在スリランカ日本大使館は、モルディブ共和国を兼轄しています。

 

スリランカの情勢

3主要な出来事

1.2011年10月

2.過去の出来事

スリランカ内政・外交

2011年9月1日-9月28日

2011年8月1日-8月31日

2011年7月1日-7月31日

2011年6月1日-6月30日

2011年5月1日-5月31日

2011年4月1日-4月30日

2011年3月1日-3月31日

2011年2月1日-2月28日

2011年1月1日-1月31日

2010

2010年12月1日-12月31日

2010年11月1日-11月30日

2010年10月1日-10月31日

2010年9月1日-9月30日

2010年8月1日-8月31日

2010年7月1日-7月31日

2010年6月1日-6月30日

2010年5月1日-5月31日

2010年4月1日-4月30日

2010年3月1日-3月31日

2010年2月1日-2月28日

2010年1月1日-1月31日

 

 

 

 

スリランカ内政・外交(2011年9月29日-10月30日)

1 内政

(1)地方議会選挙
8日,都市部を中心に23の地方議会で選挙実施。与党が21議会で勝利したが,注目されたコロンボ市議会(伝統的には野党UNPが強い選挙区)では政府のスラム対策のあり方が批判を呼び,UNPが勝利(得票率:UNP43%(24議席),UPFA32%(16議席),DPF(タミル政党)11%,SLMC(ムスリム政党)4%(2議席),JVP1%(1議席))。選挙プロセス・投票状況は概ね平穏との評価。ただし,選挙当日に,与党の政治家グループ同士がコロンボ近郊でコロンナワ地区で銃撃戦を行い,4名が死亡。バーラタ・ラクシュマン・プレマチャンドラ元国会議員(SLFP)が死亡した他,現職国会議員のドゥミンダ・シルバ氏(UPFA)も意識不明の重体に。

(2)野党内の分裂
●最大野党UNP:  党幹部と改革派とのいざこざ継続。25日,R.セナナーヤケUNP元総裁補佐・元会長は,党の新総裁選出に向け臨時の綱領を策定するよう,カル・ジャヤスーリヤ副総裁及びサジット・プレマダーサ副総裁に要請。また,27日のUNP党作業部会では,党員が記者会見や政治集会を実施する場合の党総裁の許可の必要性如何を巡り議論が対立。
●野党JVP:  JVP党内でも主流派と分離派との間でのいざこざが継続。25日には党本部施設の占有権を巡り揉め事が発生。

(3)民族問題の解決・和解
●「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」:  29日,LLRC事務局は,「LLRCは最終報告書を11月の第2週に「ラ」大統領に提出予定である。ただし,本報告書の公表如何は,大統領の判断に委ねられる」と述べ,同報告書が公表されないかもしれない可能性を示唆。
●国会選定委員会(PSC): 8月に国民和解に向けた方途を検討するためにPSCの設置を提案する動議をチャマル・ラージャパクサ国会議長に提出した閣僚らが,6日,再び,国民和解に向けた政治的・憲法上の措置を検討するためとしてPSC設置を提案する動議を同議長に提出。また13日,「ラ」大統領は,「(PSCの設置時期について,)国会が決めるべきこと」と発言。28日,ウィクラマシンハ最大野党UNP総裁は,「政府が今年中に納得のいく民族問題の解決案を提示してくれるのなら,我々UNPは政府を支持する用意がある。
●TNAとの直接協議: 2日,プレマチャンドランTNA幹事長によれば,3日に予定されていたTNAと政府との協議は政府側が地方議会選挙準備で多忙なため,延期に。

(4)人権
●6日,政府は,人権保護・促進国家行動計画を発出。サマラシンハ人権担当大統領特使・プランテーション相は「本件には明確な目的,優先事項,期限付き目標が記されており,人権保護・促進に向けて実現可能な,実際的な計画である」と説明。
●16日,最高裁は「代替政策センター(CPA,注:政府に批判的な政策提言型NGO)」が提訴しているテロ防止法(PTA)に関する基本的人権訴訟の審議を拒否。

(5)北東部情勢
元LTTE要員の社会更正: 9月30日,大統領公邸にて,更生された1,800人以上の元LTTE兵士の社会復帰式典が催され,大統領や閣僚,各国大使他が出席。
●土地の再分配・再登録問題 17日,TULFをはじめ北部を拠点とするタミル政党らが,ワウニヤ町議会前で断食抗議活動(fast)を実施。問題となっているのは,政府が今般北・東部の土地再登録を決定したこと,ムライティブ県における行政長官の管轄区域の新設,政府軍の軍事プレゼンス,民族問題の解決の停滞。これを受けて,21日,政府は国会で本件に関する説明を行ったものの,翌22日,TNAは最高裁に基本的人権訴訟の提訴を決意。
●東部開発: 19日,東部州トリンコマリー県及びバティカロア県を結ぶ5つの橋が完成(仏支援)。

(6)国防省の名称改正
16日,大統領府は国防省の機能・名称を改め,「国防・都市開発省(the Ministry of Defense and Urban Development)」としたと発表。

(7)住民と治安当局の摩擦
9月29日夜,ガンパハ県ドンペ(Dompe:コロンボから東に約30キロ)にて事件容疑者が警察による拘留中に死亡したことを受けて2,000人以上の住民がドンペ警察署を包囲。翌30日朝から住民が警察署及び車両に投石。その数時間後,警察署から出火。30日昼までに状況は沈静化。

 

  1. 外交
  1. 国連 

9月30日,訪米から帰国したサマラシンハ人権問題担当相は「『ス』は今次人権理事会で,2つの重要な勝利を収めた。即ち,国連人権担当高等弁務官がダルスマン報告書を理事会に提出しようとしたのを阻止し,また来年3月の理事会で『ス』問題を取り上げる旨の加提案による決議案を阻止した」と発言。なお,「サ」人権担当省は10月に再度訪米し,26日にはバン国連事務総長,ナンビアール国連官房長,フォックス前英国防大臣らとそれぞれ会談した他,国連第三委員会に参加。

(2)西側諸国
●豪・英連邦:  28日から3日間に亘り,豪パースでの英国連邦首脳会議(CHOGM)が開催され,「ス」から「ラ」大統領及びピーリス外相が出席。並行してラッド豪外相(25日)及びギラード豪首相(翌26日)と会談した他,28日にはエリザベス女王主催の夕食会に出席。30日,ピーリス外相は記者会見を行い,「一部の英連邦加盟国やLTTE勢力が,内戦末期の次期CHOGM開催地を巡り,反「ス」活動をしかけてきたが,人権侵害問題,CHOGM開催地問題のいずれにおいても乗り切ることが出来た」と発言。なお,「ラ」大統領の訪豪に対する風向きは強く,タミルダイアスポラとその賛同者による様々な活動に直面(例: 豪緑の党が「「ス」政府要人を国際刑事裁判所(ICC)で裁き,豪政府は英連邦会議から「ス」を締め出すべきであると要請(17日)/豪ABCテレビ局が「ス」内戦末期の状況に関するドキュメンタリー番組を製作・放映/メルボルン地方裁で「ス」系豪人のジャガティースワラン氏が「ラ」大統領を相手取り「ス」一般市民殺害容疑で提訴/LTTEシンパのタミル団体「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」や豪タミル議会(ATC)が「「ス」の説明責任問題:英連邦における共通の正義」と題する会議開催)。
●米国: 22日,当地米国大使館はプレスリリースを発し,米国は2010年12月以降一時停止していた「ス」に対する特恵関税措置(GSP)を復活させる意向を明らかに。今後のGSPの具体的な対象期間は2011年11月5日~2013年7月13日となるが,同措置は2011年1月に遡って施行。9月27日,スティーヴン・チャボット米下院議員・中東/南アジア小委員会議長が来訪(~29日)。また10月30日,米下院議員のヘス・シューラー氏,ベン・チャンドラー氏,ジャック・キングストン氏らが訪「ス」し,記者会見では「「ス」はテロを打倒し,戦後は和解と再発展に向け,経済面・安全面で大きく進歩している」と称賛。
●英国: 9月29日,英国で難民申請するも国外退去となった50名の「ス」人がコロンボに到着。英国からの難民申請者の帰国は6月の44名に続いて2度目。14日,ライアム・フォックス英国防相は,自身が関与していた「スリランカ開発トラスト」の成果を疑問視されていたことを発端に,同職を辞任。
●EU:  12日,EU議会において「ス」内戦末期に関するドキュメンタリー番組「Sri Lanka's Killing Field(注:英テレビ局チャンネル4が本年6月に製作・放映し,「ス」政府から強い非難を受けていたもの)」の上映会実施。「ス」政府は反発。
●フランス:  14日,訪仏したG.L.ピーリス外相は,ジュペ仏外相と会談し,戦後の復興状況についてブリーフィング。「ジュ」仏外相は,「ス」の経済発展と和解における進展状況に対し好意的な見方。
●ドイツ: 12日,独裁判所は,独国内においてLTTE資金調達活動を行っていたアギラン氏ら3名の「ス」出身のタミル人(独国籍保持者)に対し,懲役4年9ヶ月の有罪判決。
●オランダ: 21日,蘭法廷は蘭国内で逮捕されたLTTE活動家5名に懲役2~6年の有罪判決。
●ノルウェー: 16日,訪諾したデシルバ灌漑・水資源管理大臣は,オスロでストーレ諾外相と会談。会談後「デ」大臣は声明を発し,「EU諸国の中で諾だけがLTTEを非合法していない。諾政府はもはや和平のファシリテータとしての役割は終えた。今こそ,LTTEをテロ団体に指定すべき,と発言。

(3)その他の国々
●インド:  8日から当地を訪問したマタイ印外務次官は,10日,ラージャパクサ大統領と会談。LTTEシンパの在外タミル人団体「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」の指導者であるS.J.エマニュエル牧師が,印タミル・ナドゥ州チェンナイの空港で入国しようとしたところ,印当局がこれを拒否。
●ベトナム:  13日,チュオン・タン・サン越国家主席が越大統領として初めて「ス」を公式訪問。14日に在スリランカ越大使館の開館式に出席。また「ラ」大統領と会談し,地域の安全とテロ撲滅に向け「ス」を支援する意向を表明。

     (了) 

スリランカ内政・外交(2011年9月1日-9月28日)

1 内政

  1. 緊急事態令の失効後の動向

1日,モハン・ピーリス検事総長は「緊急事態令(Emergency Regulations,注:公共安寧法(Public Security Ordinance)の第2部にあたる)は8月30日をもって失効した。9月1日からは,テロ防止法(PTA)の下に新たな法規が設けられ公示(Gazette Notification)された。なお,新法規はあくまでも「緊急事態後令(Emergency Consequential Bill)」が国会で採択されるまでの暫定措置であり,同法案は今後2週間以内にも国会に提出予定」と発言。
●6日,政府・与党は国会で,逮捕令状なしで48時間の容疑者の拘束を可能とする「犯罪手続き特別法(Criminal Procedure Code (Special Provisions) Act)」を延長させようとしたところ,野党からの反発に合い保留に。これに続き18日,ハキーム司法大臣は,「犯罪手続き特別法」なくしても,警察による48時間の拘束は可能である」との見解を示唆。
●7日,国会においてウィーラコディ国会副議長は,公共安寧法の下での公示(gazette notification,注:8月6日付)を読み上げた。これに対し,野党UNPは,「緊急事態令の解除は国際社会を欺くための見せかけに過ぎず,緊急事態令失効後も公共安寧法自体が維持され,意味がない」と批判。

(2)民族問題の解決・和解
政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議: 16日,政府とTNAは8月4日以来約6週間ぶりに直接協議を実施。両者は今後も直接協議を続けていくことで合意(次回協議は10月3日を予定)。
国会選定委員会(PSC)設置へ:  9日, 与党は民族問題の政治的解決に関する国会選定委員会(PSC)の設置に関する動議を国会に提出。同動議によると,PSCの目的は,異民族間の調和を促進するための政治的措置を形作り,彼らを一国家における市民としてエンパワーすること。なお,PSCは6ヶ月以内に大統領に報告書を提出予定。TNAほか野党の参加如何は依然未定。
●北部の軍事プレゼンス:   6日,国会においては,N.S.デシルバ灌漑・水資源管理大臣は,「北部の政府軍のハイセキュリティゾーン(HSZ)占有率は3.5~4%であるところ,政府は目下,HSZの元の土地所有者への返還を進めている。またジャフナ駐屯の兵士数は2万7千人」と発表。
●人権問題への取り組み:  8日,政府は,「人権保護・促進に関する国家行動計画(National Action Plan for the Protection and Promotion of Human Rights)」を閣議決定。同行動計画は政府と市民社会が協議を行い,2008年5月から策定してきたもの。2011年から5年間に亘り実践され,定期的なレビューが行われる由。

(3)内戦末期の人権状況に関する説明責任問題
●1日,国防省は,内戦末期に関する報告書「人道オペレーションの事実分析(Humanitarian Operation Factual Analysis: July 2006 - May 2009)」を発表。発表式典において,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は「英テレビ局チャンネル4による映像は根拠がなく,「ス」政府のイメージを傷つけようとするもの。本報告書によって,タミル人ダイアスポラやLTTEの国際ネットワークの非難を黙らせることができるだろう」と発言。
●2日,「ス」私企業連盟・商工会は「国連専門家パネル報告書に関する民間セクターの見解」と称する報告書を発表。「政府と国際社会の間で人権問題・説明責任問題が過熱すれば,「ス」企業に深刻な悪影響を及ぼすことになり,懸念される」と述べ,「ス」政府だけでなく,国連専門家パネルや外交団に対しても厳しい評価を下す内容に。
●7日,アムネスティ・インターナショナル(AI)は第18回国連人権理事会の開催を前に,「ス」の「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」に関する報告書(全69頁)を発表。LLRCの活動はマンデート,メンバー構成,実践の全ての面で欠陥だらけであると非難し,「内戦末期の戦闘で少なくとも1万人の一般市民が殺害されたとの証言がある」と述べるなど,国際的な調査の必要を改めて示唆する内容。
13日,バン国連事務総長は国連専門家パネル報告書を国連人権理事会に送付。ただし,これは国際的な調査の必要性を勧告した訳ではなく,これをどうするかは,加盟国次第との見解。これに対し,「ス」政府は強く反発。22日,ジェネーブから帰国したN.S.デシルバ大臣は,「我々は,UNHRCの理事国40カ国に対し,ダルスマン報告書が偏見に満ち,信憑性のないものであることを確信させることができた。特にインド,ロシア,中国は力強い支援をしてくれている。その結果,今次UNHRCでの同報告書を巡る協議は防ぐことができた。しかし,来年3月に本件がUNHRCで協議される可能性がある」と発言。

(4)野党JVPの党内分裂
19日,野党JVP(南部を拠点とするマルクス主義政党)の党内分裂状況が明らかに。党中央委員会メンバー25名(同委員会の過半数を超える人数)が党本体から離脱し,間もなく新党を形成か。離脱組は,JVPの影の指導者的存在と見られるプレムクマール・グナラトナム氏(注,タミル人で,1988/89年のJVP武装蜂起時に殺害されたJVP活動家ランジーダン氏の兄弟であり,9月上旬に亡命先の豪から帰国)の派閥に属する党員たち。分裂の主な原因は党のリーダーシップ問題と見られる。またグナラトナム派は,JVPはタミル人を支援すべきとの考え方を有しており,この点で現職のソマーワンサ・アマラシンハJVP指導者と意見が相違する由。 22日には,アマラシンハ指導者とグナラトナム氏の直接対話が行われ,協議は長時間に亘った模様。

  1. 外交

(1)ラージャパクサ大統領の国連訪問
●第66回国連総会:  23日,「ラ」大統領は国連総会で演説実施。「国連システムに対し,開放性と適応性を求めたい。小さい国こそ保護されるべきである。我々は過去数週間において,容認し難い差別に直面した。「テロとの闘い」と同じくらい重要かつ困難な課題が,「平和を得るための闘い」である。戦後約30ヶ月という短期間で成し遂げた成果を,自信をもって示したい。また和解は,経済成長と同じくらいに重要である。包括的参加の精神を高め,苦い追憶をすべての人々から取り除く必要がある。今や「ス」は自足的な国となり,未来への明るい希望が差しており,強い経済になろうとしている。国際社会には友好的精神をもって協力して欲しい」と発言。
●関係者とのバイ会談:  18日,「ラ」大統領は,米ニューヨークに向け出発。20日,「クリントン・グローバル・イニシアチブ会合」に出席しビル・クリントン元米大統領と面会。21日,バン国連事務総長主催の昼食会に出席したほか,オバマ米大統領と立ち話を実施。また,ブレイク米国務次官補,ジョナサン・ナイジェリア大統領,トゥルク・スロベニア大統領,オトゥンバエヴァ・キルギス大統領とバイ会談実施し,「ス」の戦後復旧・復興の状況等を説明。22日,バッタライ・ネパール首相,カルデロン・コロンビア大統領,アフマディネジャード・イラン大統領とバイ会談。23日,マンモハン・シン印首相,ワヒード・モルディブ副大統領,シャルマ英連邦事務局長とバイ会談,24日,米議員団と朝食会談の後,バン国連事務総長と会談。

(2)西側諸国
●米国: ブレイク米国務次官補が訪「ス」。 「ラ」大統領と会談(12日)し,北部の軍事化問題,「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の報告書等を巡り協議。14日は記者会見を行い,「ス」政府の戦後の努力に一定の評価を示すとともに,「まだたくさんの課題がある」と指摘。また,「我々はLLRC報告書が,専門家パネル報告書が提起した事項に言及してくれると期待している。アカウンタビリティを果たすためには信頼できるプロセスが必要。(圧力が)必要とならないことを願っている。「ス」は国連人権理事会と積極的に関係を持つべき」と発言。
●英国:  5日,G.L.ピーリス外相は英国ケンブリッジ大学を訪れ,経済犯罪に関する第29回ケンブリッジ国際シンポジウムに出席。15日,英国会はインド亜大陸における人権問題に関する審議を実施し,「ス」及び印の説明責任への対応を批判。またLTTEシンパ議員として知られるシオベイン・マクドナウ労働党議員は,「内戦末期の5ヶ月間だけで,4万人の一般市民及び6万人の軍人,即ち合計10万人の人々が死亡した」と発言。
●オーストラリア:  22日,豪国会において,リー・リアノン豪上院議員(緑の党)が,「ス」を英国連邦から除名するよう求める動議を国会に提出。豪議会は本動議を否決(与野党共に反対投票)。
●カナダ:  9日,ハーパー加首相は,「人権問題で「ス」で進展が見られないならば,自分(「ハ」首相)は2013年に「ス」で開催予定の英国連邦サミットに出席しない」と発言。本件を巡り,14日,在加大使はベアード加外相と会談し,本発言に落胆した旨伝達した他,戦後の「ス」情勢について説明を実施。

(3)その他の国々
●中国: ジャヤラトナ首相が訪中。7日に中国・厦門の第15回国際投資貿易フェア(CIFIT)に出席した他,8日は呉邦国(Wu Bangguo)全人代常務委員長と会談。呉委員長は「ジャ」首相に対し,「ス」の主権・独立性。領土的一体性を保護するための「ス」の努力を支援する旨確約。
●ベトナム:  ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が訪越。5日には,チュオン・タン・サン国家主席及びグエン・チ・ヴィン国防副大臣とそれぞれ会談。
●ピーリス外相の外交:  ピーリス外相は,8月29日に出国し,シンガポール,韓国,英国,セルビア,ジョルダンを相次いで訪問。
(了)  


スリランカ内政・外交(2011年8月1日-8月31日)

1 内政

(1)民族問題の解決・和解
●緊急事態令の失効: 25日,国会において,ラージャパクサ大統領は「緊急事態令を延長しないことを決定した。2009年5月の紛争終結以来,テロ活動は全くなくなった(no terrorist activities)。したがって,スリランカ国内において緊急事態令を課す必要は最早なくなった。国家は平時の法の下に,民主的に運営していける」と発言(当館注:緊急事態令は2005年8月にカディルガマール外相が暗殺されたことによりクマーラトゥンガ大統領(当時)が公共安寧法(Public Security Ordinance)に基づき緊急事態令を公布し,以降毎月国会で同令延長の手続きが行われてきた。同令は,軍・警察の権限を強化(容疑者の礼状なしの逮捕や,逮捕者の最長12ヶ月の拘束等)しただけでなく,LTTE及びTROの非合法化,元LTTE要員の拘留,高度警戒地域(HSZ)の設置・維持等の根拠法となってきた)。「ラ」大統領の宣言により,同令は8月30日をもって失効。また,本動向を受け,野党各党は,TNAを除き,軒並み歓迎声明を発出。また米,印,英,豪,国連,EUが次々に歓迎声明を発出(26~27日)。なお,同令失効後においても,LTTE非合法化,元LTTE要員の拘留等の措置は継続され,根拠法はテロ防止法(PTA)に移管され,かつ近々,新法案が提案される見込み。


政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議: 4日,政府とTNAの第10回直接協議実施。協議後,TNAは声明を発し,「我々は本年1月以降,10回に亘り政府と直接協議を行い,具体的な政治的解決案の提示を求めてきたが,何の反応もない。最早,10日以内に政府が(ア)新しい統治形態,(イ)中央政府と州議会の機能分割,(ウ)財政上の権限移譲,の3点に関する具体的提案を書面で示さないならば,次回の直接協議は行わない。政府に真剣な取り組みが見られない状況は遺憾。政府は世界を欺き見せかけているだけである。我々はこのような欺瞞に満ちたプロセスを続けるべきかどうか,疑っている」と発言。その後,期限を過ぎても政府からの反応はなく,20日,プレマチャンドラン幹事長は「兎に角,今は政府からの返答を待つのみ」と発言。


国会議員選定委員会(PSC)設置へ:  9日,与党は民族問題の政治的解決に関する国会選定委員会(PSC)の設置に関する動議を国会に提出。同動議によると,PSCの目的は,異民族間の調和を促進するための政治的措置を形作り,彼らを一国家における市民としてエンパワーすること。なお10日,バジル・「ラ」経済開発大臣によれば,PSCは6ヶ月以内に大統領に報告書を提出予定。なお,TNAは依然としてPSCの参加如何は未定である,との見解を表明(20日)。


●内戦末期の人権状況に関する説明責任問題:  1日,国防省は,内戦末期に関する報告書「人道オペレーションの事実分析(Humanitarian Operation Factual Analysis: July 2006 - May 2009)」を発表。発表式典において,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は「英テレビ局チャンネル4による映像は根拠がなく,「ス」政府のイメージを傷つけようとするもの。本報告書によって,タミル人ダイアスポラやLTTEの国際ネットワークの非難を黙らせることができるだろう」と発言。
他方,過去の教訓・和解委員会(LLRC)事務局によると,現在LLRCは英チャンネル4製作のドキュメンタリー映像の信憑性に関する調査を進めている由。

(2)「油まみれの鬼」事件・暴動の多発
11~15日にかけて,東部州・中央州(注:いずれも少数派であるタミル人・ムスリムが多く居住する地域)を中心に,暴漢者による強盗・強姦事件が多発。被害者の多くは女性。住民たちは,これを「油まみれの鬼(grease devils,当地で噂される伝説の悪魔)」による犯行と呼ぶとともに,これらの事件は政府軍に仕組まれたものではないかとして,軍との関係を疑っており,東部州内各地で治安当局に対する抗議デモを開始。これに対し,治安当局は催涙弾等を使用し,各地でデモ隊を鎮圧するが,ポットゥウィルでは警察が市民1名を射殺する事態に(11日)。また,「油まみれの鬼」に関する暴動は,21日に北西部州プッタラマ,22日には北部州ジャフナにも拡大。
<主な事件>
●11日,東部州アンパラ県ポットゥウィル地区で, 警察がデモ隊に発砲し,住民1名(最大ムスリム政党SLMC活動家)が死亡。警察は12日夕刻~13日早朝にかけ,同地区に夜間外出禁止令発出。
●14日,東部州トリンコマリー県キンニヤ地区で,怪しい格好をした者が車に乗って海軍基地に入っていくところを地元住民が目撃し,これを発端に同基地に住民らが投石を開始。これに対し海軍兵士が発砲する事件が発生。住民2名が負傷し,24名逮捕。
●21日,北西部州プッタラム市内で,警官1名(23歳)が市民たちに暴行され,死亡。特殊部隊と陸軍兵士が現場に赴き,10分間に亘り空砲を発射しつつ事態を沈静化。
●22日,北部州ジャフナで,「油まみれの鬼」を政府軍が匿っているとして,住民が政府軍に抗議し陸軍基地に投石。これに対し,治安当局が鎮圧のため出動し,102名を逮捕。27名負傷。

(3)最大野党UNPのリーダーシップ問題
UNP党内では,7月23日の地方議会選挙で大敗を喫したことにより,党リーダーシップ問題が再燃。党改革派議員らはカル・ジャヤスーリヤ副総裁を次期総裁とすべく党幹部に要請。これに対し,ウィクラマシンハ総裁は,「自分は依然として指導者の地位にある。批判に直面したとしても,逃げ出したりしない」と発言するなど(5日),存続の姿勢変わらず。17日に開催されたUNP党作業部会(Working Committee)でも,「ウィ」総裁の退任には至らず。サジット・プレマダーサ議員ら党改革派議員らは,本部会の開催に合わせ,コロンボ市内でデモを実施するも実らず。

(4)コロンボ市議会の復活
2010年6月に解散されて以降,機能停止に陥っていたコロンボ市議会(CMC)は今般復活されることとなり,必要な臨時の政府公示(extraordinary gazette notification)が2日に発効。これによりCMCは11月1日より再開に。

  1. 外交
  1. 国際機関

●国連: 16日,ファルハン・ハク国連副報道官代理は記者会見において,「国連専門家パネル報告書はまだ国連人権理事会(UNHRC)には提出されていない。しかし,近い将来提出される可能性もある。加盟国が本報告書を取り上げ何等かの行動をおこしてくれることを期待する」と発言。なお,次回の第18回UNHRCは9月18~30日にジュネーブで開催予定。
●EU: EUは, LTTEを引き続きテロ組織に指定する旨をEU議会報(7月18日発刊)で公表。

(2)米国
●対「ス」援助禁止に向けた動向:  4日,ウィクラマスーリヤ在米大使は,米国下院外交委員会(注:野党共和党が過半数を占める)が可決させた対「ス」援助の停止措置に関する決議について,「これは,特に「ス」を標的としたものではない。「ス」下院は,対外援助の18%削減を目標としており,こうした中「ス」に関する事項は,数百頁に亘る予算決議において僅か1頁を占めたに過ぎない。今後,上院(注:民主党が過半数を占める)で可決される可能性は低く,正式に運用される可能性も低い。これが失敗すれば,むしろ当面はこうした措置が講じられなくなると思われることから,むしろ好都合」と発言。
●米国務省の動向:  9日,米国務省のV.ナランド報道官は定例記者会見において,「我々は「ス」にかけられている国際人権規約,国際人道法の侵害容疑に関し,国際基準に則り,独立的かつ包括的な信頼できる調査を求む。もし,自ら行動を起こそうとしないならば,国際社会から更なる圧力に晒されるだろう」と発言。「ス」政府は反発。他方,18日,米国務省は「テロに関する国別報告書2010年(Country Report on Terrorism 2010)」を公表。「ス」に関し,「2009年に終戦を迎えたにも拘わらず,2010年となっても,テロ団体が武器調達や資金集めの活動が確認された。資金集めを行っているのは,北米・欧州・豪のLTTEシンパのタミル・ダイアスポラたちである」と記述。

