死亡。同日,ロハナ警察本部報道官は,国連人権理事会の会期中であり,何者かが警察が人権を尊重していないと示そうとしている,これはスリランカ政府及び警察を信用しないディアスポラの支援を受けたグループによる企てであると述べた。
(6)宗教指導者の動き
23日,スリランカにおける仏教主要宗派であるシャム宗派のマルワッタ派及びアスギリヤ派大僧正らはピーリス外相と会談。会談中,大僧正らは,ラージャパクサ大統領との会談を求めた。

3 国民和解
(1)失踪者に関する大統領調査委員会
ア 1日,政府高官は,政府が死亡証明書を受け入れたくない失踪者家族・親戚のために,不在証明書を発行するための法案を起案中であると述べた。
イ 20~22日,同大統領調査委員会は,バティカロア県で公聴会を開催。東部州で初めて。新たに1289件の苦情を受付けた。
ウ 26日,ラージャパクサ大統領は,同大統領調査委員会が対象とする範囲を1990年~2009年から,1983年1月1日~2009年5月19日に拡大した。また,25日の官報で,同委員会の最終報告書提出期限を8月15日まで延長。
エ 同大統領調査委員会のパナガマ委員長は,大統領調査委員会が政府に対し,失踪者家族に配慮し,死亡証明書を受け取りたくない家族に対しては,「不在証明書(Certificate of Absence)」の発行を提案したと述べた。また,同証明書発行のための法案の起案等の措置がとられていると明らかにした。大統領調査委員会は,ICRCやUNDPと協議しており,ICRCが「不在証明書」を提案した。同証明書の発行は,多くの失踪者を出した数カ国で導入されている。
(2)人的・物的損害に関する統計調査
6日,統計局は,人的・物的損害に関する統計調査の中間報告書を発表。
(3)トリンコマリー事件
6日,トリンコマリー事件の裁判審理が行われた。その後,容疑者の弁護人は,当地紙に対して,政府に裁判を進めるように圧力をかけている人々は,政府に対して,オーストラリア及び英国に在住するとみられる同事件の証人2名を探し出すための支援を行っていないと述べた。
(4)北部州で発見された遺体
3日,ロハナ警察報道官は,2月28日にムライティブ県で発掘された9名の遺体につき,2009年2月にLTTEが死体を埋めたとの目撃証言があると述べた。9日,ディサナヤカ考古学局長は,マナーで発見された大量のご遺骨につき,1940年~1953年まで同地域は墓地であったとし,発見されたご遺骨は,伝統的慣習にならい,頭部を西に向け,手を腹部の上に載せて埋葬されていたと明らかにした。
(5)人権活動家の逮捕
ア 事実関係
13日の夜,キリノッチ県ダルマプラムの民家で発砲事件が発生し,警察本部テロ捜査局(TID)の警部補1名が負傷。同事件は,ゴピと呼ばれる元LTTE要員の捜索中に発生。ベレンドラン・ジャヤクマリ人権活動家の自宅に隠れていたゴピが同宅に入ろうとした警部補に向かって発砲。ゴピは逃走し,同日,ジャヤクマリ人権活動家は,テロ防止法(PTA)の下,LTTEテロリストをかくまった容疑で勾留され,南部州ゴール県ブーサ勾留所に送還された。同活動家の娘(13歳)は警察の保護下に置かれている。16日,同事件に関連し,失踪者家族の状況を確認するためにキリノッチ県を訪問していた著名な人権活動家ルキ・フェルナンド氏及びプラウィーン・オミ神父がTIDに勾留された。17日,両名は更なる取り調べのため,コロンボに送還され,20日に釈放された。20日,コロンボの刑事裁判所は,釈放されたルキ・フェルナンド人権活動家及びプラウィーン神父に対して,3つの命令を発出し,1)携帯,パソコンを含む全ての電子機器の提出,2)パスポートの提出,3)上記2名の逮捕や継続中の調査に懸念を示す地元・国際メディアとの接触の禁止を求めた。これに対し,上記2名を支援するウェリアムナ弁護士を含むグループが申し立てを行い,上記裁判所令を修正するよう訴えた。元LTTE要員であるゴピ及びナワラトナム・ナワニータン氏に関する警察・軍の合同調査のため,22日警察は上記2名の写真を公開。合同調査は,ワウニヤ,マナー,キリノッチ,ジャフナで実施され,情報提供者には200万ルピーの報酬が支払われる。一軒一軒の家宅捜査も実施中。
イ 野党TNA声明
14日,TNAは声明を発表し,人権理事会会期中に起きた上記事件に対する政府の対応を非難し,ジャヤクマリ活動家と娘の案秘を懸念する旨表明。また,彼らの安全を確保し,確実に釈放されるようあらゆる可能な措置をとるよう国際社会に訴えた。
16日,アナンティ・サシタランTNA北部州議会議員は,国連人権理事会で,13歳のジャヤクマリ人権活動家の娘が,失踪した兄弟を解放するよう抗議運動に参加したため,逮捕されたのだと出張。
ウ 米国大使館声明
17日,当地米国大使館は声明を発出し,何人かの著名なスリランカ人権活動家が逮捕され勾留されたことにつき懸念を表明し,スリランカ政府当局に対し,これらの人々が十分な弁護士へのアクセスを含め,透明性があり,妥当な法的プロセスを確実に得られるよう訴えた。