(3)インド
●シン印首相発言:  3日,印国会において,シン印首相はMDMK(注:印タミルナドゥ州を拠点とするLTTEシンパのタミル政党)のヴァイコ党首との会談において,「「ス」との経済関係を制限・断絶することなどできない。そのようなことをすれば,「ス」と中国の経済関係の深化を助長するだけ」と発言。
●クリシュナ外相発言:  25日,「ク」印外相は,「国連専門家パネル報告書が喚起した問題点については,これまでのところ国連を含め他のどの国際機関も正式な議題として取り上げていない。印としては,自らの立場を決めるにあたって,こうした動きを見守っているところである。「ス」政府には緊急事態令の廃止も含め,早期の問題解決を繰り返し求めている」と発言。
●国連専門家パネル報告書のタミル語版出版:  印チェンナイの出版会社は,国連専門家パネル報告書のタミル語翻訳版を出版し,「戦争犯罪」とのタイトルで発売を開始。本書は328頁におよび,その内の240頁は同報告書の翻訳となっている他,様々な注釈が付記されている由。なお,序文にはLTTEシンパの活動家であるルドラクマーランTGTE代表,エマニュエルGTF代表らが寄稿。

(4)中国
●9日より4日間に亘り,「ラ」大統領が訪中。北京及び深センを訪問し,ユニバーシアード開幕式に出席した他,胡錦涛国家主席,温家宝首相と会談。温家宝首相との会談(11日)では,国際的な舞台における全面的な外交支援や,南部ハンバントタ港の第二工程の支援を取り付けた他,ノロッチョライ火力発電所についても協議。なお,同日,「ラ」大統領は北京外国語大学より名誉博士号を授与。また13日には,胡錦涛国家主席主催の昼食会に出席。

(5)ロシア
●17日,露最大の石油会社Gazpromのヴェレリー社長が訪「ス」し,G.L.ピーリス外相及びS.プレマジャヤンタ石油産業大臣と会談。「ス」における石油探査,露から「ス」への天然ガス輸出に関し,「ス」側と協議。また同日,露国営輸出業者Rososboronexportは,「ス」は露製ヘリコプターMi-101/Mi-17を14機購入し,既に納品済である旨明らかにした。

(了) 

スリランカ内政・外交(2011年7月1日-7月31日)

1 内政

(1)地方議会選挙
23日,北部も含め全国335の地方議会の内,約2割にあたる65議会(市議会1,町議会9,村議会55)で選挙実施。特に北部でも20議会で選挙が行われ,中には約30年振りの選挙となった議会もあり,民主主義の復興を意味するものとして注目された。投票は概ね平和裡に行われたとの評価(投票率55~60%)。結果は,南部(多数派シンハラ人居住地域)では,与党連合UPFAが完全勝利(39議会全てで第一党となり,野党UNP,JVPはゼロ)。本年3月に実施された選挙結果と合わせると,与党連合UPFAの第一党獲得率は83.6%となり,国全体としてUPFAの圧倒的優勢は変わらず。他方,北部州(少数派タミル人居住地域)では,最大タミル政党連合TNA(野党)が圧勝(北部では20議会中15議会で第一党に)。本年3月の選挙結果と合わせれば,全30議会中,23議会で第一党の地位を獲得したことになり,同地域でのTNAの圧倒的優位を改めて証明。これにより,南北での政党の人気差が浮き彫りに。なお,惨敗を喫した最大野党UNPは,党内のリーダーシップ問題が再燃。

(2)民族問題の解決・和解
国会議員選定委員会(PSC)設置へ:  最大与党SLFPの党中央委員会は, PSCのマンデート策定・メンバー選定等を行うための特別委員会を別途設置することを提案し,採択(1日,ラージャパクサ大統領出席)。与党は,野党各党を正式にPSCに招待し,「特にUNPからの良い返事を期待する」との姿勢。他方,最大タミル政党連合TNAは,「PSCは民族問題の解決を故意に遅延させるためのもので,時間の無駄」と否定的な見方。また最大野党UNPは,当初は否定的反応を示しつつ,「政府と全面協力する用意があるが,TNAからの協力と理解を得られることが条件(9日,キリエッラ幹事長発言)」との立場。なお,野党JVPは不参加の意向を正式に表明。こうした中,与党はPSC法案を完成させつつも国会提出は見送ったまま。同時に,PSCの活動内容の規定を目的とした専門家パネルを設置する意向を発表(11日付)
政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議: 6日,政府とTNAは直接協議を実施。北・東部への権限移譲に関する事項について,両者間で口頭での合意を経た上で明文化することで合意。
●緊急事態令緩和・解除へ:  28日,ランブクウェラ報道大臣は,「政府は緊急事態令を間もなく,年内には緩和し,解除していく方向である。これは米国等,他国からの圧力によるものではない」と発言。
●国防費削減へ:  4日,P.B.ジャヤスンドラ財務次官は,政府は国防費をGDP比3%まで削減した旨明らかにした他,経済成長率6%台が維持されれば,更に今後2.5%程度まで削減する予定,と発言。

(3)北部情勢
●政府による選挙キャンペーン: 18~20日,「ラ」大統領は北部州ジャフナ県・キリノッチ県を自ら訪れ,地方議会選挙に向けたキャンペーンを開催。「ラ」大統領は,「我々は元LTTE兵士を更正させ,IDPもほぼ再定住させるなど,温情をもって正義を実践してきた。高度警戒地域(HSZ)は徐々に撤去していく」と発言。
IDP再定住・元LTTE兵士更正ともに漸進: 北部IDPキャンプの残留者数は10,832名にまで減少(8日,政府発表)。また北部マナー県,ジャフナ県,ワウニヤ県,キリノッチ県において既に再定住プロセスが完了し,残るムライティブ県でも地雷除去活動が完了し,随時再定住が進められる予定。また,元LTTE兵士は,全体の約70%にあたる7,900名が既に更正を果たし,残る2,900名も年内には全て更正予定(27日,ディサナヤケ社会復帰・刑務所改革省次官発言)。
●北部の復興予算増: 経済開発省は北東部の復興・開発計画である「北・東部の春」プログラムに対し,152億ルピーもの予算を割り当てた,と発表(13日付)。なお,前年度(2009/2010)予算は,北・東部併せて100億ルピーであった由。
●ジャフナ県の国会議員議席数削減へ:  2010年の有権者登録の結果を受けて,全国各県毎に人口に応じた国会議員議席数の再配分計画が進行中。これにより北部ジャフナ県では,議席数が大幅削減の方向(現在9議席→5議席へ)。これは484,791名となり,戦争前の1980年代から使用されてきた統計(816,005名)と比べ,同県の有権者数が激減したことによる。なお,同削減分は,南部4県に振り分けられ,これらの県では議席増となる予定。こうした動向をTNAは非難。
●北部タミル人ジャーナリスト襲撃事件:  30日,北部ジャフナにおいて,ウダヤン紙(注:北部で最大の発行部数を誇るタミル語新聞社)のクハナーダン編集長が帰宅中に2人組の男に鉄棒で暴行され,頭等を負傷して病院に搬送。陸軍は,事件への政府軍の関与を否定。31日,ラージャパクサ大統領は警察長官に対し,事件の究明を早期に進めるよう指示。

(4)大学教員連盟のストライキ
21日,全国大学教員連盟(FUTA,注:大学教員の昇給を求め5月9日以降ストライキを継続していた)は,ストライキの停止(suspend)を決定。FUTAによると,20日に行われた高等教育省との協議において,政府側が2つの条件(問題解決のための共同委員会の設置,及び研究費予算の一部の基本給へ配当)を呑んだことを受けての決定である由。

2.外交

(1)国連
●バン国連事務総長の動向: 7日,最大野党UNPの発した声明によると,5日にウィクラマシンハUNP総裁は国連本部でバン国連事務総長と会談。バン事務総長は「民族問題の政治的解決の取り組むための時間的猶予を「ス」政府に与える。ただし,これは無期限を意味するものではない。努力は不十分であり,調査に向けて目に見える形での行動が求められる。「ス」政府が国連専門家パネル報告書の知見に真剣に取り組もうとしないならば,国際社会は「ス」を中傷するだろう」と発言した由。
●国連人権理事会の動向: 1日,ピライ国連人権高等弁務官は,「「ス」政府は戦争犯罪容疑に関する調査をいたずらに長引かせるべきではない。もし成果を上げられなかったら,その時は,国際社会は新たな行動に出る。自分は国連人権理事会で本件が扱われるべきだと強く信じている」と警告。

(2)米国
●米国務省の動向:  20日,クリントン米国務長官はジャヤラリータ印タミルナドゥ州首相と会談。「ク」長官は,「「ス」タミル人の問題に関しては,IDPの苦境を憂慮している。革新的で創造的な解決が必要」と伝えた。なお,24日,ブレイク国務次官補は,「米国は「ス」の和解に向けた進展を望んでいる。米は,「ス」が英チャンネル4の番組が報道の調査を行い,責任のある者を訴追し,正義の審判にかけるべきであると考える。また「ス」政府は,TNAとの対話の努力を倍加すべき」と発言。
●対「ス」援助禁止に向けた動向:  21日,米下院外交委員会は,発声投票により,このまま「ス」政府が内戦末期に関する説明責任を果たそうとしなければ,対「ス」援助を禁止することを可決。ただし,人道援助,地雷除去活動,民主主義とガバナンスを促進する事業への援助は,対象外となる由。これに対し,22日,ランブクウェラ報道大臣は,「米国が「ス」の内政に関する事項に物申し,このような禁止を課すのであれば,米国自身が説く民主主義の原則と反するではないか」と批判。

(3)英国
●英国メディアの報道:  6日,BBCテレビは人気番組「ハードトーク」にウィジェーシンハSLFP議員(民族和解担当大統領顧問)を招き,インタビューを実施。番組中,「ウィ」議員は,「英メディアは,「ス」政府の主張を反証しようと画策している。こうした行為は,「ス」社会の二極化を助長する」と批判。なお,英テレビ局チャンネル4のドキュメンタリー番組は英国以外にも波及。豪ABCテレビ局(4日),印タミル・ナドゥ州チェンナイ(7~9日),米ワシントンでも国際人権団体らが放映会を開催。
●親LTTEの英国会議員の活動:  5日,英国会内において,「タミル人のための全政党英議員連盟(All Party Parliamentary Group for Tamils)」のリー・スコット議員(会長),シオバイン・マクドナウ議員(副会長)を中心に,LTTEシンパのタミル団体「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」の会議が開催。
●フォックス国防相訪「ス」:  9日,訪「ス」した「フォ」英国防相は,コロンボ市内のカディルガマール研究所で記念講演を実施した他,「ラ」大統領と会談。「ラ」大統領は,英政府は在英タミル団体の責任を追及すべきであると伝達。
●クリケット選手の講演:  「ス」随一のクリケットのスーパースター選手であるクマール・サンガッカラ選手は英ロンドンの名門クリケット・クラブで講演を行い,国内外で称賛を浴びる(4日)。

(4)インド
ムンバイでのテロ事件:  13日,「ラ」大統領はムンバイでのテロ事件を非難する声明を発出。
印タミルナドゥ州との関係:  21日,カリヤワサム在印大使はチェンナイを訪れ,ジャヤラリータ印TN首相と会談。在印「ス」大使がTN州首相と会談するのは,50年振り。

(5)パキスタン
●14~15日,G.L.ピーリス外相はパキスタンを訪問し,ザルダリ大統領及びギラーニ首相らと会談。「ギ」首相は「ス」・「パ」両国間での包括的経済協力協定(CEPA)の締結に向けた意欲を示し,本件を8月にコロンボで再度協議する意向を明らかに。

(6)中国
●コロンボ中心部のゴールフェース・グリーンが,中国系企業であるシャングリラ・ホテル及びCATICによりリゾート開発される計画となっている件で,閣僚の間から一時差し止めを求める声が浮上。本件は今後,閣議に上げられ,意志決定がなされる見込み(3日付)。

(7)日本
●16~20日,第27回人口と開発に関するアジア国会議員代表者会議に出席するため,日本の福田元総理ら議員団が訪「ス」。

(了)  


スリランカ内政・外交(2011年6月1日-6月30日)



1 内政

(1)民族問題の解決・和解
国会議員選定委員会(PSC)設置へ: 28日,ラージャパクサ大統領は記者会見において,民族問題の解決に向けた「国会議員選定委員会(Parliamentary Select Committee: PSC)」の新設を宣言。PSCは国会によって主導され,全政党が参加し,解決法を模索するものである由。なお,「ラ」大統領は,「過去のプロセスは結論に欠け,不完全であった。過去のことは忘れ,今を生きるべき。PSCは3ヶ月から6ヶ月と想定しているが,結局は国会次第」と発言。これに対し,29日,野党JVPは,「タミル人の問題を真摯に解決する政策でなければ支持できない。PSCは政府による欺瞞行為に過ぎない」として,不参加の意向を表明。
政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議: 23日,政府はTNAと第7回直接協議を実施。TNA側は政府の政治解決の意図が不明確として,51点の質問事項を明記し書面で提出。これに対し政府側も書面で返答する旨確約。また,29日,両者は第8回直接会議を実施。

(2)北部情勢
IDP再定住・元LTTE要員更正ともに漸進: 元LTTE要員は,5日に990名, 10日に327名が更正。11,700名の内、6,539名が更正を遂げ、施設残留者は4,360名に減少(5日)。またIDPについては,6月下旬にIDPの帰還を進めた結果,北部IDPの再定住者数は256,413名に。北部ワウニヤのIDPキャンプの残留者数は14,725名まで減少(29日,大統領府発表)。
北部州議会選挙: 28日,「ラ」大統領は同選挙を来年中に行う意向を表明。
治安当局がTNAの会合を強制解散: 16日,北部ジャフナにおいて,TNAが7月23日実施予定の地方議会選挙に向けた会合を行おうとしたところ,武装兵士約30名が押しかけ,本集会は当局の許可を得ていないとして強制解散される事態に。TNA側は,党内会合に過ぎず当局の許可は必要ないはず,と主張。他方,治安当局は公的集会と見なし,意見が食い違った模様。本件を受け,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は事実関係の調査を行い,関与した者を処罰するよう,ジャフナ県政府軍司令官に指示。18日,同司令官はTNAと4時間に亘り会談し,TNAに対し謝罪した他,当局側の責任の所在を調査し罰を与える旨確約。
政府軍による住民登録活動は停止に 18日,ハトゥルシンハ・ジャフナ県陸軍司令官はTNAとの会談において,政府軍による北部住民登録活動(注:TNAによれば,政府軍兵士が市民の自宅を定期的に回り,人数確認等の監視活動を行っている由)を停止する旨,確約。本会談を受けて,20日,TNAは,最高裁に提出していた基本的人権訴訟を取り下げ。

(3)市民による抗議デモ・ストライキ
●カトナヤケ輸出加工区(EPZ)での抗議デモ:  5月30日,企業間労働組合(ICEU、注:野党JVPと関係が深い労働組合)が主体となり、コロンボ国際空港近辺のカトナヤケEPZにおいて、政府の提案する年金制度法案に反対する抗議活動が行われ、デモ隊が暴徒化。これを発端に,一部の警察官がデモ隊に発砲し,1名死亡する事態に。政府は重く受け止め,6月1日,バラスーリヤ警察長官が辞職した他、暴行を行った警察官2名を即時逮捕し,82名の警察官に一時職務停止命令を通告。
●全国大学教員によるストライキ: 3日、全国大学教員連盟(FUTA)の代表らは大統領府で政府と直接協議を実施。17日,FUTAは高等教育省に昇給等に関する提案書を提出。22日,FUTAは全国の大学の教員たちを動員してコロンボで抗議デモ実施。

2.外交

(1)国連
●国連専門家パネル報告書を巡る動向: 1日,バン国連事務総長は,「信頼できる独立調査の実施は,まずそれぞれの主権国家の責任の下に行われるべき。新たな国際的な独立調査メカニズムについては,「ス」政府との合意,或いは政府間機関からのマンデートが必要」と発言。他方,20日,G.L.ピーリス外相は,「我々は,ダルスマン報告書の内容を了承した訳ではないし,これに反応するつもりはない。また英テレビ局チャンネル4による映像の真正性を認めた訳でもない。その代わり,戦後復興の進展ぶりについての報告を纏め,国際社会に提示する予定である」と発言。
●ジュネーブ第17回国連人権理事会(UNHRC): 5月30日より開会した第17回UNHRCでは,「ス」に関しては,国内における「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の動きを見守るという雰囲気が支配的となり,人権理の公式の場では表立った動きは起きず(一方、スリランカ政府軍も深刻な人権侵害を行ったことを強調するサイドイベントは開催)。「ス」政府に時間的猶予が与えられることに。
バン事務総長再選を支持: 11日,コホナ国連代大使は,「バン事務総長は国連を統率するアジア人として理想的な人物。リーダーシップのあり方は,静かで押しつけがましさがない。彼はよく仕事し,人道問題への取り組みに向けてがんばっている」と述べ,バン事務総長の再選支持を表明。

(2)英国・EU
●英チャンネル4によるドキュメンタリー番組放映: 14日,英テレビ局チャンネル4は,ドキュメンタリー番組「Sri Lanka's Killing Field(約50分間)」を英国内で放映。映像は,戦闘末期の現場における死傷者,殺害・処刑の瞬間,攻撃を受けたとされる非戦闘地帯内の病院,レイプされた女性の死体等,緊迫した状況を伝える映像を多数盛り込んだもの。「ス」政府の主張(「ゼロ・シビリアン・カジュアルティ政策」等)は虚偽であるとして,当時の国連の対応のあり方にも問題提起する内容に。本番組を巡り,14日,バート英外交担当国務大臣は,「おぞましい映像に衝撃を受けた。これらは「ス」の国際人道法・人権規約違反の確たる証拠を示すもの。全ての国際社会は,「ス」政府からの真剣な対応を期待しており,もし「ス」政府が反応を示さないようなら,国際社会は「ス」政府に対しあらゆる圧力をかける」と発言。翌15日,キャメロン英首相も国会で同番組に言及し,「「ス」政府も国連も,戦争犯罪の調査をすべき」と発言。これに対し外務省及び在英「ス」大使館は,15日に声明を発し,「本番組の映像は如何なる真正性も有していない。ダルスマン報告書と同じく,結論が先立ち,主張を正当化するために映像を並べ立てたもの。LTTE関連のウェブサイトや一部の国際メディアで掲載されてきた映像が多用され,「ス」政府の和解や開発に向けた努力を蝕もうとする企てである。」と反論。他方,「ス」政府は国連機関や国際NGOと協力関係を維持していく,とも付言。なお,22日,ニューヨークの国連教会センターにおいて,国際NGOの主催により本番組の上映会実施。チャンネル4の製作メンバーも出席。コホナ国連代大使は,「本ドキュメンタリーは偏見に満ちている。我々は上映会に招かれもしなかった」と批判。
●EU: 反「ス」・親「ス」の動きが混在: 6月1日,欧州議会において,欧州ノルディック・グリーン主催(LTTEシンパの議員連盟)は,「ス」に関する会合(議題は「戦後2年が経過した「ス」:被告は裁きにかけられるのか」)を実施。印タミル・ナドゥ州のヴァイコMDMK党首(注:プラバーカラン故LTTE指導者と関係が深かった政治家)らも参加。他方,EU内に「ス」政府との和解へ向けた動きも。 6月中旬,EU議会は,本年2月に行われたEU議員団(ランベール女史が団長)の「ス」視察報告のヒアリングを実施し,報告書を発表。「視察により「ス」政府の北部復興計画の詳細が理解でき,非常に前向きな取り組みが行われていると感じた。LLRCも前向きな動きであり,最終報告書の早期提出に期待。EUと「ス」は,過去における見解の相違にも拘わらず,建設的な関わり方をして行く余地があると確信した」と言及。

(3)ロシア・中国
●露・中国との首脳会談: 16~18日,「ラ」大統領は露サンクトペテルブルクでの第15回国際経済フォーラムに出席(「ピ」外相同行)し,メドヴェージェフ露大統領,胡錦涛中国国家主席らとそれぞれ会談した。「メ」露大統領は,:「露は「ス」の恒久的平和に向けたあらゆる努力を支援する用意がある」と発言。また胡錦涛国家主席は,「「ス」は「ラ」大統領のリーダーシップの下,政治的に安定し,経済発展は推進されている。中国は「ス」が独立性と国家主権,領土的一体性を守る立場を常に支持する」と発言。
●ジャヤラトナ首相訪中: 5日,「ジャ」首相は,中国雲南省昆明市を訪れ,輸出入博覧祭に出席した他,載乗国(Dai Binguo)中国国務委員と会談。「ジャ」首相は、「国際社会において中国が積極的な役割を果たしている状況を歓迎する」と述べた他、中国による「ス」に対する開発援助、また「ス」の国家主権と領土的一体性の尊重に感謝の意を表明。

(4)インド
●タミル・ナドゥ州議会の決議: 8日,印タミル・ナドゥ州議会は「ス」に関する決議を全会一致で可決し,印中央政府に以下3点を要請。(ア)「ス」への経済制裁,(イ)「ス」の政治指導者・軍指導者を正式に戦犯として宣言し,罰を与えるよう国連へ働きかけること,(ウ)カッチャティーヴ島(注:北部ジャフナと印タミル・ナドゥ州の間に位置する小島。1974年,「ス」に割譲されていた)の印タミル・ナドゥ州への返還。これに対し,9日,「ス」政府は,「「ス」・印両国間の課題について,印の州の決議にいちいち反応するつもりはない。我々は印中央政府とのみ協議を行っていく」と発言。
印政府代表団訪「ス」: 11日,印政府代表団(メノン印国家安全保障顧問,ラオ印外務次官,P.クマール国防次官ら)が訪「ス」し,「ラ」大統領,TNAらと会談。印政府は「ラ」大統領に対し,できるだけ早期の民族問題の政治的解決を期待する旨述べた他,第13次憲法修正を完全に実施するよう強く求めた。また北部住宅支援については,今月中に50戸を建設し,今年中に1,000戸を建設する計画を表明。他方,「ラ」大統領は,警察権限・土地権限を州議会に移譲するつもりはない,と伝達。

(5)日本
●東日本大震災への支援への感謝: 8日,高橋在「ス」日本国大使は,東日本大震災の災害救援として派遣されたスリランカ瓦礫除去チーム15名及びジャヤスーリヤ陸軍司令官他を大使公邸の晩餐会に招聘し,同チームに感謝状を手渡した他,「ラ」大統領に謝意を表明。
小和田ICJ所長訪「ス」: 6月27日~7月1日に亘り,コロンボで第50回アジア・アフリカ法律諮問委員会(AALCO)年次総会開催,小和田恆国際司法裁判所所長も出席。


スリランカ内政・外交(2011年5月1日-5月31日)

1 内政

(1)民族問題の解決・和解
●政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議:
12日,政府代表団(N.S.デシルバ大臣,G.L.ピーリス外相ほか)は,TNA議員団と直接協議を実施。政府は第二院の設置及び構成を提案したところ,TNA側は,むしろ第13次憲法修正の完全実施に向け権限移譲を進めるべき,と反論。同日,政府は別途EPDP(TNAとはライバル関係にある北部タミル政党)とも会談。会談後,ランブクウェラ報道大臣は記者会見において,「TNAとの協議は続いているが,我々はTNAを唯一のタミル政党の代表と考えている訳ではなく,他のタミル政党とも協議していく」と発言。また政府とTNAは,25日にも再度協議。協議後,スマンディランTNA議員は,「我々は政府に提案した権限移譲案に関する政府側の反応を待っているが,回答がいたずらに延期され続けており,落胆している」と発言。
●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 9日,LLRCは6ヶ月の任期延長を政府に要請。翌10日,「ラ」大統領はLLRCの任期延長について,「(自分からLLRCに要請したのではなく,)LLRCが延期を要請してきたので,それを承認したまでである。時間をかけて報告書を仕上げるのは良いこと」と発言。
新たな人権調査機関設置か: 25日,プリヤンタ・ペレーラ「ス」人権委員会(HRC)委員長は,政府はHRCの下に,北・東部州の人権・基本的権利侵害状況の調査機関を新たに設置し,6月にも活動を開始する予定である,と発言。他方,29日,政府軍も,戦闘末期の状況に関する調査委員会を新設し,戦闘末期に前線で戦った政府軍兵士たちからの証言を聴取した旨明らかに。
元LTTE要員の解放: 17~18日,政府は釈迦生誕2600周年にあたるウェサックに際する恩赦として,元LTTE要員850名が追加解放。
緊急事態令: 5日、国会での緊急事態令を巡る討議において,ジャヤラトナ首相は,「緊急事態令は既に最大限緩和されている」と述べ,これ以上の緩和措置については触れず。
北部州議会選挙: 10日,「ラ」大統領は記者団に対し,「北部住民の再定住プロセスと有権者登録が完了すれば,北部州議会選挙を間もなく実施する」と発言。

(2)終戦2周年
政府軍は,5月19日から6月19日までの1ヶ月間を「戦争英雄記念月間」に指定。27日にはコロンボ中心部のゴールフェイス・グリーン広場でラージャパクサ大統領出席の下で戦勝記念セレモニーを実施。当日は雨天となり,昨年に比べ国会議員の出席者は減少したものの,報道では祝勝ムード演出。大統領演説では,民族問題の解決の上で外国からの介入を拒否し自前で問題解決すべき,と主張。

(3)市民による抗議デモ・ストライキ
●全国大学教員によるストライキ: 
5日,全国の大学教員らは,200%の昇給等を求めてストライキ実施。大学幹部の90%以上が辞表を提出し受理され,全国の大学は機能不全に。これに対し,10日,「ラ」大統領は,200%の昇給要求を拒否。また25日,「ラ」大統領は大学教員連盟(FUTA)と直接協議。協議は平行線に終わり,FUTAは今後も抗議行動を続けていくと宣言。こうした中,政府は,全国の大学新入生約1万2千人を対象に全国28箇所の軍施設で3週間に亘るリーダーシップ訓練を開始(23日)。
●労働組合による抗議デモ: 24日,コロンボ国際空港近辺の自由貿易区の私企業労働者たち約2万人が,「非関税地域労働組合(FTZTU)」の指導の下,政府の提案する年金制度法案に反対し抗議活動を実施した。参加者の多くはアパレル産業の労働者であった。治安部隊も出動し,15名逮捕。


(4)最大野党UNPの動向
3日,UNP諮問委員会は,党6役の一ポストであるナショナル・オーガナイザーに,カルナナーヤケUNP国際部長(ウィクラマシンハ総裁の側近の一人)を選出。これに対し,「ウィ」総裁派と対立する党改革派のサジット・プレマダーサUNP議員らは,「カ」議員の選出は違法であるとして地方裁に提訴。

(5)在外LTTE残党の動向
●ネディヤワン氏逮捕: ノルウェー・オスロにおいて,「ノ」在住のLTTE残党の中心的人物の一人であるW.ネディヤワン氏(通称,注:本名はペリンパナヤガム・シワパーラン。在外LTTE残党の中でも最も過激・暴力的な派閥と言われる)が逮捕され,18~19日にオスロ裁判所に出頭。
●国際警察(インターポル)がKPを再指名手配: インターポルは,ラジブ・ガンディー元印首相殺害事件にLTTEが関与していたと証言したKP(通称,注:プラバーカランLTTE指導者死亡後,LTTEの新指導者として名乗りを挙げたが2009年にマレーシアで逮捕)を,再度,指名手配する手続き実施。

2.外交

(1)国連: 専門家パネル報告書の公表後の動向
●国連本部とのコミュニケーション: 5月1日(メーデー),与党連合UPFAはラージャパクサ大統領出席の下,国連専門家パネル報告書に対する抗議を大々的に打ち出した大規模な集会をコロンボ市内で開催。同日,G.L.ピーリス外相は訪問先のオマーンからバン国連事務総長に電話をかけ会談し,「ス」政府の戦後の努力を認めてもらうよう書簡を書く旨伝達。4日,バン国連事務総長はコホナ国連代表部大使と会談し,「「ス」政府には専門家パネル報告書の勧告を真剣に捉えてほしい」と伝達。10日,「ラ」大統領は記者団に対し,「(国連報告書への対応について,)LLRCの報告書が提出されるまで,誰も口出しすべきでない」と発言。20日,ネシルキー国連報道官は,「「ス」政府或いは政府間機関からの要請がない限り,バン事務総長は独自に戦争犯罪調査を開始することはない」と発言。他方,10日,紛争下の文民の保護に関する安保理公開討論において、エイモス人道問題担当国連事務次長は,戦闘末期の一般人の死者数統計について国連報告書で言及された4万人という数字を引用。
●ジュネーブ第17回国連人権理事会(UNHRC): 30日,UNHRC開始。ピライ国連人権高等弁務官は,「国連専門家パネル報告書の勧告を完全に支持する。「ス」戦闘末期の人権状況に関する国際調査メカニズムが設置されるべき」と発言。これに対し,訪寿したサマラシンハ・プランテーション大臣(人権担当)は,「国連は客観性を欠き偏見に満ちた専門家パネル報告書を受理し,マンデートを超えて公表するなど,中立性・独立性を欠いている。政府はLLRC等の国内プロセスを進めており,その結果を待たずして報告書を出すのはおかしい。他方,国連とは今後も建設的な対話を続けていく」と発言。なお,27日,クリストフ・ヘインズ国連特別報告者は,「超法規的殺害,即決・恣意的処刑に関する報告書」を提出。英テレビ局チャンネル4が報道して物議を醸した「ス」政府軍によるタミル市民処刑動画を分析した結果,「真正である」との結論を発表。

(2)西側諸国との関係
●米国:  4日,訪「ス」したブレイク米国務次官補は声明を発表し,戦後復旧・復興の進展状況を具体的に列挙するなど,「ス」政府への配慮を前面に。また国連専門家パネル報告書のように「ス」国内の取り組みである「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の意義を否定するのではなく,「LLRCは重要な役割を担っている」とし,その活動を支持・慫慂する立場を改めて示唆。これに対し,「ス」政府は国連との対話が重要,との米国の見解に合意。
●EU: 10日,アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は声明を発し,「「ス」に関する国連報告書の公表は,「ス」の説明責任にとって重要な進歩。EUは,「ス」政府が同報告書における建設的な目的を理解し,国連事務総長と協力していくことを期待する」と発言。また12日,ストラスブールで開催された欧州議会総会で「ス」に関する緊急討議を開催。「ス」政府に対し国連専門家パネル報告書の勧告に基づき措置を取るよう求める修正決議(an ammended resolution)を採択。

(3)アジア諸国との関係
●インド: 16日,G.L.ピーリス外相が訪印し,シン印首相,クリシュナ印外相らとそれぞれ会談。翌17日には共同声明を発表。印政府は「ス」に対し,真の民族和解の実現に向け,IDPの再定住,緊急事態令の早期撤廃,人権状況調査の実施,戦争被災地の平常化,を要求した旨記載。また13日,印タミル・ナドゥ州議会選挙の結果が発表され,ジャヤラリータ元TN州首相率いるAIADMKを中心とする政党連合が圧勝。州首相に返り咲いた「ジャ」AIADMK党首は,「「ス」大統領をジェノサイド及び戦争犯罪の容疑で国際裁判所の裁きにかけるよう,印中央政府に強く働きかける。また経済制裁等,他の手段を講じ,「ス」に外圧をかけていく」と発言。これに対し,「ス」政府は,「「TN州政府が代わっても,印中央政府の政策に変更はないはずである。印・「ス」関係は友好的である」と反応(15日)。
●中国: 23日,「ピ」外相は,中国北京を公式訪問し楊潔チー(注:竹冠に虎の字)中国国務院外交部長らと会談。「ピ」外相は,国連専門家パネル報告書に関する「ス」政府の見解を説明し,支援を要請。これに対し,楊外交部長は,「中国としては「ス」政府・国民が,自らの問題を解決出来ると確信している。中国は「ス」が和解と復興の実現に向け,「ス」と共にある」と発言。
●日本: 3~4日,日本の菊田外務政務官が訪「ス」し,「ラ」大統領,「ピ」外相らと会談。また12日,側嶋外務副報道官はデイリーミラー紙の電子メール・インタビューに応え,「日本は「ス」政府が国連と緊密な協力関係を持ちつつ,国民和解と説明責任の課題に取り組むことを期待。また国内プロセスであるLLRCの活動を通じて,国民和解に向けた具体的な措置を期待する」と発言。
●非同盟諸国: 26日,G.L.ピーリス外相は第16回非同盟諸国外相会議に参加するため,インドネシア,バリ島を訪れ,NAM議長国エジプトのナビル・アル・アラビ外相と会談。
●パキスタン: 3日,ジャヤラトナ首相は,「(ウサマ・ビン・ラーディン氏殺害について,)一国の軍隊が別の主権国家内で勝手に活動し,人を殺害することが何故許されるのか理解できない」と発言。
(了)  


スリランカ内政・外交(2011年4月1日-4月30日)

1 内政

(1)民族問題の解決・和解
●政府と最大タミル政党連合TNAの直接協議: 7日,政府はTNAとの第4回直接協議を開催。両者は戦後の課題への取り組み(北部住民の人道問題,復旧・復興問題)を協議。会談後,セネティラージャTNA議員は「第13次憲法修正では民族問題の解決としては不十分であり,権限移譲を実質的に行える新たな政治メカニズムが必要」と発言。また30日には,第5回直接協議開催。民族問題の政治解決の問題,及び権限移譲に関する基本理念等に関し協議された他,国連報告書に関するTNAの声明に関し激しい議論が行われた模様。本協議後,ウィクラマナヤケ前首相(統治向上・インフラ整備担当上級大臣)は,「「ス」への戦争犯罪容疑をかける報告書を支持するような政党とは最早交渉はできない」として,今後の直接協議には参加しない意向を表明。しかし「ウィ」前首相の辞意にも拘わらず,政府・TNAともに協議を続けていく意向を表明。


●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 20日,LLRCは,「5月15日までに最終報告書を完成させ,大統領に提出する予定」と発表。


●緊急事態令緩和へ: 24日,ジャヤラトナ首相は国会において,「政府は法律家や関係政党との協議を進めた上で,緊急事態令を来月にも緩和する」と宣言。


●元LTTE要員の解放: 1日,北部の元LTTE要員社会復帰施設から新たに206名が解放。23日にも480名解放。7日,「ジャ」首相は国会において,「全体の70%にあたる6,000名以上の元LTTE要員が既に解放され,社会復帰を果たした。残る30%についても,本年中にはすべて解放予定」と発言。


●国防費削減へ:ラージャパクサ大統領発言: 6日,「ラ」大統領は,「これからは戦争に関する国家支出を,貧困と苦境の削減に関する研究開発に向けるべき。単に紛争を終わらせるだけでなく,戦争経費を,福祉や開発分野に転換させることも,我々「ス」政府の人道政策の一部。国防費を開発に転換していく決意を世界に示したい」と発言。

(2)地方行政改革
●地方議会選挙法改正案
5日,地方議会法特別法案及び選挙法改正法案が国会に提出され,第二読解まで可決。更に最終読解の段階に達した際,同法案はシンハラ語版のみが提出され,タミル語版が提出されなかったことが問題となり,最終投票は後日延期に。


●コロンボ市議会の機能縮小か
野党UNP筋によると,政府はコロンボ都市圏の5つの地方議会(コロンボ市議会,マウントラヴィニヤ=デヒワラ市議会ほか)の行政機能を,コロンボ市公営社(Colombo Metropolitan City Corporation: CMCC)に移し,CMCCに一括運営させる方向。UNPはこれを違法として,提訴する構え(5日)。

2.外交

(1)国連: 専門家パネル報告書の提出・公表
●公表の経緯: 12日,スリランカ内戦末期の人権問題を扱う国連専門家パネルは,バン国連事務総長に対する助言を目的とした報告書を提出。翌13日,この要旨部分(Executive Summary)が「ス」メディアに漏洩。25日,国連は自ら報告書全文(2011年3月31日付,196頁)を公表。なお,報告書の背景には,英・米国内のタミル・ダイアスポラ団体(「グローバル・タミル・フォーラム(GTF,注:親LTTEのタミル人ダイアスポラのグローバル・ネットワークの一つ)」や「在米タミル人政治行動評議会(USTPAC,注:2009年設立)」)からの強い働きかけがあったとの説も。


●報告書内容: 「ス」政府への配慮が少なく,極めて批判的な内容。「ス」政府とLTTEによる戦争犯罪の可能性を示唆する説が並べられ,国際法違反に値する可能性があるとの解釈。更に,国連との共同声明の内容に反して,人権状況への説明責任が果たされていないとし,特にLLRCは国際基準を満たさないとして意義を否定し,新たに独立した国際的な調査メカニズムを新設すべき,と提案。


●「ス」国内の反応: 「ラ」大統領をはじめ,「ス」政府関係者は本報告書の内容は事実ではないと一同に否定し,国連・欧米側の認識を問題視する姿勢。G.L.ピーリス外相は,「本報告書は事務総長個人への助言のためのもののはずであり,この公開はマンデートを超えた行為。国連とは協力し合う用意ができているが,報告書を受け入れることはできない(21日,記者会見)。」,「ダルスマン報告書(注:パネルの中心メンバーであるダルスマン氏の名前を,揶揄的に付した呼び名)」は,欠陥が多く,情報源にバイアスがかかっており,証拠もない(27日,外務省声明) 」との見解。政府に限らず,最大野党UNPも批判的な見解を示したが,例外的に最大タミル政党連合TNAのみが歓迎声明。報告書提出当初は,祝日(シンハラ・タミル正月:13~14日)であったことから,抗議活動等の騒ぎは起きなかったものの,大統領自身が5月1日のメーデーに国を挙げて抗議活動を行うと宣言。他方,20日,治安当局は,「5月1日の国連に対する抗議集会では,当地国連職員には決して危害を与えさせない」と発言するなど,慎重な姿勢も。総じて,「ス」政府の反応は,表向きは反発・抗議の姿勢を示しつつも,その半面で,緊急事態令の緩和を宣言する等,国連・欧米に配慮し,柔軟な姿勢を見せるようになっているとの見方も。


●国外関係者の反応: 27日,英国・米国はそれぞれ歓迎声明を発出。他方,露・中国が「ス」政府支持を表明。30日,ミハイロフ当地露大使は,「もし国連安保理で「ス」を取り上げようとする決議が出ようものならば,露は反対し,拒否権を行使するだろう」と発言。同日,Hong Lei中国外務省報道官は,「「ス」政府と国民は,内戦の問題に必ずや適切に対応できると信じている」と擁護。

(2)西側諸国との関係
●米国:  ブレイク米国務次官補が,親LTTEのタミル・ダイアスポラ・グループの代表格と言われるGTFのエマニュエル師,及び英BTFのスレンディラン代表らと,国務省内で会談した事実が明らかに(4日付)。また6日,「ブ」次官補は米下院議会下の外交委員会で発言し,「「ス」における人権状況と戦闘末期の状況,民主的な組織の弱体化及び運用状況等,を憂慮している。今後の米と「ス」の協力関係は,「ス」側がどれだけ人権状況の改善を行い,内戦末期の状況についての説明責任を果たすかにかかっている」と発言。また8日,米国務省は,国別報告書を発表し,「ス」の人権状況や親族支配を巡り「ス」政府の対応を批判。


●英国: 3月30日より英国を公式訪問したG.L.ピーリス外相は,フォックス国防大臣,バート外務次官らと会談(ヘーグ外相との会談は実現せず)。その後,「ピ」外相は約1週間に亘り,私的に英国滞在。


●SAARC: 5日,コロンボ市内のホテルで第9回SAARC警察関係者会合が開催。加盟国7カ国が出席(「ス」からはゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官)。同次官は,「南アジア地域の国際法を強制できる機関として,SAARCPOL新設を提案。


●国際人権団体: 9日,ヒューマンライツウォッチ(HRW)は声明を発し,「「ス」政府は,戦闘末期に拘束されたLTTE要員の情報を隠蔽したまま,説明責任を果たしていない。特に政府軍が拘束したはずの20名ほどのLTTE幹部の行方が分からない」と主張。

(3)アジア諸国との関係
●日本: 11日,菅首相は,「ス」が東日本大震災に際して支援をしてくれたことに対する感謝のメッセージを発表。


●インド: 2日,印ムンバイにおいて,クリケット・ワールドカップ決勝戦(スリランカ対インド)が行われ,接戦の末,印が勝利。ラージャパクサ大統領及びナマル・ラージャパクサ議員(大統領の長男)がパテル印大統領と共に観戦。5日,ソニア・ガンディー印コングレス党指導者は,チェンナイでの選挙集会において,「印政府は「ス」政府に対し,タミル人の平等な権利と社会的地位の保証に向け,憲法を改正するよう圧力をかけている」と発言。13日,印タミルナドゥ州議会選挙実施。


●バングラデシュ 18日,バングラデシュを初めて公式訪問した「ラ」大統領は,ハシーナ「バ」首相と会談。両国は,農業,教育,家畜,情報・商業の各分野において,協力関係を強化すべく,5つの覚書に署名。同行したG.L.ピーリス外相はモニ・「バ」外相と会談。

(1)選挙
●全国約7割の地方議会で選挙実施: 17日,全国335の地方議会の内,約7割にあたる234議会(3市議会,30 町議会,201村議会)で選択的に選挙実施(有権者数: 9,813,365名)。与党連合UPFAが234議会中,205議会で勝利し,各紙とも「与党圧勝」と報道(ただし,得票率で見ると,2大政党の勝差は約21ポイントで,昨年の総選挙での勝差とほぼ同じ)。野党各党は完敗ムード。特に最大野党UNPは伸び悩み,第一党となれた議会が僅か9と極めて少ない結果に終わったことから,党内のリーダーシップ問題が再燃。野党JVPは1議席も抑えられず完敗。最大タミル政党連合TNAは,北・東部で健闘。18日午後,ディサナヤケ選管委員長は選挙プロセスに関する声明を発し,「過去の地方選挙と比べると,良い雰囲気の中で投票が行われたが,一部の政党・団体の選挙キャンペーン期間中及び投票日におけるマナーは,国営メディア等の国有資源の濫用も含め,遺憾である」と発表。なお,警察によると,選挙キャンペーン期間中の死亡者数は2名,逮捕者140名,不満件数162件。


●最大野党UNPの動向: 地方選挙での惨敗を受け,UNPは21~23日に亘り党作業部会を開催し,党リーダーシップ改革を巡り協議。その結果,現職のウィクラマシンハ総裁が満場一致で改めて再選。また党副総裁ポストは1名から2名に増員され,現職のカル・ジャヤスーリヤ副総裁の他に,党改革派のサジット・プレマダーサ議員が就任する運びに。3名を中心とした寡頭体制となるも,リーダー間の力関係に大きな変化はないまま。24日,「ラ」大統領は,再選を決めた「ウィ」氏に祝辞を発信。


●選挙管理委員長の交代: 24日,「ラ」大統領は,D.ディサナヤケ選挙管理委員長の同職退任の希望を受け入れ,後任にデシャプリヤ氏を任命。新選管委員長となった「デ」氏は,1983年より選挙管理委員長補佐,2006年より選管副委員長を歴任。

(2)民族問題の解決・和解
●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 25~27日,LLRCは追加の公聴会を東部州アンパーラ県等で追加実施。30日,LLRCはこれを持って公聴会を終了し,最終報告書を5月に大統領に提出する旨発表。


●政府と最大タミル政党連合TNAの協議: 18日,最大タミル政党連合TNAは大統領府を訪れ、G.L.ピーリス外相ほか政府幹部らと協議。今後も協議を続け、次なる憲法修正も含めた協議を行っていくことで合意。セナティラージャTNA議員は,TNAとして今後,4月7日及び27日に政府と協議を行う予定であり,7日の会合で高度警戒地域(HSZ)の縮小問題及び元LTTE要員の解放と社会復帰に関する問題を協議し,27日の会合までに権限移譲に関する提案を纏め,提出したい考えを明らかに(26日)。また「セ」議員は,「TNAは北部州への警察権限,土地権限,森林保護の権限の移譲を望んでおり,今後,「ラ」大統領との協議の中で提案していく」と発言。本年2月にクリシュナ印外相が訪「ス」した際,「ク」外相から「ラ」大統領に対して第13次憲法修正を超えた措置を要求すべきであると助言された」と発言。


●政府軍の北部プレゼンス縮小の兆候: 4日,政府軍は過去16年間に亘り政府軍51師団が占拠していたジャフナ市内の「スバシュ・ホテル」を,今般元の所有者に引き渡すと発表。また17日にはジャフナ市内のヴィクトリア・ロードを開放し、ジャフナ市内からすべてのHSZの除去が完了したと発表。


●北部における政府軍による住民登録問題: 最大野党TNAの議員らは,政府軍が北部州ジャフナ県・キリノッチ県の住民らに対し,登録を強要し,彼らの顔写真を撮って回っているとして,これを即時に停止するよう求める基本的人権訴訟を最高裁に提訴。3日,検察も本問題の所在を認め,軍に対しこうした措置を即時停止するよう勧告。

(3)国内NGOへの懐疑論
国内の平和関連NGOに欧米からの経済支援を疑問視する論調高まる。特に,大手政策提言型NGOである「代替政策センター(CPA)」,「国民評議会(NPC)」,トランスパレンシー・インターナショナル(TI)」の3団体には,過去3年間で合計6億ルピー以上の資金が,ノルウェーら欧米から流入した由。こうした報道に続き,犯罪捜査局(CID)は,最大の被供与団体の一つとされる国民評議会(NPC)を含め,海外ドナーから経済支援を受けてきたNGOを対象に資金運用に関する捜査を進めている旨明らかに。本件に関し,26日,「ラ」大統領も記者団に対し,「野党や一部のNGOが真実を歪めて国際社会に伝えるなど「ス」国民の利益に反する行為を行っており,憂慮される。一部のNGOに使途不明な資金がある疑いがかけられていることによる捜査である。説明責任の問題は,NGOにも問われるべき」と発言。

(4)コロンボ市公営社(CMCC)の新設
24日の閣議において,政府はコロンボ市議会をはじめ,コロンボ地域の5つの地方議会による開発プロセスを支援する機関として,「コロンボ市公営社(Colombo Metropolitan City Corporation: CMCC)」の新設を決定。CMCCは大統領によって任命される任期6年の市知事(Governor)によって運営され,コロンボ市議会ほか関係地方議会と並存する由。

2.外交
(1)アジア諸国との関係
●日本: 東日本太平洋沖地震災害の発生を受け,被災者への哀悼の声多数。11日,「ラ」大統領は日本の天皇陛下宛に書簡を発し,地震・津波の被災者への哀悼の意を表明。また「ラ」大統領は高橋邦夫在「ス」日本国大使に架電し,「ス」として津波災害に対する支援を行う用意がある旨伝達。また13日,「ラ」大統領は100万ドル相当の支援を実施したいとの意向を発表。16日以降,「ス」政府要人が当地日本大使館を訪れ,弔問記帳を実施(「ラ」大統領(18日),「ピ」外相(18),ウィクラマシンハ最大野党UNP総裁(16日))。また27日午後6時より,大統領官邸において,「ラ」大統領の主催により,追悼仏教式典が開催され,式典の模様は同日テレビでも全国放映。全国の寺院でも追悼式開催。


●インド: 9日、国会討議において,ジャヤラトナ首相は「LTTE残党のプガレンドランという人物が,印タミルナドゥ州内3カ所で秘密裏にテロリスト養成訓練を行っているとの情報があり,印政治関係者が標的とされる恐れがある」と発言。これに対し,10日,当地印大使館は声明を発し,「ジャ」首相の発言は事実ではないと否定。本件に関し,野党UNP議員は「「ジャ」首相は国会の場で証拠のない話を述べ,印との関係を悪化させた。「ジャ」首相は直ちに辞任すべき」と非難。新聞各紙も「ジャ」首相を批判的な論調。また29日,ウヤンゴダ外務次官補が訪印し,印政府との間で,漁業資源の持続性及び両国の漁民の生活・安全・安全保障に関する指針(roadmap)に合意。


●リビア:  4日,リビアのガダフィ大佐は「ラ」大統領に電話会談を持ちかけ,リビア国内の情勢について説明。これに対し,「ラ」大統領は,一刻も早くリビアに平和がもたらされることを願うと伝えた他,リビア国民の命を守るよう要請。また22日,ピーリス外相は国会において,「「ス」とリビアの関係は親密であり,それ故,リビアを危機に貶めるような空爆は容認し難い。国連安保理決議の目的は市民の命を守ることにあり,今回のような行動はマンデートを逸脱している。リビアでの暴力を停止する必要があり,平和的に解決されることを願う」と発言。


●中国: 17日,北京を訪中したシランティ・ラージャパクサ大統領夫人は文化展で講演を実施。22日,北西部州ノロッチョライにおけるラク・ウィジャヤ火力発電所建設(中国による経済支援)第一工程の完了式典が開催。ただし,本件報道では,中国の存在は前面に出ず。


●ブラジル: 7日,パトリオータ・ブラジル外相が訪「ス」し,「ラ」大統領ら,政府要人と会談。

(2)西側諸国との関係
●国連: 4日にバン国連事務総長に提出予定であった国連専門家パネルの最終報告書は,数週間遅延されるとの報道。本件に関し,8日,サマラシンハ・プランテーション大臣(政府人権担当)は,ジュネーブ国連人権理事会(UNHRC)から帰国後の記者会見の中で,「国連専門家パネルはバン事務総長に報告を行うにあたって,手続き的な問題を抱えているようである。そもそも国連専門家パネルは安保理との相談もなしに設置された経緯があり,国連人権理事会にも提出されなかった」と発言。また26日及び28日,「ラ」大統領は記者団に対し,「国連専門家パネルの報告書は,LLRCのような広い見地に基づく内容にはならず,一つの見解を述べる程度のものとなるだろう。国連パネルが訪「ス」を希望しLLRCで証言したいというなら歓迎するが,調査目的での訪「ス」は許されない」と発言。


●米国:  米上院議会は,「ス」政府に対する戦争犯罪調査を巡り独立した国際調査を求める決議を可決。これに対し,4日,「ス」外務省は声明を発し,「米国は「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の成果を軽視しすぎている」と反論。8日,ブテニス当地米国大使は大統領府にて「ラ」大統領と会談し,紛争後の開発プロセスへの支援の意志を改めて表明した他,「ス」政府と最大タミル政党連合TNAとの協議の進展,戦後の民族和解プロセスの進展等につき協議。


●EU: 9日,当地EUは声明を発し,「地方議会選挙前に発生している暴力を懸念している。既に死者2名を記録しているほか,負傷者も大勢いる」と非難。26~30日,G.L.ピーリス外相はチェコを公式訪問し,シュワルツェンベルグ・チェコ副首相兼外相らと会談。


●英国: 外交筋によると,G.L.ピーリス外相は4月上旬の訪英を希望しているが,ヘーグ英外相がこれを許可していない模様。


●アムネスティ・インターナショナル(AI): 9日,AIはジュネーブ国連人権理事会(UNHRC)の場で発言し,「「ス」政府はキャンプに拘束中の人々を即時解放すべきであり,国際基準に則り抑圧的な反テロ法を改正すべきである」と主張。


●ICRC: 27日,ICRCが北部州ワウニヤ事務所の活動を終了し,北部から撤退。

 (了) 


スリランカ内政・外交(2011年3月1日-3月31日)

1 内政

(1)選挙
●全国約7割の地方議会で選挙実施: 17日,全国335の地方議会の内,約7割にあたる234議会(3市議会,30 町議会,201村議会)で選択的に選挙実施(有権者数: 9,813,365名)。与党連合UPFAが234議会中,205議会で勝利し,各紙とも「与党圧勝」と報道(ただし,得票率で見ると,2大政党の勝差は約21ポイントで,昨年の総選挙での勝差とほぼ同じ)。野党各党は完敗ムード。特に最大野党UNPは伸び悩み,第一党となれた議会が僅か9と極めて少ない結果に終わったことから,党内のリーダーシップ問題が再燃。野党JVPは1議席も抑えられず完敗。最大タミル政党連合TNAは,北・東部で健闘。18日午後,ディサナヤケ選管委員長は選挙プロセスに関する声明を発し,「過去の地方選挙と比べると,良い雰囲気の中で投票が行われたが,一部の政党・団体の選挙キャンペーン期間中及び投票日におけるマナーは,国営メディア等の国有資源の濫用も含め,遺憾である」と発表。なお,警察によると,選挙キャンペーン期間中の死亡者数は2名,逮捕者140名,不満件数162件。
●最大野党UNPの動向: 地方選挙での惨敗を受け,UNPは21~23日に亘り党作業部会を開催し,党リーダーシップ改革を巡り協議。その結果,現職のウィクラマシンハ総裁が満場一致で改めて再選。また党副総裁ポストは1名から2名に増員され,現職のカル・ジャヤスーリヤ副総裁の他に,党改革派のサジット・プレマダーサ議員が就任する運びに。3名を中心とした寡頭体制となるも,リーダー間の力関係に大きな変化はないまま。24日,「ラ」大統領は,再選を決めた「ウィ」氏に祝辞を発信。
●選挙管理委員長の交代: 24日,「ラ」大統領は,D.ディサナヤケ選挙管理委員長の同職退任の希望を受け入れ,後任にデシャプリヤ氏を任命。新選管委員長となった「デ」氏は,1983年より選挙管理委員長補佐,2006年より選管副委員長を歴任。

(2)民族問題の解決・和解
●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 25~27日,LLRCは追加の公聴会を東部州アンパーラ県等で追加実施。30日,LLRCはこれを持って公聴会を終了し,最終報告書を5月に大統領に提出する旨発表。
●政府と最大タミル政党連合TNAの協議: 18日,最大タミル政党連合TNAは大統領府を訪れ、G.L.ピーリス外相ほか政府幹部らと協議。今後も協議を続け、次なる憲法修正も含めた協議を行っていくことで合意。セナティラージャTNA議員は,TNAとして今後,4月7日及び27日に政府と協議を行う予定であり,7日の会合で高度警戒地域(HSZ)の縮小問題及び元LTTE要員の解放と社会復帰に関する問題を協議し,27日の会合までに権限移譲に関する提案を纏め,提出したい考えを明らかに(26日)。また「セ」議員は,「TNAは北部州への警察権限,土地権限,森林保護の権限の移譲を望んでおり,今後,「ラ」大統領との協議の中で提案していく」と発言。本年2月にクリシュナ印外相が訪「ス」した際,「ク」外相から「ラ」大統領に対して第13次憲法修正を超えた措置を要求すべきであると助言された」と発言。
●政府軍の北部プレゼンス縮小の兆候: 4日,政府軍は過去16年間に亘り政府軍51師団が占拠していたジャフナ市内の「スバシュ・ホテル」を,今般元の所有者に引き渡すと発表。また17日にはジャフナ市内のヴィクトリア・ロードを開放し、ジャフナ市内からすべてのHSZの除去が完了したと発表。
●北部における政府軍による住民登録問題: 最大野党TNAの議員らは,政府軍が北部州ジャフナ県・キリノッチ県の住民らに対し,登録を強要し,彼らの顔写真を撮って回っているとして,これを即時に停止するよう求める基本的人権訴訟を最高裁に提訴。3日,検察も本問題の所在を認め,軍に対しこうした措置を即時停止するよう勧告。

(3)国内NGOへの懐疑論
国内の平和関連NGOに欧米からの経済支援を疑問視する論調高まる。特に,大手政策提言型NGOである「代替政策センター(CPA)」,「国民評議会(NPC)」,トランスパレンシー・インターナショナル(TI)」の3団体には,過去3年間で合計6億ルピー以上の資金が,ノルウェーら欧米から流入した由。こうした報道に続き,犯罪捜査局(CID)は,最大の被供与団体の一つとされる国民評議会(NPC)を含め,海外ドナーから経済支援を受けてきたNGOを対象に資金運用に関する捜査を進めている旨明らかに。本件に関し,26日,「ラ」大統領も記者団に対し,「野党や一部のNGOが真実を歪めて国際社会に伝えるなど「ス」国民の利益に反する行為を行っており,憂慮される。一部のNGOに使途不明な資金がある疑いがかけられていることによる捜査である。説明責任の問題は,NGOにも問われるべき」と発言。