4 国連人権理事会
(1)スリランカ決議の採決結果
27日,スリランカ決議案が賛成23,反対12,棄権12で採択された。直前には,パキスタンによるOP10の削除要求が投票に付され,同パラ維持への賛成23,反対14,棄権10により,同パラは維持された。
(2)採決前
ア 政党の動き
10日,サンパンタンTNA議員団長,マワイ・セナティラージャTNA国会議員及びスマンティランTNA国会議員は,コロンボで米国大次席及び英国大使らと会談。同日,TNAは,米国決議案を歓迎する声明を発表し,特に人権侵害及びアカウンタビリティ問題に関する国際調査につき歓迎の意を示した。14日,国連人権理事会でアナンティ・サシタランTNA北部州議会議員は,国際NGO2団体の時間を利用し,軍による組織的な性的暴力を非難し,北部における軍のプレゼンスを批判した。
26日,連立参加政党JHUは,政府に対して,紛争中の人権侵害疑惑に対する国際調査を防ぐために,国内調査を実施するよう訴えた。
イ 国内における抗議運動
4日,当地国連オフィスの前で,全国人権団体が米国決議案に対する抗議運動を実施し,ピレー国連人権高等弁務官宛書簡を手交した。9日及び14日,アンパラ県カルムナイの町で,米国決議案に反対する抗議運動が発生。17日,北部州マナー県でも抗議運動が発生。
ウ 各国政府の動き
4日,BIMSTEC首脳会合の際のラージャパクサ大統領とシン・インド首相との25分間にわたる会談中,シン首相は,国連人権理事会でのインドの投票行動につき明らかにせず。
5日,国連人権理事会のサイドラインで,ピレー国連人権高等弁務官は,尹炳世・韓国外相と会談。会談中,ピレー国連人権高等弁務官は,北朝鮮の人権状況とスリランカの状況を同一視する発言を行った。
ヘーグ英国外相は,17日付「ヒンドゥ」紙に寄稿し,真実と正義を追求することが,当事国を国民和解に向けた正しい方向に導くことに役立つのであり,シエラレオネはそのよい例である,特別法廷は,シエラレオネの動乱の歴史に終止符を打ち,被害者の癒やしのため,刑罰を下したと指摘した。
21日,欧州理事会閉会式の際の記者会見で,キャメロン英国首相は,EU加盟国全てが,英国が共同提案国である米国決議案を支持するという確約を得たと発言。
26日,国連人権理事会で,アーリヤシンハ寿府代常駐代表は,ジャヤクマリ人権活動家の逮捕及び勾留は選択的な逮捕ではないとした上で,国家の安全保障のための法執行当局の行動を人権侵害として非難する動きに遺憾の意を表明。また,ルキ・フェルナンド人権活動家及びプラウィーン神父の逮捕及び勾留については,2名はゴピの住居を訪問していることがあきらかになったため,勾留されたものであり,ゴピと上記2名の関与につき調査が必要であると認識した,しかるべき司法プロセスを経て,2名は釈放されたと発言。
(3)決議案採択後
ア 与党
27日,南部州ハンバントタにおける記者会見でピーリス外相は,人権理事会でのスリランカ決議の結果は,より多くの国々が米国の決議に反対したことを示している,支持した国よりも支持しなかった国の方が多かった,決議はアジア地域の支持を得ていないと述べたほか,決議案のOP10の採決についても,同パラを支持しなかった国の方が支持した国よりも多かったと発言。
28日のスリランカ政府プレスリリースによれば,ラージャパクサ大統領はAFPの電話取材に対し,我々はスリランカにおける人権侵害疑惑に関する調査を呼びかける人権決議を拒否する,この決議は国民和解の取組みを傷つけるだけであるとした。
与党連合UPFAの主要政党であるSLFPは,国連人権理事会でスリランカ決議が採択されたことを受け,シリセーナ保健相(SLFP幹事長)の署名入り声明を発出し,SLFPは完全にスリランカ決議を否定。決議の結果は想定内である旨言及。
UPFA参加政党の右派政党JHUは,ラージャパクサ大統領に対して,スリランカの人権侵害疑惑に関する国際調査のための外交査証を発給しないよう訴えるとともに,外交の失敗によって,国際調査を求める決議が採択されたことは受け入れなければならないと述べた。また,JHU党首は,ロシア及び中国を初めとする決議に反対した国に対して謝意を述べつつ,ブラジル,アルゼンチン,チリといった非米国同盟諸国が決議を支持したことは遺憾である。インドは同決議に棄権したが,我々は今後,インドに対して,いかなる重要な経済的・政治的譲歩も行うべきではないと述べた。
イ 野党
27日,TNAは過去及び紛争後の人権侵害及び重大な犯罪に関する包括的な調査を実施するよう国連人権高等弁務官に要請する国連人権理事会決議が採択されたことを歓迎する。決議は,国民にとって,真実・正義・国民和解に向けた戦いにおける勝利であったと述べ,また,スリランカ政府に対して,国連人権高等弁務官と決議の履行につき十分に協力し,過去と決別し,真の国民和解及び国民が尊厳と自尊心を得られる方向へとスリランカを導くよう呼びかけるとする声明を発表した。
最大野党UNPのカル・ジャヤスーリヤUNP最高評議会議長は,記者会見で,スリランカ決議が採択されたことにつき遺憾の意を表明し,スリランカ政府に対して,第18次憲法修正を廃止し,独立した警察委員会,司法サービス委員会,選挙管理委員会を設置するよう訴えた。
28日,左派政党のJVPのティルビン・シルバ幹事長は,スリランカ決議の採択は,継続的な人権侵害と紛争後のスリランカにおける民主主義の欠如のために,棄権した12カ国から十分な信頼を得ることが出来なかったことが原因であるとし,JVPは,米国及びスリランカ政府の行いを認めない,決議の採択については,スリランカ政府自身にも責任があるとした。
ウ その他国内の反応
28日,ポロンナルワ県で,米国に基盤を持つ国際NGOが支援するジャーナリスト研修プログラムが実施されたが,約20名の仏教僧が現れ,米国が支援するいかなるプログラムもポロンナルワ県で実施されてはいけないとし,同プログラムの中止を訴えた。これを受け,主催した国際NGOは同研修を中止した。
エ 外国の反応
28日,シソン駐スリランカ米国大使は,記者会見で,米国はスリランカに対し,引き続き決議に協力し,特別手続きマンデートホルダーの訪問を受け入れるよう働きかけると述べた。また,強制的失踪者作業部会及びマイノリティの権利に関する特別手続きマンデートホルダーの招請が最優先に実施されるべきであるとした。また,スリランカ決議は,紛争中の人権侵害に関する調査だけでなく,現在の人権状況に関する懸念も反映したものとした他,スリランカ決議は,LLRC韓国の実施を呼びかけており,国内のメカニズムを閉め出すものではなく,奨励するものである旨述べた。
27日,キャメロン首相は,声明の中で,国連人権理事会がスリランカの戦争犯罪疑惑に関し,独自の独立した調査を実施する旨決定したことを嬉しく思う,前進するために紛争中に何が起こったのか知る必要がある,スリランカの人々にとっての勝利であると述べた。また,ラージャパクサ大統領がこの機会を捉え,過去の問題を解決し,スリランカ中のコミュニティの和解を実施するために,国際社会と協力することを望むと述べた。更に,英国がこの結果をもたらすために果たした重要な役割につき誇りに思う旨述べた。

4 外交
(1)ミャンマー
ア 2日,ミャンマーを訪問中のピーリス外相は,ルイン・ミャンマー外相と二国間会談を実施し,両国は国連,コロンボ・プラン,アジア協力対話,ASEAN地域フォーラム,非同盟主義という共通の国際的なプラットフォームを共有すると認識し,相互の関心事項に関し,これらの場で引き続き協力していくことを望むと表明。
イ 3日,ラージャパクサ大統領はBIMSTEC首脳会合に出席するため,ミャンマーに向けて出発。4日,ミャンマーでBIMSTEC首脳会合が開催され,首脳宣言が採択され,各国はテロと国境を越えた犯罪と戦うためにより緊密な協力を実施することで合意した他,国際テロ・国境を越えた組織犯罪・不法薬物売買に対処するためのBIMSTEC条約の早期署名を呼びかけた。また,BIMSTEC常任事務局をダッカに設置し,最初の事務総長に外交官であるスミット・ナカンダラ氏(スリランカ人)を任命することで合意した。
ウ ラージャパクサ大統領は,BIMSTEC首脳会合の際,二国間会談を実施。まず,シン首相との会談では,相互に関心のある事項,二国間での漁民問題及びスリランカの政府と北部州議会との間での協力に関し意見交換した。タンセイン・ミャンマー大統領との会談では,ラージャパクサ大統領は,合同委員会の立ち上げ及び直行便の運行を提案すると共に,ハイレベルでの政治的対話及び人的交流の重要性を強調。コイララ・ネパール首相との会談では,ネパールにおける開発プロセスに対するスリランカの支援を提案し,投資,貿易,教育,情報技術といった更なる協力の強化を強調。ハシナ・バングラデシュ首相との会談では,ハシナ首相が平和,安定,急速な開発を達成するためにスリランカの支援を求めた。また,両者は,教育分野における協力支援のための信託基金の設置の可能性につき意見交換した。
(2)アフガニスタン
5~7日,カルザイ・アフガニスタン大統領がスリランカを訪問。5日,ラージャパクサ大統領は,カルザイ大統領と会談。カルザイ大統領は,世界がどのように捉えようとも,国内の平和は,人権を保障する最良のものである旨発言。カルザイ大統領のスリランカ訪問は3度目。カルザイ大統領は,教育,訓練,スポーツにおける支援をスリランカに求め,3つの覚書(アフガニスタン人の看護師訓練,教育,スポーツ分野における協力)とスリランカ人の技術・専門家の雇用支援に関する合意文書に署名した。
(3)海上安全保障協力に関する第3回会合
 6日,デリーで,モルディブ,スリランカ及びインド3カ国の国家安全保障顧問レベルでの海上安全保障協力に関する第3回会合が開催され,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が出席。今回は,モーリシャス及びセイシェルがオブサーバーとして参加。
(4)インド
ア 2日,インドのジャヤラリータ・タミルナドゥ州首相は,コロンボで第2回漁民組合間での協議を実施すると発表。また,協議の前に,インド外務省に対し,タミルナドゥ州の漁民121名が確実に解放されるよう求めた。
イ 13日に予定されていたインド・スリランカ漁民間の会合は延期され,25日にコロンボで実施されることとなったものの,これも延期された。
ウ 16日,カッチャーティブ島にある毎年恒例の聖アントニー教会の祝祭に,インドから約3100名の信者が参加。スリランカ人と合わせ6000名以上が参加。
エ 28日,ラージャパクサ大統領は,国連人権理事会でインドがスリランカ決議を棄権したことを受けて,スリランカ領海内に入り逮捕されたインド人漁民の釈放を命じた。海軍は,残っていた98名のインド人漁民の帰還とスリランカに係留されていた漁船の返還を迅速に実施するよう措置をとった。
(5)英連邦
9日,ピーリス外相は,大統領の代理として英連邦記念日行事に出席するためロンドンを訪問。11日,シャルマ英連邦事務総長と会談し,議長代理として,英連邦の主要課題等につき協議した。
(6)中国
 11日に北京で開催されたジャヤスンドラ財務次官と王受文・中国商務省対外貿易局長との公式会議で,スリランカ・中国間のFTAに係るフィージビリティ調査が取り纏められたと発表した。これにより,FTA交渉がまもなく開始される模様。ジャヤスンドラ財務次官は,早期にFTAが履行されることに期待を表明した。
(7)ウクライナ
 12日,スリランカ外務省は,ウクライナ情勢に関する声明を発表。内容は下記の通とおり。民主的に選ばれた国家首脳を承認するとのスリランカ政府の一貫した政策の下,ヤヌコビッチ・ウクライナ大統領が違憲的に退陣させられたことは遺憾であり,ウクライナにおける現在の政治的不確実性を悪化させている。スリランカは,ロシアの正当な懸念を認識しつつも,緊張を緩和させる取組みを歓迎する。スリランカは,当事者らがウクライナの人々の調和的共存を可能にするため,正当な民主的プロセスを通じて,問題を解決することが出来ると信じている。