(4)コロンボ市公営社(CMCC)の新設
24日の閣議において,政府はコロンボ市議会をはじめ,コロンボ地域の5つの地方議会による開発プロセスを支援する機関として,「コロンボ市公営社(Colombo Metropolitan City Corporation: CMCC)」の新設を決定。CMCCは大統領によって任命される任期6年の市知事(Governor)によって運営され,コロンボ市議会ほか関係地方議会と並存する由。

2.外交
(1)アジア諸国との関係
●日本: 東日本太平洋沖地震災害の発生を受け,被災者への哀悼の声多数。11日,「ラ」大統領は日本の天皇陛下宛に書簡を発し,地震・津波の被災者への哀悼の意を表明。また「ラ」大統領は高橋邦夫在「ス」日本国大使に架電し,「ス」として津波災害に対する支援を行う用意がある旨伝達。また13日,「ラ」大統領は100万ドル相当の支援を実施したいとの意向を発表。16日以降,「ス」政府要人が当地日本大使館を訪れ,弔問記帳を実施(「ラ」大統領(18日),「ピ」外相(18),ウィクラマシンハ最大野党UNP総裁(16日))。また27日午後6時より,大統領官邸において,「ラ」大統領の主催により,追悼仏教式典が開催され,式典の模様は同日テレビでも全国放映。全国の寺院でも追悼式開催。
●インド: 9日、国会討議において,ジャヤラトナ首相は「LTTE残党のプガレンドランという人物が,印タミルナドゥ州内3カ所で秘密裏にテロリスト養成訓練を行っているとの情報があり,印政治関係者が標的とされる恐れがある」と発言。これに対し,10日,当地印大使館は声明を発し,「ジャ」首相の発言は事実ではないと否定。本件に関し,野党UNP議員は「「ジャ」首相は国会の場で証拠のない話を述べ,印との関係を悪化させた。「ジャ」首相は直ちに辞任すべき」と非難。新聞各紙も「ジャ」首相を批判的な論調。また29日,ウヤンゴダ外務次官補が訪印し,印政府との間で,漁業資源の持続性及び両国の漁民の生活・安全・安全保障に関する指針(roadmap)に合意。
●リビア:  4日,リビアのガダフィ大佐は「ラ」大統領に電話会談を持ちかけ,リビア国内の情勢について説明。これに対し,「ラ」大統領は,一刻も早くリビアに平和がもたらされることを願うと伝えた他,リビア国民の命を守るよう要請。また22日,ピーリス外相は国会において,「「ス」とリビアの関係は親密であり,それ故,リビアを危機に貶めるような空爆は容認し難い。国連安保理決議の目的は市民の命を守ることにあり,今回のような行動はマンデートを逸脱している。リビアでの暴力を停止する必要があり,平和的に解決されることを願う」と発言。
●中国: 17日,北京を訪中したシランティ・ラージャパクサ大統領夫人は文化展で講演を実施。22日,北西部州ノロッチョライにおけるラク・ウィジャヤ火力発電所建設(中国による経済支援)第一工程の完了式典が開催。ただし,本件報道では,中国の存在は前面に出ず。
●ブラジル: 7日,パトリオータ・ブラジル外相が訪「ス」し,「ラ」大統領ら,政府要人と会談。

(2)西側諸国との関係
●国連: 4日にバン国連事務総長に提出予定であった国連専門家パネルの最終報告書は,数週間遅延されるとの報道。本件に関し,8日,サマラシンハ・プランテーション大臣(政府人権担当)は,ジュネーブ国連人権理事会(UNHRC)から帰国後の記者会見の中で,「国連専門家パネルはバン事務総長に報告を行うにあたって,手続き的な問題を抱えているようである。そもそも国連専門家パネルは安保理との相談もなしに設置された経緯があり,国連人権理事会にも提出されなかった」と発言。また26日及び28日,「ラ」大統領は記者団に対し,「国連専門家パネルの報告書は,LLRCのような広い見地に基づく内容にはならず,一つの見解を述べる程度のものとなるだろう。国連パネルが訪「ス」を希望しLLRCで証言したいというなら歓迎するが,調査目的での訪「ス」は許されない」と発言。
●米国:  米上院議会は,「ス」政府に対する戦争犯罪調査を巡り独立した国際調査を求める決議を可決。これに対し,4日,「ス」外務省は声明を発し,「米国は「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の成果を軽視しすぎている」と反論。8日,ブテニス当地米国大使は大統領府にて「ラ」大統領と会談し,紛争後の開発プロセスへの支援の意志を改めて表明した他,「ス」政府と最大タミル政党連合TNAとの協議の進展,戦後の民族和解プロセスの進展等につき協議。
●EU: 9日,当地EUは声明を発し,「地方議会選挙前に発生している暴力を懸念している。既に死者2名を記録しているほか,負傷者も大勢いる」と非難。26~30日,G.L.ピーリス外相はチェコを公式訪問し,シュワルツェンベルグ・チェコ副首相兼外相らと会談。
●英国: 外交筋によると,G.L.ピーリス外相は4月上旬の訪英を希望しているが,ヘーグ英外相がこれを許可していない模様。
●アムネスティ・インターナショナル(AI): 9日,AIはジュネーブ国連人権理事会(UNHRC)の場で発言し,「「ス」政府はキャンプに拘束中の人々を即時解放すべきであり,国際基準に則り抑圧的な反テロ法を改正すべきである」と主張。
●ICRC: 27日,ICRCが北部州ワウニヤ事務所の活動を終了し,北部から撤退。


スリランカ内政・外交(2011年2月1日-2月28日)

1 内政

(1)大雨洪水災害第2波
2月2日から全国的に降り続いた大雨の影響で,東部,北中央州・北部州を中心に洪水災害が拡大し,124万人以上に影響。3日午前中までの一日間の降雨量は,東部州各県で160mm~187mm,北中央州ポロンナルワ県で161.4mmを記録。全国の被害状況は,死者11名,全壊家屋1,161件,半壊家屋8,412件,一時避難者250,501名,一時避難所653カ所,決壊貯水池約500カ所,田畑の被害約30万エーカーとなり,被害は特に東部州・北中央州・北部州に集中。政府は,大雨洪水災害の被害総額は約330億ルピーと見積もり,本額を大雨洪水災害に対する支援に割り当てる計画を発表(12日)。他方,国連も,「大雨洪水災害第二波は,1月の第一波よりも大きな被害をもたらした」との見解発表(7日)。

(2)民族問題の解決・和解
●ラージャパクサ大統領発言: 4日,「ラ」大統領はカタラガマで開催された独立記念式典で演説。何よりも経済開発に邁進するとの姿勢を強調するも,民族問題の政治的解決・権限移譲には全く触れず。噂される「ラ」大統領の健康問題について初めて触れ,自ら健康である旨アピール。


●政府と最大タミル政党連合TNAの協議: 3日,最大野党タミル政党連合TNAは政府幹部と会談。TNA側は「憲法修正や民族和解等の課題について,今後とも政府と協議していくことが合意された」との見解(3日)。他方,「ラ」大統領は3月1日実施予定の政府とTNAとの再協議について,「LTTEが戦闘中追求してきたような(民族問題の)解決方法は決して認めない,解決方法についての時間的期限は設けない,現在は北・東部地域住民への支援や開発が何よりも重要」と発言(22日)。


元LTTE要員社会復帰問題: 政府は「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」からの勧告を受け,LTTE元兵士等関係者の拘留について協議する為の検事副総長等4名から成る特別委員会を設置。同委員会はブーサのLTTE関係者拘留キャンプの視察を行い,今後,彼等に対する然るべき措置を講じていく予定(21日付)。


北部州のハイセキュリティゾーン(HSZ)問題: 政府情報局は声明を発し、政府は目下、戦争被災地における「土地返還制度」の立ち上げを検討中であり、LLRCからの最終勧告を待って,実施に移す方向である旨明らかにした。また同声明では,HSZ問題にも触れ,「HSZに指定されている土地の解放を進めている,既に2,500ha(2,392世帯)の土地が返還された,パライ地区では,HSZ周辺の土地が元の所有者に返還された」と述べた(20日付)。


タミルダイアスポラとの和解: 2月上旬,独・豪・米・加・英からのタミル人ダイアスポラの代表団が訪「ス」し,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官と会談。

(3)地方議会選挙は一部延期
20日,ディサナイケ選挙管理委員長は,政府与党を含む各政党より立候補受付プロセスにつき異議が申し立てられ,裁判で係争中となっている60の選挙区につき,3月17日に選挙を行わず,延期する方向である旨明らかに。また24日,裁判所は,政府与党UPFAからの異議申し立てを受けて,選管に対し裁判結果が明らかになるまでは同地域の地方選挙を実施しないようにすべきとの命令を発出。


(4)印漁民拿捕問題
15日,北部ジャフナの海域において,「ス」領海内で印漁民たちが漁を行っているとして,腹を立てた「ス」漁民たちが,108名の印漁民を乗せた複数の漁船を一挙に拿捕し,「ス」警察に引き渡す事案が発生(なお16日にも更に印漁民26名を拿捕)。現場には,「ス」海軍の船舶も居合わせていたが状況を傍観していた由。本事件を巡り,16日,カニーモジ印タミルナドゥ州DMK議員(注:カルナーニディ印TN州知事の娘)は,事件には「ス」海軍が関与していると非難すると共に印漁民の釈放を求め,1,000名の群衆とともに在チェンナイ「ス」領事館に向け抗議の行進を行おうとしたところ,チェンナイ警察に逮捕された。これに続き,16日,シン印首相は,「我々は非常に深刻な問題と捉え,「ス」政府側と協議をしている。隣国であっても,このような行為は容認できない」と発言。また17日,クリシュナ印外相はG.L.ピーリス外相と電話会談を行い,印漁民釈放に向け「ス」政府が全力を尽くすことを願う,との希望を伝達。18日,「ス」当局は,印・「ス」海峡で「ス」漁民らにより拿捕された印漁民136名を釈放。印漁民らは,「ス」海軍の護衛の下,印海上保安警備隊に引き渡された。21日,ジャフナのインド領事館前において,「ス」漁民のグループが,インド漁民の密漁に反対する抗議の座り込みを実施。22日,ラージャパクサ大統領は,当地メディア関係者との会談の際,遅滞なくインドと「ス」との間で懸案となっている漁民問題を解決する為に,インドと「ス」との間の共同委員会(2006年に設立)を再活性化させ,本件を平和裡に解決すると発言。

(5)クリケット・ワールドカップ
17日,バングラデシュでクリケット・ワールドカップの開会式開催(インド,スリランカ,バングラデシュの共催)。20日には,本ワールドカップに合わせて建設された南部ハンバントタの「マヒンダ・ラージャパクサ・スタジアム」がお披露目され,初試合開催。

(6)サーラット・フォンセーカDNA指導者に関する動向
8日,「フォ」前国防参謀長(現野党DNA指導者)の逮捕・拘留から1周年。「フォ」が拘留されているウェリカダ拘置所の前では,アノマ・フォンセーカ夫人,アマラシンハJVP指導者ら「フォ」支持者による座り込みの抗議活動実施。

2.外交
(1)アジア諸国との関係
●インド: 12日,メイラ・クマール印ローク・サバー(下院議会)議長が訪「ス」し,コロンボで開催された第3回英連邦議員連盟アジア地域会議に出席した他,「ラ」大統領ら政府要人と会談.。22日,故プラバーカランLTTE指導者の母親の葬儀に参加しようとしたティルマバラン・タミルナドゥ州議会議員他3名のインド人が,コロンボ国際空港において,入国管理局により強制退去処分に。24日,シン印首相は,印国会において,「ス」との間の漁民問題に触れながら,「ス」政府に対し,「ス」で生活するマイノリティであるタミル人に対し快適な環境を提供する義務があると発言。


●パキスタン: 13日,ミルザ・パキスタン国会議長が訪「ス」し,「ラ」大統領を表敬訪問。


バングラデシュ: 23日,アブドゥル・ムディーン・バングラデシュ陸軍司令官が訪「ス」。


●中国: 24日,ランブクウェラ報道大臣は閣議後の記者会見において,「「ス」は間もなく中国から5000万元相当の経済・技術協力の無償資金援助を得られる予定である」と発表。


●韓国: 24日,パク・ユンジュン韓国大統領特使が訪「ス」し,「ピ」外相と会談した。「ピ」外相は,「韓国の代表団は「ス」への投資増大に高い関心を示してくれた」と発言。


●カタール: 16日,カタールを訪問した「ピ」外相はアール・サーニ・カタール国首長と会談。


●SAARC: 13日,ブータンを訪問した「ピ」外相は第13回SAARC閣僚会議に出席。

(2)西側諸国との関係
●国連: 23日,ジャヤシンハ外務次官,モハン・ピーリス検事総長,コホナ国連大使らは,「バ」事務総長を表敬し,最近の「ス」情勢,特に,国民和解に向けた動きとしてLLRCの中間勧告を受けて,「ス」政府としての取組みにつき説明。他方,27日,第16回国連人権理事会(UNHRC)年次総会(2月28日~3月25日)に出席するためジュネーブを訪問したサマラシンハ・プランテーション大臣(政府人権担当)は,ピライ国連人権高等弁務官と会談し,「ス」の人権状況に関するブリーフィングを実施。翌28日には,「サ」大臣はUNHRC年次総会開会式において 「緊急事態令の必要性如何については,「ス」政府が然るべきタイミングでどのようにするか決定する(注:暗に将来的には緊急事態令を廃止することを暗示)。IDPについては再定住は進み,キャンプの残留者は1万2,000名となった。タミル政党との対話も進展している他,タミル政党らは新たな政党フォーラムを結成するなどして課題に取り組んでいる。LLRCからの勧告を受け,政府は最近,676名の元LTTE要員を解放した他,ハイセキュリティゾーンも縮小化され,元の土地所有者に返還中」と発言。


●EU: 23日,EU議会は包括的な検討を実施した結果,LTTEを外国テロ組織として再び認定し,関係団体の活動禁止,資産凍結等の措置を継続する方針を決定。25日,訪「ス」したジャン・ランバートEU議員を中心とするEU議員団は,「今回の訪「ス」は戦争犯罪調査とは何ら関係ない。またEU内でのLTTE取り締まり問題とも何ら関係ない。「ス」政府の話では,最早EUからの特恵関税措置GSPプラスの供与如何については既に結論が出ている話であり,今後新たに再申請する意志はないとのことであった。政府の北部州開発の努力には感銘を受けたが,開発は住民参加を規範として行われる必要がある。政治的課題は未解決のままであるが,TNAとの対話の開始は歓迎している」と発言。


●英国:  「タミル人のための全政党議員連盟(APPGT)」に所属する41名の英国会議員は,キャメロン英首相宛に書簡を発し,「ス」戦争犯罪への国際的な独立調査を要求。本書簡では,「「ス」が戦争犯罪を犯した可能性が高い。米国務省,EC,ICG,国連も確かな証拠を集めており,我々英国会議員にとっても重要な問題」と言及。21日,バート英外務・連邦省南アジア担当次官が訪「ス」(~22日)。

  (了)  


スリランカ内政・外交(2011年1月1日-1月31日)

1 内政

(1)ラージャパクサ大統領発言・動向
●年頭所信表明(1日): 「国のレベルを上げることこそが最大の課題であり,開発に向け,政府として大がかりな対策を取っていく。経済的恩恵を平等な分配を通じ,「ス」社会が失ってきたものを早期に取り戻していく。母国を統一し,発展させていく上で,国家の統一(national unity)こそが鍵である。」
●外国メディア駐在記者らと会談(14日): 「民族問題の政治的解決については,全ての政党からの提案を聞いた上でコンセンサスを取っていく方針である。」

(2)東部州を中心とした大雨洪水災害
●被害状況: 東部,中央州,北中央州を中心とした大雨洪水災害により,108万人以上に影響。全国の被害状況は,死者23名,負傷者36名,全壊家屋2680件,半壊家屋16,274件,一時避難者325,000人,決壊貯水池400箇所,水没した田畑40万エーカー。被害は特に東部州に集中(東部州バティカロア県では,過去42日間だけでほぼ年間降雨量と等しい降雨量(1,602mm)を記録)。13日,アマラウェラ災害管理大臣は,「2004年の津波以来,最大の自然災害となった」と発言。深刻な食糧不足に陥る恐れを指摘する声も。スリランカ政府は,支援対策局を設置し,1億4,000万ルピーの緊急支援予算に充当。 政府軍は17機のヘリコプターを動員して食糧・医療等の支援物資を空輸。15日には,バジル・ラージャパクサ経済開発大臣が東部州バティカロア県を訪問し,被害状況を視察。なお,大雨は16日までに概ね収まり,最大時で39万人を記録した一時避難者も帰宅を始め, 17日までに5万人まで減少。
●国際社会による支援: WFP,印,カナダ(24万米ドル相当),日本(200万円相当)がいち早く緊急支援を実施。続いて,米(30万米ドル相当), EU(200万ポンド相当),ノルウェー(1億6,500万ルピー相当),英,独,中国(152万米ドル相当)も支援表明。また19日には,国連が5,100万米ドル相当の支援を国際社会に求めるフラッシュ・アピールを発表。なお同日,ブラッグ国連事務次長補佐(人道問題担当)が来「ス」し,東部州バティカロア県を訪れて大雨洪水の被害状況を視察。

(3)民族問題・解決
●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 27日,LLRC事務局は,一般国民からのレポートの受け取り及び公聴会は1月末日をもって終了する意向を表明。LLRCは5月の最終報告書の提出に向け,これより3ヶ月間,報告書の取り纏め作業に移る由。
●白旗事件を巡る裁判
25日,コロンボ高等裁判所は,フォンセーカ前国防参謀長(現:野党DNA指導者)の白旗発言疑惑(注:大統領選挙戦期間中だった昨年12月に「フォ」氏が、ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官がLTTE指導部が白旗を持って降伏してきたにも拘わらず、これを全て殺害するよう命じたと当地英字紙サンデーリーダー紙に述べていた件)に関して,ゴタバヤ・「ラ」国防次官に対する証人喚問を実施。ゴタバヤ・「ラ」国防次官は,「「フォ」氏の発言は全く真実ではなく,意図的な欺瞞である」と述べ,事実関係を否定。本証人喚問には「フォ」氏自身も傍聴のため出席。
●北部IDP,元LTTE要員,在印難民の状況: 5日,政府発表によると,北部IDPキャンプの残留者数は2万名を切り,元LTTE要員社会復帰センターの滞在者も11,500名の内,既に5,500名が解放済み。また在印タミル人難民の状況について,6日,当地UNHCR代表は,「「ス」への自発的帰還者数は,2009年843名,2010年2,054名と増加中であり,殆どが印タミル・ナドゥ州からの帰還者であった」と公表。
●北部州の治安悪化か: 北部州で殺人・失踪・誘拐事件の報告相次ぐ。4日,デーワーナンダ伝統産業・小規模企業振興大臣(注:北部ジャフナを拠点とする与党タミル政党EPDPの指導者)は国会において,「北部州では犯罪の波が押し寄せ,人々の間で恐怖意識が拡がっている」と発言。これに対し,政府軍は「デ」大臣の発言は事実ではないと否定すると共に,これらは一般犯罪であると主張(5日,M.ハトゥルシンハ・ジャフナ県政府軍司令官発言)。他方,市民団体「我らスリランカ人同盟」によれば,殺害された者の多くが政府批判を行った人間であり,例えば,昨年12月26日のジャフナ県教育局副局長のシワリンガム氏は,シンハラ語での国歌斉唱規則化について公に政府批判を行ったことに関連して殺害された由。犯罪多発地域は,治安当局の管轄下にあるが,警察は事件を一向に捜査しようとしない」と政府を批判。本件について,20日,国会でもウィクラマシンハ最大野党UNP総裁が取り上げ、「北部ジャフナでは最近,僅か8日間の間で10名もの殺害事件が発生したとの報告がある」と政府側に質問。一連の犯行が誰の仕業であるかを巡り,EPDP説,政府関係者説,LTTE残党説が入り乱れる状態。なお,29日,北部州ジャフナ県ポイント・ペドロにおいて,与党EPDPの活動家1名が路上で死亡。
●北部州インフラ開発: 17日,北部州ジャフナ半島と南部を結ぶA32号線に位置するサングピディ橋(全長288m,建築費10億ルピー,英国の低利借款)が完成し,「ラ」大統領が式典に出席。

(4)地方議会解散・3月に全国一斉に選挙実施へ
6日,政府は北部州・東部州を含め全国各地の地方議会の解散を宣言。選挙管理委員会は解散された地方議会については,3月17日に一斉に選挙を実施すると発表。全国335件中301で実施される(市議会4(総数23),町議会39(総数41),村議会258(総数271)。なお今次北部州で行われる町議会・村議会選挙は,1987年以来24年ぶりとなる。政府は今回解散しなかった残る地方議会の任期を3ヶ月間延長する旨発表。本年4月以降には解散され,選挙が実施される見込み。選挙の最大の焦点は,現与党の勢力状況如何。

(5)野党の動向
●最大タミル政党連合TNAの動向
10日,TNA議員団はタミル民族問題の政治的解決を巡り,政府幹部(G.L.ピーリス外相,ウィクラマナヤケ統治向上・インフラ整備担当上級大臣ら)と協議。またTNAは次期地方選挙に向け, TULF,PLOTE,EPRLFスレシュ派,TNLAは,最大タミル政党連合TNAの下で選挙戦に臨む方針を決定。
●サーラット・フォンセーカDNA指導者に関する動向
6日,JVPは記者会見を開き,地方議会選挙に向け,JVPは最早DNA(注:サーラット・フォンセーカ前国防参謀長率いる野党・野党連合)とは同盟は組まないことを決定した旨明らかに。また6日,T.アレスDNA議員も,DNAとしては次期地方議会選挙に出馬しない考えを表明。これにより,拘束中の「フォ」にとっては厳しい痛手となり,DNAと「フォ」の政治生命は,最早「死に体」も同然との見方も。

2.外交
(1)アジア諸国との関係
●インド: 12日,印漁師3人を乗せた漁船が印南部を航行中銃撃を受け,1人が死亡。「ス」海軍による攻撃との見方も。16日,P.V.ナイーク印空軍司令官が訪「ス」。また30日には,ラオ印外務次官が訪「ス」し,印・「ス」間で「ス」海軍による印漁民殺害を防止するための覚書を「ス」側に提案。
●パキスタン: 10日,チャマル・ラージャパクサ国会議長を中心とした「ス」政府代表団がパキスタンを訪問し,ザルダリ「パ」大統領と会談。16日には,F.H.ナエーク上院議長と会談。19日,A.カヤーニ「パ」陸軍司令官が3日間「ス」に滞在。
●中国: 25日の閣議において,コロンボ中心部のゴールフェース・グリーンを「シャングリラ・ホテル(香港)」及び某中国ホテル企業の2社に売却する旨決定。

(2)西側諸国との関係
●米国: 18日,私的に訪「ス」したアーミテージ元米国務次官補が「ラ」大統領を表敬訪問。19日,「ラ」大統領はG.L.ピーリス外相とともに米国に出発。大統領府によると,今回の訪問は私的なもの。しかし,目的があまりにも不透明であるため,「私的」以上の意図があるのではないか等,関係者間で様々な憶測も。なお「ラ」大統領の訪米を受けて,20日,アムネスティ・インターナショナルは声明を発し,戦争犯罪容疑者である「ラ」大統領を米国滞在中に逮捕・捜査すべきと主張。また,ブルース・フェイン米元検事副総長はタミル人ダイアスポラらとともに,「ラ」大統領が違法殺人を行ったとして3,000万米ドルの損害賠償を求めワシントン地方裁に提訴(29日付)。
●EU: 10日,EU人権小委員会において,「ス」の戦争犯罪容疑及び戦後の人権状況展に関する討議実施。本討議は,昨年12月6日に国際NGO2団体(「国際危機管理団体(ICG)」,及び「恒久的人民裁判(Permanent People's Tribunal)」)による報告書提出を受けて行われたもの。
●ノルウェー: ソルハイム「ノ」環境・国際開発大臣(元「ス」和平特使)は,「「ノ」にはもはや特別な役割はないが,在外コミュニティも含め「ス」の人々と政府の対話を進める上で建設的な役割が果たせる」と発言。これに対し,某「ス」政府幹部は「「ノ」には最早何ら役割はなく,タミル人ダイアスポラとも直接交渉する」と発言(27日付)。
●国連: 14日,ネシルキー国連報道官は「「ス」戦争犯罪に関する国連専門家パネルは当初の活動任期(2011年1月15日終了)を2月末日まで延長する」と発表。17日,ブラッグ国連事務次長補(人道問題担当)・副緊急援助調整官が訪「ス」。大雨洪水災害現場を視察した他,北部州人道状況も視察。
●カナダの動向: カナダ連邦裁判所は,加ケベック州を拠点とする「世界タミル運動(World Tamil Movement: WTM)」に対し,「WTMの所有財産はテロリストによって所有・管理されている」として,没収するとの判決。これにより1986年から活動を続けてきたWTMは,事実上終了に(23日付)。

(3)ウィキリークス情報漏洩問題
10日~14日付当地英字紙は,当地米国大使館からウィキリークスに漏洩した電報に関し報道。内容は,米国への直接的な批判は少なく,むしろ和平プロセスに関しノルウェーを中心とした西側諸国・共同議長国(ただし「日本は除く」とされる傾向顕著)の外交姿勢への非難・暴露(例:ノルウェーがLTTEにラジオ機器を供与した過去に対する批判,西側諸国が故プラバーカランLTTE指導者を戦争に引き戻したとする話等)を指向。
(了)  


スリランカ内政・外交(2010年12月1日-12月31日)

1 内政

(1)2011年度国家予算案可決
10日,国会において2011年度国家予算案の最終投票が行われ,賛成多数で可決(賛成156票,反対40票)。最大野党UNP及び野党JVPは反対票を投じ,最大タミル政党連合TNAは棄権。なお,「ラ」大統領(兼財務・計画大臣)は国会において,国防費への多額の予算割り当ての意味について野党から質問され,「2,090億ルピーの国防費の内,88%は政府軍兵士の給与等の運営支出に充当される」と説明。14日,IMFは本国家予算計画に関する財政改革の方針を歓迎する声明を発し,関係当局の組織構造改革の方向性も概ね良好と高評価。他方,最大野党UNPは本予算では,州議会から徴税権の殆どが奪われ(例:西部州評議会は,本予算案に関し徴税対象に企業売上税(135億ルピー)と自動車登録税(18億ルピー)の割り当てを提案していたが,前者は不採用に)。こうした動きから,中央政府が州議会を無力化しようとしているのではないかと懸念も。

(2)民族問題・解決
●北部IDP再定住の進捗: 当地国連人道調整事務局(OCHA)によると,「ス」北部に再定住を果たしたIDPは,2日現在で325,820名(102,081世帯)に。ここ2ヶ月間での再定住者数は,10月(9,816名),11月(3,312名)を記録。2日現在の北部IDPキャンプ(通称マニックファーム)の残留者数は21,000名であり,彼らの殆どが戦闘の最終段階での激戦地ムライティブ県内の出身者。なお,マニックファーム内のZone2及びZone4は11月に閉鎖され,これらのIDPたちはZone0及びZone1に移され,より良い生活環境の中で暮らしている由。