 


スリランカ内政・外交(2014年2月)

1 北部州議会
(1)5日,ラージャパクサ大統領は,治療のためにインド南部チェンナイを訪問中のサンパンタン議員団長に架電して同団長の誕生日を祝うとともに帰国後に再度会談したいと伝えた。大統領は,地方への権限委譲について話し合う国会選任委員会(PSC)へのTNAによる参加を改めて働きかける考えである。  
(2)11日,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣及びその他5名の大臣が,北部州首席秘書官,副首席秘書官らと会合を開き,重要セクターの問題,将来の計画等の他,2014年の作業計画,州計画手続き,州法の準備及び部門改革等につき協議。
(3)19日,北部州議会が開催。ジャフナ県パラーリ及びトリンコマリー県とインドを結ぶ航空直行便の運行を呼びかける決議を可決。同決議は,法的効力はないものの,この他,マナー県タライマナーで鉄道の運行が開始すれば,タミルナドゥ州ラメシュワラムと同地を結ぶフェリーの運行も再開すべきとしている。
(4)20日,ランブクウェラ報道・情報相は,閣議後の記者会見で,第13次憲法修正の下,州議会には航空及び港の運行に関する権限はない旨述べた。
(5)28日,ワウニヤ県でのタミル政党TELOの会合で,アダイカラナタンTELO国会議員は,ワウニヤ県マーンクラムを州都にするべきと提案し,TELO党員らはこれに同意。

2 内政
(1)独立記念日におけるラージャパクサ大統領の演説
4日,ケゴールで行われた独立記念日式典でラージャパクサ大統領が演説したところ概要以下のとおり。
外国の侵略から国を守った諸王ゆかりの地であるここケゴールで独立記念日式典が開催されることは非常に意義深い。現政権は,LTTE支配下にあった北・東部州を解放し,国を発展させるという責務を果たしてきた。我々は英連邦首脳会議を主催して世界に我々の発展振りを示しもした。しかし,ある外国勢力が,人権保護を主張しつつスリランカに干渉してきている。平和を望まない人々の教唆により,我々に戦争犯罪の嫌疑をかけようとする試みが見受けられる。しかし,我々は勝ち取った自由を譲り渡すつもりは毛頭ない。この国の人々の気持ちは選挙結果に示されている。我々の選挙は,政党間や民族間の争いではなく,国を愛する人々とそうでない人々との闘いである。様々な言語・宗教を持つスリランカ国民は一致団結して和解と発展に向けて前進している。私は全世界に対して,民主主義,発展,自由,人権保護に向けてスリランカ国民と共に歩むように呼びかけたい。
(2)西部州・南部州議会選挙
ア 日程
6日,両州議会選挙の立候補受付が締め切られ,81政党と42の無所属グループが立候補を届け出た。西部州議会102議席及び南部州議会53議席に対して,合計3794人が立候補した。同日,デシャプリヤ選挙管理委員長は両州議会選挙を3月29日に実施すると公示した。10日,西部州・南部州議会選挙の郵便投票の申請が締め切られた。28日,選挙管理委員会は,南部州議会選挙及び西部州議会選挙を前に,一時的国民ID証の発行期限を3月21日まで延期すると明らかにした。
イ その他
6日,野党UNPの公認候補に選ばれなかったことを不服としてフェローザ・コロンボ市長夫人が同党の執行部会から辞任した。また,7日,夫のムザミル・コロンボ市長も同党作業部会から辞任する意向を表明した。
9日未明,南部州ハンバントタ県ベリアッタで,何者かがセナラトネ野党UNP候補の車に発砲した。選挙監視NGOのヘティアラッチPAFFREL代表は,銃器が違法に出回っているようであり,選挙暴力に繋がることが懸念されると述べた。
9日,与党連合UPFAの公認候補であるプラサンナ前南部州大臣が逮捕された。同候補は,6日,南部州議会選挙への立候補を届け出た後,違法に軍服を着用して選挙運動を行い,これを制止しようとした警察官に暴力を働いたとされている。
(3) 開発
ア 20日,国防・都市開発大臣として,ラージャパクサ大統領が提出した「戦略的開発計画」が閣議で承認された。ゴール及びキャンディーを含む主要都市の開発を達成する目的。
イ 21日~3月1日,クルネガラ県クーリヤピティヤで,第8回開発展示会「デヤタ・キルラ」が開催された。ラージャパクサ大統領は,同展示会はスリランカの開発計画を示すものであり,国家開発計画とつながりがある旨述べた。
(4) 国会
ア 21日,最高裁判所は,バンダラナイケ前最高裁長官に対する汚職疑惑を調査するために任命された国会選任委員会(PSC)を無効とした控訴裁判所の判決を取り消す決定を下した。同決定では,控訴裁判所は,PSC報告書を見直す権限がない。
イ 20日,ジョン・アマラトゥンガ野党院内総務(UNP)は,国会に対し,国内の薬物問題に関する政府の対応を踏まえて,政府不信任案を提出。
ウ 28日,閣議で,ラージャパクサ大統領は連立政党SLMCのハキーム司法相に対し,昨年8月のピレー国連人権高等弁務官のスリランカ訪問中に,SLMCがムスリム及びキリスト教徒に対する攻撃に関する資料を同弁務官に提出したことにつき説明を求めた。3月1日,右記の閣議でハキーム司法相は,メディアに対し,ラージャパクサ大統領が口頭で自身を非難したことを認めつつ,民主主義においてこのようなことは起こりうるとしつつ,大統領は自由に意見を述べたに過ぎないと述べた。
(5) ストライキ
ア 9日,牛の殺害を禁止するよう求める団体「シンハラ・ラーワーヤ」がキャンディーから抗議行進を開始し,16日にコロンボに到着し,フォート付近で抗議運動を実施。
イ 13~17日,鉄道運転手組合が,組合長が交通省の監督職から解任されたことを受け,ストライキを実施。同組合は,16日のペレーラ交通省次官との協議を受け,ストライキの一時中断を決定。
(6) 宗教
ア 19日,キャンディーのジンナー・モスクに,14名の集団が押し入り,建物及び所有物に損害を与え,逮捕された。同団体は,上記モスクの所有権を主張。
イ 24日,ラージャパクサ大統領は,仏教僧院学校の展示会「Piriven Pratibha」で,いくつかの政党は政府に対して悪いイメージを与えようとするが,政府はスリランカの全ての宗教と民族を尊重すると述べた。
ウ 24日,南部州バラピティヤの会合で,仏教のアマラプラ派は,同派の下にいる全ての僧に対して,政治や選挙に関わることを禁止。
(7)軍の人事
ア ラトナヤカ陸軍司令官の任期が,2015年2月22日まで延長された。
イ 28日,コリタ・グナティラカ新空軍司令官が就任。
(8)ヘロイン押収事件
11日,バンダラナイケ国際空港の税関職員が,パキスタン国籍保有者がオレンジ12個の中に800万ルピー相当のヘロイン984グラムを隠し持っていることを発見。