●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 政府は,LLRCの活動費用として1,800万ルピーを充当すると発表(1日)。 3~5日に亘り東部州トリンコマリー県内で開催されたLLRC公聴会では,485件もの不服申し立てが集中(内,117件は誘拐事件,186件は失踪事件,124件は逮捕・拘留関連)。また30日,LLRCはブーサにある元LTTE要員社会復帰センターを訪れ,同センター内で証言を聴取。なお10日,LLRCは「関係当局間委員会(Inter-Agency Committee:IAC ,注:LLRCによる中間報告書の勧告内容の暫定的実施を促進するための機関として12月初頭に設置。議長はモハン・ピーリス検事総長)」と会合し,証言書類の共有や住民とのコミュニケーションのあり方等について合意。


●タミル語版国歌の廃止問題: 当地メディアは8日の閣議において,「ラ」大統領の意向により,今後「ス」国歌はシンハラ語(注:多数派シンハラ人の言語)に限ると決定されたと報道(これまではタミル語版も公式行事で広く使われてきたが,本閣議決定により,今後タミル語版の国歌は歌われなくなることになったとの内容)。本件に関し,16日,ランブクウェラ報道大臣は記者会見において「国歌の使用言語については,憲法が定める通りである」と述べ,本件について具体的に触れず,運用の見通しも不透明に。

(3)野党の動向
●最大野党UNP: 12日,UNP党本部において党大会が開催され,党改革に向けた新綱領が採択された。党大会の模様は全国テレビ中継され,党改革派の中心人物であるサジット・プレマダーサ議員の名前が呼ばれると,参加者から熱狂的な歓声が上がった。新綱領は,党幹部の5役(総裁,副総裁,総裁補佐,ナショナルオーガナイザー,会長)の任命について,党内のコンセンサスが取れなかった場合は秘密投票で5役を選出する等の内容に。ただし,新綱領は更に2011年4月予定の党大会で再度批准される必要がある由。メディア各紙では「新綱領においても再び「ウィ」が再選されることになると予想され,実質的な改革は進まないだろう」との悲観的観測が大勢。


●タミル政党: 11・17日、最大タミル連合TNA議員団は与党タミル人政治家を中心とするタミル政党フォーラム(TPPF、注:タミル小政党の団結を目的として,デーワーナンダ与党EPDP指導者らを中心に結成されたタミル政党の非公式な協議体)と協議実施。両者は民族問題の解決に向けた小委員会の委員6名の指名に関し合意(6名中,3名がTNA議員に)。本小委員会は来年1月中旬から活動を開始し,「ラ」大統領に対し参加政党全てにとって受け入れられる政策枠組を作成し,大統領に提出する計画。なお,25日,スマンディランTNA議員は「我々は政府による民族問題の解決に向けた取り組みを歓迎しており,政府の来年度予算案の国会投票において(反対票を投じず)棄権するなど,誠意を見せてきた。次は政府が誠意を見せる番である」と発言。

2.外交

(1)アジア諸国との関係
●中国: 9日,「ス」は中国の劉氏の授与を理由にノーベル平和賞授与式を欠席。外務省報道官によると,理由は「ス」外交政策の基本方針に則り,中国政府の立場と歩調を合わせるため。なお12月中旬,西部州議会議員40名が1週間の日程で訪中。


●インド・ロシア: 27日から2日間に亘り,プラディープ・クマール印国防次官が訪「ス」し,戦後の国防分野における「ス」・印関係について協議。また印報道によると,メドヴェージェフ露大統領の訪印の際,露と印は,「ス」及びバングラデシュに対し原子力発電所の建設支援を実施することで合意。これは露・印両国による原子力ビジネスの協力というだけでなく,「ス」を含め南アジア地域における中国の影響力拡大を牽制する動きとの見方も。


●パキスタン:11月のザルダリ・パキスタン大統領の訪「ス」時に「ス」・「パ」間で防衛協力協定(DCA)が締結されたのではないか,との噂に対し,ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は,「本説は事実ではなく,DCAの可能性すら協議しなかった」と否定(7日)。


●日本: 18日(~22日),日本の平野博文元官房長官・日ス友好議連会長率いる民主党国会議員団が訪「ス」。南部州ゴール,北部州キリノッチ,東部州トリンコマリーを訪問した他,「ラ」大統領ら政府要人と会談。

(2)西側諸国との関係
●米国: 当地米大使館からウィキリークスに漏洩した電報の内容が報道を通じ徐々に明らかに。2010年1月の「ス」大統領選挙の直前に発電された電報では「「ス」戦争犯罪容疑の責任を負うのは,ラージャパクサ大統領と彼のファミリー,サーラット・フォンセーカ前国防参謀長である(3日付)」,「米国は野党大統領候補フォンセーカ氏が大統領選挙に勝利すれば,現職のラージャパクサ大統領が再選を果たした場合よりも,「ス」の発展にとって望ましい(20日付)」との記載があった由。22日,G.L.ピーリス外相はブテニス当地米国大使と会談を行い,漏洩情報の問題を巡り協議。「ピ」外相は「ブ」大使に対し「一部の電報の内容は,現場の現実を伝えていない」と苦言を述べるも,「ピ」外相は本会談後に声明を発し,「「ス」を批判するための虚偽の話が出回れば,本来国家間の橋渡しを行い理解を促進することを目的とする外交の意義が踏みにじられるだろう。「ス」政府は,違法に秘情報を公開するような行為を許さない」と述べ,むしろウィキリークスの行為を批判。「ス」・米両国ともに火消しの努力に従事。また「ス」国内メディアも,米電報には「ス」に友好的な内容も多数ある点報じており,「ブ」大使の援助関係の友好的発言も報道(20日)。


●EU: スイス,ベルギー,オランダを構成員とするEU代表団が来「ス」(17日付)。在EUのLTTE支持者たちの取り締まりを中心に協議。他方,18日,アリヤシンハ在ベルギー・ルクセンブルグ・EU大使はハウタラEU人権小委員会委員長宛に書簡を発し,「人権小委員会は「ス」に関してバランスの取れた議論を行おうとせず,在EUのLTTE支援者たちに発言の場を与えているだけである」と批判。


●英国: 「ラ」大統領訪英を発端に「ス」・英関係ぎくしゃく。11月29日に非公式に訪英した「ラ」大統領は,英空港到着時に在英LTTE支持者からの抗議活動に直面。続いて2日に予定されていたオックスフォード連盟での講演も,在英LTTE支持者による抗議活動予告の影響でキャンセル。「ス」国内では各地で在英LTTE支持者に対する抗議活動も行われた他,最大野党UNPも政府と一緒になって英国の対応を批判。他方,「ラ」大統領はフォックス英国防大臣と非公式会談を行い,英国の対「ス」援助や権限移譲に関して協議した(2日)ものの,当の「フォ」英大臣も12月中旬の「ス」訪問予定を延期(16日)。公式な理由は「「フォ」大臣の湾岸地域への訪問が延期されたため」とされたが,ヘーグ英外相が戦争犯罪容疑のある国である「ス」と親しくしている「フォ」大臣の訪「ス」を好ましく思っていなかったことにあるとの見方も。なお英国内では,11月末にテレビ局チャンネル4が(大統領訪英時期に合わせる形で)「ス」戦闘末期において政府軍兵士が一般市民を虐殺したとするビデオ映像を放映し,「ス」政府側は「本報道は欺瞞・捏造である」とする非難声明を発していた(1日)。


●ノルウェー: 2日,ノルウェー政府による独自の「ス」和平プロセスのレビュー調査業務を受注していたクリシュチャン・ミケルセン研究所所長のグナール・ソルボ氏及びロンドン大学SOASの調査員が,「ス」へ査証申請をしたところ,「ス」政府はこれを拒否。13日,コロンボで開催されたLLRC公聴会では,ムラリタラン再定住副大臣(通称カルナ,注:東部州を本拠とする元LTTE東部司令官で,その後「ス」政府の一員となった人物)が証言し,「 LTTEは,資金の枯渇,戦力も弱体のため已むを得ず和平合意に踏み切った。しかし2002年の和平プロセス開始以降,ノルウェーのソルハイム元和平特使(現国際開発・環境大臣)がLTTEに武器弾薬を購入させるため,莫大な資金を供与したと供述(注:政府系デイリーニュース紙はノルウェーに関する言及は報道していない)。これに対し,「ソ」大臣は「全く馬鹿げた話である」と否定(29日)。


●国連: 国連専門家パネルの訪「ス」実現に向けた動向加速。17日,バン国連事務総長は「「ス」戦争犯罪調査に関する国連専門家パネルは「ス」を訪れ,「過去の教訓・和解委員会(LLRC)のメンバーと会える見通しとなった」と発言。翌18日には,「ス」外務省も声明を発し,「国連が専門家パネルの「ス」訪問を要望するなら,「ス」政府として必要な措置を講じる用意がある」と述べ,政府側の前向きな姿勢を正式に表明(注:メディアは,「ラ」大統領が柔軟な対応を示したことを「変化の兆候」としつつも,国連専門家パネルの真の訪「ス」目的とは,LLRCで証言することではなく,独自に戦争犯罪に関する調査を行うことではないか,と慎重な見方も)。更に30日,ランブクウェラ報道大臣は,「「ス」政府は国連専門家パネルの訪「ス」はLLRCとの会合に限り活動を許可し,本目的でのみ査証を発給する」と発言。これに対し,31日,ハク国連報道官は「本パネルの訪「ス」目的は,ただLLRCと協議するだけでなく,もっと広いものと理解している」と述べ,政府との見解が必ずしも合致していない現状を吐露。

(了)   


スリランカ内政・外交(2010年11月1日-11月30日)

1 内政

(1)ラージャパクサ大統領2期目開始
● 宣誓式: 19日,ラージャパクサ大統領は旧国会前において自身の大統領職第2期目の宣誓式を実施。宣誓式の前後には各種の祝祭行事開催。15~22日は祝祭週間とされ,「ラ」大統領の功績を称える展示会がコロンボ市内で開催された他,宣誓式当日は政府関係施設が休日に。
● 大統領演説: 「北東部のインフラ整備をはじめとする開発事業は「政治解決」の一部を担っている。今後も地方選挙が行われる予定であり,同選挙を通じ北東部地域の国民に自らの代表を選ぶ権限を与えることが出来ると信じる。今後は開発の時代であり,国益を守りながら,外交も強化する必要があり,今後スリランカに支援の手を差し伸べてくれる国々との協力関係を強化する準備がある。」
● ハンバントタ港開港式: 宣誓式前日にあたる18日には,南部ハンバントタにおいて中国の支援の下建設中の「マガンプラ港(別名「マヒンダ・ラージャパクサ港」)」の第一期工事完了の祝賀式典開催。祝典式には,「ラ」大統領及び桑国衛(Sang Guowei)中国全国人民代表大会常務委員会副委員長が出席。本開港式の模様は全国実況中継され,「ラ」大統領第2期目における対中国関係重視の姿勢が顕著に。

(2)内閣改造
22日,「ラ」大統領は内閣改造を発表し,閣僚(62名)・副大臣(34名)を任命。前内閣(2010年5~11月)との比較では,全体として10名増となり,特に閣僚は20名増に。また主要ポストでは,ジャヤラトナ首相,G.L.ピーリス外相が留任。ポスト格上げ傾向も顕著となり,新設ポストとして上級大臣(Senior Ministers)が設けられ,ベテラン老政治家10名が本カテゴリーに格上げ任命された他,副大臣(Deputy Minister)から大臣(Ministers)に格上げされた議員も多数。

(3)国会の動向
●賭博許可法案可決: 10日,国会で賭博許可法案が可決(賛成114票,反対33票)。倫理上の理由から与党内で本案に反対していたJHUやNFFらは棄権。なお,政府関係者によれば,本法案可決によって担当大臣が指名する地域であれば誰でもカジノを開業することが可能に。
2011年度国家予算案の国会提出: 22日,「ラ」大統領は国会に2011年度国家予算案を提出。「予算演説において,開発事業の促進及び輸出入産業のインセンティブ向上を通じて,2016年までに国民一人あたりの年収を4,000米ドルまで引き上げるとの計画を発表。野党各党は,公務員の昇給幅が小さいとして批判。

(4)和平プロセス・戦闘末期に関する調査
●過去の教訓・和解委員会(LLRC): 9日,「ラ」大統領はLLRC報告書の提出期限を延期し,2011年5月16日とすると発表。LLRCは既に100名以上の証言を収集したが,今後更に地方に活動地を広げる方針。11月の公聴会では,戦闘末期の現場を知る証言者が次々と登場。11~14日には,北部州ジャフナ県で公聴会開催。スクマール元北部州ムライティブ県行政長官(4日)は,「戦闘末期においてLTTE幹部が白旗を持って降伏してきたという話はあり得ず,政府軍兵士が白旗を持って降伏してきた人々を攻撃したという話も知らない」と発言(4日)。北部戦闘の最終段階にLTTE支配地域に滞在後,政府軍に投降した元LTTE通訳ダヤ・マスターが証言(14日)し,「戦闘末期において,LTTEは非戦闘地帯に意図的に武器を持込み,一般市民を人間の盾としつつ,その背後から政府軍に向けて攻撃したため,政府軍もこれに応戦すべく発砲した。実際の現場では,戦闘地帯と非戦闘地帯をはっきりと線引きをするのが困難だった」と証言。
●高等裁判所における白旗問題に関する事情聴取: 15日,コロンボ高等裁判所において,フォンセーカ前国防参謀長の白旗発言疑惑(注:大統領選挙戦期間中だった昨年12月に「フォ」指導者が、ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官がLTTE指導部が白旗を持って降伏してきたにも拘わらず、これを全て殺害するよう命じたと当地英字紙サンデーリーダー紙に述べていた件)に関する事情聴取が行われ,シェウェンドラ・シルバ現国連代表部次席大使(元陸軍58師団隊長)が証言。「シ」大使は,「戦闘末期当時,政府からゼロ・シビリアン・カジュアリティ政策を遵守すべしとの指示を受けた。LTTE幹部たちは,戦場で死んでいるのが発見された」と証言。

(5)野党の動向
●最大野党UNP: 最大野党UNPは党大会を12月12日に開催し,本大会で新しい党綱領が承認されれば4ヶ月以内に党指導者を決める選挙実施へ。ただし,現職のウィクラマシンハ指導者有利との観測。
●タミル政党: 与党タミル人政治家を中心にとする「タミル政党フォーラム(TPPF)」は,最大タミル野党連合TNAとの協議(3日)に続き,「ラ」大統領とも協議(26日)。

2.外交

(1)アジア諸国との関係
●中国: 桑国衛(Sang Guowei)中国全国人民代表大会常務委員会副委員長が中国国家主席特別代表として訪「ス」。18日には,南部ハンバントタ港の第一期工事完了の祝賀式典に出席,演説も行い,「同港はスリランカと中国の新しい友好の証である」と発言。これに対し「ラ」大統領は,「我々は本港の他にも,5港の近代化を進めている。我々(「ス」と中国)は,船舶/海軍(naval)・貿易の各分野で非常に古い友人関係にあり,この友好関係は今後も変わらない」と発言。桑副委員長は,翌19日には「ラ」大統領2期目開始の宣誓式典にも出席した他,「ス」・中国間で新たな経済・技術協力支援協定の署名式を実施。
●インド: プレニート・カウアー印外務国務大臣が訪「ス」し,19日の「ラ」大統領第2期目開始宣誓式に出席。また26日にはクリシュナ印外相が訪「ス」し,「ラ」大統領,ピーリス外相らとそれぞれ会談。「ク」外相は記者会見において,「「ス」では武力紛争が終結し,タミル民族問題の政治的解決のような重要課題に焦点を充てられる環境が整っている。第13次憲法修正に則って内容のある権限移譲が行われれば,恒久的な政治的解決に繋がるだろう。全てのコミュニティの参加の下での対話のプロセスが開始されることを期待する」と発言。なお,27~28日,「ク」印外相は,北部ジャフナ及び南部ハンバントタにおいて印領事館の開設式にそれぞれ出席。
●パキスタン: 28日,ザルダリ・パキスタン大統領が初の訪「ス」。「パ」からの要人訪問は2008年のギラーニ首相以来。同日午後,「ス」・「パ」首脳会談が行われ,貿易・投資・国防に関し協議。
●日本: 4日,日本の経済協力で建設中のアッパー・コトマレ水力発電所の一環として建設された全長12.9kmのトンネルが完成。「ラ」大統領出席の下,式典実施。完成式の後,トンネルを一目見ようと2万5千人もの人々が来訪。
●イラン: 9日,第9回アジア協力対話(ACD)外相会議に出席するためイランを訪問したG.L.ピーリス外相は9日,アフマディネジャド・イラン大統領及びモッタキ・イラン外相と会談。「ピ」外相は外交面・経済協力面での支援に対し,謝意を表明。また11日,イマーム・ホメイニ救援財団(IKRF)のフセイン・アンヴァリ総裁率いるイラン代表団が訪「ス」。
●クウェート: イランを訪問したG.L.ピーリス外相は9日,同地にてアルサレム・クウェート外相と会談。
●モルディブ: ナシード・モルディブ大統領が訪「ス」。「ラ」大統領第2期目開始の宣誓式に出席。
●ブータン: ティンレー・ブータン首相が訪「ス」し,「ラ」大統領第2期目開始宣誓式に出席。「ティ」首相は記者会見で「「ラ」大統領は「ス」に平和をもたらした功労者として称賛されるべき」と発言。

(2)西側諸国との関係
●米国: 30日,当地米国大使館から米国務省宛の電報3,166点が漏洩し,ウィキリークに掲載される見込みに。
●EU: サベージ当地EU大使は,「GSPプラス停止後,「ス」政府側から何の申し入れもなく,GSPプラス復活に向けた協議など何ら行っておらず,本件は既に時効である」と発言(9日付)。他方,22~26日にかけて,50名のベルギー貿易・投資・企業関係者が訪「ス」。
●英国: 29日,ラージャパクサ大統領が非公式に訪英。
●ノルウェー: 24日,ハラルドシュテット当地ノルウェー大使はマルワッタ派大僧正(注:当地仏教界の最高権威)を訪問し,「戦時のことは忘れ,新しい見方で「ス」の戦後の開発を支援していく」と発言。
●ドイツ: エルンシュトベルガー独国会議員率いる議員団5名が訪「ス」。独議員団は訪問を通じた印象として,IDP再定住には進展が見られる一方で,目に見える政治的和解が必要である旨強調。
●セルビア: 12~14日,ステフォノヴィッチ・セルビア外相が訪「ス」。G.L.ピーリス外相らと会談。
●ICRC: 20日,ICRCは,「ス」政府より北部州での活動を終了させるように通告を受けた旨明らかに。これを受けて,ICRCは,まず北部マナー県での活動を11月中に終了。

(3)外国メディアとの関係
●アルジャジーラ: アルジャジーラは,「ス」北部戦闘末期における一般市民の殺害状況に関する写真を取り上げて報道。写真は,死体が山積みになり,処刑行為が行われた場面を撮影したもの。これに対し,「ス」政府は「英チャンネル4による誤報の時と同様,写真は捏造されたもの」と反論(12日)。
●ニューヨークポスト紙: 「ニ」紙は,「「ス」の戦争犯罪人が国連で勤務」との標題の記事を掲載。内容は北部戦闘に関わったシャウェンドラ・シルバ元「ス」陸軍58師団司令官が現国連次席大使となっていることを問題視するもの。これに対し「ス」国連代表部は非難声明を発し,「「シ」元司令官はテロを打倒した英雄である」と反論。
●BBC: BBCは,ジャフナでのLLRC公聴会へのオブザーバー参加を希望申請したところ,国防省はこれを一度は拒否。その後,結局は取材許可に。
(了)  


スリランカ内政・外交(2010年10月1日-10月31日)

1.内政

(1)国会の動向
●地方議会選挙法改正案提出
政府は地方議会選挙法改正案を国会に提出(21日)。地方議会議員の選出方法に関し、現行の中選挙区比例代表制を改め、小選挙区多数得票数制(First-Past-the-Post system)及び比例代表制を2:1の割合で併存させる新制度を提案。新制度では、2大政党制が促進される一方、マイノリティ政党が議席数を減らす結果になるとの見方。最大野党UNPは事実上黙認し、与党マイノリティ政党(SLMCほか)らも従順やむなしとの姿勢。


2011年度国家予算案の国会提出
ジャヤラトナ首相は国会に2011年度国家予算案の第一段階である省庁別の予算配分等を提出(19日)。歳出総額は1兆800億ルピーで、国防省の予算額(2,140億ルピー)が全省中最大となり、昨年(2,010億米ドル)と比べ130億ドル増。歳入(税収)の動向が注目される中,26日,大統領徴税委員会(PCT)のW.D.ラクシュマン委員長は,税制改革に関する勧告書をラージャパクサ大統領に提出。

(2)和平プロセス・戦闘末期に関する調査
●過去の教訓・和解委員会(LLRC)の動向
LLRCは、北部州での公聴会(9月)に続き、東部州バティカロアでも公聴会開催(8日~11日)。更にチャンドラカンタン東部州首席大臣も証言を行った(20日)他、最大タミル政党連合TNAもLLRC公聴会で証言する意向を示す(19日)など、タミル政治家の発言機会が拡大。他方、ヒューマンライツウォッチ、国際危機管理団体(ICG)、アムネスティ・インターナショナルは共同声明を発し、LLRCには独立性・信頼性がないとして、証言を拒否(14日)。LLRCは当初の報告書提出期限(11月15日)を延期し,今後6ヶ月以内に最終報告書を纏め,ラージャパクサ大統領に提出する意向。他方,政府はLLRC中間報告書の勧告内容(言語・土地・武装解除・元LTTE要員の扱いの問題等)を早期に実践すべく,「関係当局間諮問グループ(Inter Agency Advisory Group: IAAG)」を新設すると発表(28日)。


白旗問題に関する事情聴取
4日、高等裁判所において、白旗問題(注:大統領選挙期間中の最中にフォンセーカ前国防参謀長がサンデーリーダー紙に対し「ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が白旗を持って降伏してきたにも拘わらずLTTE幹部殺害を命じたと証言」の審議実施。当時記事を掲載した「サ」紙編集長は、2009年12月に「フォ」へインタビューした際、確かに「フォ」がそのように発言した、と改めて証言。

(3)フォンセーカ前国防参謀長(野党連合DNA指導者)の刑務所収監・議席剥奪を巡る動向
ラージャパクサ大統領は、「フォ」に関する軍事法廷での有罪判決を了承する共に、「もし「フォ」が恩赦を要求すれば、憲法に従って対応する」と発言(1日)。更に7日、国会事務局は「国会議員選挙法に基づき「フォ」氏は国会議員の地位を失う」と選挙管理委員会に通告。これを受け、選管は空席となった「フォ」の議席を埋めるべく、ニプナアラッチDNA党員を議員に就任させる旨の公示を発出(8日)。「フォ」はその後も恩赦を拒否する姿勢は示さず、議員剥奪及び第2次軍事法廷による有罪判決(懲役30ヶ月)を不服として控訴(13・14日)。またDNAは、「フォ」解放に向け運動を展開。野党関係者、市民社会、一般市民を動員し、10日までに100万人の署名を収集。また最大野党UNP総裁も、「フォ」の政府軍人剥奪と懲役刑を取り消すよう要求すると共に、政府批判を展開。

(4)抗議活動・暴力事件
教育・労働賃金・年金・雇用・報道の自由等の各種争点を巡り、抗議活動・暴力事件が散発。殆どのケースはJVPによる扇動との見方強し。特に各地の大学で、学生と大学経営者・高等教育省間でのトラブル続出(14日、学生18名が高等教育省に侵入。20日、南部州ルフヌ大学学生約100名が同大学副学長襲撃。25日、ラジャラタ大学学生グループが試験会場を襲撃。25日、スリ・ジャヤワルダナ大学の仏僧学生20名が同大学副学長を襲撃)。また、国家年金機構連盟(8日:年金増額要求)、報道関係者・労働組合関係者(19日)、JVP・労組関係者(26日:失業問題批判)が,それぞれ抗議デモ実施。

2.外交

(1)西側諸国との関係
●国連
21日、「ス」戦闘末期における戦争犯罪調査に関する国連専門家パネルは、書面(10頁以内)の証言提出を電子メール等で募る意向を表明。書面提出期限は本年12月15日に。他方、政府軍諜報部は、北部州で活動していた13名の人々が、戦闘末期における一般市民虐殺の証言を市民から聴取し、当地国連に報告していたとして捜査中である旨明らかに(25日付)。


●EU
関係改善に向けた兆候あり。4日には、ファン・ロンパイEC議長は、「「ス」と欧州との関係は古く、強固なものであり、両者の関係は今後とも良好に継続していく」と発言。7日、ゲオジーバEU人道支援委員長は、北・東部地域に対する住居、食料等の人道緊急援助として1000万ユーロの支援表明。8日には当地EU代表部が、人道及び中期的開発支援の為、1600万ユーロの追加支援を表明。


●英国
G.L.ピーリス外相が就任後初の公式訪英。ヘーグ英外相、フォックス英国防相らと会談。「ピ」外相は、LLRCの成果強調すると共に、国際社会は慈悲の心を持って「ス」での状況を見守って欲しい旨伝達(24日)。他方、ウィクラマシンハ野党議員団長も「ピ」外相とは別途訪英し、ヘーグ英外相、フォックス国防相と会談(22日)。「フォ」前国防参謀長拘留等の状況説明を行った他、民族問題の政治的解決のあり方等について協議。


●ノルウェー
20日、「ウィ」野党議員団長はノルウェーを訪問。ソルハイム国際開発・環境大臣らと会談。


●ヴァチカン
20日、ヴァチカン法王庁は24名の新枢機卿の一人として「ス」のマルコム・ランジット・コロンボ大司教を親任。

(2)アジア諸国との関係
●インド
14日、「ラ」大統領は印ニューデリーを訪問(注:本年では6月以来2度目の訪印)。英連邦スポーツ大会(CWC)の閉会式にシン印首相らと共に出席。随行した「ピ」外相も、クリシュナ印外相・ラオ印外務次官らと会談。翌15日には「ラ」大統領ら「ス」政府代表団は、シン印首相主催の昼食会に出席。シン印首相は、IDP再定住問題については「ス」政府の対応を高く評価しており、印としても2011年3月までに「ス」北部に5万戸の住宅支援を完成させる計画である旨を明らかにした他、民族問題の政治的解決に向けて、「ス」政府は最大タミル政党連合TNAと協力し合うべきであるとの見解を表明。また24日には、別途T.サマラシンハ海軍総督が訪印し、A.K.アントニー印国防大臣をはじめ印政府軍関係者と会談。


●中国
29日,「ラ」大統領及び「ピ」外相は,中国・上海で開催される世界貿易フェアに出席するため訪中。「ラ」大統領の訪中は2008年8月以来(注:本年8月にはピーリス外相,9月にはゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官がそれぞれ訪中)。31日,温家宝首相と会談。温首相は対「ス」支援継続を確約。


●日本
在スリランカ日本国大使館は渡航情報(危険情報)を改訂。北部州ジャフナ県・キリノッチ県・ワウニヤ県・マナー県は危険度が最も低い1に。ただし北部州の一部の地域では、地雷除去が完全ではないため、危険度2のまま。


●韓国
15日、バジル・「ラ」経済開発大臣は韓国を公式訪問し、韓国の知識経済大臣(代行)と会談。再生エネルギーや行政の電子化において両国の友好関係を深化させることで合意。


スリランカの主な出来事(2010年9月1日-9月30日)

1日  ●政府発表によると、北部ワウニヤのIDPキャンプに滞在中のIDPは28,659人まで減少。
●訪「ス」したラオ印外務次官は、北・東部州を視察。ラージャパクサ大統領とも会談し、北部州のIDP再定住の及び開発の進捗状況に満足しており、印は北部での住宅建設支援や鉄道敷設を通じて引き続き対「ス」支援を行っていく旨を表明。