3 国民和解
(1)失踪者に関する大統領調査委員会
ア 14~17日,ジャフナ県で失踪者問題に関する大統領調査委員会が公聴会を開催。984名からの苦情を受領。
イ 9日,プレマチャンドランTNA議員は「委員会がキリノッチで公聴会を実施した際,付近で警察テロ捜査部(TID)を含む政府関係者が,失踪者の親族に対して死亡証明書を受け取るように強要していた。委員会の調査が終了するまで,政府は死亡証明書の受領を強要すべきではない」と述べた。これに対してパラナガマ委員長は「人々が死亡証明書を受け取るように強要されたという報告は受けていない」と反論した。
ウ 20日,ラージャパクサ大統領は,上記委員会の任期を8月12日まで延長。委員会は全国から約1万6千件の苦情を受領。
エ 27日のスリランカ政府プレスリリースによれば,失踪者に関する大統領調査委員会は,3月20日~22日にバティカロア県のワアライ,チェンカラディ及びバティカロアの町で公聴会を実施予定。
(2)紛争中の人的・物的損害に関する統計調査
統計局は,人的・物的損害に関する統計調査の前処理(pre-processing)を開始した。この処理で必要なデータが集められているかどうかなどがチェックされる。
(3)独立的公務委員会
18日,スリランカ政府プレスリリースによれば,スリランカ政府はLLRC勧告履行のため,公務における政治的介入を確実に受けないよう独立的公務委員会を設置。
(4)勾留者リストを含む包括的データベースの作成
17日,スリランカ政府は勾留者のリストを含む包括的データベースを作成。コロンボ,ワウニヤ,ブーサのテロリスト調査ユニット(TIU)で近親者のみアクセス可能。近親者3,000名以上が恩恵を受ける。
(5)軍
ア 5日,ジャフナ軍当局とパラーリにある複数の福祉センターの居住者との会合で,ウダヤ・ペレーラ・ジャフナ軍司令官は,IDPを元の場所に帰還させることが最優先課題であると発言。また,再定住の際には,ジャフナ県の福祉センター居住者及び親族に身を寄せる人々の帰還を優先させることで合意。再定住が完了するまで,ペレーラ司令官は,旅団及び大隊長に対し,福祉センターの共有施設を改善するよう指示。
イ 24日のスリランカ政府プレスリリースによれば,ワニガスーリヤ軍報道官は,北部州及び東部州から150名の若い女性を軍に雇用すると発表した。うち,100名はキリノッチ県から,50名は東部州から雇用される予定。
(6)IDPの再定住問題
ア 10日,ジャフナ県行政事務所での会合で,テンナコーン土地開発相は,国防省が北部州での私有地収用の許可を得ていないことを明らかにしつつ,3月15日までに政府は獲得した土地に対する賠償金を支払う旨保証した。
イ 同日,ジャフナ県土地調査局事務所の開会式で,テンナコーン土地開発相は,ジャフナ県での土地問題解決のための12名からなる委員会が任命され,住人から土地問題に関する7566件の苦情を受け取った,LLRC勧告に基づき,土地の特定,土地紛争件数の把握,土地を持たない人々に関する事実収集といった準備がなされていると明らかにした。更に,土地を持たない人には,マルタンケーニへの再定住を許可する旨述べた。同土地開発相は,郡行政事務所に対し,2月22日までに土地紛争の詳細を伝達するよう要請した。更に,今後,政府は,25,000件の土地許可証を発行する予定であり,軍は私有地を収用しない,紛争中に治安のために収用された土地は,所有者に開放されてきていると述べた。
(7)土地問題
S.D.A.B.ボラレッサ土地開発省次官補は,政府による新しいスキームの下,海外居住者に対し,占有された土地の権利の主張及び代替地の獲得に対する支援を提供する予定であることを明らかにした。北部州からの苦情の多くは,土地の占有と,捏造文書を使った第3者への土地の販売に対する苦情との由。
(8)国民ID証
28日,初めてシンハラ語とタミル語で印刷された国民ID証が発行された。2016年には,電子ID証に変更される予定。
(9)大量の人骨の発見
ア 25日,マータレーにおいて大量の人骨(約154名)が発見された件に関する大統領調査委員会が証拠の記録の作成を開始。
イ 28日,ムライティブ県プドゥクリルップ郡の民家の庭で,少なくとも9名の死体が発見された。ワニガスーリヤ軍報道官は,軍の関与を否定。
(10) 豪州NGOによるスリランカ軍の人権侵害疑惑に係る調査報告書
ア 4日,豪州のNGO「大衆関心擁護センター(PIAC)」が,「不処罰の国?スリランカ内戦の最終段階における国際犯罪疑惑」と題する報告書を発出した。同報告書は,戦争犯罪調査や国際法の専門家からなる委員会により執筆された。本件報告書で指摘された違反事案は,さらなる調査が行われれば戦争犯罪をも構成する可能性があり,その実行犯の大半はスリランカ軍である。
イ 豪州政府は,スリランカ軍が民間人を非戦闘地帯に誘導して砲撃した,あるいは降伏しようとしたLTTE兵士を殺害したなどとするPIACの報告書を支持することを拒否。ワニガスーリヤ・スリランカ軍報道官は,同報告書は人権理メンバー国を惑わすためのものである,信頼に足る証拠があれば軍はいかなる者をも処罰することを躊躇しないが,報告書がどのような証拠に基づき執筆されたのか明らかになっていないと述べた。
(11)報道の自由
ア 18日のINSIプレスリリースによれば,英国のカーディフ・ジャーナリズム・スクールが国際ニュース安全機関(INSI)のためにまとめた2013年次報告書「Killing the Messenger」は,2013年にジャーナリストの死亡者が発生した国として,29カ国を挙げたが,その中にスリランカは含まれなかった。
イ 国境なきレポーターは,年次報告書の中で,2014年世界プレス自由指数につき,スリランカは180カ国中165位であると明らかにした。

4 国連人権理事会に向けた国内の動き
(1) 5日,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,3月の人権理事会に出席する代表団構成員については,追って大統領が決めるであろうと述べた。また同秘書官は,スリランカが国連専門家パネル報告書(ダルスマン報告書)の合法性について国際司法裁判所の助言を求めるとの噂を否定。
(2)20日,スリランカ政府は,ピレー国連人権高等弁務官による報告書に対して返答し,紛争末期における人権侵害疑惑及びアカウンタビリティ問題に関する国際調査への呼びかけを拒否した。
(3)ランブクウェラ報道・情報相は,国連人権理事会で,ロシア及び中国といった親スリランカ国がスリランカに友好的な決議を提出する動きを見せている旨明らかにした。19日,アムザ・スリランカEU代常駐代表は,EU議会で,国民和解プロセスの進捗状況につきブリーフした。
(4)デーワーナンダ伝統産業・中小企業振興相は,ピレー国連人権高等弁務官の報告書に書かれた自身に対する非難につき,抗議の書簡を書くことを決心した。同報告書では,デーワーナンダ大臣,カルナ及びピラヤン前東部州大臣らが様々な疑惑に関与したにも関わらず罰せられていないことを批判している。
(5)6名の閣僚は,ラージャパクサ大統領に対し,スリランカに対し経済制裁が課せられた場合の影響を確認するため,エコノミストのパネルを任命することを要請する報告書を提出。その他,北部州との対話の必要性を強調し,インドとの健全な関係を維持するために,第13次憲法修正を強化するための措置を呼びかけた。6名の閣僚は,ナーナーヤッカラ言語・社会統合相,ラージタ・セナラトネ漁業・水産資源相,D.E.W.グナセーカラ人的資源上級相,ティッサ・ウィターラナ科学問題上級相,クーレイ小規模穀物輸出振興相,ナウィン・ディサナヤケ行政改革相。
(6)上記の動きに対し,26日,ウィーラワンサ建設・工学・住宅・公共設備相,アベイグナワルダナ港湾・ハイウェイ閣外相,ラナワカ科学技術・研究・原子力エネルギー相はこれを批判。
(7)28日,プレマチャンドランTNA国会議員は,27日のTNA国会議員及び北部州議会議員らの会合で,国連人権理事会の第2週ないしは3週にTNAから人をジュネーブに派遣する計画につき協議。アーナンダサンガリーTULF幹事長は,サンパンタン国会野党議員団長に対して,ジュネーブに派遣する一行を率いるように要請。