●ウィクラマシンハ野党議員団長(UNP総裁)は、「UNPは憲法修正案を閣議決定後に初めて受け取り、内容を知らされた。同修正案は全政党代表者会議(APRC)で各党が協議した内容を完全に無視するものである。議員委員会(parliamentary council)が新設されれば、憲法委員会が無力化されたも同然である」と批判。

2日  ●アール・グナセカラUNP議員及びラクシュマン・セネウィラトナUNP議員の2名が、第18次憲法修正案の国会投票に向け政府案支持を表明。JVPは、コロンボ中央駅前で抗議デモを実施。

3日  ●マヌーシャ・ナーナーヤッカラUNP議員が政府支持を表明。またランゲ・バンダーラ議員も政府支持に転じる可能性を示唆。

7日  ●N.ウィジェーシンハUNP議員、U.スワルナマリUNP議員、スリ・ランガUNP議員の3名は、政府支持を表明。UNPは第18次憲法修正を巡り党内から与党に鞍替えする議員が相次いだことにより、議席数が43まで減少。なお、TNAからもピヤセーナ議員も政府支持を表明。

●JVPは憲法修正案に抗議し、コロンボ8区の交差点から国会議事堂にかけて「ブラックデー」と銘打った大規模な抗議デモ行進を実施。

●警察は、ラージャパクサ・ファミリーを中傷し、第18次憲法修正を批判するポスターを作成したとされる当地印刷会社J&J社の事務所への捜査を実施。

8日  ●国会において第18次憲法修正に関する審議・投票が行われ、圧倒的多数を得て可決(賛成160票、反対17票)。最大野党UNPは国会審議・投票には欠席し、国会の外で抗議デモを実施。


●「ラ」大統領は、公務員を木に縛り付けたとの疑惑が生じ、一時更迭されていたメルビン・シルバ・ハイウェー副大臣を再任。

9日  ●サマラシンハ・プランテーション大臣(前災害管理・人権大臣)は「2006年5月のジュネーブ国連人権理事会で確約した「人権保護・促進に関する国家行動計画」の微調整を重ねるため、今般ラージャパクサ大統領は新たな小委員会を設置することを決定した」と発言。

10日 ●D.ジャヤセーカラ議員らUNP議員25名は、第18次憲法修正可決と野党の大敗を受けて、「党のリーダーシップの危機的状況が早期に解決されないならば、国会で独立議員として活動を行っていく」と党幹部に警告。独立の意向を示した議員は、サジット・プレマダーサ議員(注:ウィクラマシンハUNP総裁に代わる次期指導者としての呼び声が高い)、ラクシュマン・キリエッラ議員、ロージー・セナナーヤカ議員、カビル・ハシーム議員、ハルシャ・デシルバ議員ら。

11日 ●ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は政府軍幹部らと共に中国に向けて出発。

12日 ●クローリー米国務省報道官は、「第18次憲法修正は、大統領の権力制御機能を除去し、民主主義の規範を弱体化させてしまうような内容となっており、米国として懸念している」と発言。これに対し、G.L.ピーリス外相発は「第18次憲法修正は、最高裁が全会一致で正当だと認め、161票もの圧倒的多数で可決された正当なものであるにも拘わらず、米国務省は第18次憲法修正の背景にある真意を理解しないまま、このような発言をしたことは遺憾である」と米を批判。


●ウィーラワンサ建設大臣は、「政府は間もなくコロンボ市議会(CMC)を廃止し、代わりに国防省の下に開発局を新設し、コロンボ市の新行政制度として施行させる予定である」と発言。

13日 ●シリセーナ保健大臣は、「政府は次なる憲法修正案を提示すべく準備中であり、来年中頃までに国会に提出する計画である。次案では国政選挙制度に変更が加えられる」と発言。


●世界経済フォーラム(WEF)の『世界グローバル経済競争報告書』において、「ス」は139カ国中62位(前年度は79位)に位置。18位もの順位アップは、本年度報告書で最大の伸び幅。

14日 ●LLRCメンバーは「ラ」大統領と面会。LLRCは再定住した元IDPたちの生活改善が急務であるとの見解を伝え、行政使用言語問題等の改善に関し、提案。

15日 ●「ラ」大統領、「ピ」外相は国連年次総会に出席するため、米ニューヨークに向け出発。

17日 ●東部州バティカロア県のカラディヤナル警察敷地内で爆発事故が発生。25名死亡(警察官16名、「ス」市民7名、建設業関連の中国人従業員2名)、54名負傷。外務省は、本件が(テロではなく)事故であり、現在政府として原因究明に向け調査中である旨対外的に説明。


●フォンセーカDNA指導者による違法な武器調達の容疑に関する第2次軍事裁判が開催され、「フォ」に対し、懲役3年の有罪判決との判断。判事らは、本旨をラージャパクサ大統領に勧告。他方、DNAは軍事法廷には公平性がないとして、本決定を非難。

●「ウィ」UNP総裁及びサジット・「プ」議員ら党改革派の議員が協議。焦点は、「プ」議員に副総裁(Deputy Leader)の地位の付与とその場合の同職の権限等。
●国連は「ス」戦闘末期における人権状況について国連事務総長に助言を行う専門家パネルが正式に活動を開始したと宣言。

19日 ●北部州キリノッチ及びプーネリンで「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」公聴会開催。キリノッチ公聴会では、カンダワライ地域周辺に再定住した元IDPらが参加し、戦争の被害の状況、及び現在の生活上の問題を説明。

20日 ●北部州ムライティブ県でLLRC公聴会実施
●MDGs報告書が発表され、「ス」は保健・教育分野で既に目標を達成し、貧困削減やジェンダー平等面でも大幅な発展を遂げた、との評価。

21日 ●訪米中の「ラ」大統領は、21日、アール・サーニ・カタール国首長と会談。


22日 ●「ラ」大統領は、国連ミレニアム開発目標(MDGs)首脳会合での演説し、「「ス」はテロによる暴力や津波災害を乗り越え、MDGs達成に向け、既に成果を上げてきている」とアピール。
●「ラ」大統領は国連内において、シュトルテンブルグ・ノルウェー首相及びソルハイム「ノ」環境・国際開発大臣と会談。「ス」メディアは、「「ノ」政府より「ス」と開発支援を中心とした新たな関係を構築したいとの意向が示され、両国間の関係は新たな一歩を踏み出した」と報道。
●「ラ」大統領はアフマディ・ネジャド・イラン大統領、ギュル・トルコ大統領、クマラスワミ国連事務次長(児童と武力紛争担当)と会談。

23日 ●ラージャパクサ大統領は国連総会で演説を行い、テロとの戦いのため国際法整備が必要であると強調すると共に、LTTEとの戦闘については、対話が最善の紛争解決と認識、しかし仕方なく軍事行動を選択したと表明。また、復興に向けた決意を示し、「東部州での経験に習い、北部州でも復興を成し遂げていく。また復興と治癒については、外部から押し付けられた解決方法ではなく、国民の文化と伝統に則した自前の解決を目指す。ただし経済復興に向けた国際社会からの支援は歓迎する」と発言。
●チャマル・ラージャパクサ国会議長は、第18次憲法修正を正式に承認し、これにより同憲法修正は正式に発効。

25日 ●「ラ」大統領はバン事務総長と会談し、「ス」の戦後復興に関する諸課題や、「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の主旨等について説明。

26日 ●G.L.ピーリス外相はアジア協力対話(ACD)閣僚会合に出席した他、R.M.M.N.ナタレガワ・インドネシア外相と会談。

27日 ●政府は14省に対し管轄機能の再編を実施。経済開発省に外国直接投資開発、地方・プランテーション・インフラ開発、私的産業開発に関する各任務が追加されなど、機能強化が行われた他、ウィーラワンサ大臣率いる建設・工学サービス・住宅・公共整備省には、これまで国防省が管轄していた都市開発局(Urban Development Authority: UDA)の機能を移行。

28日 ●ワヒード・モルディブ副大統領は、国連総会において「モ」国内で発生した政治的対立の解決に向けて国際社会に努力頂いたこと、特に、「ラ」大統領の建設的役割に感謝する」と発言。

30日 ●ランブクウェラ報道大臣は、「フォ」候補に対する懲役3年の有罪判決を大統領が右判決を認め、署名したことを受けて、直ちに刑務所に収監されることが決定した旨発言。これにより「フォ」候補の国会議員としての地位は剥奪され、「フォ」はウェリカンダ刑務所に移送。
●「ラ」報道大臣は、「2011年政府予算案は11月22日に「ラ」大統領により国会に提出され、第一読会は22日~29日まで、第二読会は29日~12月20日まで行われる予定である」と発表。
●国際法律家委員会(ICJ)は、「ス」政府が依然として8000名ものLTTE要員と見られるタミル人を理由無く拘束し続けているのは、明らかな国際法違反行為であるとする報告書を発表。


スリランカの主な出来事(2010年8月1日-8月31日)

2日  ●マイケル・デラニー米貿易代表(南アジア担当)を中心とする調査団が訪「ス」(~3日)。「ス」の労働者の状況に関して「ス」政府関係者と協議.。

3日  ●エルダー・グループ(The Elder's、注:2007年にマンデラ南アフリカ大統領を中心に設立された世界有識者団体)は、「ス」に関する報告書を発表。本報告書は、「戦後となって和解に向けた進捗が殆どない」と述べるなど、厳しい評価。

4日  ●M.サマラウィーラ野党SLFP人民派代表は、SLFP人民派を正式に解散し、UNPに入党。
●メルビン・シルバ・ハイウェー副大臣はデング熱予防対策会議に出席しなかった公務員を木に縛り付ける等の懲罰を与えた。野党関係者は「「シ」副大臣の行動は法律違反であり、政府が責任を取るべきであり、黙っていることは許されない」と批判。
●ガユーム・モルディブ前大統領が訪「ス」。

5日  ●最大野党連合UNF(最大野党UNPを中心とする野党連合)に所属するプラバ・ガネーシャンDPF議員(注:マノ・ガネーシャンDPF指導者の弟)及びディガンバラムNUW(高地タミル政党・労働組合)議員の2名が、与党側へクロスオーバー。

6日  ●UNP党幹部及び党改革派議員たちが、党改革・リーダーシップ問題について協議を実施。ジャヤスーリヤ副総裁、K.ハシム議員らがウィクラマシンハ総裁支持派を代表し、S.プレマダーサ議員、L.セネウィラトネ議員らが改革派を代表する構図。
●米国務省は「テロに関する国別報告書2009年度版」を発表し、「在外LTTE残党の資金は未だに無傷のまま残されている」との見方を発表。

7日  ●ノルウェーの首都オスロのヒンドゥー寺院において、祝典中に2つのタミル人グループが喧嘩騒ぎ。6名負傷、3名逮捕。抗争にはLTTE支持者で、KP逮捕後のLTTE指導者の一人とされるネディヤワン氏の一味が関与したとみられる。

9日  ●南部州ルフナ大学の男子大学生R.S.A.バンダーラ君(19歳)が警察官からの暴行を受け死亡したとされる事件(7月下旬発生)に関し、ラージャパクサ大統領は本事件究明のための大統領事実調査特別委員を任命。

10日 ●「ラ」大統領とウィクラマシンハUNP総裁が、憲法修正を巡り会談。「ウィ」総裁は憲法修正案が国会で可決するのであれば、国民投票を行う必要はないとの見方を表明。
●「ラ」大統領は、公務員縛り付け等を行って非難を浴びていたシルバ副大臣を更迭し、与党SLFPのメンバーシップも剥奪する、と発表。
●中国北京を訪問したG.L.ピーリス外相は李克強中国国務院常務副総理と会談した。李常務副総理は「ス」経済発展のため中国は惜しみない支援を行っていく、と発言。
●加ブリティッシュ・コロンビア州ヴィクトリア沖に490名に乗せた「ス」難民船「MV Sun Sea号」が接岸。

11日 ●「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」の第一回公聴会(public sitting)がコロンボ市内で開始。初日の公聴会では、ベルナルド・グナティラカ元和平事務局代表及びV.ナラヤナーヤガム・加マウント・ロイヤル大学準教授(カナダ在住タミル人)が証言。証言者は、「2002年の和平合意締結以降の和平プロセスは、実質的な成果を上げることはできなかった。また和平合意文書は仲裁者であるノルウェーが当時のウィクラマシンハ政権を急き立てて強引に作らせたもの」と証言。また民族紛争の根源的原因の解決へ向け「北・東部への政府軍のプレゼンス拡大は、戦後治癒のプロセスにとっての障害となる可能性があり、再検討すべき」と提言。

12日 ●政府は、コロンボ市内の国有地に不法居住する66,000世帯の人々を移住させ、跡地に商業施設を建設することを閣議決定し、都市開発局(UDA)に対し指示。なお、移住対象者には新住宅が提供される予定。
●JVPは南部州ゴールにおいて政府批判デモを実施。フォンセーカDNA指導者の釈放を求めると共にラージャパクサ・ファミリーに有利な憲法修正案に反対するため。同デモに参加したJVP議員2名(V.ヘーラット幹事長及びA.クマーラ議員)ら10名が警察を襲った容疑で逮捕。

13日 ●フォンセーカDNA指導者(前国防参謀長、元野党共通大統領候補)に関する第一次軍事裁判開催。政府軍判事3名は「フォ」に対し、元政府軍人としての地位・名誉・年給等の退役後の恩恵受給権の剥奪を含む有罪判決を下し、本旨を「ラ」大統領に報告。
●米国務省は『「ス」戦争犯罪容疑に関する「ス」政府及び国際機関の対応に対する評価(米議会提出用)』と題する報告書を発表。「ス」政府は声明を発し、「本報告書は「ス」戦争犯罪に関する調査について言及しているが、そうした内容は到底受け入れられるものではない」と批判。

14日 ●タミル政党フォーラム(TPPF会合(注:D.デーワーナンダ与党EPDP党首主導で本年6月に発足したタミル政党会合)開催。最大野党連合TNAは参加せず。
●北部ワウニヤで公聴会(非公開)実施。戦闘の影響を受けた一般タミル人が発言を行い、誘拐・失踪事件が多数発生した事実関係、及び内戦終了後の再定住の生活は依然として苦しい状況、シンハラ人がタミル人の土地を収用している状況、等を発言。

15日 ●中国北京を公式訪問した「ピ」外相は楊潔チー(注:竹冠に虎の字)中国国務院外交部長と会談。楊外交部長は「中国はこれからも「ス」の国家ニーズ充足、人々の生活向上、平和と安定のため、あらゆる支援を惜しまない」と発言。

16日 ●LLRC公聴会4日目では、ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が証言。「和平合意は完全に失敗であった。LTTEは停戦期間を軍事補強のために利用しようとしたに過ぎない。戦闘末期、政府軍兵士たちは、LTTEに囚われた一般市民救出のための軍事オペレーションを人道的規律の下に行おうとして、甚大な損害を被った。他方、戦闘の最終段階では、LTTEに欺かれた国際社会の一部は、政府側に停戦を要求しながら、LTTEには何も要請しないという奇妙な態度を取った。今後、政府軍は北部でのプレゼンスを徐々に縮小させ、警察に任務を引き渡していく予定であるが、LTTE再興を予防するため、政府軍のプレゼンスは一定程度は維持する」と発言。
●検事総長(AG)は、「フォ」DNA指導者(前国防参謀長、元野党共通大統領候補)を反逆罪容疑、退役政府軍職員に命令を行った容疑、脱走兵を匿った容疑で起訴。
●EUから「ス」に対するGSPプラス供与は本日以降停止に。

23日 ●「ラ」大統領は、「ウィ」総裁らUNP代表団と会談し、憲法改正にかかる協議を実施。「ラ」大統領は、現在の大統領制を残し、現在の大統領の任期制限を撤廃するとの内容を披露。
●LLRC公聴会6日目では、ウィジェーシンハSLFP議員(前和平プロセス事務局長、前人権省次官)が証言。「2003年12月、当時のUNP政権は、LTTEに対してUNDP及びノルウェーが直接資金援助することを許可した。結局、これらの資金はLTTEのテロ活動資金になった。即ち、当時のUNP政権がLTTEへの監視を怠ったことがLTTEのテロ活動を助長した。一部国際社会を和平プロセスに関与せしめた結果、LTTEが彼らと密接に接触するようになり、最終的には国際社会はLTTEの(テロ)活動には一切目を瞑り続けることになった」と発言。
●「フォ」元国防参謀長に対する第二軍事法廷(汚職問題:陸軍司令官という立場を利用して、武器購入の際に不正の資金を得たとの嫌疑)が開廷。

25日 ●LLRC公聴会7日目では、ダナパーラ元スリランカ和平プロセス事務局長(元国連事務次長)が証言。「国際社会は「ス」内戦問題についての理解を正しくすべき。本件は、政府軍がテロリスト団体との間で「テロとの闘い」を行ったという国際的に認められた当たり前の行為である。よって、政府軍兵士に対する戦争犯罪を追及すべきできはない」と発言。
●「ラ」大統領とハキーム野党SLMC(ムスリム最大政党)総裁が憲法改正について協議実施。会談後、「ハ」総裁は「ムスリムに悪影響を及ぼさない改正案であれば、反対することはない、SLMCは現実的立場に立っている」と発言。
●アッタナイケUNP幹事長は、「UNPとしては、大統領制度廃止という条件が満たされなければ、政府側との協議を継続していくことは無意味である」と発言。

26日 ●訪印したバジル・ラージャパクサ経済開発大臣、ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官、ウィーラトゥンガ大統領首席秘書官は、クリシュナ印外相、ムガジー印財務大臣等と会談。

27日 ●SLMCは党最高評議会で「ラ」大統領が提示する憲法改正案を支持することを決定。同案には、大統領の三選禁止を撤廃すること、第17次憲法改正下で機能していない憲法委員会の委員の構成を変え、別の委員会を立ち上げることが含まれている模様。今次SLMCの決定により、政府側は憲法改正に必要な国会議席の2/3以上を獲得することが確実に。
●5ヶ月間に亘りサウジアラビアにメイドとして出稼ぎ労働し、先日帰国したアリラワティ(女性)は数ヶ月に亘り雇用者の虐待を受け、その体に24個もの釘が差し込まれていることが判明し、コロンボ市内で手術。

30日 ●ラオ印外務次官が訪「ス」(~9月2日)。北部地域のIDPの再定住の状況の視察が主目的。

スリランカの主な出来事(2010年7月1日-7月31日)

2日  ●D.デーワーナンダ与党タミル政党EPDP党首主導により第2回タミル政党会合(「タミル政党フォーラム」)開催。チャンドラカンタンTMVP指導者らが初めて加わり、計8タミル政党が参加。
●アシュトンEU外務安全保障政策上級代表は声明を発し、「EUはバン国連事務総長による「ス」人権状況調査のための国連専門家パネルの設置を歓迎する」と発言。

3日  ●国会で2010年度国家予算案に関する第2次読解が可決(賛成138票、反対75票)。
●「過去の教訓・和解委員会(LLRC)」は声明を発し、「LLRC民間からの代表者の参加を募り、8月18日までに選定する」と発表。
●ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は、KPが最近訪「ス」した在外タミル人ダイアスポラの代表団と共に北部州を視察したことを認める発言。

5日  ●EUは「ス」に対するGSPプラスの供与を本年8月15日以降、停止する旨公式発表。EU側は「「ス」政府に対しGSPプラス停止を回避するための方法を提示し、7月1日までの回答を「ス」政府側から待っていたが、何の返答もなされなかったため、本決定に踏み切った」と説明。これに対し、ランブクウェラ報道大臣は「我々はEUからの条件を決して受け入れるつもりはない。政府として本影響を最小化するための措置を講じている」と発言。
●UNHCRは「「ス」難民庇護申請者の国際的保護の必要に関する資格調査ガイドライン」を発表。「「ス」では戦後、人権状況・治安状況が急速に改善されてきており、「ス」北部のタミル人については、最早難民認定における国際的保護及び関連補完措置は不要」との見解。

6日  ●6日午前、ウィーラワンサ建設・工学サービス・住宅・公共設備大臣率いる与党小党NFF(シンハラ民族主義を掲げる政党)を中心とした群衆1,000~1,500名がコロンボ市内の国連事務所前に集まり、バン国連事務総長による国連専門家パネル設置に対する抗議デモ活動を実施。一時的に国連職員が事務所外に出られない状況に(ただし警察の保護の下、夕刻までに国連職員の移動の自由は確保)。また夕刻、警察が抗議デモ参加者を立ち退かせようとしたところ、もみ合いになり、8名が負傷。その後R.ジャヤシンハ外務次官が当地国連事務所を訪れ、NFFと国連との間の対話を斡旋し、事態は沈静化。

7日  ●政府は当地国連事務所前での抗議デモに関する声明を発表。「「ス」は民主主義国であり、政府は平和的デモを通じた発言を尊重する義務がある一方、国連事務所及び職員に対しては十分な警備を付与した」と説明。

8日  ●「ウィ」大臣は当地国連事務所前で「死の断食」を通じた抗議活動を開始。
●バン国連事務総長は声明を発し、「スリランカ政府閣僚により組織された抗議活動の結果として、在コロンボ国連事務所は通常業務遂行を妨げられた。「ス」政府が本事態の発生を予防しなかったことは受け入れ難く、ブネ当地国連代表をニューヨークに呼び戻して事情聴取を行う。UNDP地域センターを閉鎖する」と発表。
●デシルバLLRC委員長(元検事総長)は、「LLRCは明日(10日)会合を行う予定である他、8月に公聴会(public hearing)を開始し、関係者の証言を記録した後、北・東部州を訪問して更なる公聴会を開催する予定である」と発表。
●訪印したTNA議員団は、クリシュナ印外相と会談。TNA議員団は印側に対し、終戦後の民族問題に関する支援を印側に要請。

9日  ●当地国連事務所前で「死の断食」による抗議行動を行っているウィーラワンサ建設・工学サービス・住宅・公共設備大臣(シンハラ民族主義を掲げる与党小党NFF政党指導者)は、同職を辞任する意向を示したが、「ラ」大統領が辞表を受理せず。
●国会で2010年度国家予算案に関する第3次読解が可決(賛成139票、反対71票)。
●ギラード豪首相は「ス」からの難民庇護申請を向こう3ヶ月一時停止する方針を発表。「ス」政府は本決定を支持するとの意思表明。

10日 ●「ラ」大統領はウィクラマシンハ野党議員団長と二者会談を実施。両者は憲法修正案を巡り、(1)大統領三選禁止制度の廃止はしない代わりに、国会に責任を有する「実権を持った首相(executive prime minister)」ポストを創設、(2)地方議会選挙制度を修正(比例代表制と小選挙区制の混合制度へ)、(3)第17次憲法修正を追加修正、することで基本的合意。
●「ラ」大統領が「ウィ」大臣による「死の断食」の現場に介入。これを受け「死の断食」中止に。
●独、英、米、仏、伊、スイス、蘭、ルーマニア、ノルウェー、EUの当地外交団が共同声明を発表。「平和的な抗議活動は民主主義において認められるものであるが、国連事務所へのアクセスの妨害や国連職員への脅迫・ハラスメントは国際規範の違反にあたる」との見解。

11日 ●ブネ当地国連代表はニューヨークに向けて「ス」を出発。

13日 ●与野党の代表団が、地方議会選挙の修正に関して協議。小選挙区制及び比例代表制を7:3の議席比率で混合させた新選挙法の本年中の施行等について合意。

14日 ●政府は北部州キリノッチ(注:LTTEの旧本拠地)で閣議を開催。

15日 ●政府は2007年6月以降に採用した公務員に対し、第2言語の教育を義務づけることを決定。

16日 ●デシルバ灌漑・水資源管理大臣はSLFP記者会見において、「憲法修正を巡って、政府は最大野党UNPだけでなく、今後はTNAとJVPとも協議を行っていく」と発表。

18日 ●「ラ」報道大臣は、「北部情勢が完全に平穏化するまで、引き続き北部での高度警戒地域(HSZ)及び政府軍のプレゼンスを維持していく」と発言。

19日 ●ヨガラジャン野党UNP議員及びカリヤパーSLMC議員は記者会見を開き、「全政党代表者会議(APRC)は14カ月も前に最終報告書を大統領に提出したのに、その後同報告書は公開されず、政府から何の反応もなされなかった」として、APRC最終報告書を公開する意向を表明。
●最大野党UNP党作業部会は、党改革委員会によって提出された党改革案を承認。これにより党総裁(leader)、副総裁(deputy-leader)、総裁補佐(assistant leader)ら5大幹部ポストが非公開投票によって選出されることに。

20日 ●「ヨ」UNP議員は、国会の場でAPRC報告書を紹介しようとしたところ、与党議員から「許可なくこのような形で報告書を勝手に公開すべきではない」と物言いが付き、議論は停止に。
●国連本部に一時召還されていたブネ当地国連代表が「ス」に帰任。G.L.ピーリス外相と会談。
●ジャヤラトナ首相は中国北京を訪問し、習近平国家副主席と会談。
●印タミルナドゥ州を訪問したTNA議員団は、カルナーニディTN州首相と会談。

21日 ●国連専門家パネルの事務局スタッフが内定。長としてR.ベネット在ネパール国連人権高等弁務官事務所代表が就任。
●ブレイク米国務次官補が訪「ス」し、ラージャパクサ大統領、G.L.ピーリス外相らと会談。記者会見では「「ス」は民族和解、民主主義、報道の自由においてもっとすべきことがある」と発言。

22日 ●野党議員団(K.ジャヤスーリヤUNP副総裁、R.ハキームSLMC指導者、M.サマラウィーラSLFP人民派指導者ほかが参加)はG.L.ピーリス外相と会談を行い、憲法修正案を巡って協議。
●警察官の警棒で暴行を受けたとされる南部州ルフナ大学の男子大学生R.S.A.バンダーラ君(19歳)が、病院で死亡。本事件を受け、ルフナ大学では大勢の学生が集まり、マータラ市内の警察署に向け、抗議の行進を行おうとしたところ、警察・政府軍兵士がこれを阻止。

24日 ●メダーワラ政府軍報道官は、「7月1日~22日の期間だけで10,075名のIDPがキャンプから解放され、再定住した」と発表。

26日 ●シン印首相は、タミル人が多数居住する北・東部地域の復旧・復興状況を視察するために印外務省の高官をスリランカ特使として派遣する旨明らかに。

28日 ●ルフナ大学学生暴行死亡事件を受け、コロンボ中心部で学生約2500名が抗議デモ実施。
●「ピ」外相及びバジル・ラージャパクサ経済開発大臣が訪日(~30日)。岡田外務大臣、前原国土交通大臣、直島経済産業大臣、福田元総理、明石政府代表らと会談。

30日 ●コロンボ市内にある民間テレビ局「シヤタ・メディア・ネットワーク社」のオフィスを武装ギャング12名が襲撃。オフィスにいた2名の職員が負傷し、火炎瓶によりオフィス設備が火災で被害。
●当地英大使館は声明を発し、「今般「ス」への英国人渡航者に対する渡航情報を更新し、北部州4県に関する危険勧告を除去。

31日 ●UNESCO世界遺産委員会第34回会合において、「ス」のアダムスピーク、ホートンプレインズ、ナックルズ自然保護区の3カ所が新規登録されることが決定。「ス」世界遺産は計10カ所に。
●西部州コロンボ=北部州ジャフナ間を貫徹する鉄道線路敷設工事が進む中、コロンボ=北部オマンタイ(ワウニヤの北7km)間を繋ぐ線路が完成し、テスト運行実施。
(了)  


スリランカの主な出来事(2010年6月1日-6月30日)

1日  ●ラージャパクサ大統領は車・電化製品・原材料に関する輸入税の引き下げを決定(輸入税引き下げ率:車50%減、日用電化製品(携帯電話、カメラ等)15%減、工業用原材料2.5%減)。