5 外交
(1)国連人権理事会理事国
ア 南アフリカ
6日,ハキーム司法相はドイッジ南アフリカ高等弁務官と面会し,国民和解問題について協議した。双方は,スリランカ版TRCを設置することについても意見交換した。ドイッジ弁務官は,スリランカ自身が解決策を見出すことが重要であり,人権侵害疑惑について調査する国内メカニズムを開始すべきであると述べた。
13日,ズマ南アフリカ大統領は,国会演説の中で,シリル・ラマフォサANC副総裁をスリランカ及び南スーダン特使に任命すると発表。
20~21日,ニマル・シリパラ・デ・シルバ灌漑・水資源管理相は,南アフリカを訪問し,アフリカ民族会議(ANC)と会談。デーワーナンダ伝統産業・中小企業振興相,ムスタファ投資促進副大臣らが同行。 訪問中,ニマル・シリパラ・デ・シルバ灌漑・水資源管理相は,ピーターズ南アフリカ交通相と共に,二国間の航空便の運航に関する合意文書に署名を行った。
イ キューバ
17~19日,スシル・プレマジャヤンタ大統領特使(環境・再生可能エネルギー相)がキューバを訪問。19日,ディアス・カネル・キューバ第1副大統領を表敬。同大統領は,地域及び国際的な課題の関心事項に対応するため,国際場裡でスリランカを支援すると強調。
ウ ナミビア
12日,ヒフィケプニェ・ポハンバ・ナミビア大統領は,ナミビアを訪問中のペレーラ海外雇用相に対し,国連人権理事会でスリランカを支援するために最善を尽くす旨保証。
エ サウジアラビア
ファウジー都市問題上級大臣は,大統領特使として,サウジアラビアを訪問。10日,アブドゥッラ外相,11日,サルマン副首相及び国防相と会談。
オ ロシア
5日,当地来訪中のゼレンジャック・ロシア議会副議長は,ウィーラッコディ国会副議長と会談した際,ロシアは国際場裏においてスリランカを支持する旨述べた。
(2)インド
ア 12日,クルシード・インド外相は,デリーで,スリランカのメディア代表団に対しブリーフを実施。スリランカ指導者に対し,国連人権理事会での米国提案決議に関し,関係者及び関係国に対する非友好的態度を避けるための可能な方法を考えるよう訴えた。また,もし我々が(米国決議に対する)立場を明らかにすれば,スリランカを助けることが出来なくなってしまう,スリランカは前進するべきであり,そうすればインドもスリランカが行った業績につき,世界に知らせることが出来ると述べた。更に,我々は選挙モードであり,選挙の際にスリランカの事情を人々に説明を行うことが簡単だとは限らない,スリランカは国連機関で重要な役割を果たしてきた,スリランカの世界における役割を認識していると述べた。第13次憲法修正に関し,国会選任委員会(PSC)といった対話を通じプロセスを継続させるべきであると述べた。
イ 13日,ランブクウェラ報道・情報相は,上記のクルシード・インド外相のコメントにつき,インドは正しい立場を表明したがインドのアジェンダを承知していないと述べた。インドのタミルナドゥ州がラジーブ・ガンディー首相暗殺事件(1991)で有罪となった2名のスリランカ人を含む7名を釈放しようとしたことに対し,インド最高裁判所がこれを禁止したことにつき,20日,ランブクウェラ報道・情報相は,各国の司法システムは特有のものであり,(その国の)司法を尊重する必要があると述べた。
(3)米国
ア 2日までスリランカを訪問していたビスウォル米国務次官補は,3日,英国を訪問してスワイア外務担当国務相との間で,スリランカの人権状況や3月の人権理事会について協議した。
イ 4日,当地米大報道官は,ラッセル米女性問題大使が今月,スリランカを訪問する予定であったが,スリランカが査証の発給を拒否したことは残念であると述べた。同報道官は,米国は,性暴力,特に女性を長とする家族への紛争の影響,女性の経済的地位向上の必要性,女性のさらなる政治参加といった問題を引き続き取り上げていくと述べた。
これに対して,5日,ポンナンペルマ外務省広報課長は,ラッセル大使に対する査証の発給を拒否したことはなく,同大使が面会を希望していた政府関係者の都合が付かず,来訪日程を再調整する必要が生じたのであると述べた。
ウ 9日,リチャード・バー米国上院議員は,米国上院に,米国及び国際社会に対し,スリランカの紛争中及び紛争後に起こった人権侵害及び人道に対する罪,戦争犯罪に関する報告を評価するための独立した国際アカウンタビリティ・メカニズムを設置するよう求める決議を提出した。
エ 27日,ジェームズ・インホーフ米国上院議員は,11名の上院議員を代表し,決議案を上院に提出し,スリランカの国内メカニズムの設置のための支援を呼びかけた。オ 27日,ケリー米国国務長官は,2013年スリランカ人権報告書を提出。選挙違反を含め,スリランカにおける法と秩序に関する様々な問題を挙げていた。
(4)中国
ア 11日,大統領特使として訪問中のピーリス外相は,王毅・中国外相と会談。昨年ラージャパクサ大統領が中国を訪問した際に合意した,二国間関係の戦略的協力パートナーシップへの格上げにつき協議し,4つの主要分野(政治協力,防衛・安全保障,経済関係及び文化事項)にまたぐ関係に留意し,これらの分野ごとでの実務的な取極め及び進捗を促進させるためのモダリティを検討した。同日,ピーリス外相は,李源潮副大統領を表敬し,両国の貿易関係の促進を目的としたFTAの交渉を迅速に行う(fast track)ことで合意。
イ 13日,華春瑩中国外務省報道官は,ピーリス外相の中国訪問に関するブリーフを記者らに行い,海上の連結性の改善と開発の促進のために中国が計画する「海上シルクロード計画」につき,「スリランカ側はシルクロード建設のため,中国と協力する意志を表明した。中国との協力を拡大する予定」と述べた。
(5)オーストラリア
4日,在豪・スリランカ高等弁務官事務所における独立記念日レセプションで,ビショップ豪外相は,国際社会に対し,スリランカに関与し同国を孤立させないよう求めた。
(6)アフガニスタン
23日~25日にスリランカを訪問予定であったカルザイ・アフガニスタン大統領は,タリバン勢力が20名の軍人を殺害したことを受け,スリランカへの訪問を延期。
(7)イラク
25日,バグダッドで,バディユディーン産業・商業相は,スリランカ・イラク・経済協力のための共同委員会に出席。同日付で,イラクはセイロンティーの直接輸入とコイア(ココナッツの外皮繊維)の輸入禁止を解禁。
(8)ローマ
14日,スリランカ・カトリック教会筋は,ローマ法王が2015年1月にスリランカを訪問する予定と明らかにした。
(9)日本
19日,カランナーゴダ駐日スリランカ大使は,木原外務大臣政務官を表敬し,二国間におけるハイレベル訪問を含む様々な事項につき協議した。
(10)SAARC
17~20日,SAARC閣僚級会合がモルディブで実施され,スリランカからはピーリス外相が出席。19日には,アジズ・パキスタン国家安全保障外務担当首相顧問とも会談。モルディブでSAARC閣僚級会合が開催され,その際,ピーリス外相は,ヤーミン・モルディブ大統領とも協議した。ヤーミン大統領は,「我々は国際的な場における我々の価値を要求するために地域諸国が結束して立ち上がる時が来た。お互いのために立ち上がり,お互いを守り,お互いの目的のために戦うときが来た。SAARCのsolidarityを世界に示す時がきたのである。」と述べた。ピーリス外相は,マウムーン・モルディブ外相,クルシード・インド外相,アジズ・パキスタン国家安全保障外務担当首相顧問,アラム・バングラデシュ外務担当閣外相,ドルジ・ブータン外相及びバイラギ・ネパール外務次官と現在の問題につき二国間協議を実施した。
(11)国連開発計画(UNDP)アジア太平洋局長の徐浩良国連事務次長補の来訪
ア 12日,徐浩良国連事務次長補は,ラージャパクサ大統領を表敬。ジャヤスンドラ財務次官とも会談し,マクロ経済計画に関するスリランカの優先開発課題につき協議。イ 11日,徐浩良国連事務次長補は,ジャフナでウィグネーシュワラン北部州首席大臣とも会談。会談中,同州首席大臣は,北部州議会が北部の人々の日々の生活を支援したいと考えている中,中央政府は自身の開発計画に力を注いでいる,第3者による調停なしに,いかなる活動も可能ではないと述べ,国連による調停の可能性を示唆した。

 


スリランカ内政・外交(2014年1月)

1 州議会選挙
(1) 16日,デシャプリヤ選挙管理委員長は,1月30日~2月6日正午まで西部州・南部州議会選挙への立候補者届の受付を行うと発表。
(2) 30日,選挙管理委員会報道官は,2011~2012年人口統計に基づき,西部ガンパハ県の州議会議席数が1議席増え,コロンボ県の州議会議席数が1議席減ると発表。
(3) 3日,情報筋は,UPFA構成各党指導者とラージャパクサ大統領との会合の結果,SLMC及びCWCは,単独で来たる州議会選挙を戦い,JHU,MEP,DLF,CP及びLSSPは,UPFAの下、州議会選挙を戦うと決定したと述べた。14日,ハッサン・アリSLMC幹事長は,西部州議会選挙で単独で戦うが,南部州議会の候補者については,最終的な決定を行なっていないと述べた。16日,UPFA連立与党MEPは,西部州議会選挙及び南部州議会選挙で単独で戦うと述べた。
(4) 16日,フォンセーカDP指導者(元国防参謀長)は,西部州議会選挙及び南部州議会選挙で,DPは少なくとも25議席を目標とする旨述べた。

2 北部州情勢
(1)軍
ア 9日付で,ハトルシンハ・ジャフナ県軍司令官がコロンボ陸軍本部に異動となり,10日,ペレーラ・キリノッチ県軍司令官がジャフナ県軍司令官に就任。
イ 29日,ペレーラ・ジャフナ県軍司令官は,ジャフナ県ワリカマム東の農民らとの会合において,タミル人のために自身の権限で出来ることは何でもすると発言した。また同司令官は,軍による農作物販売を防止する措置をとった,むしろ軍は市民から必要な製品を購入するべきであり,300リットルのミルクを1万8千ルピーで買うほか,卵,肉,鳥,ココナッツを買い上げる準備をしていると述べた。
(2)中央政府との対話
ア 2日,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,大統領官邸でラージャパクサ大統領と会談。新年の挨拶をした後,両者は,友好的な協議を行った。北部のいくつかの問題及び行政的な問題解決に関する方法及び手段につき協議。ウィーラトゥンガ大統領秘書官,アベイシンハ内閣秘書官及びジャヤスンドラ財務計画次官が同席。
イ 同日,チャンドラシリ北部州知事は,過去3カ月の間,北部州議会が非常によく機能している旨述べた。また,「州知事は,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣及び北部州議会大臣らと協力するべきである。同様に,北部州首席秘書官及び行政官らも中央政府と州議会をつなぎ,州議会と共に協力するべきである。」と述べた。
ウ 19日,ラージャパクサ大統領は,テリッパライ癌病院の開院式に出席するため,ジャフナを訪問。同開院式で,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,同大統領に対し,軍人の削減及び軍による一般人の日常生活への干渉を減らすための取組についての時間的枠組みを作るべきであると述べた。同開院式での国歌斉唱に際し,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,シンハラ語で歌われた国歌に対して履き物を脱ぎ,敬意を表した。
エ 8日,スリランカ行政サービス協会(SLASA)は,北部州首席秘書官は北部州の行政関係者から殺人予告を受けている他,圧力を受けていると述べ,こうした動きに関する深刻な懸念を表明。
(3)州議会
ア 9日,北部州議会が開催され,勾留中の全LTTE容疑者を政治的囚人として,彼らに対する恩赦を呼びかける決議を可決。
イ 27日,北部州議会は,スリランカにおける人権侵害に関する国際調査を呼びかける決議,政治的解決に向けた国際的な調停を呼びかける決議を可決。他方,州議会は,アナンディ・サシタランTNA州議会議員が要請した,国連人権理事会に独自の北部州議会代表団を送るという決議を却下。州議会は,州議会議員らが各個人資格であれば,ジュネーブに行くことは可能とした。
ウ 同日の州議会で,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,州議会議員らに対し,アナンティ・サシタラン州議会議員及びシヴァジリンガム州議会議員が「ジェノサイド」という言葉を演説の中で使用したことを受けて,国際的な調査によって「ジェノサイド」であると確定するまで,ジェノサイドという言葉には法的な論争があることから,州議会では,「ジェノサイド」という言葉の使用を控えるよう要請。
エ 28日,ウィグネーシュワラン北部州首席大臣は,今後新設予定の北部州議会議事堂は,北部州5県の中間地点となるマンクラムに設置されるべきである,2か月以内に韓国の専門家がフィージビリティ調査報告書を提出する予定であり,同報告書を踏まえて州議会及び関連局の移転につき決定したいと述べた。
(4)インドとの関係
4日,サンパンタンTNA国会議員団長は,G.ラマクリシュナン指導者を含むインド共産党政党であるCPI(M)指導者らと会談し,北部州議会選挙後の情勢,マ
イノリティが直面する問題及びTNAの問題解決に向けた立場につき協議した。
(5)TNAに代わる政党連合の立ち上げ
11日,ジャフナ県で,デーワーナンダEPDP代表(伝統産業・中小企業振興相),V.アナンダサンガリTULF代表,スク・スリダランEPRLF(ワラダール派)代表及びP.ウダヤラサSri・TELO代表及びパトクナラージャ・ジャフナ市長(EPDP指導者)が集まり,TNAに対抗する政党連合の立ち上げにつき協議。
(6)ジャフナ県における地下組織の一掃
7日,ジャフナ県コーパイ警察署は,コンダウィルに住む住民からの通報により,21歳の地下組織の指導者を含む10名を逮捕。その他,アツチュウェリ警察署が3名を逮捕。警察は,12の剣,2つの手榴弾及びオートバイ6台等を押収。ディアス上席警察長官(DIG)は,地下組織に対する作戦をステップアップするよう,ジャフナ県内の各警察署に新しい指令が発出されたと述べた。

3 内政
(1)大統領の新年の挨拶
ラージャパクサ大統領は,新年の挨拶の中で,我々は,献身的な開発の10年に足を踏み入れた,既に,国民は新しく建設された高速道路,空港,発電所,港湾,道路,都市の美化の実りを味わっている,と述べた。また,「今年は,経済,国家開発及び政治分野においても特別な成果があるだろう。我々は,国家の統一,平和及び充足感を確実にしつつ,これらの成果に向かっての動きを継続するだろう。」と述べた。
(2)外務次官人事
アムヌガマ外務次官は,16日に外務次官を退任し,20日に投資促進省次官に就任した。17日,シェヌカ・セネウィラトナ外務次官補が,外務次官に就任。初の女性外務次官。
(3)ヘロイン事件
ア 1日にジャヤラトナ首相は,ガンポラで,自身がヘロインの輸入に関与したとして批判しているマハサンガ(注:スリランカ仏教コミュニティ)を批判。これに対し,シンハラ・ラーワーヤ(Sinhala Ravaya)に所属する仏教僧らは,8日夜,首相府を囲み,同声明に対する謝罪を求め,首相の辞任を要求し,首相府への侵入を試み,警察との間で衝突。同日,首相府は,僧侶に対する不敬の意図はなかった,自身の声明が僧侶を怒らせたことに対して謝罪の意を表明。
イ 3日,警察麻薬局は,ジャヤラトナ首相の署名書簡の発出に関し,ジャヤラトナ首相の息子アヌラダ・ジャヤラトナ州議会議員を2時間半尋問。首相関係者は,これを否定。
ウ ジャヤラトナ首相は,コスワッタ・スリ・ウィドゥダッラマヤ寺院の礎石式に出席した際,ヘロイン押収事件につき触れ,「国会で,ある国会議員が大臣であった際,(コンテナーの減税を求める)同様の書簡を発出したことがあると述べていた。また国会議長も様々な個人に対する書簡を発出している。何百人もの人が書簡を要請し,我々はそれに対応しなければならない。それが事の真相である。しかし,悪いプロパガンダを受け入れるべきではない。自分が仏教僧間の紛争解決のための裁判所を設置することを提案して以来,私のイメージを傷つけようとする個人的攻撃対象となっている。もし間違ったことをしたならば,自分は罰せられるべきである。」と述べた。
エ スリランカ警察は,外務省を通じ,パキスタン政府に,同件に関する薬物密輸の首謀者を引き渡すよう要請。
(4)ハラル証明書
6日,全セイロン・ジャミヤトゥル・ウラマ(ACJU)は,声明を発出し,2013年12月31日にハラル証明書の発行を停止した,今後は,新しい企業が同証明書の発行を実施する旨発表。
(5)外国人及び外国企業への私有地売買解禁
2日,アベイワルダナ投資促進相は,閣議に対し,外国の私立大学を誘致するため,シンガポール企業へのニゴンボやバンバラピティヤ等の土地の売却を法的な例外として承認することを求めた。16日,投資庁(BOI)は,同企業に対して,同地の購入を許可。財務省は,昨年1月から外国人・企業への土地の売却を禁じていた。
(6)脱走兵
26日,ワニガスーリヤ軍報道官は,2009年の紛争終結以降政府の恩赦を受けなかった軍の脱走兵らの全国捜査を開始したと述べた。脱走兵の数は6万名に上がっており,このうち50%が恩赦を受け,残る3万名を捜索している。このうち,200名以上が士官である。
(7)UNPの動向
ア 8日,2014年第1回UNP作業委員会が開催された。サジット・プレマダーサ国会議員は欠席。作業委員会は,カビル・ハシム氏を新会長(Chairman)に任命するという12月の党大会での決定を承認。同委員会中,ペレーラ現会長らは,非主流派から提起されている問題より,西部州・南部州議会選挙の他,今年実施されると予想されている国会総選挙及び大統領選挙にエネルギーを集中させるべきであると訴えた。
イ 10日,党情報筋によれば,UNPは,他の野党との共通の野党連合を立ち上げるための対話を開始するため,UNPのシニアメンバーからなる委員会を任命した。同委員会は,ジャヤスーリヤUNP最高評議会議長,アッタナヤケ幹事長,ラージャパクサ国会議員らから構成され,他党との協議において,ウィクラマシンハ指導者を支援するとみられる。
(8)ディヴィネグマ局の設置
3日,バシル・ラージャパクサ経済開発相は,ディヴィネグマ局を正式に設置。
(9)地方政府
3日,情報筋によれば,同日,ラージャパクサ大統領は,連立与党指導者らと協議し,地方政府の年間予算が否決されたことを受け,地方政府の機能をスムーズにするため,新しい地方自治体選挙法の修正を決定した。現時点で,335の地方政府の内,15の地方政府で予算が否決されている。