2日  ●印ニューデリー・テレビ局(NDTV)は「血の水道(Blood on Water)」と題するドキュメンタリー番組を放映し、「ス」を批判的に報道。

4日  ●「ラ」大統領は、コロンボで開催されるインド国際映画アカデミー(IIFA)の受賞式と並行して、訪「ス」中の印企業らを招き、「ス」商工会との共催フォーラム実施。

5日  ●コロンボ市内でIIFA受賞イベント開催。アミタブ・バッチャン氏をはじめ本命の「ス」映画スターたちは訪「ス」せず。また受賞式には「ラ」大統領も欠席。他方、印映画スターたちは、コロンボ市内で親善クリケット試合を実施。本試合には、ナマル・ラージャパクサ議員(大統領の長男)が参加。

7日  ●「ラ」大統領はTNA議員団及び与党EPDP議員団と会談し(両者の会談は2009年9月以来)、政府とTNAの民族問題の解決及びIDP問題に関し、共同メカニズムを結成することで合意。
●英テレビ局BBCはゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官のインタビューを放映。「ラ」次官はフォンセーカ前国防参謀長が政府要人の命令でLTTE幹部を殺害したとの証言について質問され、「そのような証言は国家反逆行為にあたり、もし「フォ」がそのように述べたのだとすれば、「フォ」を吊し上げなくてはならない」と過激な口調で返答。
●コホナ国連代表部大使は、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区沿岸で発生した援助船への攻撃に関する国連調査団の団長に就任。
●シンガポールで開催中のシャングリラ会合に出席したG.L.ピーリス外相は、L.フォックス英国防大臣、メノン印国家安全保障顧問らとそれぞれ会談。

8日  ●国会で緊急事態令の延長が可決(賛成121票、反対53票)。
●BBCテレビ番組「ハードトーク」は「ス」に関する特集番組を放映。同番組では、拘留中の「フォ」DNA指導者の電話インタビューが「フォ」自身の声で流され、「フォ」は「ス」政府要人が北部戦闘の最終段階で戦争犯罪を犯した可能性を示唆する発言。

9日  ●訪印した「ラ」大統領はシン印首相と会談し、7つの二国間協定に署名。また「ス」国内での権限委譲及びタミル人との対話開始、IDPの生活状況と早期再定住への取り組み等に関し協議。

10日 ●「ラ」大統領は印TN州議員団(カルナーニディTN州首相の娘にあたるカニモージDMK議員をはじめ、コングレス党、DMK、VCKが参加)と会談。
●訪「ス」したマハティール元マレーシア首相は記者会見を行い、「「ス」は過去のことは忘れ、経済成長に向けて邁進すべき。外国からの借款に過度に頼るべきではなく、経済活動を重視すべき」と発言。
11日 ●「ラ」大統領は4日間の印滞在を終了し、「ス」に帰国。外務省は、今回の訪印によって、益々両国の友好関係が深化した、との見解発表。
●訪「ス」した中国の張徳江国務院副総理はジャヤラトナ首相と会談。「ス」・中国間で技術協力・産業・情報技術・建設の各分野で6つの友好協定に署名。

12日 ●「ラ」大統領は張中国国務院副総理と朝食会を開催。同日、張副総理は、「ラ」大統領の次男にあたるヨシータ・「ラ」海軍少尉の誕生日会にも出席。
●ジュネーブ国連人権理事会において、EU代表団は「ス」に関する声明を読み上げ、「ス」の戦争犯罪に対する調査の必要性を訴え、国連専門家パネル設置の方向を支持する意向を表明。

13日 ●チダンバラン印内相は、「「ス」ではタミル民族問題解決に向けた前向きな兆候が出てきている。「ラ」大統領は先般の印ニューデリーでのシン印首相との会談において、残る57,000名のIDPを3~6ヶ月以内に全て再定住させることを確約してくれた」と発言。

14日 ●ディネシュ・グナワルダナ上下水道大臣(選挙制度改革に関する国会委員会委員長)は、「政府は選挙制度改革法案を7月中に国会に提出予定と発表。

15日 ●明石康日本政府特別代表が「ス」に到着。明石代表の訪「ス」は今回で20回目。

16日 ●M.フェルナンド再定住大臣は、北部IDPキャンプに残留しているIDP数を49,634名と発表。
●訪「ス」した明石日本政府代表はG.L.ピーリス外相と会談。会談後の共同記者会見において、明石代表は「国連や諸外国も「ス」の和解プロセスに寄与できる可能性もあるとは思うが、基本的には「ス」の民族和解プロセス等に関し、干渉したり指図すべきではない。国連の果たす役割を決めるのは「ス」政府であろう。我々は大きな課題・目標に向かって野心的に取り組もうとしている「ス」政府の努力を歓迎する」と発言。
●パスコー国連政務局長が訪「ス」。今次滞在中、「ラ」大統領、G.L.ピーリス外相、M.ピーリス検事総長、ウィクラマシンハ野党リーダー、T.アレスDNA議員、ハキームSLMC指導者とそれぞれ個別に会談した他、北部ムライティブ周辺を視察。「ラ」大統領との会談では、ムライティブ周辺の復興の進捗状況に満足の意を表明。
●S.パワー米国家安全保障委員会委員(人権問題等担当、米大統領特別顧問)及びD.プレスマン米国家安全保障委員会委員(戦争犯罪・文民保護担当)が訪「ス」し、「ラ」大統領と会談

17日 ●北部州キリノッチにおいて、青年4,000名の雇用促進を目的とした職業訓練センター開所。
●K.クレメンス米国務次官補訪(人口・難民・移民担当)が訪「ス」。
●A.バート英外務次官は「ピ」外相と電話会談。

18日 ●政府は戦勝一周年記念として、大規模な軍事パレードをコロンボ市内で実施。当日は臨時の祝日とされ、市内ではパレードのために大規模な交通規制も。「ラ」大統領は、「我らが母国では最早分離主義やテロリズムが蔓延る余地はない。政府は戦争の英雄の記憶を下に、こうした状況を守っていく。我々は国のために一つとならなければならない」と演説。
●明石代表は北部州キリノッチ及びパランタンを訪れ、日本の支援による農機引き渡し式・種子農場就工式に参加した他、キリノッチ市郊外のIDP再定住先を視察。

19日 ●明石代表は大統領官邸で「ラ」大統領と会談。

20日 ●与党JHU(注:仏教団と関連が強いシンハラ民族主義政党)は、新指導者としてオマルペ・ソビータ師(仏僧、党幹事長)を任命したと発表。
●昨年8月に懲役20年の有罪判決を受けた後、本年5月に「ラ」大統領から恩赦を与えられ、釈放されたジャーナリスト、ティッサナヤガム氏が「ス」を出国し米ワシントンに到着。

22日 ●スリランカ内戦末期における人権状況について事務総長に助言を行う専門家パネルの設置したと発表。専門家パネルのメンバーにはM.ダルスマン氏(インドネシア人)他2名。政府関係者は本措置を激しく非難。最大野党UNP関係者も、同パネル設置は「ス」のためにならない、と述べ否定的な見方。また新聞各紙は、「「ス」政府は専門家パネルのメンバーに「ス」入国のための査証を発給しない意向」との表題で報道。
●EUは、本年8月15日で消滅する「ス」へのGSPプラス(特恵関税)について、EUが2月に「ス」政府に要請した人権関係の15項目(人権全般について国際的基準を満たすこと、政府の具体的な人権問題への対応等)につき、7月1日までに正式な書簡での回答及びコミットメントがなければ、EUとしてGSPプラスを延長することはないとの立場を表明。

24日 ●米上院外交委員会はティッサナヤガム記者への恩赦を歓迎する声明を発表。
●露は国連専門家パネル設置に反対する声明を発出し、中国、NAM諸国もこれに続く一方、米及びノルウェー政府関係者が本パネル設置を歓迎する発言。

25日 ●EUによる特恵関税措置GSPプラスの8月15日以降の延長に関する条件付けに関し、「ピ」外相は、「「ス」政府としてEUへの公式な返答などは出さない。最早EU側と話し合う必要はない。GSPプラスへの条件付けは「ス」への内政干渉であり、明らかに政治的意図に基づいたものである」と述べ、EUを非難。

28日 ●IMFは「ス」に対するスタンドバイ融資の第3次支払い(4億米ドル相当)の実施を決定
●訪「ス」したN.ウェルマ印海軍総督は、「ラ」大統領、ゴタバヤ・「ラ」国防次官とそれぞれ会談。

29日 ●2010年度下半期の国家予算案が国会に提出。本予算案に関し、S.アムヌガマ財務・計画副大臣が国会演説を行い、教育、保健、弱者支援、農村コミュニティ支援、伝統・中小企業支援、公務員・労働者の生活向上の各分野への予算割り当てを強調。なお、政府が公約していた公務員の昇給(一ヶ月あたり2500ルピーの昇給)は棚上げされ、来年度以降に持ち越しに。

30日 ●「ラ」大統領はウクライナを初めて公式訪問。「ラ」大統領はヤヌコーヴィチ「ウ」大統領と会談し、観光・海軍・海上輸送・国防の各分野における4つの協力協定に署名。
(了)  


スリランカの主な出来事(2010年5月1日-5月31日)

3日  ●G.L.ピーリス外務大臣は、「ラージャパクサ大統領は「世界報道の自由の日」に際し、ジャーナリスト、ティッサナヤガム氏(注:昨年8月に懲役20年の有罪判決を受けていた)に恩赦を与え、釈放した」と発表。同日、当地米国大使館は声明を発し、「ティ」氏釈放を歓迎すると表明。
●学生連盟は、北部IDPの問題が著しく無視されているとして抗議を実施。
●クリントン米国務長官は、「ピ」外相就任に対し祝辞を発出。

4日  ●「ピ」外相は国会において、「国家安全保障に抵触しない範囲で、緊急事態令を緩和する。緩和措置が適用されるのは、同居人に関する情報提供義務に関する規定、及び政府軍兵士の操作目的の私有地立ち入りに関する規定、テロ支援のための広報・出版・配布活動、戒厳令の実施規定等である。本緩和措置により、「ス」への観光客増加、経済開発が促進されることを期待する。なお、政府軍は引き続きテロ関連調査に関し警察権限を維持していく」と発言。
●ジャヤラトナ首相は国会において、「LTTEが再興を目論み国際的な領域で活動し、「ス」に分離国家を建設し、再武装しようと目論んでいる。「ス」にとっての最大の課題は、在外LTTEネットワークを打ち砕くことであり、緊急事態令は引き続き必要である」と発言。

5日  ●国会で緊急事態令の延長が可決(賛成132票、反対14票)。
●「ラ」大統領は新内閣における追加閣僚4名(ランブクウェラ報道大臣、S.B.ディサナヤケ高等教育大臣、トンダマン畜産大臣、ウィターラナ科学技術・研究大臣)及び副大臣6名を任命。本決定により閣僚数42名、副大臣45名で、計87名に。なお、マービン・シルバ大衆報道・情報副大臣は同職を辞任し、ハイウェー副大臣に転任。
●「ラ」大統領は、各省の予算策定にあたり、通常予算案や暫定予算案ではなく、公債基金(consolidated fund)から4,400億ルピーを切り崩して充てる提案。
●最大野党UNPの党幹部は作業部会を開催し、党綱領を改定し、選挙によって党幹部を選出する仕組みを導入する方針を決定。
●デイリーミラー紙記者のS.A.ジャヤセーカラが、「ラ」大統領が訪問していた病院で取材を行うため入ろうとしたところ、政府軍大統領治安部隊から暴行を受け、負傷。

6日  ●「ス」は上海協力機関(SCO、注:中国・露を中心とする安全保障に関する国際機構)と科学技術・保健分野等での協力に合意・署名。

8日  ●都市開発当局(UDA、注:今次省庁再編で国防省の傘下に配置)は、警察と陸軍と共に、コロンボ2区ミューズ通りの建造物を違法とみなし解体。これに対し、ミューズ通りに居住していた住民たちが抵抗し、治安当局ともみ合いに。

10日 ●チャールズ北部州行政長官(GA)は、「10日に5,000名が北部IDPキャンプから解放され、キリノッチ県に再定住した。キャンプに残存するIDP数は60,000名(ママ)となった」と発表。
●TNAはタミル市民に向けて声明を発し、「政府は5月12~18日を英雄週間と呼ぶが、当期間はタミル人にとっては哀悼期間とすべきである。特に昨年の5月17日には多くの一般市民が犠牲になったことから、「破滅の日(the day of catastrophe)」と呼ぶべきである」と発言。

11日 ●S.ライス米国連代表部大使は、「「ラ」大統領による「過去の教訓・和解委員会」の設置の意向を歓迎する声明を発表。
●マレーシアで病気療養していたパルワティ・ウェルッピライ・プラバーカラン氏(故プラバーカランLTTE指導者の母。80歳。身体麻痺を患っている)が、「ス」に帰国。

12日 ●D.E.W.グナセーカラ社会復帰・留置所改革大臣は、「本年中に元LTTE要員10,000人を社会復帰させ、また元LTTE戦闘員1,000名に対しては検察を通じて法的措置を講じる予定」と発言。

13日 ●閣議で「過去の教訓・和解委員会(Lessons Learnt and Reconciliation Commission:LLRC)」に関する覚書承認。本委員会の活動として、停戦合意が締結された2002年2月21日から戦争が終了した2009年5月19日までの期間中に発生した以下の事項に関する調査及び報告が義務づけられた他、活動予算1,000万ルピーの割り当てが決定。

14日 ●印政府はLTTE違法化措置の2年間延長を決定。

15日 ●「ラ」大統領はLLRCに関する声明を発表し、「LLRC議長としてチッタ・ランジャン・デシルバ元検事総長ほか委員7名を任命。なお、本委員会は6ヶ月以内に報告書を完成させ、「ラ」大統領に提出すること、調査はすべて非公開で行うことに。

17日 ●第14回G15首脳会議に伴いイラン入りしているG.L.ピーリス外相は、16日、クリシュナ印外相と会談。両外相は「ス」北部IDPの状況について協議した他、「ラ」大統領が6月8日から印ニューデリーを訪問することで合意。
●「ラ」大統領はイラン・テヘランで開催された第14回G15首脳会合に出席。「G15は、人間中心の開発に取り組むべくG8と建設的な対話を行っていくべき」と発言。なお「ラ」大統領はアフマディネジャド・イラン大統領からG15首脳会議の議長を継承。
●国際危機管理グループ(ICG)は「「ス」戦争犯罪に関する報告書」を発表し、「「ス」政府は戦闘の最終段階で大勢のタミル人を殺害した」と主張。これを受けて「ピ」外相(20日)は、「ICG報告書は、情報源が匿名となっており主張が反証不能である。また「ス」政府がEUと関税特恵GSPプラスを巡って交渉を行っている最中の発表には政治的意図がある」と激しく反発。

18日 ●LTTE打倒から1年。20日にはコロンボ市内ゴールフェース公園で、政府軍による大規模な戦勝祝賀パレードが予定されていたが、悪天候のためキャンセルに。
●政府は、北部ジャフナの社会復帰施設に滞在していた元LTTE要員425名を解放。
●英テレビ局チャンネル4は、「「ス」北部戦闘の最終段階で「ス」政府要人からタミル人たちを抹殺するように指示を受けた」とする「ス」陸軍幹部の匿名証言を放映した他、ICGのL.アーバー代表をスタジオに招くなど、「ス」政府を厳しく批判する内容のテレビ番組を放送。

20日 ●J.ケレンベルガーICRC代表は、「「ス」政府はICRCに対し元LTTE要員の社会復帰センター及びIDPの再定住地域へのアクセスを認めるべきである」と発言。

21日 ●UNP党作業部会が開かれ、党綱領に関する改定案を承認。新綱領の下では、党総裁をはじめとする殆どの幹部を無記名投票により選出する方向に。
●M.ピーリス検事総長を中心とする「ス」政府代表団が訪欧。K.ゲオルギヴァEU国際協力・人道援助・危機対応委員長と会談。
●ヒューマンライツウォッチ(HRW)は「ス」戦争犯罪に関する報告書を発表。「ラ」報道大臣は、「HRW報告書の情報には根拠がない。政府として一々相手にする必要はない」と発言。
●国連は「児童・武力紛争に関する年次報告書」を発表。LTTEが北部戦闘の最終段階で逃げようとする女性や子供に強制的に髪を切る蛮行を行っていたとの記載。

22日 ●C.R.デシルバLLRC委員長は、「LLRCは公開では実施しない代わりに、全てカメラで証拠撮影を行う予定。また11月15日までに報告書を纏め、「ラ」大統領に提出予定」と発言。

24日 ●14日以降、西部州・サバラガムワ州・南部州を中心に降り続いた大雨で、24名死亡、倒壊家屋539棟、半壊家屋2,775棟の被害。
●フォンセーカDNA指導者(注:元野党共通大統領候補、前国防参謀長)に関する第2次軍事法廷開始(陸軍在職時中における武器調達における不正に関する審議)。
●米ニューヨークを訪問した「ピ」外相は、国連本部でバン国連事務総長と会談。「バ」事務総長は独立専門家パネル設置を進めていく意向を改めて示したのに対し、「ピ」外相は「国連は「ス」への内政干渉、即ち独立調査の要求をすべきではないと主張。

26日 ●「ラ」大統領は、「北部IDPキャンプに残留する全てのIDPを、3ヶ月以内に再定住させ、キャンプを閉鎖する」と発言。

27日 ●米国務省は声明を発し、2009年11月に発せられていた「ス」への渡航者に対する安全上の警告を5月26日を以て取り消した、と発表。

28日 ●米ワシントンを訪問した「ピ」外相は、クリントン米国務長官と会談した。「ク」長官は会談後の記者会見において、「「ス」における和解委員会は間違いなく有意義なものであり(hold promise)、「ス」の一般市民の期待とニーズを反映し、戦時に行われた残虐行為の問題を広く追求し、責任関係を明らかにしてくれるものと期待している」と発言。

31日 ●ピライ国連人権高等弁務官は、「「ス」人権侵害に関しては、「ス」政府が新設した和解委員会如何に関わらず、独立した国際調査があるべき」と発言。これに対し、「ラ」報道大臣は、「多くの国々が「ス」自身の調査に肯定的な見方を示してくれている中、国際調査を急いで設置する意味はない」と反論。


スリランカの主な出来事(2010年4月1日-4月30日)

1日  ●与党連合UPFAはラージャパクサ大統領の参加の下、北中央州アヌラーダプラ及び北部州ワウニヤ・ジャフナで選挙集会を開催。「ラ」大統領は「UPFAの勝利は確実」と宣言。
●「ラ」大統領の北部州訪問に際し、ワウニヤの元LTTE要員社会復帰センターから1,528名解放。同センターに残留する元LTTE要員は約9,000名に。

4日  ●5団体による世論調査の結果、今次総選挙で与党連合UPFAは128~152議席を獲得するとの予測に(4日付)。
●クルネーガラ選挙区マワダーガマ地区において、与党連合UPFAの支持者1名が銃撃を受け、死亡。今般の総選挙に関連する死亡事件はこれが全国初。

8日  ●全国で総選挙の投票実施。有権者数は14,088,500名(再定住済みの北部IDP45,969名、及びキャンプ内のIDP25,582名を含む)。候補者数は7,620名(政党数24、独立団体310に所属)。選挙管理・監視には政府担当職員:123,000名の他、当地選挙監視オブザーバー(PAFFREL、CMEV)14,670名、国際監視要員16名(タイを拠点とする政府非公認NGO、ANFRELのみ参加) 、警察官58,700名、政府軍兵士19,500名が参加。投票率は61.26%と記録的な低さに。なお投票日は概ね平穏(PAFFRELによると、投票日当日の不満件数は140件)であったものの、中央州キャンディ選挙区内のナラワピティヤ地区おいて、投票所の政党立会人が不審なグループに追いかけられ、脅迫を受けるなどの事件が発生した他、東部州トリンコマリー選挙区クンブルピティヤ地区の投票所では、投票所に暴力団が押し入り投票箱を奪い去る事件が発生。選管は、これらの地域の結果発表を保留。

9日  ●総選挙の暫定結果が明らかに。与党連合UPFAが117議席、野党ではUNP46議席、TNA12議席、DNA5議席を獲得し、与党が優勢な状況に。バジル・ラージャパクサ大統領首席顧問がUPFA全候補者の中で最高となる425,861票を獲得し、初出馬のナマル・ラージャパクサ候補(「ラ」大統領の長男)も与党内で最高得票率を獲得。
●国会で緊急事態令の一ヶ月延長が可決(賛成58票、反対5票)。ウィクラマナヤケ首相は国会討議において、「政府は永久に緊急事態令を延長しようとは考えておらず、国家安全保障を損なわない範囲で、同令の改正も検討する」と発言。

10日 ●選挙管理委員会は、キャンディ選挙区ナワラピティヤ地区内の17の投票所及びトリンコマリー選挙区クンブルピティヤ内の投票所1箇所に限り、20日に再投票を実施する旨決定。

11日 ●与党連合UPFAは記者会見を行い、総選挙での勝利を宣言。(野党を含め)全ての政党に国家発展に向け政府と協力するよう要請し、「過去に一部の外国勢力が「ス」選挙結果に物言いをつけるような事があったが、外国は「ス」国民のマンデートを尊重し、文句を付けるべきではない」と発言。

13日 ●クリントン米国務長官はシンハラ・タミル正月に際し祝辞を発出。「国内外全ての「ス」人にとり、寛容性と人権尊重に基づく豊かな民主国家を共に築き絆を深める好機である」と発言。またブレイク米国務次官補(前在「ス」米大使)は記者会見において、「過激なシンハラ民族主義政党であるDNAやJHUが大幅に議席数を減らした。与党は(権限共有に向けた)重要な好機を掴んでおり、タミル人との和解に向けて取り組むべき」と発言。
●アシュトンEU外務安全保障政策上級代表は声明を発し、「「ス」総選挙が概ね平和裡に実施されたことを歓迎する」と発言。

15日 ●Jiang Yu中国外務省報道官は記者会見において、「LTTE打倒後初となる「ス」の総選挙が、潤滑(smooth)に実施されたことを喜ばしく思う」と発言。

18日 ●サジット・プレマダーサUNP議員(注:UNPの次世代を担う若手有力議員の一人とされる)は、「UNPの党中央部は改革されるべきである。UNPは労働者、農民、漁民を代表すべく、地に根をつけた政党に生まれ変わる必要がある」と発言。
●サンパンタンTNA団長は、「政府が、もし統一された「ス」国家の中でタミル人にとって納得のいく政治解決を提示するなら、TNAは政府と協力する用意がある」と発言。
●ストーレ・ノルウェー外相は、「ノ」国会で新しい「対「ス」外交政策」を発表し、「「ノ」は今や「ス」に関して特別な役割がある訳ではない。他方、2002年の和平合意に基づき政治的・平和的解決の実現に貢献できる余地があり、こうした「ノ」の目標自体に何ら変わりはない」と発言。

19日 ●「ラ」大統領とウィクラマシンハ最大野党連合UNF代表(最大野党UNP総裁)が会談。
●フォンセーカ野党連合DNA指導者(元野党共通大統領候補、前国防参謀長)に関する第2回軍事法廷が、海軍本部で開始。前国防参謀長在職時代に違法な武器取引を行った容疑。

20日 ●キャンディ選挙区ナワラピティヤ地区(投票所37箇所、有権者5万名)及びトリンコマリー選挙区クンブルピティヤ地区内の投票所1箇所(有権者約千名)で再投票実施。投票は平和裡に。
●印映画スターのアミタブ・バッチャンが訪「ス」し、「ラ」大統領を表敬訪問。

21日 ●午前、選挙管理委員会は、20日行われた2カ所での再投票の集計結果が判明したことを受け、8日に実施された総選挙の最終結果を発表。与党連合UPFAが144議席を獲得し圧勝。野党は、UNF:60議席、TNA:14議席、DNA:7議席。              
●「ラ」大統領は最大与党SLFPのベテラン政治家であるD.M.ジャヤラトナ氏(78歳、全国区から当選)を新首相に任命。同日、「ジャ」氏は大統領府にて就任宣誓。

22日 ●第7次国会開始。総選挙で当選した225名の議員が就任宣誓。またチャマル・「ラ」前港湾大臣(「ラ」大統領の兄弟。ハンバントタ選挙区)が新国会議長に就任され、野党各党も信任・祝辞を意思表示。なお、拘留中の「フォ」DNA指導者も一時的に釈放され、国会に出席。
●UNFから全国区指名が受けられなかったマノ・ガネーシャンDPF指導者は、UNF側の決定に激怒し、DPFはUNFからの離脱を宣言。
●ディガンバラムWNF(注:労働組合名NUW。今次総選挙ではUNFに所属し、ヌワラエリヤ選挙区から同氏のみが当選)指導者は、NUWに与えられるべき全国区当選枠が与えられなかったことを不服とし、UNF離脱を宣言。今後は独立した立場で活動する由。

23日 ●国会において、「ラ」大統領は新内閣における閣僚(38名)及び副大臣(39名)を任命。 前政権時との大臣数比較では、34ポストの削減を実現。外務大臣には、G.L. ピーリス氏 (前輸出振興・国際貿易大臣)が、経済開発大臣にはバジル・ラージャパクサ氏(前大統領首席顧問)が就任。

24日 ●ザルダリ・パキスタン大統領は、今次「ス」総選挙で勝利したUPFA及び「ラ」大統領に対し、祝辞を発出。

25日 ●「ラ」大統領は各省の新次官(計36名)を任命。ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官が再任された他、P.B.ジャヤスンドラ前財務次官が経済開発省次官に就任。

26日 ●M.ピーリス検事総長は国連本部を訪問し、バン国連事務総長と会談(26日付)。
●「ジャ」首相はキャンディでマルワッタ派・アスギリヤ派大僧正に首相就任後の挨拶を実施。

27日 ●SAARC会合に出席するためブータンを訪れている「ラ」大統領は、ティンレイ「ブ」首相と2カ国間会談実施。なお、同行したG.L.ピーリス外相も、クレーシ・パキスタン外相と2カ国間会談。

28日 ●第16回SAARC会議がブータン・ティンプーで開始。8カ国外相会合が行われ、気候変動への取り組み、インフラ開発基金設立、貿易上の取り決めへの署名に関する協議実施。「ラ」大統領は、「我々SAAC加盟国は、地域の主権を確保すべく、同地域にとっての内発的な問題解決策を模索し、SAARC圏外から横入れしようとする試みから防御すべきである」と発言。
●G.L.ピーリス外務大臣は、SAARC会合と並行しクリシュナ印外相と2カ国間会談実施。両外相は、「ス」民族問題の政治的解決、北部IDP再定住・福祉問題について協議。また同日、「ピ」外相は、クレーシ・パキスタン外相と2カ国間会談実施。

29日 ●ゴタバヤ・「ラ」国防次官は、「ジャフナ半島では現在、政府軍が安全上の理由から一時的に私用地を占有しているが、今後は徐々に撤退していく事になる」と発言。
●UNP党幹部は、党改革についての協議を開始。
●「ラ」大統領は、SAARC会合と並行し、シン印首相、ギラーニ・パキスタン首相、ハシナ・バングラデシュ首相とそれぞれ2カ国間会談を実施。またJ.K.N.ワンチュク・ブータン国王を表敬訪問。シン印首相とは、「ス」北部IDPの再定住問題、北部開発、民族和解・民族問題の政治的解決の問題について協議。

30日 ●サヴェージ在「ス」EU大使は、「「ス」では緊急事態令が継続され、また「フォ」DNA指導者の拘留もいたずらに延長されている」として懸念を表明。
(了)  


スリランカの主な出来事(2010年3月1日-3月31日)

1日  ●与党JHU 及びNFFは、ブラウン英首相のグローバル・タミル・フォーラム(GTF、注:LTTE残党と関連があるとされるタミル団体)との会談、及びミリバンド英外相のGTF会合出席に抗議し、在「ス」英大使館前でデモを実施。