4 国民和解
(1)独立記念日
政府は,2月4日の第66回独立記念日を祝して,2月3~4日に全ての政府機関で国旗を掲揚するように指示した。
(2)社会復帰センター
15日付「アイランド」紙によれば,国防省は,アナンティ・サシタランTNA州議会議員(ITAK)が,分離主義者のプロパガンダを行わないよう,同州議会議員を社会復帰センターに収容することを真剣に検討中。
(3)国連人権理事会に対する統計調査の提出
サマラシンハ人権担当特使は,3月の国連人権理事会で,北部州及び東部州で実施されている統計調査のデータを提出し,4万名以上の民間人が紛争の最終段階で殺害されたという非難が間違っていることを証明する旨述べた。
(4)失踪者に関する大統領調査委員会
ア 18日~21日,1990年~2009年までの北部州及び東部州で起きた失踪者に関する大統領調査委員会が,キリノッチ県で公聴会を実施。154名が参加。同委員会によれば,6014名の民間人が北部州及び東部州で失踪したと報告されている。
イ 20日,アナンティ・サシタランTNA州議会議員は,同調査委員会に対して,公聴に出席し,2009年5月18日に,自分の夫と子供たちと共に軍に投降した,その後軍は自分と子供達をワウニヤに連れて行き,尋問後夫を釈放すると説明,自分達はマニックファームの第4ゾーンに滞在したが,夫の居所は知らされなかった,同年11月に親戚が夫が軍に列車で連れて行かれるのを目撃したと述べたが,それ以来居所は不明である旨証言。
ウ 同日,大統領調査委員会は,失踪者75名の家族に対し,補償を行う手続きを実施することを伝えた。同補償を受けるには,死亡証明書の取得が必要。キティースワラン・キリノッチ県行政官は,死亡証明書は,警察本部の出張所を通じ,失踪者23名に発給される旨明らかにした。
(5)戦争犯罪
21日,ハキーム司法相は,当地紙のインタビューに答え,スリランカに対する戦争犯罪容疑を指摘する人々を反対尋問するべき(cross-examine)であると述べた。また,外国との刑事共助刑法には,スリランカでの特定の裁判に関する証拠を外国の裁判所が得,外国での特定の裁判に関する証拠をスリランカに引き渡すという条項があるが,ラップ米大使のスリランカ訪問中,同メカニズムにつき協議したと明らかにした。
(6)IDP再定住者
再定住省によれば,北部州及び東部州では,昨年11月末までに,75万7,795名の国内避難民が再定住した。その一方で,昨年11月末時点のデータとして,ジャフナ県では,オープン福祉センター(IDPキャンプ)には,4,410名(1228世帯),友人・親戚宅には,1万5,355名(4650世帯)の合計1万9,765名(5878世帯)が滞在。キリノッチ県では,友人・親戚宅に,1,140名(374世帯)が滞在。トリンコマリー県では,オープン福祉センターに871名(281世帯)が,友人・親戚宅に1,792名(561世帯)の合計2,663名(842世帯)が滞在。北部州及び東部州では,合計2万3,568名が帰還を待っていると明らかにした。
(7)マナー県における遺骨の発掘
12月20日にマナー県のマンタイ交差点から水道管を敷いていた労働者らが遺骨を発掘した事件につき,これまでに53体の遺骨が発見されている。
(8) ヒッカドゥワにおける教会攻撃
12日,ヒッカドゥア県で,仏教僧率いる暴徒がカルバリー自由教会及び神召キリスト教会(Assembly of God)の閉鎖を求め,これらの教会を攻撃し,損害を与えた。カルバリー教会での目撃者によれば,日曜日のミサの間に,暴徒が敷地内に突入し,信者を脅し,教会の所有物に損害を与えた。暴徒は,適正な認可無しに教会を運営しているとして批判。
(9)タンガッラでのクラム・シャイク英国赤十字社職員射殺事件(2011年)
ア 9日,コロンボ高等裁判所は,2011年にタンガッラで射殺されたクラム・シャイク英国赤十字社職員の殺人事件につき,タンガッラ村議会(PS)議長に対して,裁判所に出廷しなかったことを受け,逮捕状を発出。出廷した同議長の保証人は,同議長が病気になり,8日にゴールの病院に入院したと説明。裁判は22日まで延期された。
イ 同日,コロンボ高等裁判所は,同タンガッラ村議会議長に対する逮捕状を発行。それ以降,警察が同議長の捜索を開始し,21日,コッテで特別CIDチームが同議長を逮捕。22日,コロンボ高等裁判所は,上記裁判が終わるまで,同議長を再勾留するよう命じた。次回の審理は,3月26~28日に実施される。
(10)元LTTE要員に対する判決
2006年に起きたLTTEによるスリランカ海軍の軍艦「サユラ」攻撃事件につき,元LTTE要員6名が,2年間の懲役刑を言い渡された。

5 国連人権理事会に向けたスリランカ側の取組
(1)21日,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,ジュネーブの国連常駐代表らに対し,ブリーフを実施。LLRC勧告の行動計画の実施のため全て出来ることは実施していると述べ、過去18カ月で実施した行動につき詳細を説明。また,5月に移民の人権に関する国連特別報告者がスリランカを訪問する予定である,教育権に関する国連特別報告者も招請しているが,同報告者は今年いっぱいスリランカを訪問できない旨示唆していると明らかにし,スリランカ政府は他の特別報告者の来訪についても検討してると述べた。ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,ピレー国連人権高等弁務官とも会談し,同弁務官のスリランカ訪問以降の展開につき報告した。この他,グテレス国連難民高等弁務官及びモレールICRC総裁とも会談し,実施中の協力活動につき協議した。その後,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,米国に向けて出発。
(2)28日,ウィーラトゥンガ大統領秘書官は,ワシントンで,国際的な調査には,IPKFが派遣された2年を含む1980年以降の人権侵害疑惑につき,調査されるべきであるが,これはインドを怒らせ,二国間関係を悪化させるだろうと述べ,スリランカは,国民和解プロセスのために少なくとも国民和解に向けた取組が開始された2012年7月から5年間の猶予が必要である旨と述べた。
(3)29日,ピーリス外相は,デリーに大使館を置き,スリランカを兼轄する82か国の各国大使らにスリランカの現状についてブリーフした。同外相は,3月の人権理事会では米国が再びスリランカ決議案を提出する見込みだが,スリランカの現状や紛争終了以来の達成度合いを客観的に見てほしい,また,人権理事会でのスリランカに対する不公平な取り扱いに抗議してほしいと訴えた。

6 外交
(1)インド
ア ピーリス外相は,イスラエルを訪問中に,クルシード・インド外相と電話会談を行い,二国間の漁民問題につき協議。両国は,インド及びスリランカで勾留されている漁民を同日から相互の友好の証として,迅速に釈放すると決定。13日時点では,スリランカ政府は,52名のインド人漁民を,インド政府は,同数のスリランカ人漁民を釈放。
イ 15日,セナラトネ漁業相とクルシード・インド外相はデリーで会談し,二国間の漁民問題につき協議。16日,二国間合同漁業委員会が初めてデリーで開催され,海軍報道官は,カンケサントライ北部の海岸沖で,拘留されていた103名の漁民が二国間で交換されたと発表。
ウ 17日,ジャフナで開かれた国際貿易フェアで,マハリンガム駐ジャフナ・インド総領事は,インドは,インド・ジャフナ間直行航空便の開設とスリランカのマナー県タライマナー・インドのタミルナドゥ州ラメシュワラム間のフェリー運行が早期に開始されることを心待ちにしていると述べた。
エ 24日,インド中央政府は,マドラス高等裁判所に対し,インドの漁民は,ポーク海峡のスリランカのカッチャーチ-ヴ島に行く権利がない旨伝達。1974年のインド最高裁判所の判決に基づき,同島に対する主権の問題は既に解決済みであるとした。
オ 27日,チェンナイで,スリランカ漁業代表団は,タミル・ナド州政府代表団らと会談。漁業省によれば,緊張感のある会談となり,タミル・ナド州政府代表団らは,インド人漁民が,特定の日に,スリランカの領海内で漁業を行う権利を要求。スリランカ代表団は,これを拒否。タミル・ナド州漁民は,2月10日からスリランカ領海内での底引き網漁を停止することに合意。
カ 29日,デリーを訪問中のピーリス外相は,クルシード外相と会談。会談中,漁民問題,インドによる北部州開発事業,経済協力の拡大,インド・スリランカ・モルディブ3か国海洋安全保障協力の進捗などについて取り上げられた。漁民問題については,チェンナイでの両国の漁業組合間での協議を前向きな最初の一歩と評価し,両政府として漁業組合の諸提案を検討することで合意。また,両国の漁民が安全かつ持続可能な方法で生計を引き続き確保出来るように取り組んでいくことで一致。
キ 29日,スリランカ海軍は,1月15日の漁民問題に関する二国間協議を受け,スリランカに勾留されていた69名のインド人漁民及び15隻の漁船の帰還を支援。
(2)米国
ア 15日,米国務省の記者会見で,ハーフ副報道官は,スリランカの人道問題に対応するために,スリランカ政府と共に協力することに関心がある旨述べた。
イ 30日,当地米大報道官は,米国はスリランカ政府に対して,国連人権理事会でスリランカ決議案を提出する,現在,同決議案を起案中である旨伝達した,と述べた。
ウ 31日~2月3日まで,ビスワル米国務次官補がスリランカ訪問を訪問。訪問中,ピーリス外相,バシル・ラージャパクサ経済開発相,ハキーム司法相,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官及び市民社会代表,UNP及びTNA代表ら,チャンドラシリ北部州知事及びウィグネーシュワラン北部州首席大臣と会談。
(3)英国
ア 13日の週,ロンドンで,スリランカの英国コミュニティ「Conservative Friends of Sri Lanka」は,チャンネル4によるドキュメンタリー映像に対抗し,コロンボで制作されたドキュメンタリー「The Last Phase」を上映し,デ・シルバ駐英スリランカ高等弁務官代行、外交団,英国保守党代表らが出席。ニルジュ・デバ元英国保守党国会議員(現EU議会議員)が講演。
イ 16日,スワイア英国外務閣外相は,英国議会で,我々は定期的に国連人権理事会における様々な国際的パートナーらとスリランカにつき協議していると述べ,もし3月までに信頼できる国内プロセスが始まらなければ,英国は国連人権理事会で国際調査を呼びかけることを明らかにしている,ピレー国連人権高等弁務官が提出する報告書は,スリランカの進捗状況に関する評価を与えるだろうと述べた。
ウ 23日,シモンズ外務担当政務次官は,スリランカを含む様々な国々の人権状況に関する議会討論中,英国は,国連人権理事会での対スリランカ決議の提案国である米国と共に,働きかけを行い,可決に必要な過半数を得るために取り組んでいるが,国連人権理事会では,適度に厳しい決議を通過させるため困難に直面していると述べた。また,もし信頼性のある国内プロセスが3月までに始まらなければ,国連人権理事会では,ピレー国連高等弁務官と協力し,国際調査を呼びかけるということを議会に理解して欲しい旨述べた。
エ 29日,スワイア英国外務担当閣外相は英議会において,スリランカがアカウンタビリティ問題や人権侵害疑惑調査のために設置したいかなるプロセスも十分に信頼の足る,独立した,透明性のあるものとは言えない,LLRCのような,これまでスリランカ政府が設置したいかなるプロセスもこの基準に見合わない旨述べた。
オ これに対して,30日,ヤーパ石油産業相は,国連及びその他の諸機関は,LLRCを国民和解の促進に向けた信頼の足るプロセスとして受け入れており,個人ないし一国の意見は懸念に値しないと強調した。
(4)ラージャパクサ大統領の中東訪問
ア 5日,ラージャパクサ大統領夫妻は,中東訪問に出発。同日,ヨルダンを訪問し,フセイン国王と会談。
イ 6日,ラージャパクサ大統領は,ヨルダンからパレスチナに到着し,アッバス大統領と会談。同日,ラージャパクサ大統領は,ベトゥニアでマヒンダ・ラージャパクサ職業訓練センターを開校した他,ベツレヘムにある生誕教会を訪問。7日,ラージャパクサ大統領は,パレスチナのビジネス・コミュニティと会談。
ウ 8日,ラージャパクサ大統領夫妻は,イスラエルのエルサレムに到着。同日,ネタニヤフ首相と会談。また,旧市街及び嘆きの壁を視察した他,ムスリム指導者らの歓迎を受けた。9日,ペレス大統領と会談した他,イスラエルのビジネス・コミュニティと会談。10日,ラージャパクサ大統領は,スリランカに帰国。
(5)EU
1月3日,リサード・バディユディーン産業・商業相は,EUのスリランカに対する特恵関税措置(GSP)が今年1月から更に10年間継続される旨明らかにした。
(7) その他の要人往来
ア 13日,ペレーラ海外雇用相は,サウジアラビアのリヤドで,ファキエ・サウジアラビア労働大臣との間で,同国におけるスリランカ人の家事手伝い労働者を保護するための覚書きに署名。14~16日,ペレーラ外務副大臣は,オマーンのマスカットを訪問。20日,ラージャパクサ大統領は,UAEを訪問。ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームUAE副大統領兼首相と会談。UAEを訪問中の21日,グリムソン・アイスランド大統領と会談。27日にアブダビで開催された第1回スリランカ・UAE合同委員会に,ピーリス外相が出席し,アール・ナヒヤーンUAE外相と会談。10~16日,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官がブラジルを訪問し,アモリム・ブラジル国防相と会談。23日,ベトナムで,グナセーカラ人的資源上級大臣は,タン・サン・ベトナム大統領及びフー・チョン共産党書記長と会談。
イ 21~23日,ヤミーン・モルディブ大統領がスリランカを訪問し,ラージャパクサ大統領と会談。21日,ピーリス外相及びマームーン・モルディブ外相は,二国間会談を実施。

 

Copyright (C) 2012 Embassy of Japan in Sri Lanka                                                                                                                                                                                                                                  法的事項|  アクセシビリティについて | プライバシーポリシー 

No.20, Srimath R.G. Senanayake Mawatha, Colombo7, Sri Lanka
Tel: +94-11-2693831/2693832/2693833
FAX: +94-11-2698629