3日  ●独連邦検察は、独北西部ノルトライン・ヴェストファーレン州において、ウィジカネンドラ氏をはじめ、LTTE活動家・支援者と見られる6名(独人3名、タミル人3名)を逮捕。

4日  ●G.L.ピーリス政府報道官は、先般の大統領選挙で再選を果たしたラージャパクサ大統領は第2期目の開始に向け、2010年11月18日に宣誓を行う予定を明らかに。
●バン国連事務総長は「ラ」大統領と電話会談を行い、「「ス」北部戦闘の最終段階における人権侵害を調査すべく国連専門家パネルを設置したい」と伝達。これに対し、ボーゴラガマ外相は「専門家パネルなどは必要ない。国連は「ス」への内政干渉を慎むべきである」と批判。

5日  ●ピライ国連人権高等弁務官はUNHRC年次報告書の発表式典において、「ス」戦争犯罪に関する独立調査が必要であるとの考えを明らかに。これに対し、サマラシンハ災害管理・人権大臣は、「「ピ」弁務官は一部の国際勢力を贔屓すべきでない。昨年のUNHRCの「ス」決議を遵守し、余計な発言は差し控えるべき」と反論。

7日  ●N.ラオ印次官(元在「ス」印大使)が訪「ス」し、「ラ」大統領と会談。再選を決めた「ラ」大統領に祝辞を述べた上、「北部IDPキャンプの滞在者数は残すところ7万人以下となり、最早、国際社会の重大な関心事項ではなくなった。印は「ス」北部でIDP再定住・鉄道敷設を支援する」と発言。
●アロマ・フォンセーカ氏(フォンセーカ元野党大統領候補の夫人)は、「拘束中の「S.フォ」は携帯電話が与えられず実娘と話すことも出来ず、「S.フォ」はこれに抗議してハンガーストライキ(fast)を開始した」と発言(なお、本ストライキは9日に終了)。
●2隻の難民船(各28名・80名乗船)が豪北西部のアデーレ諸島付近に漂着。

8日  ●与党院内総務D.グナワルダナ都市開発大臣は、「政府は総議席数の2/3以上を獲得し、新たな憲法修正を行い、大統領制を廃止或いは改革する」と発言。
●N.ラオ印次官は東部州を訪れ、チャンドラカンタン(通称:ピラヤン)東部州首席大臣(注:東部を拠点とするタミル政党TMVP指導者)と会談。

9日  ●臨時国会が召集され、緊急事態令の延長可決(賛成93票、反対24票)。野党UNP、TNA、JVPがそれぞれ反対票投ず。
●非同盟諸国(NAM)事務局はバン国連事務総長充てに書簡を発し、国連の「ス」戦争犯罪に関する調査パネル設置に向けた動きに対し深い憂慮を表明。

10日 ●M.シリセーナ与党SLFP幹事長は、「総選挙では総議席数の2/3以上の獲得を目指し、達成できれば憲法修正を行い、選挙制度改定等を行う。また1月に実施された大統領選挙は最後の大統領選挙となるだろう」と発言。
●M.バラスーリヤ警察長官は、ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官の命令に基づき、8名の警察捜査官幹部を解雇した旨明らかに。
●リケッツ英外務次官が訪「ス」し、「ボ」外相と会談。先日ミリバンド英外相がタミル・グローバル・フォーラム会議に出席した経緯を「ス」側に説明。

11日 ●「フォ」前国防参謀長を軍事法廷にかけるべく、「ラ」大統領は陸軍少将3名を判事に任命。

12日 ●TNA(注:北・東部州を拠点とする最大タミル政党)がマニフェスト発表。タミル人の自決権、連邦制に基づく権限移譲、北・東部州の再統合を公約。

15日 ●M.バラスーリヤ警察長官は、「警察は選挙ポスター除去作業に尽力しているが、(あまりにも違法ポスターが多すぎて)それらを完全に除去することはできない」と発言。

16日 ●「フォ」元候補(前国防参謀長、野党連合DNA指導者)に対する軍事裁判開始。今回の「フォ」に関する軍事法廷は2日間(16~17日)に亘り、初日(16日)は国防参謀長在任中の政治活動についての裁判実施。「フォ」は法廷で「軍事裁判に掛けられる所以はない」と発言。
●最大野党UNPがマニフェスト発表。「新しい社会への転換へ」と題し、国会の任期の短縮(6年から5年へ)、緊急事態令可決の条件の変更(過半数から2/3以上の議席数に)、選挙法制度の変更(125議席を多数得票制で選出し、残る125議席を政党指名とする比例代表制へ)、公務員給与の漸次的増額(10,000ルピー増額へ)、生活必需品の価格引き下げを公約。
●DNA(注:野党第2党JVPを中心とする野党連合)がマニフェスト発表。「人徳のある国」をスローガンに、「フォ」DNA指導者を含め不法に拘留されている囚人の解放、国家の単一性の遵守と連邦主義者たちの取り締まりを公約。

18日 ●「フォ」元候補は、自らの拘留長期化を不服とし、軍事法廷に申し立てを実施。
●世界的なテレビ番組「ナショナル・ジオグラフィック」は、「今年行くべき国ランキング」で「ス」を第2位に選出(18日付)。

19日 ●与党連合UPFAは、「ラ」大統領の参加の下、中央州キャンディで選挙集会を開始。「ラ」大統領は、総議席数の2/3以上を目指し国民から強い国会を得たい旨発言。他方、UNPも、ウィクラマシンハUNP総裁の参加の下、北部州ジャフナ県で選挙集会を開始。「ウィ」総裁は北部の開発の必要を訴えた他、現政権は権限移譲・国民和解を実現できていない、と批判。

21日 ●犯罪捜査局(CID)は、アノマ・フォンセーカ夫人に対し3時間に亘り尋問を実施。

22日 ●MTV主催による米アーティストAKONのコロンボ公演予定(4月下旬)に抗議し、数十人の暴漢がコロンボ市内のMTV事務所に投石。警察は16名を逮捕。「AKONは仏教を軽視又は侮辱するような公演を行っている(仏陀像を取り囲む形で薄着の女性を踊らせる等、印でも同様の公演を行い宗教関係者より厳しい非難を受けた経緯あり)」との噂が広がったため。

23日 ●2010年政府予算案は、元来昨年11月に国会に提出される予定であったが、大統領選挙、総選挙等の影響で遅れ、総選挙後の5月に提出予定である旨明らかに(23日付)。

26日 ●25~26日の2日間にかけて総選挙の郵便投票実施。ヘッティアラッチPAFFREL(政府公認の当地選挙監視NGO)代表によると、2日間で郵便投票の申請者の96%(415,432名)が投票実施。警察によると、郵便投票に関する暴力事件件数は28件のみ。
●イスマイル汚職防止委員会委員長によると、第17次憲法修正下の憲法委員会の下での設置が義務付けられている汚職防止委員会が任期期限を迎え、再開の見通しは立っていない由。
●災害管理・人権省は、26日現在のIDP残存数を76,205名と発表。なおチャンドラシリ北部州知事は、先週だけで北部ムラィティブ県に6万5千名のIDPが再定住した旨発表。

29日 ●警察は、29日現在の選挙関連暴力事件件数は220件(深刻な事件141件)で、その半数以上が与党内の候補の対立によるもの、と発表。また選管は違法な選挙ポスター・横断幕等が蔓延している状況に歯止めが効かない状況を受け、4月1日までに違法な横断幕・旗・広告板等を全て除去し、4月5日までに全てのポスターも除去するよう警察に指示。CMEV(当地選挙監視NGO)は声明を発し、選挙戦が終盤戦に差し掛かり、国有資源の濫用、選管職員の怠業、選挙事務所に対する襲撃等の違法行為が増加中、と警告。
●UNPは、EUが国際選挙監視団を派遣する構えを見せているにも拘わらず、選管委員長はEUを招聘しようとしないとして、選管を批判。
●インターポールは、タミル復旧機構(TRO、注:LTTE存命時には在外事務所として機能)の指導者としてLTTEへの資金援助活動を行っていたK.プレマラージ氏を指名手配(29日付)。

31日 ●ケラニヤ大学教授は総選挙結果に関する世論調査の結果を発表。与党連合UPFA:65%(145議席)、野党UNP:28%(66議席)、その他の政党(主に北・東部タミル政党):6%(14議席)と予測。
●ミリバンド英外相は「ス」情勢に関する声明を発し、「「ス」は暴力ではなく政治を通じて発展を実現すべきである。「ス」民主主義は、単に選挙だけでなく、報道の自由や司法の独立を通じ、健全なものであるべき」と発言。これに対し、K.ランブクウェラ政府軍報道官は、「「ミ」英外相の発言は偏見に満ちており、しかも「ス」総選挙を目前に控えた中でなされた。これは(現ラージャパクサ政権に揺さぶりをかけようとする)英の策略ではないか」と批判。

  (了)  


スリランカの主な出来事(2010年2月1日-2月28日)

1日  ●野党連合UNFは、大統領選挙で敗れたフォンセーカ野党候補を同連合の副総裁に任命。
●政府は1月末までに全てのIDPをキャンプから解放すると国連や印等に対し、述べてきたものの約束が果たせず。バディユディーン再定住・災害サービス大臣は、「出来るだけ早期にIDP(北部ワウニヤ・キャンプに8万人残留)の再定住を進める、と発言。
●日本の岡田外相は、再選を決めたラージャパクサ大統領に祝辞。同時にIDP再定住の早期完了、「ス」経済の復興、民族和解プロセスの促進、への期待を表明。

2日  ●最高裁は、再選を決めた「ラ」大統領の2期目の任期開始日は2010年11月19日と宣言。
●警察は緊急事態令に則り、「ラ」大統領暗殺計画に関与した容疑で37名を逮捕。内23名は政府軍関係者及び脱走兵、2名はタミル人(武器調達に関与した容疑)、2名は仏僧。
●災害管理・人権省は作成中の「人権促進・保護のための国家行動計画」原案をサマラシンハ災害管理・人権大臣に提出。

3日  ●野党各党(UNP、JVPほか)は、選挙に不正があったとしてコロンボ市内で抗議デモ実施。デモに参加した「フォ」候補は「我こそが真の大統領である。与党は選挙結果を歪曲した」と主張。

4日  ●「ラ」大統領は独立記念式典で演説し「一部の国内外の勢力は「ス」の不安定化を企てている。我々の外交方針は非同盟・独立を基本とする。印、中国、日本のような近隣国と緊密な関係を築き、アジア、アフリカ、西側諸国、中東、欧州諸国とも温厚な関係を維持している」と発言。

5日  ●国会で緊急事態令延長が可決(賛成102票、反対15票:UNP及びTNA、JVPは棄権)。

6日  ●ウィクラマシンハ野党リーダーは、次期総選挙に向けて野党連合UNFのシンボル(白鳥)ではなく、UNPの党シンボル(象)の下に選挙戦に臨むとの意向を表明。

8日  ●政府軍警察は「フォ」元野党大統領候補(前国防参謀長)を逮捕。フルガッレ国家安保情報局長は記者会見を開き、「「フォ」にかけられた容疑は(1)軍事クーデターの謀略、(2)「ラ」大統領暗殺計画、(3)陸軍司令官及び国防参謀長在任中、野党と共謀して軍に対する違反及び不正を行ったこと、である。「「フォ」は逮捕後、犯罪捜査局(CID)及びテロ捜査局(TID)の取り調べを受け、更に軍法裁判にかけられる予定」と説明。
●露を訪問した「ラ」大統領は、メドヴェージェフ露大統領と会談。同日、「ラ」は露最大のガス石油会社「Gazprom」を訪問。露側は「ス」マナー県における海洋石油採掘への協力等に合意。

9日  ●「ラ」大統領は憲法第11条70(1)項に則り、国会の解散を公示。総選挙投票日は4月8日(木)、次期国会召集日は4月22日(木)に確定。
●「フォ」元候補夫人は野党関係者と共に共同記者会見を開き、「夫は憲兵隊によって乱暴な扱いを受け、連れ去られた」と主張。本件に関し、バン国連事務総長は「「フォ」逮捕事件への反動として暴力行為に走ることのないよう、「ス」の全ての関係者に自制を求める」と発言。

10日 ●「フォ」元候補釈放を求める野党関係者・支持者たちが最高裁前(コロンボ12区)に集合し、抗議デモ実施。これに政府支持者たちが石や棒で攻撃を加えたことで騒ぎが拡大し、数名が負傷。警察も介入し、バリケードを設置、催涙ガスを投じるなどして事態は沈静化。
●「フォ」元候補夫人は夫の逮捕・拘留は不当であるとして、最高裁に基本的人権訴訟を提訴。
●「ラ」大統領はバン国連事務総長と25分間に亘り電話会談。「バ」事務総長は、「フォ」逮捕に関する憂慮を伝達。

11日 ●野党支持者は「フォ」逮捕に対する抗議デモをマハラガマ(コロンボの南東10kmに位置)で実施。警察が出動し、バトン等を使ってデモ隊を蹴散らそうとしたところ、市民一人が負傷。
●アヌーラ.P.ヤーパ報道大臣は、次期総選挙準備のため同職を辞任。
●ジュネーブを訪問した「ス」政府代表団(サマラシンハ災害管理・人権大臣ほか)はピライ国連人権高等弁務官と会談し、「ス」政府として「人権促進・保護のための国家行動計画(NAP)」の策定に向け現在取り組んでおり、北部IDP再定住の課題にも尽力している旨、説明。
●ゴタバヤ・ラージャパクサ国防次官は「米・ノルウェーは「ス」大統領選挙で「フォ」野党候補のキャンペーンに資金援助しようとしていた」と発言。米・ノルウェー政府はそれぞれ否定。

14日 ●アスギリヤ派及びマルワッタ派(共に「ス」仏教界の最高権威)の大僧正は、「ラ」大統領は「フォ」を釈放すべきであるとの考えを表明。

15日 ●「フォ」の義理の息子にあたるティレカラトナ氏に対し、公的資金横領の容疑で逮捕状発出。「ティ」氏経営のHiCorp社が、「フォ」参謀長在任当時、軍との違法武器取引に関与した容疑。
●EUは「ス」に対する貿易特恵GSPプラスを今後6ヶ月間以内一時停止することを正式に決定。「ス」の人権状況が悪いことが主な理由。
●C.シリマルワッテ・ランカ紙(野党JVPと関係が深い新聞社)編集長は、自分(「シ」)に対する逮捕・拘留(1月29日に逮捕された後、数日で釈放されていた)は人権侵害であるとして、最高裁に対し基本的人権訴訟を提訴。

16日 ●「フォ」元候補(前国防参謀長)は、大統領選挙プロセスに不正があったとし、無効化を求める基本的人権訴訟を最高裁に提訴。

17日 ●コロンボ地方裁は大統領選挙で「フォ」野党候補を支援していた元政府軍兵士14名を釈放。
●T.アタナヤケUNP幹事長は、SLFP人民派、SLMC、DPFの各党が象のシンボル(注:UNPの党シンボル)の下で選挙戦に臨むことに合意した旨明らかに。
●L.フォックス英影の国防大臣訪「ス」。ボーゴラガマ外相らとの会談後に共同記者会見を行い、「「フォ」元候補は一般法の手続きに則って裁かれるべきである」との見解を表明。
18日 ●アマラシンハJVP指導者は、次期総選挙に向け、新しい政党連合として民主国民同盟(DNA)を設立し、トロフィーのシンボルの下で選挙戦に臨むと宣言。DNAの指導者には「フォ」前国防参謀長が就任。
●非公式に印を訪問したゴタバヤ・「ラ」次官は、S.メノン印国家安全保障顧問ほかと会談。
●L.U.ツェリン・ブータン外相が訪「ス」し、ボーゴラガマ外相と会談。

19日 ●ボーゴラガマ外相は、「国際NGO・国内NGOは、「ス」の民主主義を不安定化させようと目論んでいる一部の外国勢力から、怪しげな資金援助を受けている」と発言。
●TNAは総選挙の候補者リストを完成。現議員22名の内、9名がリストから外される結果に。

21日 ●「ラ」大統領は印ヒンドゥー紙に対し、「次期総選挙では与党連合UPFAは余裕で勝利するだろう。(総議席数の3分の2を獲得できる見込み如何との質問に対し、)少なくともそれに近い議席数を獲得できるだろう」と発言。

23日 ●ミリバンド英外相は英国会において、英在住のタミル人活動家グループ「グローバル・タミル・フォーラム(GTF)」会議で自ら基調講演を行う意向を明らかに。「ボ」外相は「LTTE傘下の組織が主催する会議に、英外相のような政府高官が出席することは許されない」と反発。
●ブレイク国務次官補発言(前在「ス」米大使)は、「米は「ス」政府のフォンセーカ元野党大統領逮捕と彼の扱われ方について、嬉しく思っていない」と発言。これに対し、ヤーパ報道大臣は、「「ブ」次官補は「ス」に頭ごなしに指図すべきではない」と反発。

25日 ●「ミ」英外相は英国会で開催されたGTF会議で基調演説実施。ブラウン英首相もGTF会議に出席したとの報道がなされ(注:後に英側は、「ブ」首相は実際はGTFと会談を行ったのみ、と弁解)、「ス」政府は「英は倫理に反する行為をしている」と反発。

26日 ●総選挙の候補者登録締め切り。登録を行った候補者は7,696名、参加政党は20党、無所属の独立団体は48団体に。

27日 ●ディサナヤケ選挙管理委員長は総選挙の参加政党・独立機関に対し、24の指示項目を発表。3月3日までに全ての選挙キャンペーン目的のポスター・貼り紙・横断幕等の除去を指示。

28日 ●TNAは今次総選挙に際し、4つのグループに分裂。(1)サンパンタン議員団長を中心とする主流グループ、(2)TNAから候補者指名を受けられず、ACTCの下で選挙戦に出馬を決めた3名(ポンナンバラン議員ほか)、(3)新政党連合TNLAを設立した2名(スリカンタ議員、シワジリンガム議員)、(4)与党連合UPFAに転じ出馬を決めた3名(キショール議員ほか)(28日付)。

  (了)  


スリランカの主な出来事(2010年1月1日-1月31日)

1日  ●ラージャパクサ大統領は年頭の所感を発表。「「ス」を南アジアの空・海上交通網・情報通信網のハブとする。国外からの経済上の脅しには屈しない。テロを殲滅し平和を実現する過程で支援してくれた国々との友好関係強化を継続する」と発言。
●チャンドラセーカラン・コミュニティー開発・社会不公平撲滅大臣(高地人民戦線(UPF)党首)が心臓発作のため逝去。

3日  ●セナラトネ建設大臣は、フォンセーカ野党大統領候補は陸軍司令官時代、米国在住の「フォ」の義理の息子が経営する会社を通じて武器を購入していたと非難。

4日  ●TNAは今次大統領選挙で「フォ」候補支持を約束。
●キリノッチ県の5つの学校(児童数700名)が戦争終了後初めて再開。

5日  ●国会で、緊急事態令の延長が可決。TNAは反対票を投じ、UNP及びJVPは棄権。

6日  ●ヤーパ報道大臣は、「フォ」候補とTNAは、今次大統領選挙での支持に関し、LTTE主要要員の解放、北部州・東部州の再統合等に関する密約を結んだと発言。

7日  ●「フォ」候補は、今次大統領選挙での自身のマニフェスト「信頼できる変化」を発表。汚職・血縁主義の撲滅、生活苦の大幅改善、大統領選挙当選後1ヶ月以内の現行大統領制廃止、第17次憲法修正の完全実施を公約。
●P.アルストン国連人権理事会特別報告者が、昨年8月に英国チャンネル4が放送したスリランカ政府軍兵士によるLTTE捕虜殺害の映像を真正とする分析結果を発表。「ス」政府は反発。

8日  ●サッラサミー郵便副大臣(CWC所属:セイロン労働者会議)が「フォ」支持を表明。
●プラバーカラン・バティカロア市長(元TMVP、現SLFP所属)が「フォ」支持を決定。

11日 ●「ラ」大統領は、自身2度目のマニフェストとなる「マヒンダ・チンタナ2("Mahinda Chintana Idiri Dekma")」を発表。同時に予算計画も発表。「明るい未来」をスローガンとし、第一期中の公約達成を強調した上で、テロ対策、経済開発、生活苦の現実的改善、汚職撲滅を提示。
●安全上の理由で閉鎖されていたコロンボ市内中心部フォート地区及びコルペティヤ地区を結ぶ通称「ゴール・ロード」が再開。
●コロンボ高等裁判所は、民族対立扇動及びLTTEから資金供与を受けていた罪で客年8月31日に禁固20年の有罪判決を受けていたティッサナヤガム氏(サンデータイムズ紙コラムニスト)を、5万ルピーの保釈金の支払い及びパスポートの発行停止を条件に保釈。

12日 ●大統領選挙の郵便投票実施(~13日)。郵便投票の受付数:458,154名、投票率:約80%、公平性に対する不満件数:25件。
●南部州ハンバントタ県タンガッレ・フンガマ地域において、「フォ」支持者(55歳女性)が何者かに銃殺される。今次大統領選挙に関する初の死亡事件に。
●「ディ」選管委員長は、各政党の選挙関係者を召集し「相変わらず選挙違反行為が継続している現状に落胆している。誰も自分の指示に従わないのなら職務放棄も考える」と警告。

13日  ●「ラ」大統領は大統領府での記者会見において、「北・東部州の人々の問題については、これまで全政党会議(APC)が本協議を重ねてきたが、纏まった解決策が合意されるには至らなかった。従って自分が再選された暁には、自ら解決案を提示する。一方で、第13次憲法修正プラス、即ち上院の設置を実現していく」と発言。
●S.コンガハゲ大統領候補は、「「フォ」候補は米市民権を有しており、外国の影響下にある。そのような人物が大統領候補となる資格はない」として基本的人権訴訟を提訴。
●選挙監視NGO5団体(CMEV、PAFFREL、Caffe他)は共同記者会見を開き、選挙暴力の多発の原因の一つは「ディ」選管委員長がきちんと警察出動を指示しないことにある、と批判。

15日  ●C.イサディーン輸出振興・国際貿易大臣(閣外、ムスリム政党NUA所属)は、「フォ」支持及び古巣SLMCへの復帰を宣言。
●M.ムザミル与党NFF議員は、「「フォ」候補と面会した後、「フォ」候補自身から勧誘を受け、3,000万ルピーを受け取るよう提示を受けた」と暴露し、「フォ」自身の汚職体質を非難。本件にを受け、19日には与党NFF支持者及び市民団体「国民統一機構(NUO)」は、本収賄の資金はノルウェーから来ているとして、在「ス」ノルウェー大使館の前で抗議活動を実施。

19日  ●北西部州クルネーガラ県内で与党選挙事務所に手榴弾が投げ込まれ、運転手1名が死亡。また同県ワリヤッパラでも野党支持者1名が暴力団に殺害される事件発生。
●北西部州プッタラム県アナマドゥワにおいて、与党支持者1名が「ラ」大統領の選挙ポスターを貼ろうとしていたところ、野党支持者に銃殺される事件発生。
●「ディ」選管委員長は26日に実施される大統領選挙終了後に辞職する意向を表明。

20日  ●米や鶏肉等の必需食品の価格が高騰。「ラ」大統領は「破廉恥な商人たちが、政治的意図の下に価格操作を行い、米等の必需食品のストックを隠したりしている。私は消費者を守るため、市場価格を抑える対策を講じる」と発言。
●「ラ」大統領は、「全てのスリランカ国民にとっての平和の実現は2期目における優先事項であるが、それ以前に基本的ニーズ充足が重要。全てのものは開発の中に淘汰されるだろう。民族問題に対する政治的解決をどうするかは、政治指導者たちの意向次第である。APRCプロセスは、UNPやTNAら主要政党からの同意が得られず、実現には至らなかった」と発言。

23日  ●深夜を以て選挙キャンペーン終了。以降も選挙ポスターが剥がされないまま放置されている事例が多発。選管は選挙キャンペーンで公正性が全く確保できなかった、と発言。

26日  ●全国で大統領選挙の投票実施。投票は午前7:00~午後4:00、開票は19:00pm以降に実施。有権者数は14,088,500名(再定住済みの北部IDP45,732名、及びキャンプ内のIDP16,000名を含む)、投票所数10,875箇所、開票所数888箇所(開票担当者数2,500名)、選挙管理担当職員245,000名、当地選挙監視オブザーバー(PAFFREL、Caffe、CMEV)約16,000名、国際監視要員数55名(AAEA及び英連邦21カ国より)、配備された武装警察官68,000名。
●「フォ」候補は有権者登録を2008年6月時に有権者登録を行っていなかったために、自身は投票できず。午後13:00頃、国営放送は、投票資格がないような人物に大統領候補の資格はないと報道。「フォ」候補は直後に声明を発し、投票できなかったことを認めた上で、本件が大統領候補の資格に差し障るものではない、と主張。「ディ」選管委員長は、「フォ」候補は大統領候補としての憲法上の規定(31条:スリランカ国籍を保有しており、かつ30歳以上であること)を満たしている、との見解を発表。

27日  ●午後6:00、「ディ」選管委員長は大統領選挙の最終結果を発表し、得票数50%以上を獲得した現職の「ラ」大統領が勝利した旨宣言。「ラ」与党候補の得票数は6,015,934票(57.88%)で、「フォ」野党候補(4,173,185票:40.15%)に180万票近い差を付けて完勝(投票数:10,495,451票、有効投票数:10,393,613票、投票率:74.5%)。「ラ」は、大票田である南部シンハラ人居住地域で圧勝(得票率は軒並み約60~69%)し、都市部(コロンボ、キャンディ)でも、過半数以上(53~54%)を獲得。他方、「フォ」は、マイノリティ居住地域である北・東部州全域で勝利(得票率50~69%)し、高地タミル人居住地域であるヌワラエリヤ選挙区で辛勝(得票率52%)したものの及ばず。
●大統領選挙の投票における自由・公正性について、関係者(選挙管理委員会、与野党、当地選挙監視NGO、国際選挙監視団)は、北部州を含め概ね平穏に投票が行われたと評価。
●「フォ」候補は選挙結果を受けて、「自分は選管発表の結果を受け入れるつもりはない。これほどの得票差が付くはずはなく、結果は非現実的。また選挙プロセスでは、投票箱に関する不正、国営メディアを通じた野党への中傷、国家財産・資産の濫用、北部IDPの投票行為に対する妨害等が行われた。今後、法的な手段を講じて選挙結果の不当さを訴える他、選挙権侵害への抗議デモも実施する。これまで、当地外交団を通じて、自身の安全を国際社会に求めてきたが、政府には自分の命を保証する責任がある」と発言。
●午後、治安当局は「フォ」が宿泊していたコロンボ市内のホテルを包囲し、「フォ」候補と共にいた私的警備員9名を脱走兵等の容疑で逮捕。なお、「フォ」は同日夜に帰宅。「フォ」は自身の命が脅かされていると主張。

28日  ●バン国連事務総長は声明を発表し、「選挙キャンペーン中の暴力事件の多発を懸念していたが、最終的には比較的暴力事件は少なく、安堵している」と発言。
●在「ス」米大使館は声明を発し、「ラ」大統領に対し祝辞を述べると共に、殆どの地域で高い投票率を記録し、投票は概ね平和裡に実施されたと評価。一方、選挙法違反事件に対し、国内法に則った徹底的な調査実施を要請。

29日  ●犯罪捜査局(CID)は警察特殊部隊(STF)の支援の下、「フォ」の事務所(コロンボ市内)を一斉捜査。「フォ」氏には武器の違法所持の容疑が持たれていた。「フォ」は、「政府は自分が側近と共に軍事クーデターを企てたと主張しているが、事実ではない」と反論。
●犯罪捜査局(CID)は、野党JVPと関係が深い報道機関「ランカ」紙のC.シリマルワッテ編集長を、反政府の陰謀を企てた容疑で逮捕。翌30日、CIDはランカ紙の事務所を一時的に閉鎖。

 

 

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